第310話  あんた持ってるね!



1月10日(つち曜日)


今日はカラム王国に仕掛けをほどこす日だ。そしてナレスの褒章式の日で晩にはナレスに行かないといけない。忙しい日になりそうだ。


朝五時半の冒険号。巨大な格納庫に大司教、司教、司祭、シスター、聖騎士2人の総勢6人の組が固まって並ぶ。1056人がテズ教の法衣をまとって大司教一行に扮している。カラム王国全土35領地180弱の街の教会にテズ教国からの連絡事項として神託を伝えに行くのだ。


同じく街の上空に撒かれるビラも格納庫に並ぶ。


テズ教総本山からの神託連絡を持った大司教が各街の教会を訪れ司教、司祭を神託に巻き込むのだ。大司教から教会を巻き込むと神託ビラのGOサインが出され街の上空にビラが撒かれる。俺はテズ教の御子服に身を固め、港街ルージュに神託を伝える大司教の一行6名に付いている。


冒険号の5時半、6人で固まる大司教率いる1056人のテズ教ご一行の真上にショートジャンプの黒い輪が現れた。黒い輪に飲み込まれた6人組は一斉に消えていく。


冒険号5時半>カラム王国9時半。


裏町に一行が現れる。高空より赤外線及び映像探査で人のいない区画座標にショートジャンプさせている。俺の御子を加えた大司教一行7人もルージュ町はずれの倉庫前に跳ばされた。


真っ直ぐにルージュのテズ教会を目指す。


護衛騎士を2名連れた大司教一行はそのきらめく法衣から街の中ではメチャメチャ目立つ。御子の法衣など目立たない。この一行に教会前のお茶屋のお婆さんが近寄ったら闇の衝撃でボケさせようと思ったが、店の奥で団子に使うハーブをつぶしていて外に出てない。俺に豆餅をお供えしただけあって運の良いばばぁだ。


教会に入ると司祭がビックリ!シスターを慌てて呼びに行く。司祭2シスター2人で運営する教会だった。孤児院はこの街には無いのだ。漁師の街で海のモンスターを狩るだけあって、海の事故で親を亡くした子が多く、そんな子は伝手の漁師が育てる風習みたいだ。そんな土地のルールで、漁師じゃなくても街で働いていた人の孤児は隣の人が我が子として育てる。この街では流民は漁師の手伝いの仕事が多数あり流民、貧民、孤児は居ない。


うちら7人の一行は教会内部の応接室に入りテズ教総本山の神託連絡を司祭に伝える。


「ご苦労様でございます。私がミル、こちらがカインス、順にアレイ、シヨムのシスターです」


「うむ、カラム教区のモリス・バーチャ12大司教の命を受けて参った。大司教のエルダー・サミングだ」


「これよりテズ教国が受けた神託を伝える」

「は!よろしくお願いいたします」


「1月末。新しい光がカラム王国に射す。激動の瞬間に目を逸らさず身をゆだねよ。民の未来は明るく照らされる」


「以上。これが連絡書だ、間違いなく伝えた」

「はい、頂戴いたします」


「それでは、神託の成就日じょうじゅびまで教会に逗留とうりゅうし、街に神託を触れる。総本山の話では、街に神託のビラがかれるらしい。民が騒げば騒乱となる、民の気を静め神託の成就日じょうじゅびを心静かに待つ説明をせよ。宿は良い所があるかな?」


