第394話 痺れステッキ誕生秘話
9月29日(土曜日)
今日はナレスでBBQの日だ。わーい!
ジョルノーさんから連絡をもらった集合時間まで神都の移民用の家を建てている。もうすぐ第二回の移民船が三国から集まって来るからだ。学校に向かう子供達がアル様ー!と手を振って元気に走ってく。教科書やノートなど持ってない、砂黒板が教室で待っている。最初は50人弱で始まった学校も今では家族連れの移民が増えて200人弱になっている。移民以外で迫害されてタナウスに来た人たちに子供は少ない。悲しい事だが厳しいこの世で迫害される事は、その過程で一番弱い子供が淘汰されるからだ。
9時半まで仕事をしてからメルデスに跳んだ。ハウスではニウさんとコアさんが今日のお付きで待機してくれている。
タナウス9時半>メルデス7時半。
風呂に入り貴族服に変え、アロちゃんに身繕いしてもらいナレスに行く準備だ。BBQ会場の湖まで道中は馬車の中でしょ?やっぱ密室だから香水とか匂うのよ。同じ様に俺の匂いも分かっちゃうから身繕いは必須なの。
9時に出発と聞いたので8時過ぎにナレスに跳んでたまげた。王城前がエライ事になっている。騎士団が騎乗で隊列を整えていた。
従士が馬の落とし物を走り回って掃き清めて拾ってる。そんな事書いてるラノベは勿論読んだこと無い。
大公:カールトン・ド・アクランド・デ・ナレス(80)
太后:エルビア・ア・アクランド・デ・ナレス(78)
国王:カーマル・ド・ヴォイク・デ・ナレス(55)
王妃:メラルダ・ア・ヴォイク・デ・ナレス(52)
王太子:フォント(28)
王太子妃:アマル(26)長男カークス(3) 次男フォート(1)
第二王子:ケージス(24)
第二王子妃:ソネット(22)
第三王子:アルトン(19)
第二王女:アリシャ(18)
第三王女:リズベット(16)
聖教国皇太子:アルベルト(15)
同行のマイア・スート男爵(56)
カミル夫人(50)
お付きのメイド、侍女、執事部隊。
16人のBBQに100名の騎士団と料理人や側付きの執事、メイドが40人。30名の従士が荷駄隊で続く・・・。視たら湖までの経路にも騎士団の警邏隊がいる。別荘では先着の使用人が待機してる。
そうだよ!この人たち王家だよ!ガーン!
そんなに軽くBBQ行こう!って人達じゃ無かった。大統領専用機で別荘に行く様なもんだ。テレビで見たアラブの王族がベンツを何十台も連ねてたバカンスを思い出す。 Orz
どんなけ税を使っとんねん。バシ!
イヤ、使用人のこれは固定給なのか? 庶民感覚の並列思考がフル回転する。余りの陣容に
俺とリズは王様と同じ馬車。帰りは大公様と同じ馬車に予定されていた。末娘は可愛いと言うからしょうがない。豪華で警備の手厚い王宮武装馬車(馬車前後にある見張り台の二名が騎士団員)に大人しく案内された。
馬車が動くまで時間は掛かったが多重視点で視えるので先頭は何やってんだ!と怒る事無く馬車は郊外ののどかな道を進む。
但し100もの騎馬と10台の貴族馬車と荷駄隊がモウモウと土煙を上げるので景色もクソも秋の風情が逃げて行く。16km/h程のスピードでは土煙と小さな揺れはあるけど路面の突き上げとか全然来ない。
視線を感じて視ると、王都近くの山に潜んでいた盗賊が土煙の騎士団を発見し大慌てて逃げ散るのが視えた。・・・逃げても帰りに連れて帰る。アルに取ったらグレて家出した友人を連れて帰る気分だ。
陛下の馬車の中でリズの婚約者(聖教国の皇太子)を紹介するとマイア卿に伝えた事を謝られた(笑) リズはまぁ!と陛下を睨むがポーズだけだ。
本来は王宮で予定されていたマイア卿との会談。予定変更の理由がリズと俺のナレス帰省という理由なので俺の名前をダシに出させてもらったと陛下は正直に俺達に謝った。
陛下の会談の相手はマイア・スート男爵、叙爵された豪商だ。ナレスの鉄鉱業を支える石炭の安定確保と低価格化のためにスラブの鉱業シンジケートに参入したいのだ。ナレスの鉄鉱は、以前街路灯をナレスに現物と交換で売ったとアルから聞いたラルフがナレスの鉄鋼か?と聞くぐらい有名だ。
