第326話  連絡連絡また連絡。


3月1日(風曜日)


今日は良い天気。昨日の吹雪は何だったんだ(笑)


朝から冒険号でリルを振り回す。

そしてリルがメッチャ喜んでるのが分かるのが嬉しい。最初は抜き身で毎日振り回されるのが初体験で戸惑っていたが最近は慣れて普通に喜んでいる(笑) 俺は予定無ければ毎日鍛錬を欠かさないから抜き身でビュンビュン振られて大喜びで精霊の存在意義を示している。


今まで帯剣して歩いた持ち主は三銃士のマリンしか居なかったみたい。しかも精霊が付いてるの知らないから抜剣して振り回すなんて型稽古ぐらいしかしない。自由自在に振り回すなら実戦に出ないと無理な話だ。まぁ殺伐な三銃士時代だったろうから実戦でも使ってもらえたとも思う。


冒険号の様な自由になる場所があって真剣は思いっきり振り回せる。空き地なら型までだ、道場以外で抜き身を振り回してたら守備隊に通報される(笑) リード師匠も旅路で抜剣してアルに教えるのは門外の野原だった。


名剣や宝剣と珍重され各時代の権力者に大事に保管された事で戦場に埋もれず現在まで残ってる。だけど権力者はイコール剣術の探究者では無いから愛剣として腰に差してはもらえなかったのは良く分かった。ナレスの宝物としての経緯けいいが物語っている。


毎日振ってやるからな。


「アル様、そろそろ面接のお時間です」

実体化してないコアさんの声が格納庫に響く。


「うん、ありがとう!」


・・・・


6時45分、クランの管理棟に跳んだ。


管理棟の窓から昨日の兄妹を追視した。

イコアさんの教室にカレンとアマリが座って字を書いている。兄のブラスは14歳の六位のPTメンバーと同室になったみたいだな。昨日一緒の読み書き教室に誘われて事務員アレッタの五位教室に入ったみたい。良い教室だ!元ギルド嬢だから依頼票だの達成票だのモンスターの名から始まる冒険者の実戦読み書き教室だ。


八教室を作った時は一教室二十五人だったのに今じゃ四十人近くになっている。今はこんな感じの先生が教えている。


クラン雷鳴、読み書き教室(平日6時~7時)


八位教室。副クランマスター:イコア(33)

七位教室。飴屋:ゼス(69)

六位教室。飴屋:ヘーゼ(58)


五から二位教室は事務員の朝番が一か月交代で元ギルド嬢と私塾新卒の二名で教室を担当している。(今年の年齢)


五位教室。アレッタ(26)orロタ(19)

四位教室。ヘルド(23)orピア(19)

三位教室。リエン(19)orセザーリ(19)  

二位教室。コリー(25)orネピス(19)

一位教室。先生:キャプター(38)



ブラスは読み書き教室の後、と教えてもらった身体強化Lv1の先生に弟子入りするらしい。身体強化Lvが低い先生ほど痛みが少なく覚えられるらしい。


俺は今日初めて知った(笑)


今考えてみると俺の時はスパルタなんてもんじゃなかった。アルは可愛いなぁとか言いながら無茶苦茶回されてた。失禁して泣き叫ぶ三日間だからな。ヒース団長にも身体強化は泣き叫ぶと聞いて、それが普通と思ってたけどお爺様やリード師匠にやられたらLv高いし、そら痛いわ!全身が内側から針でぶっ刺される痛みだった。


何がチクチクだ!こいつら楽しやがって(笑) 


でも、この人達は民間人だからそんなもんかも?騎士団みたいななガテン系とは違う。


読み書き教室が終わる頃、クランハウスの前に二十人いたので7時からの面接に出て行った。


・・・・


折角クランに来たのでリズを朝食にでも誘おうと視たら食べてる最中だった。俺の意識過剰なのか、どうもから顔を見ると意識して誘いずらい。会話の流れで7日の教会セレモニーに誘いたいのに・・・食事中なら昼休みで良いか。


ミッチスでパンケーキでいいや。


リズは平日だから勉強がある。魔法も基礎部分は恥ずかしくない魔法士になったみたいで、2月の初旬から一週間に一、二回フラウ姉さまが魔法の編みを見せて課題風に教えている。基礎が終わると魔力制御一辺倒の練習に移行して魔力の限り編み込む事が大事になる。制御が甘いと複雑な魔力線の編みに太刀打ち出来なくなるのだ。これから中級に入る土台作り、リズはその段階に入った。


ミッチスで朝食を食べ終わり、マスター室で平民服に着替えてサルーテの銀行に行った。まだ8時前なので誰も居ないと思ったらドワーフいた!


