第305話  無血の侵攻作戦



「それでは始めましょうか」


海軍政務武官(作戦参謀)を会議の場に転移させた。


「皇帝陛下!」参謀が平伏ひれふしてしまう。


「初めまして、神教国、皇太子アルベルト・ド・カミヤ・メラ・タナウスです。火急の用で全ての政務より優先します、いきなりの話ですみません」


「は!海軍政務武官フリップ・レンドと申します。皇太子殿下、何なりとお申し付けください!」さすがキレ者、凄い頭の切替えだ。


「コア、ニウお茶を皆さんに頼む」宰相の部屋なのにすでに我が物顔で振舞うアル。何度も言うがこいつはそゆこと気にしない。


ハーヴェス帝国宰相の部屋の応接に7名が居る。


帝国:皇帝フランク・ハーヴェス。

神教国:皇太子アルベルト・タナウス。

帝国:宰相ベア・プレース。

帝国:海軍政務武官バスティー・モンツ。

帝国:海軍政務武官フリップ・レンド。


コアとニウ。


・・・・


「神教国タナウスで神託が降りました。ハーヴェス帝国が三年程で滅びます。今日は大砲譲渡のお付き合いもあったので、神教国から私がハーヴェスの味方に参りました。皇帝陛下も交えて有意義な会議にしましょう」


「最初に身の証を立てます。私のステータスです」


「おぉ!まれに武官で加護持ちがおる」

「私は初めて見ました」


「すでにお二人には見て頂きました、見せないと宰相閣下の部屋など招かれませんし(笑)」


コアとニウがお茶を入れてくれた。


「コアさん、ニウさん、陛下とフリップさんが消えて騒ぎになってます。宰相の部屋で会議と外のメイドさんに伝えて下さい」


「かしこまりました」

「あ!確認に来たら案内して下さい」

「そのように」


「単刀直入に申します。神教国の助けなしにカラム王国に攻め込むとハーヴェス帝国は三年以内に滅びます。すでにハーヴェスは罠に掛かってます。今はシナリオの第一幕を終わらせたところです」


順を追って説明する。


プロローグ:海賊の跳梁。

1幕:海賊の討伐。

2幕:カラムへの侵略。

3幕:テズ教の声明。

4幕:ラウム教のカラム参戦、テズ教の侵攻。

5幕:サンテ教の没落。


「以上が神託です。これは四人だけの話にして下さい。この神託が降りたのは、味方をせよとの神の御心と解釈しました」


「ハーヴェスはカラムでついえます。ラウム教の信徒国十一国につぶされます。ハーヴェスに協力する国も国力を落した所に侵攻されます。テズ教信徒国十二国にサンテ教圏の国が食い荒らされます」


「フリップさん、意見はございますか?」


「まさか海賊までがとは・・・これは一国の力だけでは絶対に勝てません」


「バスティーさん、どう思います」


「テズ教とラウム教の信徒国が連合して二十三国。個別に侵略されたらどの国も対処は無理です」


「皇帝陛下は如何いかがです?」


「神教国の信徒国が援護えんごしてくれるのですかな?」


「神教国に信徒国はございません」

「え?」


「古代魔法を継承けいしょうする神教国が味方に付けば戦争は必ず勝つので信徒国も勝手にしろです。戦争は味方に付きません」


「・・・」


「ハーヴェスが助かる道はカラムを攻めない事ですが、私はそれは許せません。海賊行為で物、金、船、人が沢山の国に売られました。裏で糸を引く海賊行為をさせたカラム王国をつぶさないでどうしますか?そもそも絵を描いたテズ教をつぶさないでどうしますか?ラウム教をつぶさないでどうしますか?無責任に戦勝の神託を出すサンテ教はこんな危機にも対応できないのに宗教国を名乗る資格はありません。世界最強の神教国がつぶします」