鉄を鍛えるには良質の石炭が必要。精錬されて鉄に炭素が溶融する事で鉄は鍛えられ鋼に変わり価値が上がる。今回マリアンヌお姉様がスラブ王国に輿入れした縁を頼ってシンジケートに働き掛けてナレス商圏の代理店に参入したがっていた。
・・・・
王領の別荘に着いた11時には第一騎士団20騎と従士を残して80騎は荷駄隊を連れ別荘を遠巻きに幕舎を張った。
休憩も何も無かった二時間だったので一旦部屋割りで分かれた後で食事となった。
俺はアルトン第三王子(19:魔法武官)と同室。横の二部屋に王子付きのメイドとコアさん、執事とニウさんも横の部屋に入る。リズは姉のアリシャ第二王女と同室だ。
「アル!心配してたけど二人共大きくなって嬉しいよ。実は本当に心配してたんだ」
「え!兄様?」
「え?って、大きくなったじゃないか(笑)」
「なってます?近くに居ると分かんない(笑)」
「え!そんなもんか?大きくなったと思うが」
「いえ、
「うん、良かった! 婚約したあのままの大きさだったら婚約破棄も有ったからな」
「イヤ、それはそれで責任は取りますよ(笑)」
「責任取るって、それは引き取るだけだぞ(笑)」
「あはは。お兄様!それはキツイ!」
「さすがに我が妹にそれはキツイな(笑)」
「まぁ、笑い話だがな(笑) それだけ心配してたんだよ。二人共大きくなっておめでとう!」
「何ですか!そのおめでとうは(笑)」
「言葉のままだよ。婚約した二人が13歳なんてとても見えない程小さかったからな(笑)」
「覚えてます。あの頃ってリズは122cmしか無かったし僕は140cmぐらいでした(笑)」
(サバを読んでいる、本当は140cmに余裕で足りなかった)
「今は?」
「今はリズが135cmかな?僕が153cm・・・」
(サバが読めないので非常に苦しがる水増し申告)
「おぉ!」
「おぉって!(笑) 実家に春に入った12歳の執事が15歳の私と背恰好が一緒位でした。人と比べたらそんなもんです」
「皆が違うから大きくなればいいんだよ(笑)」
「もう16歳ですからね。いい加減に伸びてくれないと困ります。まぁ、心配して頂きありがとうございます(笑)」
昼餉の支度が出来たとメイドが呼びに来た。
・・・・
屋内食堂の席でマイア・スート男爵夫妻が王家ファミリーと俺に紹介された。お互いに挨拶し合って食事の話が弾む。後のお茶の席でスラブに対する働きかけを陛下と話すらしい。
流石ロイヤルファミリーでそれぞれがマイア卿を中心とする話題を選んで気分を損ねない。ナレスの鉄鋼は自国は勿論、コルアーノ、チノ、神聖国に流れていると言う。同じ鉄鉱石を算出するスラブはマハル、聖教国、ギブラルに流れて競合はしてないそうだ。
スラブは魔鉄と魔銀も出る事から鉱石業全体がスラブの生命線。王家主導の価格統制シンジケートの結束が固く、大きな商家でも余程じゃ無いと代理店になれないそうだ。今回は石炭採掘量の見直しに合わせて代理店の選定があり、ナレス王家の後ろ盾を持ってシンジケートに食い込みたいらしい。
「マイア卿がスラブに行かれるならお願いして皆でマリアンヌに手紙を書きましょうか?」王妃様。
「よろしいのです?」
「王太子妃に手紙を持って行けば喜ばれましょう。マイア卿はソリ馬車に変わる前に行かれるのでしょ?」
「は、向こうの代理店主へ根回しもありますので」
「それなら僕はアキーム兄様に手紙を書くよ」
「アルベルト殿下。心強いお言葉でございます」
デザートに牛乳から作ったバニラアイスのオレンジシロップ掛けが出て来た。さすが農業国。
食事が終わってお茶の時間になると陛下とマイア卿は別室に行き、庭でめいめいが手紙を書こうと落ち葉がチラホラと舞う木陰で机に向かった。
時間がスローに流れる感覚がする。久々に時間を感じて過ごす心地よい秋日和だった。木漏れ日が手紙に透けて光の粒が揺れる。
が!