コルアーノは日の出6時ぐらいだから、土木関係の仕事始まりは8時ぐらいから。タナウスは夏で5時には明るい上に2時間進んでる。こいつらタナウスの朝の6時からこっちの4時に来て部屋の街灯紋付けて仕事してた(笑)


五階へ行くと大量の資材が置かれてすでに部屋の床材を貼っていた。長い部材は四階の廊下に並べてある。


四階までの外壁は三週間で出来ていた。今は五階のペントハウスの壁をレンガで貼っている最中だ。雨の当たる階段の内側はレンガ貼り。雨の当たらない廊下は板材で腰高まで貼って、上部は石の壁を残して階段から続く手すりを用意してくれている。


五階の外壁を視たら手伝いに出した一人の職人部隊が左官さんと同じペースでレンガを貼っていた。習熟が早すぎる(笑)


貼られた薄手のレンガが乾いてるのを確認し、端の方からレンガ、モルタル、石の壁を融合してみる。アルの精霊魔法で少しずつ石に融合されて沈んで行く。コツを掴んで一気にレンガを石の壁に飲み込ませて行く。終わって見ればレンガを超精密に積んだ建物だ。


建物周りの足場は看板を付けるにまだ使うなぁ。


横に銀行の内装用資材を置くガレージ的な倉庫を作って、銀行の内装が出来るまで一時保管場所で使わせてくれと地区の執政官に言いに行った。


そんな事をしてたら連絡が来た。


サルーテ10時>タナウス12時


ナレス村の農吏員さんたちが一週間の休暇で帰るのに担当メイドが送って行くと聞いた。タナウスもう12時か!一か月休みなく働いてくれたのでお土産に壺のお酒を持たせに跳んだ。


タナウスから冒険号に帰るとお茶とお菓子の休憩。

リズに3月7日のタナウスの教会セレモニーに行こうと誘った。お屋敷の侍女もメイドも全員連れて行く。


食べ終わる頃にまたもや連絡。


ハーヴェス艦隊のコアさんから連絡。海の時化が続き島影に待機してたのがいで来たそうだ。明日には出られるので関係者をハーヴェスに連れて行けとの事。


やっぱ冬の海は荒れるよなぁ。じゃなくって誘拐指令なので早速モンまで誘拐に行ったら暗く成り掛けの17時だった。


慌ててコアさんに連絡するとハーヴェスでは騎士団が待機しているとの事。待機してるならいいやと、モンの王様以下領主と側近、海賊実行犯と鹵獲品輸送の商人関係者をハーヴェスに送り届けた。


・・・・


誘拐してる最中にイコアさんから連絡が来た。メルデス守備隊からメンバーの問い合わせが来たらしい。


大事な誘拐中で聞き流す。返信しないと取り込み中と言う事だ。


誘拐終わらせてすぐに連絡を取ると外部メンバーが2人斬られて死んだと言う。斬られたのは四位銅級のPT、だという。


面接して一年以上経つ四位PT、。なんか誓ったんだろうけど俺は面接しただけで名前と顔しか知らない。アレツ、ブラッド、カラン、ベニー、ニール、ベンソン。


メルデスに13時半に帰る。今日は連絡多くて跳び回るなぁ。


ギルドに行って話を聞くと、最後に受けた依頼は一カ月前のランサンへの隊商護衛依頼。六人と他PT六人の十二名でランサンへ行っていた。馬で六日だから隊商なら十八日ぐらいだな・・・。