「世界最強ですか?」宰相。

「神の国に敵はありません」

「それは本当ですか?」フリップさん。

「お二人誘拐しましたが(笑)」

「王城の結界は?」陛下。


「神のことわりに人が作る物など意味ありませんよ?」


「・・・」


「どうもその辺の教会の神様と間違えてませんか?うちはネロ様ですよ?神様の事は皆さん知ってますよね?」


話しのついでと、ディスりにジャブをかますアル。


「サンテ教もネロ様だが・・・」

「ネロ様より他の物おがんでませんか?」

「他の物とは?」


「喜捨を欲しがったり、地位を欲しがったり、金ピカだったり、色々欲しがるのはネロ様以外をおがんでますね(笑)」


「わっはっは!なるほど!」


「うちは、これだけですね(笑)」


ジャーンと教義本を出す。布教する気満々。


「読んでみますか?銀貨三枚です」

「・・・」


「高くないです、王族も民も同じ値段です」

「・・・」言うほど逆効果な気がする(笑)


「それを心の中で忘れず神に感謝したら良いです」


「神様を教会におがみに行かなくて大丈夫です。神はあなたの心の中にいます。だから絶えず見てくれていますよ」


「私がハーヴェスを好きなのは、ここ二年頑張っている事を神が教えてくれたからです。国が一丸となって民の暮らしを守ろうとしている姿が好きになったからです。大砲に大金を払ってバスティーさんはうちの国との約束通り対海賊の武装商船を作ったじゃないですか。海賊やっつけたじゃないですか。ちゃんと神様が見てくれてるんです。神託が降りたのはそういう事だと思います」


宰相の目がしてきちゃった(笑)


「ハーヴェス帝国には大義があります、海賊行為を裏で画策かくさくしたカラム王国に目に物見せて下さい」


「皇太子殿下!すまぬ!不明な余を許してくれ」


ハーヴェスの陛下が頭を下げてくれた。


「こんな嫌らしいシナリオ書く方も書く方です。餌をぶら下げ誘い込んで袋叩きを行う海賊野郎は許せません」


「カラム王国の処遇しょぐう如何いかがいたしましょう?」


「何も知らぬ民に罪はありません。ハーヴェス帝国がカラム王国に成り代わり税を取って治めたら良いのです」


「それは神がお許しになるのですね?」


「盗賊や海賊という鬼畜きちくやからにやられ黙ってどうしますか?民を苦しめる賊の討伐とうばつ!それは税を取る貴族の務め。宗教国がそれを逆手に取ってシナリオ書いて滅ぼしに来るなら戦争に関わらない神教国が味方になります。サンテ教がその教義本を持って布教に来たら信用していいです。うちにやられて反省すると神の代弁者の初心に返ります」


「サンテ教もですか?」


「布施だけ取ってハーヴェスの戦争をあおり信徒国を増やそうなどと寄生虫のアホも要りません。つぶしませんが欲に目がくらんだ教皇以下をたたきだすだけです」


ALL「(笑)」


「そこで提案です」


「大いにカラム王国を攻めて下さい、他の宗教国及び信徒国は神教国タナウスが全て受け持ちます。安心して攻めて下さい。カラム王族はうちが捕まえてハーヴェスに引き渡しますから黒幕をはかかせて、各国へ広めましょう。広めるのは神教国が広めます。それをもって宗教国の上層部を一新して普通の宗教国に変えます」


「あ!広めるとはこういう物があるからです」


幻灯機げんとうきを出した。


「少し暗くしましょうか」


コアさんとニウさんが動いてくれる。


「これが我が国、神教国タナウスですね(笑)」


メイドがニコニコと太陽の下でキャッキャと遊ぶ映像に皆が心が奪われて作戦会議ではなくなった。


「これ、ココ!一緒に居るのが私の婚約者です」

「ほう!可愛らしい」あ!この人達には孫娘だ(笑)