字の練習しといて本当に良かったと心底思った瞬間でもあった。丸テーブルでナレスの兄妹に囲まれてスラブの兄夫婦に手紙を書くなんてシチュエーション誰が予測するか!コアでも予測できない難問だ。
またさぁ、横で流暢な字をスラスラ書くロイヤルファミリーの手紙の言い回しが上手い事!王家の嗜みはハンパない。皆が王妃様に添削をお願いするので俺も見てもらった。
俺には優雅さが足りないらしく(指摘された訳じゃない)貴族らしい優雅な言い回しを王妃様に教えてもらって何度も書き直した。高度な単語はさておいて、相手に分かりやすい豊かな情景(今手紙を書いてる自分を取り巻く季節の情景)を表現するには平易な単語も必要なのだ。上流貴族は手紙を書いてる場所の説明じゃダメなのよ。わはは。
・・・・
14時半に一番に手紙を書き終えた俺はリズを待って、リズが一番好きな第四騎士団のロス団長、ジョナサン副団長を誘って湖に釣りに行った。第三王子、第三王女担当の警護で幼い頃から側を守ってくれる第四騎士団がリズはお気に入り(笑)
第一騎士団は当然陛下から離れない。王宮に顔を出す騎士団長を除いて実は王家の家族からは一番遠い存在だ。
桟橋から小さな毛ばりを湖に落とし込んで釣っていると20cm位のマスと10cm位のワカサギが釣れる。マスはニジマス亜種と出る。4人と側付きで少し離れて釣っていると第三王子のアルトン兄様(今年学校を出て魔法武官になっている)も騎士団員を護衛に連れてやってきた。
桟橋に座って並ぶ皆に小壺を振舞うと美味い美味いと酒が弾む、ツマミにしたオレンジ袋の素揚げも大好評。魚もスレてないのか次々釣れてご機嫌。大きな身の太いマスは晩のBBQ用に半身にしてチャッチャと捌くと皆が驚く。
リズと出会った時は冒険者だった事を伝えると余計に驚かれた。婚約の最初に聞いたが全部リズの嘘と思ってたとお兄様が笑う。
正直な感想過ぎてリズが膨れるが、それも酒のツマミだ。
・・・・
17時半。
釣果は大きく、アナゴかウナギかハモの様な魚は放流した、視ても骨が細かすぎて捌くのが難しかった。ワカサギは口の割に針が大きすぎて釣るのがムズかった。
別荘を同心円で囲む第四騎士団に帰ると周辺で取れたイノシシ、うさぎ、鹿が血抜きされて吊られている。従士たちが大忙しで料理するのは荷駄隊で持って来た食料だ。不寝番の人は鎧を脱いで鎧下になり、天幕の中ですでに食事を取って酒飲んでた。こんな野営も憧れるなぁ。
別荘のBBQ会場の机では執事とメイドが忙しく立ち働いて会場のセッティングを行っている。ロイヤルファミリーを取り囲むように護衛に就く第一騎士団20名のBBQ会場も作られている。役得と言うか鎧でBBQと言うか・・・ここを魔法攻撃されたらナレスの王家がマジ滅ぶから騎士団も本気だ(笑)
実は桟橋倉庫にある小舟に乗れなかったのは湖周辺の探索が済んでないからだった。急遽三日後と言われた家臣達の今回の準備がどれ程の物か分かると思う。陛下や王太子のいない避暑には30名の騎士団で気ままに遊べて、陛下以下の王子家族が揃うとこうなるのよ(笑)
まぁBBQが始まったらそんな事も忘れて皆が楽しんだ。
9月の末で日が短く、陽が落ちると途端に寒くなる。騎士団の(たき火を囲む)戦陣歌に始まり、メイドと執事の王宮数え歌(王宮の仕事の手順を面白可笑しく歌う曲)がBGMで演奏された(笑)