守備隊に話を聞きに行った。


貴族服で訪ねると、西門の守備隊長が会ってくれた。


「冒険者が殺された者の件はこのランサン守備隊の手紙です。執政官が預かって未明にメルデスに届きました」


手紙を見せてもらった。一週間前の日付だった。


-----


大森林で見つかった剣で斬られた二人の死体は冒険者証とタグ及びクラン証からメルデス、クラン雷鳴のアレツとベニーと分かったので関係者に連絡する様に願う。金品の遺留品無し、冒険者が日常に使う冒険袋が荒らされ日用品のみ現在保管中。


-----


礼を言って辞して来た。


14時半か。


六人PTの二人が死んで、残り四人は仲間の死体を置き去りで何処行った?暗くなるのが18時前なので三、四時間は顛末てんまつを視に行けると思いランサンに跳んだ。


俺は正義の味方でも何でもない。暗くなってまで探して助けに行く義理なんて無い・・・外部PTで稼ぎの一割取ってるから少しの義務感はあるかもしんない・・・。まぁ、直々に面接して顔を知ってるから一応視に行くだけだ。一応だ。


やって来たランサン。


ランサンの冒険者ギルド長に死んだ奴の事を聞いてみたが、型通りの情報しかない。PTは復路でメルデスに行く隊商を一日待っていたと言う。往路の護衛依頼は完了して金は受け取っていた。


アレツとベニー死亡。遺留品は防具、日用品のみ、金は取られて死体は大方モンスターに食われていたが、二人共に防具部分の脇腹に片手剣による刺突痕しとつこんが残っていたと言う。


ブラッド、カラン、ニール、ベンソンが行方不明。


取り合えずGPS検索を掛けてみたら四人の方向が出る。四人は生きてるし、真っ当な経路を進んでないのが分かる。それは大森林越えで国境を越える違法入国者が辿たどる経路だった。二人を殺して逃げた???


何も分からないので大森林から飛空艇で追った。死体発見が一週間も前だがランサン前の大森林から北上して橋の無い大河を渡る分、行程も困難でナレスに入った所に二十六人の隊列がいた。何じゃソレ?


高空から無音のホバリングで視て行く・・・。

なる程ねぇ。そんなうまい商売があるのね。


事件は十日前の出来事だった。


チノの出稼ぎ盗賊がランサンに稼ぎに来てやがった。二人が殺された日、PTが護衛依頼を受けた隊商がランサンの大店おおだなに到着した。不味まずいことに大店おおだなが盗賊団に押し込まれる晩の午前中に隊商が着いたのだ。大店おおだなを見張っていた不良冒険者が問題だった。


ランサン出身の不良冒険者ランディーだ。同じランサンの貧民街出身のベニーを見つけてしまった。


盗賊団は金品を奪った後で大森林を抜けて国境線を越える。大森林を通る都合上、金目の盗品を運ばせる目的で毎回現地の不良冒険者を運搬人としてやとっていた。毎回運搬人は殺される、当然ランディーは殺されるとは思っていない。


『昔悪さした仲間が護衛で来てやがる(笑)』と一緒に見張っていた仲間に言った。仲間は腕が立つなら運び屋に誘ってみろと言った。


往路の依頼をギルドで換金したが食堂で昼食を取っていた。そこに昔ランサンで盗人ぬすっとやタカリを一緒にやっていた幼馴染のランディーがベニーの所にやってきた。


一目でヤクザ冒険者と分かるランディーが美味い儲け話があるとしつこく誘う。ベニーやPTも一緒にどうだい?と勧誘する。ここでは話せない話と言うので警戒してPTで付いて行った。話をするのが大森林だろうが構わない。PTは皆四位の銅級六人だ、ヤクザ冒険者一人ならどうでにでもなる。


しかし相手は大森林に十二人いた(総勢二十二人の盗賊団)皆が冒険者上がりの盗賊で、仕事が無ければ冒険者で生活する奴らだった。六人は盗賊団に囲まれた、リーダーのアレツが剣を抜いて、だましやがってと十三人に怒るのをベニーが止めていたら、そのままベニーが問答無用で腹を刺された。何で止めてる奴を斬る?と驚いて呆然とするアレツも後ろから刺突剣で刺された。


