第6話 少しヒネってる
僕の問い掛けに
『先ずはその水魔術の箇所を読んでみてくれるか?』
と言ってその箇所を読み上げる様に言ってきた。
僕は素直に分かりましたと返事をして、初歩の水魔術が書かれている箇所を読む。
【ここに記すのは初歩の水魔術である。最も危険が少ない魔術なので、試すのに丁度良い魔術だ。また、水は人に無くてはならないモノであるため、この魔術を使用できるようになれば、遭難しても助かる確率は跳ね上がる。では、ここに記そう。その魔術の文言は『水道』だ。読み方は『
「と、書かれています。
僕が初歩の水魔術に書かれている事を読み上げると
『良く考えたら私には読めないからコルクが読んだ文章が正しいかどうか分からなかったな······』
僕は思わずコケそうになったが踏みとどまって言った。
「ウソは読んでません。前世の記憶から読める通りに読んでます」
すると
『コルク、その桶に向かって魔術をやってみなさい。私達が見守っているから』
そう言って許可を出してくれた。僕は前世の記憶があると気がついた時から魔力を高める訓練をしてきたので、他の六才の子供よりも魔力は多いと考えている。そして、前世の記憶から『水道』も『蛇口』も何かを知っている。
僕は魔力を練り上げて桶の上に両手を出して言った。
「
すると僕の両手から蛇口を捻った様に水が出てきた。やった、成功だ。
僕が
『【スイキュウ】みたいに水の塊が出ると思っていたけど違うのね······』
『何と、これなら飲み水等にも利用しやすいな。コップで受けるのもやり易いだろう。コルク、止める事は出来るのか?』
そう言うので、僕は頭の中で蛇口を閉めるイメージをした。すると、両手から出ていた水が止まった。
『ふむ、どうやらコルクは本当にこの書を読めているんだな』
『ええ、サラシ。間違いないようだわ。それにこの子の魔力を感じたかしら? 間違いなくこのカインズ公爵家で一番多くて強いと思うわ』
『うん、この子の魔力は凄いな。全盛期の私よりも既に多く強いようだ』
と言うので僕は呆然としてしまう。そんな僕を見て二人は顔をワクワクさせて言ってきた。
『さあ、私達が見ていて上げるから他の初歩魔術もやってみましょう』
『うん、コルクよ。火は危ないからこの部屋では止めにして、部屋の中でも出来そうな初歩魔術があれば文章を読んでみなさい。危険がないと判断したらやってみよう』
そう言われたので、僕は【魔術大全の書】のページをめくり出したんだ。
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