第384話  変身は長兄が一番!


9月7日(雷曜日)


昨日までキャンディルのS.A建設をやっていた。怒涛どとうの日々を過ごしたアル。


リズの誕生日までまだ20日弱ある。費やした10日間があるので元のフシガ~サルタンの街道から旅を継続するとゴブリン騒動で追い抜いた隊商を後ろから追いかける旅路になる。


王都に行くと言いながら、商売してどんどん差が開くはずの隊商に又追い付いたり行き会うと非常に変だ(笑)


そんな訳で街を3つ飛ばしてラウナンの王都前のから旅行を継続することにした。メルデス+7時間という時差だ。コア、ニウ、シズクとスフィアで荷馬車と共に跳んだ。場所はサンザまで2時間の位置だがうちの荷馬車は馬ロボなので1時間チョイの場所だ。


「やっと旅行に戻れたよ、待たせてごめんね」


そう口に出しておく。精霊たちは俺を読んで分かってるしコアさんニウさんも俺が何をやっていたか交感会話で知っているけど口に出す。


「アル様もこの10日間ご苦労様でした」ニウさん。


「いや、教会の揉め事はすぐ対応するからね?旅行とか関係なく言ってよ?」


「コアにはユーノ様まで連れて来るなどは出来ませんのでまたお願いいたします(笑)」


「あれは、たまたま丁度良かっ・・・コアさん!左手の小高い山。高空観測で見て!2人いるのが傭兵崩れの盗賊、斥候だ。身代金を取ろうとしてるみたい。山向こうに獣人を捕まえてる」


「確認しました。相対位置で斥候まで2km、盗賊本隊と思われる7人まで3kmです。斥候含めて9人、檻馬車に4人の獣人が囚われてます」


「旅行に跳んだ途端に盗賊ってどうなってんだ(笑) 盗賊狩ってないのに!何で関係のない俺を見るんだ、アホ斥候め!」


「斥候だから仕事上見ますね(笑)」


「狩ってる時に出て来いよ!今頃出て来やがって、間の悪さに怒れるより呆れるわ(笑)」


「アル様、国を4つ挟んでます(笑)」

「そうだった!ピョンピョン跳び過ぎでごっちゃに(笑)」


※ラウナン→ガナン→モン→ウォーク→ラウム→ルウムリア。


「教会裁判で盗賊は生涯奴隷と周知出来てる?」


「周知してます。アル様、ラウナンはリケット教圏です」


「え?あ!そうか。色々ゴメン(笑)」


既にリケット教を知る旅から気分のアル。


「はい(笑)」


「盗賊を有効活用しようと思ったのに!(笑)」


「あ!騎士団に情報を流す?」


「アル様の様にはとても。騎士団が出れば盗賊を逃がす公算が高いと思われます」


「そっかー、あの斥候


「それも兵法のうちでしょう」


「そういう事だねぇ、


「今から盗賊捕まえて人質を逃がすよ。皆はそのままサンザまで進んでくれる? 終わったらサンザで何か食べて観光に行こう(笑)」


間引き目的の盗賊狩りで見逃した盗賊も多い。そんな理由で余計な盗賊見つけてもマジで面倒臭がるアル。あれだけ間引いたからもういいじゃんと投げやりになってるが身代金の人質は見過ごせないので嫌々付き合っている。


「かしこまりました」


返事を聞いた瞬間アルは荷馬車から消えた。


・・・・


左手に見えていた標高160mほどの山の頂上。日本昔話に出てくるようなポッコリした山だ。


斥候と本隊をシャドが巻くと、そのまま更生村に跳んだ。隷属紋を付けてメイド部隊に引き渡し、もう一度本隊のいた場所に跳んだ。獣人が檻の荷馬車に捕まって四人が入っていた。(檻馬車と言う:荷馬車で全面が丸太で組まれた罪人護送車だ)