能書のうがきが通用しない相手だった。面倒臭い奴なら殺しちまえの連中だ。残りのブラッド、カラン、ニール、ベンソンに盗賊団は言った。


「で?お前らはやるんだよな?」


ブラッド、カラン、ニール、ベンソンはうなずくしか無かった。


大店は夜中に襲われて皆殺し。それぞれが冒険者の恰好で不夜城ランサンをそのまま冒険袋背負ってバラバラに出て行くだけだ。守備隊は街道を追う。冒険者の死体が二人大森林で発見されても後回しだった。


十日前の話だ。


真面目に磨いてる器を殺しやがって。報いは受けてもらうぞ、クソ共が。


ホバリングした飛空艇から視終わった俺は近くに飛空艇を下ろして仕舞った。国境越えの盗賊やる奴は頭も腕も立つんだろうな、と思いながら冒険服に変えた。


今回はメンバー優先だ。普段目にしない妙なスキルや変な勝ち方を一般冒険者に見せる訳に行かない。


※全員同時に麻痺で倒れる。恩寵奪ってスローな動きでヘロヘロな剣筋でがアルに襲いかかる等


最初はガチだぞ。相手は手練れだ、なめんなよ。


(シェル最後の守りはお願いね?)

(はい)

(シャドは全部終わってからお願いね)

(はい)


ここはすでに大河を越えてナレスに入った大森林だ、このまま北上するとチノとナレスの国境線がある。大森林越えるなら自由自在に三国に行き来出来る。


盗賊団二十二名+剣の誓い四人が歩く。行く手の森が開けた小さな野原で座って待ち構えた。空でひばりっぽいのがピーピー鳴いてる。


座って串焼きと葡萄ジュースを飲んでたら森の切れ目からゾロゾロと盗賊団が現れた。


「坊主ー!ソロか?」20m先で殺気は無い。

「うん!」六位魔鉄級程に見える子供が答える。


「お前ナレスのギルドだよな?」

「そうだよ」距離10m、ゾロゾロ森から出てきた。

「獲物は取れてない様だな?(笑)」

「おっちゃん達はクランなの?多いね?」

「おう!」剣の誓いが遠目で気付く。目を合わせた。


目の前を通り過ぎた刹那せつなに言った。


「獲物はねぇ、おっちゃん達だよ(笑)」


言った瞬間に防具を破壊する程の波動螺旋拳を三人に叩き込む。拳を打ち込むと同時に脇腹から第二門、第三門に魔力の放撃を正確に食らわせ一撃でKO。三人が糸の切れた人形のように沈む。唖然とする後列四人の手前に転がった、後列最初に足払い入れながらリルで四人の盗賊の手首を順に切り落とした。四人が泣きわめく。実戦の緊迫の動きと容赦無い剣筋は見たはずだ。後は惰性でOK。


この時点で盗賊達の両手を麻痺させ剣を持てなくした。


一瞬の間が空いた瞬間、抜剣しようと麻痺した両手で焦る盗賊に走り込んだ。瞬時に身体強化を巡らせた奴の腹の防具を左の拳が打ち砕き放撃。そのまま押し包みに来た後ろの奴にバックハンドのリルで斬り付ける。避けたそいつを一歩追って肩口を深く突き刺し、抜いた剣を回して後ろから迫る奴に切っ先を合わせてけん制する。


あっと言う間に九人が戦闘不能になった。右手首を切り落とされた四人は無事な左手で右手を押さえて泣きわめいている。あと十三人。


「ただのガキじゃねぇぞ!」

「気を付けろ!」

「腕が痺れて、クソ!・・・」


「気を付けてどうかなるのかよ?」あおる。


身体強化Lv4の冒険者が身構える中、アルは無人の野を行くがごとく不用意に近付いて波動螺旋拳でぶっ飛ばしまくる。

あっと言う間に片付いた。泣きわめく盗賊に癒しのヒールで血を止め全員昏睡させ、恩寵を全部取った。変なものはに見せてない筈だ。


「ブラッド、カラン、ニール、ベンソン。雷鳴に入って良かったなぁ。クランにアレツとベニー死亡の通知が届いたから見に来たぞ(笑)」


「助けて頂きありがとうございます」


「おぉ!お前ら守備隊が来る前に二人の仇を討つなら討てよ?お前ら知ってるんだろ?俺がやった事にしとくからな(笑)」


すかさず四人が犯人を捜しだす。無事に見つけた様なので犯人の昏睡を解いて起こしてやる。


四位の銅級だ、根性も座ってる。すぐに発端となった冒険者ランディを見つけ出したが怒り心頭とはこの事だ。四人で袋叩きにしてなぶり殺しで最後には三人串刺しだ。護衛やってる連中なら盗賊に当たり前の対応だ。