第三王子がソレ!っと水魔法で湖面から噴水を立ち昇らせると王太子妃も同じ水魔法で共演した。俺はリズが花火を皆に見せたいと言うので即興で光魔法の魔法陣を地に刻み秋の夜空に大連発で打ち上げた。
21時。
~場も落ち着き皆が酒を手に語りだした頃~
マイア卿を視て、ナレス王家の縁を頼るしかシンジケートとの交渉の武器が無い事を知った。
知った俺は杯を手に卿夫妻の机に向かい、席に座りながら話しかけた。
「マイア卿、交渉の首尾は如何ですか?」
「陛下を始め皆様のお手紙に縋るのみです(笑)」
「良い事をお教えしましょうか?」
「なにか?」
目の前に鉱石を数種類出す。
「これは?」
「シンジケートへのお土産です(笑)」
「これは・・・見た感じ」
「これは鉄鉱石ですが、まぁ見てて下さい」
赤茶けた大きな鉄鉱石に手をかざす。
見てる前で金貨の合成よろしく鉱物の組成のパーセントを精霊魔法で変換していく。マイア卿の目の前で鉄鉱石の先端が赤く溶け出し、基部は鉄鉱石そのままながらに先端に鉄原子が集まり、それはクロムバナジウム鋼に変わって行った。
それでいて分厚い木の机に熱の影響は無い。
何の事はない、日本の刀鍛冶の秘術だ。
鍛冶師の秘伝の量のクロムやバナジウムを炭素鋼に合金化し、より鋭利で固くする秘術。
気が付くと周りの人がそれを凝視していた。
「聖教国の知る大陸の秘術にはこの様な魔法もあるのです。シンジケートもよろしいですが、自国の鉱物保護に走り過ぎるとこの様な魔法も広がりかねないと秘匿情報を持ち込むのも交渉の武器となりましょう」
合金をマイア卿の手にズシッと乗せた。
「・・・」
この業界にいるマイア卿の声が出ない。
それは基台は脆くボロボロな赤茶の鉄鉱石。先端は鉄を通り越した強そうな鋼だった。どの様な高炉でも作り出せない魔法の産物だ。
「この様な魔法を広めさせない為でもよろしいし、この様な方法を取らさない為の石炭の安定供給を周辺国へ図るための参入でもよろしいでしょう。シンジケートに対するバランスの取れた駆け引きはご専門の筈。マイア卿の手の中の物がマイア卿の話を証明いたしましょう。それをスラブに置いて来るのも一興。シンジケートの石炭部門は調べた後にパニックに陥るかもしれませんね(笑) まぁ見た通り魔法に石炭は不要です。石炭を絞ればこの様な魔法を大陸から探し出す者も出るかもしれませんねぇ(笑)」
「アル、それはスラブにやり過ぎでは無いのか?」
「情報は良質な資源。資源を互いに交換すれば良いのです」
「・・・」
「知っての通り聖教国は友好国の安定を望みます。既存のシステムが回っている以上は壊しませんからご安心を(笑)」
「しかし・・・その魔法は」
「脅してる訳じゃないです。マイア卿の手土産の情報を知って鉱石シンジケートが勝手に
ALL「感謝!(笑)」
「ただし、聖教国の皇太子がやったと漏らさぬ様に。本当に魔法があるのは見ましたね? 事実として大陸にあるのを皆さんも見た、マイア卿も目の前で見たんです。陛下の客人に余興の魔法をお見せしただけですよ。恩寵持った審問官(真偽官)も魔法の存在を認めますね(笑)」
「アルベルト殿下!ありがとうございます」
「心が晴れたようで良かったです。私の言い出したBBQでマイア卿が陛下にここまで呼ばれた責任は果たしましたよ(笑)」
ALL「(笑)」
秋の夜の双月の下、杯は重ねられていった。
・・・・
9月26日(光曜日)
