第338話 王宮ゆかりの執事とメイド
3月27日。
お爺様から領都に着いたと連絡があった。
後続のお父様一行はヘクトの別荘で二泊し一緒に帰るギシレン家、ミリス家(共にロスレーン領男爵家)を別荘に招待して、同行するヒルスン兄様とモニカ姉様に別荘と魔動船を披露する予定だそうだ。
お爺様が領都に着いた今日は銀行を視察してお褒めの言葉をもらった。
お爺様とシュミッツも副執事長のモースに二人分の銀行登録書類を発行してもらい領の公金用魔力紋の登録を行ったと笑った。登録してないと領主でさえ自由にならないのは驚いたそうだ。
今までの俺は魔力認証はスマホのロック位の認識だったが、より重い感じの日本の印鑑登録みたいな認識になった。大事な契約書には印鑑証明いるでしょ?(笑)
ロスレーンの領都は元々敵と味方の砦と砦を繋げて作った街で徐々に大きくなり拡張の度に外周に壁が出来て行った。1番街と2番街を隔てる城壁は現在門番もおらずツーツーで通れる、城壁と言うか豪族時代の名残りで2m程の石積みの防塁だから超えようと思えば登れる高さだ。最初はそんな間に合わせの壁で砦同士を繋げたんだよ(笑) (防塁:石垣の様な壁)。
少しまともな作りの二番街と三番街を隔てる4.5mから6mの不揃いな防壁(4.5mの防壁部分は外側に水路の堀割りがあるので低い)。6m部分の防壁を貫通する形で執政官事務所があり三番街側は平民用の窓口、二番街側は貴族用窓口となっている。
二番街側から見ると壁を貫通して庁舎がくっ付いてる形に見えるし、三番街側からは当時出来たばかりだから広場の中に庁舎がある形に見える。当初は貫通しておらず三番街が出来た時に執政官は三番街の用事に二番街の門を通らねばならず、壁向こうに行くのに三十分近く迂回して三番街に行っていた。出来たばかりの三番街側に庁舎を建てるよりも壁に穴を開けて庁舎を兼務する方が安くて簡単なので壁に鉄扉を付けて三番街平民区画の役務を行ったのが始まり。その後住民が増えて三番街側に庁舎を建て、鉄扉も城壁も大きく貫通させて執政官は門を通らず三番街と二番街を行き来するようになった。
三番街側の庁舎のある広場は大きいが今では四番街の広場にノミの市や露天商が立ち並ぶので純粋な公園として三番街の住民の憩いの場になって近くに本物の聖教会がある。
三番街庁舎、その横手の広場に付帯する緑地を銀行用地にしたのだが、執政官事務所と同じ城壁貫通型の銀行にした。貴族街の方には土地が無いため壁向こうは道しかない。だから壁に銀行窓口が付いてドライブスルーになっている。銀行窓口から二番街の庁舎まで100mほど離れているが二番街と三番街で門を通らず銀行が使えるので好評だ。
壁の三番街側の緑地は、端っこの道沿いに銀行を建てた。預け入れと引き出し兼用の馬車通路の窓口を一つ作った。サルーテの銀行と違って二番街側も三番街側も引き出し窓口と預け入れ窓口が並ぶ。城壁の高さが6mほどしかないので背の高い銀行の屋根に登れば城壁を乗り越えられる。これは防犯上ダメだと銀行の屋根にピッタリ垂直になる二階三階部分作った。わざわざ銀行の上から12m下に降りるより城壁の6mを越える方が楽だ(笑)
敷地の形は正方形に近く幅は無いが奥行きがある。面積は充分あるので銀行カウンター嬢の寄宿する部屋ぐらいは作れる。そんな訳でロスレーンの銀行は二階に12畳の1DKを八部屋、36畳3LDKのペントハウス二部屋を三階部分に作った。カウンター嬢は同じコアさんなのにサルーテと同じ寄宿待遇にしないと不公平だと思う俺は変だろうか?