「お前ら四位なら大森林越えて帰れるな?」

「帰れますがマスターは?」

「よし!無事に帰れよ」

「え!マスターはどうするんです?」


「近くまでナレスの守備隊が来てる」

大きな火球を上げてやると皆が驚いて見ている。


「こいつら引き渡して帰るさ(笑)」

「お手伝いします!」しなくていいよ。


「聖教国の聖騎士だから守備隊も言うことを聞く。お前らナレスの不法入国で守備隊に締め上げられるぞ。下手すりゃ越境の盗賊扱いだ。早くコルアーノに逃げろって言ってんだ。ここはナレスだぞ(笑)」


「でも!俺達も手伝います」


「お前らを関係のないコルアーノの冒険者と俺がかばえば、お前たちにはナレスに越境してる理由が無いだろ(笑) 聖騎士の俺が疑われるわ!早く行け!」


それでも戸惑ってるので話を変えて言った。


「俺の仕事を増やすな!(笑) でもまぁ聖騎士様が教えてやる。仲間の仇を討ったのもネロ様が見てくれてるぞ。死んだアレツとベニーも感謝して喜んでるぞ、良くやった!」


四人はにっこりした。


喜んでるかどうか知らない。しかし、そういう考えがこの世の常識だ。異を唱えると俺が異端になる。


「早く、コルアーノ側に逃げろ!」


ALL「はい!」


「あ!」

「?」


「野営の準備あるか?こいつらの持って行けよ、何持たされてるか知らねぇがそんなデカイの捨ててかねを持って帰れ、ランサン着いたら何処にも顔出さずにメルデスに帰れ、守備隊に何か聞かれたら俺と一緒に大森林で盗賊討伐して俺に金貨もらったと言え、俺がナレスで盗賊を引き渡した証明書をランサンの守備隊に出すからな。それで終わりだ、何も心配するな」


喋りながら盗賊頭とうぞくがしらの荷物を探って大店から奪った金貨を3枚(150万円)ずつ四人に持たせてやる。


「はい!」金貨を見つめて握りしめた。


転がってる四、五人のバックパックに四人が取り付いた。視たら野営用の食料を背負ってる奴らだった。四人で干し肉や塩、胡椒とか野菜だの乾パン、ビスケットだのを大笑いで分けている。いいなぁ、冒険だなぁ、そういうのいいなぁ。


四人は振り返りながら手を振る俺を見てお辞儀しながら森へ帰って行った。


盗賊は全員シャドが巻いてナレス王都の守備隊に引き渡した。盗賊の武具は全部剥いだ。手間賃は頂く。王家の指輪で身分証明をして盗賊十九名、死体三の引き渡し証明を守備隊にもらった。これで押し込み強盗の探索は終わらせる。


ランサンの守備隊で押し込み強盗の討伐は終わった事を伝えた。詳細を聞きたがったので盗賊はチノからやって来た冒険者崩れの盗賊。国境を股にかけて凶行を行い大森林に逃げて国境を越える盗賊団だった事を伝える。国境を越えると治外法権だ、守備隊が雪崩れ込めば公には国際問題だ。


ミウムみたいな辺境の領主は、大河越えてその先のナレスまで追っかける位は普通にやってるけどね(笑)


討伐にもらい過ぎだと大店の生き残りが居たら返してくれと金を置いて行った。貴族に嫌と言えない守備隊には手間賃に大壺を置いて行った。


四時間以上掛かっちまった。もう暗いよ。


・・・・・


ランサン19時>タナウス21時。


アルムハウスへ行くと、風呂上りに応接にいたアルムさんとクルムさんが身構える。俺に近寄らない、椅子を引いて遠くから話す。よっぽどカビ菌が怖かったんだよ。昨日の顛末てんまつを話しておこうと思ったらシズクとスフィアが喋ったので聞きたくないと言う。せっかく胞子の事を話しに来たのに。


そんじゃなんで身構えるの?と思って視たら、宿の部分だけを学習したようだ。


頭に来たので二人に抱き付きに行ったら、椅子を倒すほど慌てて逃げ回るので調子に乗って追っかけたら投げ飛ばされた。


エルフめ!


