第2回(ファンタジー服飾小説)
「ミクニちゃん、今日はどうしたの。お洋服の3Dビジョンをそんなにたくさん浮かべて」
「……わからない。可愛い服の書き方がわからないんですよ!」
「な、なによ、そんな鬼気迫る表情になって」
「カスガさん。わたし達、アイドルじゃないですか。可愛さが売りの商売じゃないですか」
「まあ、そうだけど……」
「それなのに、現役アイドル兼・脚本家のタマゴのわたしが、可愛いものを可愛く描写できないなんて。作家生命に関わる問題ですよ!」
「ミクニちゃんの作家生命のことは、わたしにはわからないけど……。また好きな作家さんの作品を読んで勉強したら?」
「そう思って既に
「それも21世紀の小説?」
「はい。またリライトで特訓しようと思って。ファンタジー世界の『****』で、
「この前の『***』ともまた違って、メルヘンなお話なんだね。……ミクニちゃんにそんなの書けるの?」
「書けないから勉強するんじゃないですか。……さっき、ちょっと書いてみたんですけど……」
「どんなシーンなの?」
「ドールブティックで働く主人公の**ちゃんが、お店を訪れた女の子に心を開いてもらおうと話す場面です。両親を亡くして、男爵夫妻に引き取られてからも、ずっと自分自身にもドールにも喪服を着せたままの女の子……。複雑な事情を抱えていそうな彼女に、**ちゃんは自分のドールを携えて語りかけるんですよ。まず、これが原文です」
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
(原作引用部分 省略)
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「……すごい。ドールの衣装の描写、すっごく丁寧なんだね。着せ替えの楽しさが伝わってきそう」
「この作品の中ではこれでもまだ序の口なんですけどね。この文章を手本に、わたしに欠けてる執筆技術を少しでも盗み取れればいいんですが……。こっちがわたしの書いたバージョンです」
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
(リライト部分 省略)
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「……なにこれ。今回もほとんど別物じゃない」
「わたしもちょっと反省してます。だって、服が……。服が書けない……」
「*****ちゃんの服の説明のところ、どうしてこんなにルビを振ってるの?」
「んー、なんていうか。わたし自身、ペチコートやドロワーズなんて、今の時代にない下着の名前を言われてもパッとは絵が浮かばないんですよ。でも、こうして漢字でどういうものかを書いてルビを振っておいたら、まあ、知らなくてもどんなファッションアイテムか伝わるじゃないですか」
「言われてみればそうかも……」
「これ、わたしが考えた手法じゃなくて、秋保千代子さんという作家さんの『ファンタジーを書くための衣装覚書』って
「ミクニちゃんも色々熱心に勉強してるんだね」
「……でも、この『*************』を見ると、自分に足りないものを実感しますよ。今回は原文があったから衣装の描写をリライトできましたけど、もしわたしが一からドールの装いを考えろって言われたら、絶対できませんもん」
「そのあたりは文章の修行っていうより知識とセンスの問題なんだろうね」
「ともあれ、カスガさんも読んでみてくださいね。『*************』。メルヘンな世界観と綺麗な服の描写がどのシーンでも徹底されていて、女の子なら誰もが心弾む作品ですから」
※参考:『ファンタジーを書くための衣装覚書』(秋保千代子・著)
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