銀行が出来た当初は公金の出し入れをする執政官が利用するだけだったが現在一カ月半が経ってやっと銀行業務を口コミで理解した三番街の商店や住民が気軽に利用して行く。今は二番街の城壁に明らかにお店風に見える様にレンガを貼り終わり、三番街側の銀行にレンガを貼っているとお爺様に教えてもらった。
今は周知の為に二番街側と三番街側の執政官事務所に銀行の使い方を説明する係が居ると聞いた。俺的には仕事が回れば何でもヨシだ。
・・・・
4月3日(雷曜日)
お父様の一行が前日朝に王都を出た翌日。
偽アル一行が王都コルアノーブルに到着したとの連絡を受けて合流した。止まっている馬車に入って来た俺に、偽アルに懐いた
偽アルに御苦労さまでしたと声を掛けてインベントリに仕舞う。偽アルがいなくなったら
二頭立ての貴族馬車は王都の貴族街に向かって行った。
見慣れぬ馬車がロスレーン家の別邸の門に到着してアルが窓から顔を見せると門番をしていた騎士団のカールとレオンはアル様!と驚きレオンが先触れにお屋敷に走って行った。
毎年ラルフが別邸に来ると、騎士団員が数名居残り別邸警護の任に就く。任期は来年の謁見まで、先程のカールとレオンはラルフが帰った一か月前に着任した領都の武官だ。当時はアルと鍛錬し、良く知っている。
ロータリーをゆっくり回ると、先触れにいち早く玄関に到着したメイドが馬車がお着きですとカランカランとベルを鳴らす。
「アル様がご到着~!」
レオンが玄関、二階、三階の踊り場で告げる。
レオンの先触れにお屋敷の使用人が「誰?」となる。メイド長のカレンは玄関に向かいながらレオンに聞き直した。
「レオン!アル様とはどなたの事ですか?」
「アル様です!アルベルト・ロスレーン様です」
「え!」近くに向かう者も皆驚く。
それは別邸で誰もが知る
名前を呼んではいけないあの人だった。
---王都別邸---
アリア・ロスレーン(
ジョゼット・ミリス(
執事長、ラストール・ミール(51)
副執事長、カナール・マクガン(38)
執事、アレツ・ノーマン(25)
メイド長、カレン・ユーノス(46)
副メイド長、シモーヌ・マクガン(33)
メイド、ローレット・スカイ(24)
メイド、アリーナ・ノーマン(22)
アリア専属メイド、アビー・セルス(21)
ジョゼット専属メイド、ジェーン・ミール(20)
料理長、セザン・モレール(56)
副料理長、ニューマン・コモン(42)
調理員、マーク・レイモンド(28)
庭師・馬丁、タイラム・マクス(52)
庭師・馬丁、スピル・マクス(22)
ロスレーン領王都駐在員
王都執政官 二名 (任期三年の王都勤務)
第一から六の騎士団員 現在六名が別邸警護(任期一年)
※王都には他の関係者もいる。
ロスレーン領王都駐在員(在住)
王都貴族院執政官 ハリス・アプラス(46)
王都貴族院執政官 エド・アロー(42)
------
馬車が正面玄関に止まり、執事のニウさんが扉を開けてくれる。もう一人の執事も馬車の後ろと天井の荷を下ろしに掛かる。
通常自分の屋敷であっても前日に使いを出したり、城門を潜った後には到着を知らせる先触れを出す。この様に何も無しに貴族が馬車で領主屋敷に乗り付けるなど無礼にも程があるのだがアルに取ったら自分の家だ。たとえお爺様一行ですら先触れを出していても、そんな貴族の慣例は気にして無い。
実は来客に対して普段着の貴族服で出迎えるのは無礼なのだ。女性であればドレスに着替え、男性であっても貴族服も家格に合う物に着替えるのが礼儀なのだがアルは分かって無い。この時代の貴族のお茶会でさえ前日からドレスやアクセを合わせたり、身支度をキッチリするのが貴族の嗜みなのだ。ダンスパーティ位しか髪を切ったり爪の手入れなどの身支度をしないアルだ。いきなり行ってパジャマかジャージで「何?」という学生の世界から来たアルが分かる訳無い。