「司祭部屋なら教会にあと4つあります」


「それでは、儂と司教、聖騎士二名はその部屋にしよう、司祭、シスター、御子は悪いが街の宿に宿泊してくれぬか?」


「かしこまりました、エルダー大司教様」

「神託を街に触れるのだ、品位ある宿にしなさい」

「そのように」


「宿をまず決めて荷物を置き、1時間後の11時より街を回りましょう、それまでに教会に戻りなさい」


「はい、行って参ります」

「御子様こちらに」シスターが御子の手を引く。


・・・・


宿を決めた1時間後、全員が教会に集まった。


「良く街を知る教会の3人を貸してくれ、執政官事務所にもおもむくでな、顔を知られた者が良い」


「それでは、私が執政官事務所に同行いたします」


「街のギルド方面は誰が適任かな?」

「そちらであれば私が参ります」


「平民相手はどのシスターが良いかな?」

「私がこの街は長いので私が参りましょう」


「それではそちらの・・・」

「シヨムです」

「シスターシヨムは教会で留守を預かってくれ」

「かしこまりました」


エルダー大司教が指折り数えて行く。


・儂とミル司祭と聖騎士。

・司教とカインス司祭と聖騎士。

・司祭とシスターアレイ。

・シスターと御子。


「儂と司教は街の執政官事務所とギルド回り。司祭とシスター、御子はビラがかれるまで適当に街を歩いていればよろしい。昼頃にはビラもかれ街が騒然そうぜんとする。法衣を見れば民が質問にむらがるはずじゃ、4手に分かれて民を安堵あんどする」


ALL「かしこまりました」


指示をした、俺と一緒に歩くコアさんだ(笑)


実名のエルダー・サミング大司教も総本山のモリス・バーチャ12大司教の下にいる人だ。但し現在カラム王国内にコアさんが扮して176人居る(笑)


当初のテズ教の作戦通り、モリスバーチャ12大司教の命を受けて実名のエルダー大司教がカラム教区に赴いてる図だが、当然テズ教の作戦は発動していないのでエルダー大司教もテズ教国にいる。テズ教教会を軸にした住民安堵の作戦を考えた結果、テズ教の神託の絵図を効率よく書き換え、教会を巻き込むのが一番民が安心するので作戦を利用している。



・・・・


かれるビラは、最初俺が飛空艇から跳びながら各街にく手はずだった。俺が触ってビラをくと拾った人が読んで他の人に渡す。そして3人目がビラに触れた瞬間ビラは風化してチリとなる。


そんな作戦を立てると、ビラを街の直上に直接ショートジャンプ出来ると言われてお願いした。2人までは手に取って見る事が出来る様になった。


そんなビラが御当地の教会が納得した街に降る。うちのルージュには昼食時間に降って来た。街の人達は舞うビラに気が付いて見上げた。風に舞うビラをほとんどの人が読めないので読めないまま崩れていくビラが多かった。ガーン。



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テズ教国に神託が降りた。


1月末。新しい光がカラム王国にす。激動の瞬間に目をそららさず身をゆだねよ。民の未来は明るく照らされる。


神の下した神託に過ちは無い。

神の約束する未来を民が団結して身をゆだねるのだ!


疑問がある者、不安がある者は街の教会に相談せよ。神の約束する地はテズ教国が導く。


-----------


俺とシスターは、住民が話しかけやすいオープンテラスで(朝食代わりの)お昼を取っていたら沢山の群衆ぐんしゅうに囲まれた。


「その通りです。神託の日を皆で待ちましょう!」

「明るい未来が訪れると神託が出ました!」

「カラム王国に希望が生まれました!」

「お祈りしたい方は教会へどうぞ!」


大司教は執政官事務所で騒ぎとなったが同じ様に説明しながら教会に帰った。


エルダー大司教は教会前で大群衆を相手に上手く神託の説明をしていた。コアさんは俺の観測をしているだけあって、俺の思考論理そのままに民の質問をさばきまくる。その日の夕方には現存するビラは無くなった。街の民は半信半疑、敬虔けいけんな信者だけは盲目的もうもくてきに神を信じていた。


・・・・


1月10日の昼から起こったカラム王国の大混乱。

当然王都でもビラはかれ、王都テズ教大教会からエルダー大司教が王に謁見えっけんを願い出て、神託を奏上そうじょうし王の承認しょうにんも得られた。


王は筋書きを知っている。知った上でテズ教がビラをき民を扇動せんどうしていると疑って無い。


カラム王はエルダー大司教に謎掛なぞかけの様に質問をしても、大司教は総本山から下された神託の通達なので、勝手に読み解くのは分に過ぎます。とおごそかに質問を返す。この大陸に大戦をまねくシナリオが一介いっかいの大司教ごときに語られる事は無いだろうと王は益々ますます上機嫌になった。帰りには大層な喜捨と共に王都での自由な活動を保証した。カラムに光すと出た神託に付いてはテズ教会に従う様にと王都に触れを出した。