「さる国の王女殿下と侍女たちが遊びに来た時です」

「皇太子殿下もすみにおけませんな(笑)」

「手をつないで楽しそうに・・・(笑)」


ノックがして執事長とメイド長が見えたと言うので入ってもらった。神教国の皇太子と重要な会議と言われたのになんか楽園の映像見てニヤつく重鎮じゅうちんに驚く。


間が悪いとはこういう事だと納得した。


・・・・


執事長が今日中にサインの書類がどうのこうの言うのを押さえて皇帝陛下が食事を持って来いと言う。食事の時間で使用人がワラワラと騒いでたんかい! でも12時半だった。


1:コアさんをフリップさんの側付きでここに置いて行く。カラム侵攻日までコアさんを入れて作戦会議を行う。


2:皇帝陛下が責任を持って号令を出し作戦通りに侵攻させる。作戦が煮詰まったらカラム王国に侵攻しても構わないがこの四人以外に作戦を話さない。


3:作戦立案は王宮海軍政務武官フリップ・レンドさんが行う。連絡員としてコアさんが一緒にフリップさんと神教国との連携作戦を練って行く。


4:作戦監察官として海軍軍閥の武官バスティー・モンツさんに侵攻部隊に加わってもらう。侵攻時は連絡員としてコアさんが同行し作戦付帯事項の監察と武官の暴走を防ぐ。略奪など勝手な事を絶対させない。


5:神教国皇太子はカラム王国内で予言をもって布教を行う。砲撃でみすみす沿岸部の民の仕事場や家が壊れて難民になるのを防ぐ。


6:同じくカラム王家がテズ教国に逃げ出そうとしたら捕まえてハーヴェスに連れて来る。テズ教とラウム教の教皇も連れて来るので拷問ごうもんでも何でもして殺さずに真相を聞き出せと言う。


教皇を拷問ごうもんしろと言うと皆が戦慄せんりつしたので海賊や盗賊と同じ扱いですよとシレッと言っておいた。まぁ、敵側の指令書や作戦書類があれば全部もらって来る。


皇帝陛下から神教国への見返りを聞かれた(笑)


「友人が遊びに来て褒美ほうびはもらえませんよ(笑)」


「欲が無いと人の世は進まぬぞ(笑)」


「そういう欲があると神託は聞けなくなるんです。その日に家族と美味しく笑って食べる物があれば良い人生が送れます。本当はこういう華美なお召し物も必要ないんですが、対外的に宗教国の信用が無くなるので着ています(笑)」


「サンテ教は大教会が欲しいと言って来るぞ」

「中身が無いと入れ物で格式の高さを示すんです」

「わっはっはっは!もっともじゃ」


「なかなか難しいんですよ。大教会を建てないと職人も育ちませんし彫刻家も育ちませんね。作れば民も神を身近に感じますね、ですから一概いちがいに否定も出来ないんですよ」


「さもあろうな、華美も役に立っておるのか(笑)」

「あ!欲しいものがあります」

「よし!分かった、与えよう(笑)」即決だった!

「教義本の銀貨、お一人三枚ですね」


ALL「(笑)」


「欲のない事だ」


「ですから、私の欲はこっちをちょっと(笑)」

座ったまま、ババッと腕のみで武術の型を披露する。


「それは?」


「政務官が勉強して己を高めるのと同じです。武術で己を高めるのも、職人が仕事で技術を高めるのも己を磨くのに大切な事です。皆さんに説くには蛇足だそくでしたね(笑)」


「皇太子殿下の欲とは己を磨く事か?」


「己を磨けば降りかかるどんな嵐にも耐えましょう。皆さまも覚えがあるはずではありませんか(笑)」


「恐れ入った」


「一つ説法して参りましょう。皆さんご自分の家族を愛して大切にしますよね?神様もそれと同じです、地で生活する人々皆が神の子です、同じ様に愛しています。家族を愛する様に部下を愛して守って下さい。皇帝陛下であれば国に生きる者全てが家族です。愛してあげて下さい、家族を守って下さい。一時の激情に流されず子の失敗を笑って、次は失敗するなと励ましてやって下さい。次には部下は死ぬ気で己を磨いて励むでしょう」


「同じ様にテズ教は十二国の信徒国を持っていますがやはり愛してると思います、信徒国を増やそうと侵略を企んでますから富を愛してるかも(笑) 


少なくても水面下より水面みなもうかがう様に身を潜めて戦争を仕掛けてるので相手国は愛して無いのが丸分かりです。神を説くなら神の愛する全ての民を救う方を優先するはずなのです。そんな安い神をかたる国は眉唾まゆつばです」


