読後に想像力をかき立てられる世界！

主人公が創作したSFの世界と、主人公が生きている近未来の世界、どちらも作者の想像力の豊かさや、表現の繊細さに驚きながら読み進めました。冒頭の戦闘シーンなどは、血飛沫がとぶ凄惨な場面なのに、美しいスピード感のある表現に引き込まれました。対比的に幸福感漂う近未来の世界にも、根底に流れる不安や焦燥感が、読者に空想させる余韻を残してくれています。

あと、これだけのスケールで設定した世界を、この作品だけで終わらせるのはもったいないなと感じました。物語はまだまだ広げられる。広げるとしたら登場人物をもっと深められるのではないでしょうか？この他に深く関わる人物が登場する事で新たな感情が物語を鋭く切り拓くのを読んでみたい気がします。例えば嫉妬や孤独、無償の愛などの感情が物語を思わぬ方向に進めたりするのをよんでみたいと思いました。
勝手なことを書きましたが、それだけ、読後に想像力をかきたれられる素晴らしい作品でした。ありがとうございます。