「こんにちはー」


と言いながら囚われた檻馬車の錠を釘バットでぶった切る。扉を開けて出て来る様に促す。


「早く逃げましょう!」

「あなたは?」豹の獣人だ。

「通り掛かった者です」

「・・・」


出て来ないので良く見たら太い革ひもで手すりに縛られていたのでリルで斬ってやる。


「盗賊は?」誤魔化されない豹。

「やっつけたよ(笑)」

「君が?」

「そうそう、冒険者だから!」


獣人が体をほぐしながら降りて来た。面倒臭いので付き合う気など無い。さっさと盗賊の鹵獲品を渡して帰すのが最近のお気に入り。


「みなさん馬と荷馬車があれば帰れますよね?」


身代金交渉の人質とは知っていても聞かなくちゃ話にならない。


「あ!あぁ!問題ない、ありがとう」


「それではあっちの天幕も片付けて荷馬車に積みましょう、皆さんも手伝って下さい」


「・・・」

「???」


アルはさっさと馬を荷馬車に繋いでいた。囚われてた人に盗賊の鹵獲品や金品を持たせるからだ。ここで現地解散なら世話もない。


そんな鹵獲品の用意をしていたら豹が言った。


「用意してくれるのはありがたいがその荷馬車で帰る訳にはいかないんだ。今、牛人族の長老様が供を連れてサンザの教会に助けを求めている。本来なら教会の司教様が盗賊と身代金の交渉を行う筈だったんだ。出来たらサンザの教会まで行かせてくれないか?」


「あ!僕もサンザに行くので一緒に教会に行きましょう!身代金要らないって長老に報告しないとね(笑)」


「身代金は必要だ。森の獣人村が人質に取られている。俺達は各村の部族長の家族だ、俺達は村の窮状を教会に伝える為に囚われていたんだ」


「???」


何言ってるのか分かんない。どっちも人質?ナニソレ。よく視た・・・深く視て驚いた。ルウムリアやクリスクで起こっていた事がラウナンでも起こっていた。


「さっきの盗賊で終わりじゃ無いの?」

視て理解しても聞かないといけない。


「さっきので終わりだが、俺たちの村も盗賊に囚われて人質に取られているんだよ。人質はここだけじゃない、身代金を払わないと村が危ないんだ」



ルウムリアは捕えた奴隷予備軍を売る奴隷商人が居なくて盗賊の牢に溜まっていた。クリスクは略取奴隷がいなくなって貧民や流民を雇って凌いでいた。ここラウナンは合法の奴隷集めをしていた。


検索に引っ掛かる訳ねぇよ。


アルの頭の中が灼熱に焼けた。クソバカ共があの手この手と奴隷を集めていた。


アルが逃がした奴隷と逃げなかった奴隷の区別。

大農園や鉱山に残された借金奴隷と犯罪奴隷、戦争奴隷。今までは犯罪奴隷は全てが公有施設の強制労働に回され、戦争奴隷や借金奴隷は公有や民間施設にも回されていた。


そんな犯罪奴隷や戦争奴隷は簡単に増える物じゃない。


簡単に増やすなら借金奴隷だ。



それを学習しやがったアホ共が武力で人質を取って借金奴隷を自分達で作っていた。身代金を要求して払えなければ証文作って合法的な借金奴隷の出来上がりだとよ。


しかも借金の金は人質の身代金で盗賊に払われる(笑)


村には借りた金は入らない。そもそも獣人村って人の貨幣経済で回って無い気がする。もしそうなら身代金取るのも森の物資で要求しなきゃダメだろうが、黒幕のお里が知れる作戦だ(笑)


ホントシナリオ書く奴はバカだね、その場限りの悪事で押し込み強盗と一緒だよ。破滅するまで突っ走りやがって。



どうせやるなら、どっかの先進国の様に・・・


高速道路の償還時期は


災害には使い道より先に25年払えと


道路を作るために作ったガソリン税。作る道路が無くなると


一度入ったBSは解約できませんと契約した爺と婆が亡くなっても同居の息子家族からむしり取る。


既得権益を絶対手放さぬ先進国の領主さまはエライ!進んだどこかの国のエターナル集金システムは流石に違うぜ!エッヘン!



要するに、その場限りの悪事は続かないんだよ、


「分かりました。リケット教の司教様が来るんですね?身代金の相談に乗ってくれるんですよね?」シレっと言う


「そうだ。今は教会に行かないと」


長老と従者と司教と司祭とシスターの五人があと四十分程の場所を進んでる。


「今から馬車で2時間程のサンザへ向かっても人目の多い街道で司教様に会っちゃいますね。長老がこちらに向かってるなら落ち着いて話せるここで待った方が良いかもですよ」


言いながらかまどを指差す。


「お昼もまだでしょ?あそこに盗賊が用意してた鍋があるから皆で食べて待ちません?」


「そうだな、そうするか!(笑)」


「それでは昼食にしましょう。村の状態も聞きたいです」


「分った、感謝する」


かまどに集まった豹獣人にウサギ、キツネ、イタチ(ミンクの獣人)。その大きな森に住む獣人だった。


「あなたの村の盗賊は何人でした?」

「うちの村は200人が族長の家を中心に占拠してる」


話してたらウサギのお姉ちゃんが碗をくれた。


「あ!僕の分多いなぁ(笑)」

「たくさん食べないと大きくならないわよ(笑)」


年齢的に誤解を受けている・・・。


当たり障りのない質問をしながら獣人達に湧き上がるイメージをかき集めた。森全体でざっと1000人規模の傭兵団が占拠していた。


(シャド、森が相当広いけど行ける?)