朝、別荘の庭で杖を抱くリズとセオドラ、ナタリーの護身術教室を見学した。
嬉しそうに杖を抱くリズを見て、俺はこのままリズがナレスの学校に通う方がメルデスに居るよりも成長出来るのではないだろうか?と考えたがフラウ姉さまやレンツ様のサポートがある以上、それは叶わぬ事と考えを打ち消した。
リズが抱いた杖とは昨日の晩に渡したリズの誕生日プレゼント、雷撃の杖だ。リズの時間割の中に護身術の時間があるのでどうせ鍛錬するならと魔法杖をプレゼントした。
昨日渡した杖を嬉しそうに抱えるリズに短槍術としてセオドラが時間を取って教えてくれると言った。元々が15歳から結婚するまで王家の子女は護身術を習うそうで、すでに1年は体術をやっているのだ。
この魔法杖は込める魔力でLv3相当の雷撃を撃ち出す攻撃力を持つ。雷魔法の技術など関係なく魔力量で雷魔法陣が発動する。当然魔力を通して発動も出来るし雷属性の魔法をブーストするので変換効率も高い。使い手の技量にもよるが雷撃制御で物理麻痺も可能と思う。
上端はミスリル球で魔法の増幅体である雷属性石がテニスボール大のミスリル球の中に内蔵される杖だ。俺に言わせたら振り回すための杖で、振り回さなきゃ損だ。ミスリルで軽い分振り回すのも楽だと思う。
今、目の前にいるリズは体格的には9歳だ。今日から王女の護身術としてセオドラが身体強化込みで短鎗術を教えてくれている。
リズの誕生日プレゼントはホント悩んだ。
護身術のついでに短鎗術はいいのだが身分的にどうなんだと言うジレンマだ。リズは出来上がればフラウ姉さま張りの魔法士となる。王女が襲われて戦うなら魔法一発カマして討伐完了だ。
悪意を持って襲う悪党に対して王女が短鎗術使う時点で手加減してるし、手加減自体がもうおかしい。賊に対してチュドーン一発で済むところを王女が時間掛けて肉弾戦で手加減するなど変過ぎだ(笑)
かと言って去年渡した清流の指輪(魔力+10)で魔力多くしてんのに、竜潜の指輪(魔力可逆:本人の魔力倍増)渡して魔力多くしても意味がない。好きに鍛錬できず学校の勉強が有るからだ。魔法を使う時間がないのに過剰な魔力は意味がない。
それなら天才の指輪(知力+10)か賢人の指輪(精神+10)で魔法威力か?と言えば違う。それは指輪で上乗せする攻撃魔法や補助・回復魔法の威力だ。今の段階で魔法制御を細かくして学ぶリズには意味がなく、ともすれば
俺は足し算によるメリットでリズの誕生日プレゼントが選べなかった。むしろ引き算でデメリットを回避する意味で選んだのが雷撃の杖だ。
でもリズが凄く喜んで毎朝セオドラと欠かさず鍛錬すると言ってくれた。わーい。
読み書き教室をやめて2年。朝には時間が余っていたらしいが、まずは型から段階を見て身体強化もセオドラにお願いしておいた。
そんなアルは知らない。
リズが16歳の誕生日にアルから贈られた雷撃の杖。この日以来、リズが雷撃の杖を思い出の特別な宝物と心を込めて鍛錬する事で
リズは鍛錬に振る杖で一緒に雷魔法の鍛錬を積む。他の攻撃魔法より魔素の変換効率が良く攻撃力が上がるなら自然とそうなってしまう。
後年、鍛錬した魔法制御が実を結ぶ。杖の球から放電をバチバチブンブンと振り回し、触れた者がスタンガンの様に白目で昏倒するリズちゃんの痺れステッキが生まれる。
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