慣例をどうのこうの言うより先に、名前を呼んではいけないあの人が来たと言われて先触れの事も忘れて驚く執事とメイド長以下の使用人。アルがピンピンしてるのを知ってる騎士団の団員はニコニコしている。
馬車から降りたのはアリア様の同級生?と思われる金髪の男の子だった。
紋章指輪を見せてアルが声を掛ける。
「ロスレーン家三男、アルベルト・ロスレーンです。一年ほど外国を回ってました。お父様達とは入れ違いですが三日ほど王都に
執事長以下の使用人はアルベルトの不治の病を皆知っていた。王家から屋敷と共に主人が変わる時、主家の情報を頭に入れていた。その忌み名が出るとロスレーン家の家族の会話は止まり顔を伏せる事を皆が知っている。
アルは当然色んなシーンのフラッシュバックで自分がこの屋敷においてどの様な存在であるかを認識した。
「コアさん、荷物はメイドさんに案内してもらって客間に。僕は執事長、メイド長と話をしてくる。後は頼むよ」
「かしこまりました、アル様」
混乱する執事長とメイド長を
「はじめまして、アルベルト・ロスレーンと申します。さぞ驚かれていると思います。お爺様の昇爵以来こちらに顔を見せておりません。廃嫡の三男なので学院にも行っておりません」
「はい、
「病気の事知ってますよね」
「はい、伺っております」
「私が治った事はグレンツお兄様、ヒルスン兄様、モニカ姉様も知らされておりませんでした。
「なんと!なぜ、その様な?」
「余命が無いと宣言され廃嫡となったのち、神の奇跡で病気が治ったのです。私が死病になったのは7歳です、今年の11月で16歳。病気の三年間は成長が止まったみたいで見た通り今年16には見えません」
「ここだけのお話にして下さい」
「はい」
「私は死病で貴族の義務を免除されました。今は単にお爺様の孫と言う立場です。治っても学院には行けないので隠遁の賢者、元宮廷魔導師のベント・キャンディルム伯の指導を受けたのです。その時に言われました、神の加護と奇跡を得た者には歴史上滅しようとする神敵が現れる。出来る限り奇跡を広めない様に言われたのです。弟子を取らない事で有名な賢者様が神敵に負けぬ様にと魔法を授けて下さいました」
「その様な事が・・・」
「騎士団員やアリアは領都で武術の鍛錬や賢者さまの指導を見てますから知ってますよ、王都で私の事は口が裂けても言わない筈です(笑) 今なら仮に漏れても導師から授かった魔法がございますので身は守れます」
「ヒルスン兄様とマーフもモニカ姉様とアネットも知りません。この後、帰った領都で知らされます。だから別邸で一緒になれなかったのです。とても可愛い弟が治って感動のあまり泣き崩れ神に感謝を捧げ、喜びすぎて友人に口が滑るかもしれません(笑)」
「(笑)」
「お
「そんな事情です、これからよろしく」
「こちらこそよろしくお願い致します」
「二年ほど前に洋菓子店でケーキを?」メイド長
「え?」
「ケーキを王家の執事にお渡しになられましたか?」
「あ!・・・ばれちゃいました?(笑)」
「兄のアルトンが探し回っておりました(笑)」
「あ!ここ王家の別邸だから兄妹です?」
「そうでございます、副執事長カナールと副メイド長シモーヌは夫婦、執事のアレツとメイドのアリーナは兄妹、夫婦や兄妹、親子、代々家族で仕えた使用人が多数おります」
「名乗らず悪い事しちゃったね?(笑)」
「王宮ゆかりの執事とメイドはここしかないと兄が慌てて訪ねて参られましたよ(笑)」
「あ!僕とバレて無かったんだ、良かった(笑)」
「兄の危急をお救い下さりありがとうございました」
「魔法魔法!気にしないで(笑)」
「大層感謝しておりました。あれ程の失態は長い執事生活でも思い出されぬと申しまして、それはもう!(笑)」
「失態って、そんな大げさな!(笑)」
「崩れたケーキを直せる魔法士など聞いた事がございません。あのケーキは王家の特注品。兄は時を戻したと言っておりました。名高い賢者様のお弟子なのが良く分かります」
ぐは!それ時戻し魔法(笑) ねぇよ!