(大丈夫です)

(大丈夫?)

(アル様の魔力があれば大丈夫です)

(それじゃ、チャッチャと行くよ!お願いね)

(はい!)


「少し待っててね、村を救って来るからね」


「え!」


アルは碗を置くとをしながら消えた。


そこは忘れもしないハイランドの様な広大な森だった。部族に入り込む傭兵団長を追視する。大きな森に点在する獣人村に言葉巧みに入り込む。手が込んでいた。


大規模盗賊が迫ると貴族の書状を見せて村に自警団を編成し、傭兵と共に森の周辺に配置する。女子供は残った傭兵が保護すると村に居座る。


獣人戦力を分断し、油断した途端にいきなり牙を剝く傭兵団。村の女子供を人質に長老に身代金を要求していた。


組織的に作戦練って事に当たっていた。傭兵団が次に襲う獣人村まで決まってる。こんな小手先の借金奴隷量産テクニックを考えた奴は鉱山経営の侯爵だ。


「コアさん!盗賊じゃ無くて傭兵団1000人だった、今から連れて行くけど、マリン?更生村?」


(それならマリンの宮廷前にお願いいたします)


「はーい、布教はお願いね」

(かしこまりました)


傭兵団の恩寵を奪って隷属紋を刻み次第にシャドが巻く。1000人にも及ぶ傭兵団と大量の馬を含む鹵獲品を巻き更生村に跳んだ。


ぽっこり山の麓に戻ったのは13時。


「皆さんの村の盗賊は全ていなくなりました。ご飯食べたらお茶でもしながらサンザの司祭様を待ちましょう」


4人の獣人がお茶を入れ始める位の時間でアルは傭兵団を片付けている。


言いながらここの傭兵団の使っていた天幕や野営の道具を手をかざして消していく。ぽっこり山に残された斥候の馬もシャドが巻いてアルがピョンと跳ぶとその場に現れる。残った馬だけで10頭以上いたので更生村に一旦連れて行った。


村の傭兵団は居なくなったと言われ、目の前で次々と消えていく物資や馬。かまどの周りには馬を繋いだ荷馬車以外何も無くなった。


獣人達が次々と質問して来る。


「それは魔法なのか?」

「盗賊はどうやって消えたの?」

「さっきは目の前で消えたがあれも魔法なのか?」

「村の盗賊はどうしていなくなったのだ?」


「私は冒険者の恰好ですが違う国の教会の者です。神の御業で盗賊を滅ぼして、盗賊の物を処分しているだけです。異教徒の私の法術は珍しいかも知れませんが、この国の民に寄り添うのはリケット教会なので司教様の到着を待ちましょう」


この場にいるのは4人の獣人。仲良くたき火を囲んで食後のお茶を沸かしてる。砂糖をまぶしたクッキーを出すとお茶と一緒に回して喜んで食べている。かまどだけ見ると俺を含めて全員異種族なのに仲良く平和過ぎて笑える。牛の長老来たらこっちの世でブレーメンの音楽隊みたいだ(笑)