賢い者の中には読む者も居た。

意味もなくこの様なビラがかれる訳が無いのだ。領主の理解が早く賢明である者。感覚が鋭く判断力がある者・政治の分野に老獪ろうかいな者は裏を考えた。


水面下では領主の情報戦も盛んになった。

沿岸の領主には、王の勅命ちょくめいによって偽装海賊の指示に従い莫大ばくだいな富を得ている領主も居るのだ。一筋縄ではテズ教総本山の神託を信じない。


しかし、為政者いせいしゃは信じないが乗った。領主や代官も何かは分からないがテズ教が仕掛けた大掛かりなキャンペーンに乗った。1月末に何かカラム王国に良い事が訪れるのは書いてあるのだ。どんな裏があるのか楽しみに待った。


・・・・


俺はルージュの宿に18時に入り、メルデスに跳んだ。


ルージュ18時>メルデス13時。


アルムさん達はダンジョン行っていない。アロちゃんに頼んで昼食を食べて、冒険号でハーヴェスの状況を聞く。鹵獲品の分別や海賊討伐の褒章勲功の聞き取りで作戦どころではないらしい。神教国の作戦分担は投げっぱだった。少しはソワソワと作戦本部に心配して欲しかった俺は変なのか?(笑)


上手く行ったならどうでもいいやと、以後の作戦行動をおさらいして、リズを迎えに行く時間まで思いっきり鍛錬した。


冒険号21時>ナレス20時


1月10日20時。ナレス王宮。


リズを迎えに行った。褒章授与式の晩だ。

丁度一年前に掘り出した弓のテルーの遺品。褒章用と王族用の分配でリズに下賜かしされたのは宝石だった。鑑定の末に恥ずかしくない粒選つぶよりの宝石がごっそり。視ると家族会議で言い含められていた。


一つの国の王家がのこした数々の宝石。それは新しく建国される国の初代の王妃にふさわしい輿道具とたくされていた。


「アル様にはお父様がこれを下さいました」


何の変哲もないミスリルの剣だった。が視た途端に分った。


俺への分配は現ナレス王家が家宝とするミスリル製の拙速せっそくの剣だった。装飾も何も無いミスリルで出来た武骨な剣だがが三銃士の剣のマリンに与えた宝剣だ。


視た瞬間に気に入った。マジックアイテムでも何でもない。剣に精霊が付いている。精霊魔法剣とは違う意味の精霊剣だった。


剣の柄に精霊がしがみ付いてる様に見えるのは精霊眼のせいなのか、俺のイメージでそう見えてるのか分からないが、柄をつかむと小さな精霊が俺の手にしがみ付く(笑)


視ると名前が無いのが分かったので名付けた。


(お前の名はリルだ!ミスリルのリルだ!分かったな?)


俺の手にしがみつく精霊が輝いた。効果が上がった。


視るとその剣は拙速せっそくの剣と出るんだよ。リルに向かって心で呼びかけた。


(刃筋の指南は良いから速さだけに特化してくれるかな?)


会話は出来ないが気持ちは分かる。速さ特化だと刃筋が不安定な持ち主がいたんだな、俺が子供と思って教える気満々だ。速さが取り柄?速さで存在を示す精霊なのに剣術指南する姿が可愛いのよ。ドワーフの祖先がとにかく速い剣を想って、全ての装飾を排して追求した時にリルが生まれたんだと思う。


(リルの存在を示してしゃべれる様にしてやるからな)