笑い話に見せておくか・・・成長促進Lv10を付けた。
「賢者伝説の一夜で野菜が実った話知ってます?」
「お聞きしております」
「存じております」
「あそこ見てね?」
植えられた庭の草花一輪をみるみる成長させて花が咲く。
「おぉ!」
「まぁ!」
「あの伝説は本当ですよ、私も横にいました(笑)」
「これからよろしくお願いします」
「アル様、こちらこそよろしくお願いいたします」
夕方にアリアとジョゼットが帰って来て
神聖国イーゼニウムで拾ったキジトラの
別邸で飼うなら
・・・・
4月5日(光曜日)はサント海商国の移民面談だった。
驚く事にサントは千百人の募集が集まっていた。募集要項が素晴らしかった。
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神教国タナウス移住者募集。
神教国タナウスとは古代魔法を伝え、この大陸に神聖魔法を伝えた土地と言われる。聖教国と神聖国と同じ非戦争宗教国家。礼拝様式は聖教国、神聖国と同じ同宗派でネロ様以下六神を祀る。
世に出る為に建国して国が安定するまでの三、四年は統制価格で食品や各種材料などは値上がりしない。医療関係は教会魔法医療のみ。
・南の楽園、雪は無し。建国まで家賃無料。
・村で畑を作れば自分の物となる(開拓整地済み)
・渡航費用支給、生活準備金として支度金神教国通貨にて一人銀貨十枚(四人家族四十枚:四十万円)
・優遇職
鍛冶屋、雑貨屋、大工、露天商、行商、各種ギルド経験者、造船経験者、農耕、漁業経験者、木工経験者、飲食業経験者。※優遇職には専用店舗、建物、倉庫、家屋用意。
移民にはサント海商国が渡航に関する手続きを行う。
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募集要項は国の名で募集されていた。
今回の面接は多いのでメイド二十四名を連れて行った。すでにワールスの募集を経験している。クッキーに菓子パン、飴も小袋で用意して冷えたジュースもてきぱき配る。カウンターの書類作成とサインは乗船人員の把握のためバーツさんの所の使用人がやってくれる。
バーツさんは実は移民船団を仕立てるのは初めてで旅客を扱う船のノウハウを勉強したと言った。船に乗るだけではダメらしい。今回の募集の初動では集まらなかったので、チラシを書いて飲食店や人の集まるところに置いたところ、巻き返して募集が増えたらしい、そんな意味で信用を増すため国の名を使ったそう(笑)
今回サントとハムナイは近距離航路なのでサント発の移民船は寄港地に一回入って、ハムナイは直通で行けるそうだ。
前回は四人家族が多かったが、今回は若夫婦と子供一人の家族も目立っていた。全てサントの首都出身で親の商売を手伝う次男三男夫婦が多かった。
食事で色々な話が聞けた。
バーツさんの話では、街や村にはすでに先住の職人、商人がいる。村に一軒の鍛冶屋では忙しいが2軒になると暇になるような事例も多く、長男以外は他の土地を探す事が多いと言う。今回の募集は職人優遇の上に店舗まで支給なら飛びつかない訳がないと言った。出来上がった街に自分たちが入れて下さいと入るのではなく、国に来て下さいと招かれてこれから出来る街へ行く事に夢と希望を持つと聞く。
食事後に、軍用魔石の件でライナ王国のストイ商会を訪ねてくれると言うのでお願いした。ロラン執事の持って来たカバンを会長が受け取り、後は頼むと言ったので跳んだ。
・・・・
ライナ王国のストイ商会。
「バーツ会長!わざわざお越しに?」
「はい、こちらの神教国の御子様がストイ商会を知っていると申されましたのでご相談に参りました」
「おぉ!次男のラルークを助けて頂いた国ですな!」
「神教国のアルベルト・タナウスと申します」
「ストイと申します、店先なのでお上がり下さい」
応接に入るなり話が始まった。
「大層美しい街だそうですなぁ?」
「え?お聞きになられました?」