かまどの近くに小さなS.Aを建ててと勧めても初めて見る物に皆が動かない(笑) ミンクの手を取って使い方を教えると毛並みがツヤツヤのモフモフに変わった。


みんな毛者ケモノ:差別用語だから効果を見たら3人も突入してモフモフになって出て来た。


俺はインベントリからアルベルト邸のメイド、マーキュリー(22)を出して交感会話で状況を知らせる。


「今こんな感じ。宿取って予定通り午後は観光しておいで」


「かしこまりました」



・・・・



14時前にサンザの街のリケット教会の司教(人間)と豹獣人のシスター、狼の獣人の司祭と牛の族長(ミノタウロスの小さいの)と従者(長男)が荷馬車でやって来た。


「盗賊はどこに行ったのだ?」

「族長!このお方が助けてくれました!」

「神教国のアルベルトと言います」ペコリ。


「え?」 司教が慌ててる。


「この者達を捕えていた盗賊達は?」

「討伐されて冥界更生村に行きましたよ(笑)」


「?」


「神の怒りに触れて冥界に連れて行かれました」

「冥界とは死んだと言う事ですか?」

「イエ、生きたまま冥界更生村に行きました」


誰が聞いても死んだと思うが、アルはで得意になって何も考えてないアホだ。


司教の顔色が変わる。


司教も視終わって全貌を知ったアルの腹が決まった。アルの顔が能面の様な無表情に代わる。


「あなた様は?」


「神の使徒です。私は神の怒りを買った悪人を冥界更生村に連れて行く仕事をしています」すごい仕事だ。


「司教様も悪人ですね?冥界に連れて行きますからもう悪事は終わりですよ」ニヤリ。


司教がワナワナ震えて来た。


「こんな悪事が続くと思ってるのです?」


「・・・」悪事をどう弁明するかで一杯だ。


「司教様に失礼な事を言うと」


「黙れ!」身構えた狼獣人の司祭がパタリと倒れる。


「え!」


狼獣人が倒れると豹のシスターが攻撃姿勢に身構えた途端にパタリと倒れる。


一際声が大きくなった。


「司教よ、冥界に連れて行ってやるぞ」ニヤーリ。


「これは!・・・これは!・・・」


司教は後ずさって行く。


「悪事を振り撒く者には必ず報いが訪れる。神の怒りを買ったお前も冥界に行くが、お前に指示した者も全て同じ所に連れて行くから安心しろ」(恐ろしい)ニヤリ。


その場の者が怒りに膨れ上がるアルの威圧に恐れおののいた。


逃げようとクルっと回った司教にシャドが巻き付く。皆の前で司教がその場で消えた。跳んだアルは彼岸島の獄卒に司教を引き渡した。司教は獄卒や魔獣ひしめく彼岸島ダンジョンを見て引き攣っている。


「研修が終わってからの更生村行きです」

「かジゴまりまジダ」オークが


すぐにアルは戻ってきた。


その顔はすでに優しい顔になっていた。


「あなた方も素朴で素直なのは良いけどだまされるのもいい加減にしなさいよ。人間は街で暮らして余計なもの物質世界に毒されて悪い奴がいるの。


盗賊とリケットの司教はグルですよ。司教が身代金を盗賊と交渉してそれでもダメだと借金奴隷の証文で身代金を払おうと言い出す。そして村の男達はある程度の男を残して借金奴隷で連れて行かれる。盗賊は身代金で得た金を貴族に持って帰る。リケット教は貴族から布施をもらう。奴隷が増えてお金も増えて、森の獣人達だけが泣く」


「なんと!」


「なんとじゃないでしょ!」


伸び上がって牛の頭をポカリと叩く。


「あ!長老様!」そう言えば長老だった。


「でも、家族が人質なら仕方ないね(笑)」


ポカリと叩いた牛の頭を撫でる。


「このシスターと司祭はリケットの禿げ頭を信用しすぎ(笑) 神職は神に仕えるんです、禿げ頭に仕えるんじゃ無いです。少しは疑いなさいよ。まぁ田舎育ちで素直なんだろうけど(笑)」


「あんたたちもさぁ、街中の教会で暮らしてるんでしょ?盗賊が人質取った話を司教が聞いてに司教が身代金の交渉に来る訳無いでしょ?


長老から人質の話を聞いたシスターと司祭が一緒に来ちゃったらでしょ?だったのよ、少しは考えなさいよ」


(お前も視たから知ってるが、そこまで経緯を知る不自然に気が付け。完全にやっつけ仕事になってるぞ(笑))


麻痺を取ってやる。


「起き上がってね。神はあんた達は良い獣人て言うから冥界には連れて行かなかったよ。神に感謝しなよ?」


「我らは司教様の護衛を頼まれたのだ!」

「そうだ!盗賊には好き勝手にさせない!」


脳筋だった。


「バカ!人質いるのにどうすんだ!人質持ってる奴が一対一で正々堂々と戦ってくれると思ってたらバカだぞ!」


「うっ・・・」

「むむむ・・・」


とかじゃねぇよ!(笑)