「あ!触った!触った!」と言ったらまた逃げて行った(笑)


バイ菌扱いだ!


二人が寄ってこないのでバイバイキンした。


・・・・


19時半、メルデスのハウスに帰って遅い夕食。


食事後交感会話しながらアロちゃんに髪を切ってもらう。


「ラウム教国にルーミスから抗議があり、ハーヴェスに対する補償分の補填ほてんを求める使者が来ました。すでに前教皇以下大司教が更迭こうてつされ神教国がラウム教国の綱紀粛正に乗り出しているのでその様な補填ほてんは知らぬとダイモス様が対応されました」


「ウエイ系でノッたアンポンめ!自分が海賊した反省が無いじゃん。損したと人に返せ言うなら投資すんなよ(笑)」


「投資ですか?(笑)」


「そうだよ。美味しい話に乗ったのは自分。そういう奴に限って儲けたら自分の物、損したら人に被せる。自己責任の欠片も無い恥知らず。責任取らずに逃げる典型だ、そんなのが国王でいる価値を疑うわ(笑)」


「しつこいなら今度は神教国に拉致るぞ!と(笑)」

「かしこまりました」


「イヤ!ウソウソ!嘘って予測してるでしょ!」


「アル様のめいなので・・・」

「都合のいい時だけめいにしないでよ!」

「アル様のめいは絶対です」


「アロちゃんやめてよ!僕が自爆しそうなときには忠告するって回路が動いてないよ!」


「動いております」

「どう動いてるのよ!」

拉致らちればアル様は負けません」


拉致らちれば!って(笑) そりゃ負けないと思うけど!それどうなの?もっとさぁ、心とか思いやりとか倫理感とかあるでしょ? 拉致して脅して言うこと聞かなかったら隷属して手間賃よこせとやったら神教国が混沌衆だよ!」


「そこまで悪辣あくらつな事をお考えとはアロアには予測不能でした(笑)」


「おまえー!アロ助!(笑)」


「アル様は負けないとしか申しておりません」

「その言葉で〆るまで予測してたよな?」



~~~~



「昨日のカビ菌はどこから来たと思う?」

「情報不足ですね、不明です」


「最初さぁ、原因菌が居なきゃ進化出来ないよね?かといって、あそこで死んでたなら高い所に来た村人だし、宿主になってから村に来るとか変だよね?」


「情報不足です」


「アロちゃんさぁ、人の熱源?哺乳類でも良いけど高い地形で動かない熱源を観測出来るよね?」


「出来ます」

「全世界で捜してみてくれる?」

「かしこまりました」

「サルならサルで浄化してサルよ(笑)」


「・・・」


「ごめん!もう言わない!」


「交感会話で聞かされるシャレではありませんね」


「そんな格式があったんかい!」

「今日は特に冷えますね?」

「すみません僕のせいです」


「不動の哺乳類と見られる群体があります」

「早いね!多いのかな?」

「観測点はあの大陸の高所が一番多いです」

「昨日の地点とその観測点の距離はどんな感じ?」


「一番近い観測点で530km北東の山岳地帯です。昨日の胞子の状態から因果関係は予測できません」


風に流れたら、その間に感染個体がいる筈だな。やっぱ関係なく、そこは個別の感染群だな。


「うん、僕も関係無い様に思う。何処から来たのか分からないうちは追っかけるよ。時間が有ったら見に行って来る。アロちゃんさぁ、そのプロットを冒険号で見られる様にしてくれるかな?」


「そのようにモニターへお出しします」

「進化種なら浄化して来るね」

「その時にはコアを同行させて下さい」

「うん、そうする」




次回 327話  海商王の恫喝

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