リルの嬉しい気持ちが流れて来る。


以後俺はこの剣しか帯剣しない。


俺は帯剣し陛下の私室に参上した。


「陛下、素晴らしい品をありがとうございました」

「アルならと思ったが、つかえるか?」

つかえます、素晴らしい剣です」


「儂も大公もそのまた先祖も振ったであろう剣だ。つかえた者はいないがな。変な意味で間違いなくナレスの宝剣だ。当然フォント(王太子)もつかえなかったぞ!(笑)」


「お下がりみたいじゃないですか!(笑)」


王妃様が笑っている。


「言うな。何の装飾もない無骨な剣。遣えずとも三銃士は剣のマリン由来ゆらいの宝剣だ。その辺の武官にくれてやるのもしいし、今のままでは宝物庫の置物だからな。アルがつかえるならしくない(笑)」


「その言い様!歯に衣着きぬきせて下さいよ!」

「教皇代理の説法を真似たまでだ(笑)」


王妃様とメイドにウケた。


と命名し神教国に代々伝わる宝剣として子子孫孫ししそんそんまで受け継ぎます」


ぷー! 王妃様が噴いた。メイドが耐えて苦しそう。


「わっはっは!喜劇の題材にされそうだな(笑)」

「リズの宝石もありがとうございました」

「なぁに、あれ程の宝なら大盤振る舞いだ(笑)」

「以後、輿道具は何もいりませんので(笑)」

「ありがたい、神教国に持たせる物がないわ(笑)」


話しの切りが付いたところで王妃様が言った。


「私からもお礼を。あのペンダントを下賜かしした時の殿方のお顔の輝き様は一生忘れませんよ。名を成す武功で、奥方への褒美ほうびはナレスの褒章授与で初めての試みでした。ナレスの領土が2倍にもなった褒章に相応しい品でした。本当に良い物をありがとう」


「貴族家に受け継がれるほまれなら光栄です」


「アルよ、御用農園より神教国へ派遣はけんする者が決まり次第に連絡する。今日は褒章授与だけでなにも動けておらん。1月中に作物の種子と共に用意できると思う」


「先日の話の通り1月30日まではナレスの文化である舞台劇や人形劇、一人芝居の研究に2人残ってますので、1月中に決まりましたらメイド長コアと執事長ニウにお申し付け下さい。派遣はけんの方々もご一緒に1月30日に神教国へ案内させて頂きます。よろしくお願いします」


「うむ、分かった。リズと共に仲良くな(笑)」

「はい!」


・・・・


1月13日(曜日)


アルは総本山の司教とシスター両方コアさんが扮していると共に辻説法に出ていた。


カラム王国で一番大きな港街ルージュは大きな外国船も荷を下ろし周辺国へ向かう小さな貨物船に積み替える交易中継港。


世の先端造船技術が80m級の魔動帆船なら、その先端技術はサイズダウンされて使いやすい物に作り替えられる。軍事技術も型が古くなれば民間に転用されて緩やかに技術が伝播されて行く。


サントでは富裕層が持つ魔動回路の快速艇。そんな物を持つ国は限られた最先端の国だけだ。カラムで言えばそんな快速艇を買う位ならカタマランの快速帆船が5隻も買える。人力と学んだ操船技術で帆を扱うのが先進国で無い由縁ゆえんだ。


海上交易に使う船にも市場がある。軍用の中型魔動帆船を貨物船に改造した物が中古船市場で出回る。短距離の海上輸送には積載量も実用的でコストも安く、荷を早く届ける事が出来るので必然的に中型船の需要が高まるのだ。


そんな大型魔動帆船から中型や小型船に貨物を積み替える中継港として港街ルージュは栄えている。


そんな港町は外地から帰港して来るカラム王国人が多い。同じ様に外地から寄港した乗組員も多い。ルージュの港街で辻説法を行い、神託を知らない人や噂を知らない船員たちに不安が広がらない様に説法で周知している。各国に出て行けば神託の噂が広がるのは目に見えているがテズ教主導の明るい噂なので痛くもかゆくもない。


お昼を民が話しかけやすいオープンテラスの食堂で食べる。隣のお客が質問し、それに答える法衣のテズ教司教。周りの者は耳を傾け、食事の間も自然と輪が出来て辻説法になるのだ。