「もういいよ。二度とこの様な事は起きない。今から他の悪い奴らも全員冥界に連れて行く」


「その前にあんたら六人は村に送ってあげるよ。もう盗賊はいないからね、安心して家に帰れるよ。行くよ!」


「シスターと司祭は待っててね?」


「マーキュリーはこの二人帰さないで。サンザの教会に一緒に行くからね」


「かしこまりました」


森のそれぞれの村に連れて行った。自分の村へ帰ると誰も彼も一直線に駆け出しいなくなる(笑) 持って来た(鹵獲品を積んだ)荷馬車どうすんだと置いてきた。


「ただいま。さぁリケット教会へ行こうか?」

「神の御使い様、ありがとうございました」


マーキュリーが神の御使い様と説明したみたいだ。さっき神の使徒って言っちゃったしな。まぁいいや、旅の恥は搔き捨てだ。二度と来ないと思うし(笑)


「分かればいいよ(笑)」


「二人共名前を教えてくれない?僕はアル」

「シスターのシャカです」

「司祭のエルブです」

「二人共よろしくね」握手した。


言いながら手を振ってマーキューリーを仕舞った。


「!」

「え!」


「(美少女)天使は神の元に帰ったよ」


「天使とは?」そっからか。

教道女のこと。神のお手伝いしてるの」


「おぉ!」


※一般教会では助祭に当たるお手伝い。リケット教の場合は教道士、教道女として各教会を渡り歩き道中の布教や教会の手伝いをする。で道士、道女とも言われる。修行が終わると司教となり教会を任される。


アルは教会馬車と二人をシャドに巻かせてサンザのリケット教会に跳んだ。


・・・・


サンザのリケット教会は王都の隣だけあって割と大きい。シャカとエルブに教会の者に会いたいと伝えると使!と奥に跳び込んで行った。奥の方から礼拝堂まで聞こえる御使いの説明が叫ばれていた。


まぁ、神の御使いに会って感動したなら仕方が無いが元気あり過ぎだ。あの二人は俺に飛び掛かろうとしたしな。あいつら当分道士も道女も無理だ、野生過ぎる(笑)


まだ成人になったばかりに見える子供を神の御使みつかいとして教会スタッフ六人に紹介するシャカとエルブ。いきなり集められて奇天烈な事を聞かされるから皆が?とはてなマーク。


俺は手っ取り早くを取った。


「まずはこれを・・・」


加護のステータスを見せる。


ALL「おぉ!」


「見た目が子供じゃ疑いますよね?」


そう言って一旦神教国教皇装備に変わり変身した。


グレンツに変身した。


アルがなぜグレンツに変身するのか、それには訳がある。


アルには幼い頃からのグレンツの思い出がある。グレンツはアルにとっての理想、最高の漢だった。それはもうロスレーン三兄弟の中で突出した絶対のリーダーだった。アルがグレンツに突っかかるのは負けたくない表れだ。


中身は26歳になっている明が一目置くグレンツお兄様(23)


明の魂はさておき、アルの未成熟の15歳ならば絶対に目指すべき漢なのだ。長兄でありリスペクトすべき存在であるグレンツ。アルは小さい己を誇示しようと変身する。必然的にグレンツなら最高のマウントが取れると深層心理で思い込んでいる。


当然グレンツの人間性を知っているのはアルだけなので思い込みであるが、それすらも超えてグレンツの相貌に気品や意思の固さ、人を魅了する物があると感じているのだ。


アルが成長しても同じ親なのだから同じ様な容貌になると思うが、中身は己の容姿に自信のなかった明だ。己が目指すべきグレンツに安易に変身して安心を得たいのを分かってやってほしい。


グレンツの幼年期を知るアル。明の同年代にそんなボス的リーダーな奴はいなかった。引き連れる年下を責任持って監督できるボスなんて普通はいない。本人は自分の事を分かってない、何をやるにも容姿がグレンツなら鉄板だというだけでグレンツに変身している。


「これなら、信用してもらえますか?(笑)」


キラキラ成分を教皇の装備とグレンツの相貌から放出してシスター達を魅了した。何だ!このイケメンは!と司祭が敵意を持てばアプカルルの涙で魅了され取り込まれる。教会に何日か滞在すれば、リケット教会に降臨した御使いアイドルになるのも時間の問題だ。


二度と来るつもりが無いなら無敵だ。


鉄板とはそういうことだ。


旅の恥は掻き捨てとはそういうことだ。



ジャギ三男ラオウ長兄かたっていた。




次回 第385話  奇妙な盗賊

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