「神はそこにある民を全て愛します。そこに国境などありません。何処の国でもネロ様を信じるのに皆は他国の民を嫌い愛しません。いきなり愛するのは難しいでしょう。まず最初は家族を愛する様に周りの人を愛してください。守ってあげて下さい。愛するものが多くなる程、守る者が多くなる程に人は磨かれて神に寄りい祝福されます」


「こんな事をいきなり聞かされても無理でしょうね(笑) しかし宰相閣下には、私を信じてくれていると言い張るバスティーさんがいました。宰相が部下を家族として愛したのではないですか?先程陛下が来られた時にお二人は許しをいました、あの姿は親に許しを得る姿と同じではございませんか?陛下は笑いましたね?あれは親が子を笑う、家族に対する笑いではありませんか?」


「神の愛はその延長の遥か先に有ります。その先とは全ての者を愛すると言う事です。人は神ではないのでそんな事は無理です。でも出来る範囲で努力するだけでも神は喜びます。自分の子がより他の者にも愛される事を神は喜びます」


「部下を愛する事。それは親の愛の様に成長を願い忍耐の上で許しを与え見守る事です。それは子の成長をうながすと共に親も成長するのです。すなわち己を磨く事になります、神のことわりとは教会で教えてもらわなくても、普段の生活の中に隠れている物です。それに気が付く事は教会の神像を拝むよりもよっぽど神が喜びますよ(笑)」


「皇太子殿下、胸の何かが流れてしまった様だ(笑)」

「左様、その様に物事を説明出来るとは驚きました」

「初めて聞くお話でした、ありがとうございました」

「心がけるように致します」


だまされてはいけませんよ。宗教国はこの様なもっともな事を言って為政者をだまして布施をもぎ取りますからね(笑)」


「教会に行くなと言うのは神教国だけだな(笑)」


ALL「(笑)」


「行くなとは言ってませんよ。心に不安がある行きたい人は行けば良いんです。神様の像を拝んで心がスッキリするならそれも武術や趣味と一緒ではありませんか?馬で草原を散歩して心がスッキリするのと同じですよ(笑)」


「これは勉強させて頂いた」


「私は一年に一回ネロ様に感謝の祈りを捧げるだけです」


ALL「えー!」


「それ位で丁度良いんです、どっかの宗派みたいに神様神様とアホみたいに祈らなくて大丈夫です。身体壊したら大変ですよ(笑)」


ALL「・・・」何?そのポカーンは。



・・・・



皇帝陛下が直々に王城の玄関まで見送りをしてくれた。視ると心の底から喜んで、旅に出る子供を見送る様にそうするのが当然の様になっていた。俺としてはこの一件以外付き合うつもりも無かった。そもそもタナウスの場所すら教えてねぇよ(笑)


でも気分が良くて城門前で騎士団が見守る中、やってしまった。


「ステータスでご確認の通り、私の職業は神々の使徒。各国では御子様と呼ばれておりますので以後は皇太子殿下の呼び名じゃ無くても結構です」


「ラムールおうも御子様と言われておりましたな」

「そうですね、この様な格好で街は歩きません」


小可愛こかわいい聖教国の御子服に変わる。


「この様な格好なので民から王族まで御子様と(笑)」

「ハムナイの時の僧衣ですな(笑)」※僧衣:旅のころも


「ですからあなどるとこうなります」


聖教国の教皇セットに変わる。だ格が違う。


「それは・・・ご勘弁下さい」

「何かあったのか?」

「イヤ、それは・・・」


「まぁ良い!業師わざしの早着替えとは全く違うな。古代魔法とは恐ろしいモノよ。他の宗教国には確かに無いの。初めてみる物ばかりじゃ、恐れ入った」


「宗教国はこの様に取り入り布施を・・・(笑)」


ALL「(笑)」


「それでは、うちのコアをよろしくお願いします」

「うむ、分かった」

「コアさんもお願いね」

「かしこまりました」


「作戦参謀の護衛にはピッタリですよ!(笑)」

途端にニウさんにシャドが巻き付く。


にこやかに衆人環視の中でタナウスに跳んだ。


消えた皇太子に、おぉー!と騎士団から歓声が上がる。


「神の国は恐ろしいのう、馬車も要らぬわ」

「真に」

「儂を呼んだ時の眼を見たか?」

「しかと」

「無礼とえたら終わっていたのう」

「・・・」

「こほん!」コアさんが可愛く咳払い。


ALL「!」


「あれほど布施布施言う教国も初めてじゃ(笑)」

「上品に欲しがるより余程良いかと(笑)」

まことに!」

「布施につなげる話術は芸の域ぞ!」


ALL「(笑)」(コアさんも入っている)