「ラルークから報告を受けた時、国があの島にある事を初めて聞きました。交易商人にも全く知られて無い国で驚きましたよ(笑) まさか名も知らぬ国に助けられ船以外は無事に帰って来るとは思いませんからな。
「いえ、美味しいお礼を頂きありがとうございました(笑)」
「当然の事でございますよ!(笑)」
~~しばらくしてやっと本題が切りだされた~~
「神教国が今度この様な銀行と言う預かりシステムを~~~その中で他国の貨幣に預け入れた軍用魔石を担保に~~~銀行のシステムはすでに運用されている地域があります~~~この様な相互通信機があり~~~ストイ商会もこの銀行運営に参加して頂けるとありがたい」
「参加するのは構いません。見た事の無い物を見た事の無い国が行う。誰しも知らない物を扱うのは怖い物でございます」
「来ますか?神教国へ」
「今度ラルークに頼んで・・・」
シャドが巻いたのでタナウスに跳んだ。
そのまま離すと椅子に座った格好で転んでしまうのでシャドがちゃんと抱えていてくれる。
「ここが神教国タナウスです」
教会前の噴水や空中にあるレールを見て驚いている。
「これは、魔法で来たのですかな?」
「そうですそうです。アレは神都の
上流から下流を指で示して噴水までを説明する。
「あれは水道橋ですか? 歴史有る街には湖から引かれた水道橋を見ますがあれほど見事な曲線の物は見た事ございません」
俺は美しい曲線を描いて分岐する水道教に初めて気が付いて慌てた。どうやって作るんだと言う話だ(笑)
ストイさんは海までまっすぐに続く石畳を見ている。
「石畳かと思いきや海砂が隙間に入ってますな。この道は一つ一つのレンガを敷き詰めて・・・この様なレンガの道も見た事が無い。噴水と言い、側溝の綺麗な清流と言い、どれほど手が掛かって素晴らしい街か分かりますな。ラルークが言う訳よ」
分かる人の解説を聞きながら、ドワーフのガンズ親方の言っていた事をまともに気にしてなかったので、冷や汗が出てしまう。
「もう秋ですが日差しはこんな感じですね」
話題を変えようと必死だ(笑)
「あ!ランジェロ会頭は家建てましたよ」
「え!もうですか?」
「ショバンニがここに?」
「え?」
「ランジェロ商会の事ですよ(笑) ランジェロの出身のショバンニ地方の名で通っています。ショバンニの商人、昔はその土地の商人だったでしょうが、今はランジェロをショバンニと呼びますな」
「あ!豪族から交易商人になった話ですね?」
「そうです、うちは代替わりしても海神商会なように海神。ランジェロの所はショバンニと通り名があります(笑)」
「もしかしてラムール商会も?」
「探鉱ですな(笑)」
「探鉱の商人はラムール
「探鉱?」
「鉱脈を探す鉱山技師からの商人です」
「鉱石商から硝石商で武器商人へ変遷を」
「各国の採掘権で大鉱床も持ってますな」
「スズや銀の大鉱床もありましたな」
「へー!」
「北の海商王も二つ名ですか?」
「そこは
「あそこは商人の世界では新参でも元々貴族ですからな。商人に必要な信用と周辺国に名の通った歴史があった。だから王と誰かが呼び始めましたな」
「知らなかった、誰も教えてくれなかった」
「商人同士の通り名ですよ(笑)」
「ストイ商会も?」
「うちは
「魔動帆船の帆布の大元締めですぞ(笑)」
「あ!魔獣の糸の織り機がサントに!」
「会長、大元締めとは人聞きの悪い(笑)」
「その原料価格を決める大元締めですな(笑)」
「それは・・・大元締めですね(笑)」
ALL「(笑)」
俺は色々
ラノベで読んでた誰々商会、誰々は会長だったから、その人が作った商会だと思ってた。日本の江戸時代、近江屋、駿河屋など各地の名前を取った店が有った。近江屋
代が変わっても近江屋
商人の信用。異世界も同じだった。
次回 339話 手数料は保険料
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