そんな中呼ぶ声が聞こえた。


「御子様ー!」


人の輪の後ろの方から大きな声で呼ばれた。


席から振り返ると黒い人がいた。誰?と視た。


元々が褐色に焼けた肌。2年経ってそれ以上に日に焼けた憎っくきタクサル!じゃないや。まぁ普通のタクサルがいた。(普通のタクサルって何だ?と混乱した頭でツッコミ入れるアル)


「・・・」余りに驚いて放心状態。


「どうしたんだよ!御子様!」

「タクサルさん!どうしたのよ?」

「どうしたのって、仕事で港に寄ったんだ!(笑)」

「こんな所に居たら変でしょ!」

「神託の説法してるって言うから聞きに来た(笑)」

「あ!そうか、そうね!(笑)」


「御子様が居るなら神託の話は本物だな(笑)」

「あ!ちょっとちょっと!」慌てた。


慌てて周りを説法の輪の中で聴衆と御子が世間話してたのに気が付いた お陰で司教様の説法が止まってしまっている。


「司教様、地元のお兄さんなんです。少しこの場を外してよろしいですか?」


「御子様、説法中ですぞ!と言いたい所だが知り合いならしょうがない、気も散るでしょうからな。今は昼の時間だ、そこらで話して来ると良いでしょう(笑)」


食堂のオープンテラスで始まっていた説法。集まっていた聴衆が生温かく微笑んだり、子供が御子様を笑ってくれる。


聴衆の輪を抜けてタクサルさんの腕をつかんで歩きだす。タクサルさんと足早に歩いて気が付いた、護衛や仲間が7人ほど後に続いている。流石のラムール商会本店の番頭さん。


人気ひとけの無い浜までタクサルさんを連れてきた。


「こんな場所って事は訳ありだな?」

「訳ありですよ!(笑)」


護衛や部下は話が聞こえない所にひかえている。


「こんな場所で私を見つけるとは持ってますね(笑)」

「何を持ってるって?」通じなかった。


「運を持ってるって事ですよ!」


「?」


「神託は本当です。戦争が起こります」

「起こるだろうな(笑)」

「え!」

「俺たちが武器を売ってるからな」

「あ!」


「そういうこった。いつか知らねえが起こる(笑)」

「そんじゃ、今すぐ売り逃げて下さい」

「え!」


「戦争が起こって1日で終わります」

「はぁ?」


「無血でカラム王国は降伏。ハーヴェスになります」

「御子様、何を言って・・・」


「リノバールス帝国はどうなりました?」

「・・・本当か!本当なんだな!」


「武器を売り切ってカラムから今すぐ逃げて下さい。戦争が即時で終わってカラムの武器関係は暴落しますよ」


「・・・」


「神託では1月30日にハーヴェス艦隊がルージュを砲撃。翌日2月1日カラム王が退位と共に王権をハーヴェス皇帝に譲る声明を出します。国が変わった場合の商取引の事は分かりませんが、暴落した武器の代金を取るのは骨が折れますよ」


「ん?・・・」日付まで指定されて混乱している。


「供給過剰で暴落するから売れない武器をハムナイで売ってくれたじゃん!(笑)」


タクサルさんはまだ固まっている。視ると頭の中がグジャグジャだ。


「ねぇ、大丈夫?(笑)」


俺の言葉でタクサルさんがいきなり動いた。俺を抱きしめた後、天に差し上げ万歳してくれる。って赤ちゃんじゃ無いぞ!(笑)


いつまでやっとんじゃい!


「御子様はまだルージュにいるんだろ?」


俺をやっと降ろして言った。


「まぁ、いると言えば。・・・何です?」


視たら分かった。


「神託は30日だ、まだ間がある。俺だけが得してどうするんだよ!どうせ人を泣かす商売なら戦争やる奴に泣いて貰うんだよ。武器商人をなめんなよー!(笑)」


「うぉー!」


少し遠くに居る護衛と部下にえながら走って行った。


武器商人が燃えてえていた。




次回 230話  はぁ?

--------------


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