・・・・


冒険号に跳ぶと11時。


「ニウさん、ナレスの方はどうなってる?」

「他国の王族と会談のお約束が以前より入っていると」


「最高!ニウさんさすが!」

「ありがとうございます」

「そんじゃ、出来た時間を有効に使わせてもらうね」


コボルさんの執務室に行きニウさんに言う。


「カラム王国の民に分かり易く威圧する艦隊の停泊位置と着弾が派手に見えて街を壊さない砲撃場所の選定をお願い」


モニターが浮かび上がりグーグルマップ的なカラムの大きな港が映し出される。


「この位置であれば隣の街からも砲撃音が聞こえ。最大射程の2km先の稜線に届き街外れの坂を見上げる形で目撃できます」


「これ・・・街は大きいんだよね?」

「最大の港街ルージュです!」

「最高!」


「よし!カラムを攻めて上陸はそこに決めよう」

「一か所でよろしいので?」

「砲撃の一日後にカラム王家が降伏するからね」

「難民も生まれないかと(笑)」

「生まれないなら越した事無いでしょ?」

「ハーヴェスの戦費も軽いかと(笑)」

「ギルドはそっくり頂くつもりだけどね(笑)」

「え?」

「降伏前のカラムから手間賃位は頂くよ(笑)」

「アル様(笑)」


「武装商船艦隊はハーヴェス帰港まで何日?」

「あと二日ですね」

「一月六日に入港で、準備が七日、進軍に七日かな」

「スピードから換算すると進軍は六日です」

「やっぱ一月二十日に侵攻の砲撃だわ」


「一月二十日は急過ぎだけど海賊の寄港地の連絡が途絶えると周辺国まで用意しだすと危ないな・・・でも最初の海賊のアジトをやっつけて三カ月以上経つよな?この時代は何もかもスローだしなぁ。いいや、作戦変更で一月三十日にカラム侵攻の砲撃」


「ネロ様のお言葉は?」


「未来視じゃないって言ったから・・・仮にカラムやテズ教にバレてもこの時代ならすぐに戦闘機が飛んでくる訳じゃないさ」


「その様に」


「艦隊の兵士には二十日間の充分な休暇を、三か月も戦いながら海の上だ。上陸して戦ったのは騎士団だ。海の上はこたえてるはず、たっぷり休ませて英気を養ってもらう。食料も補給地襲って補給してるだろうけど侵攻したらカラム王国住まいだからね、母国の食料を一杯積むように。占領軍で長期に居座って戦後政策のハーヴェス統治国になるからね。まぁハーヴェスなら慣れてるさ。未開国に鞭振って来たんだ、先進国で税が取れるなら無体な事しないさ」


「かしこまりました」


「ここまでシナリオ引っくり返したらテズ教がどう動くか分かんないけど、僕的には侵攻前に王族と教国のアホどもは全部捕まえて砲撃前には全部終わってる様にするつもり。その原案に沿う様にフリップさんに作戦を伝えてくれる?基本はそっくりそのままのカラム王国を頂く無血侵略作戦ね。ハーヴェスも喜ぶよ」


「あ!拿捕した貨物船や海賊の乗組員については尋問は必要最小限に、奴隷にするならご自由に。すべて聞きたい事を僕が話してあげるって言っておいて。このシナリオの全容は分かってる。拷問や尋問に余計な手間使うなら補給や鹵獲品の整理に回した方が得だと伝えて」


「その様にコアに情報共有いたします」

「あ!情報共有はこの船か!(笑)」

「ニウの情報がこの瞬間にもコアに共有されてます」


「コアとニウを分けて良かったよ。同じ人に同じ情報伝えてくれってずっと言ってたと思う(笑)」


※コアとニウはお互いに情報をバックアップする母船のコンピューター一号、二号みたいな関係。


「そうなってましたね(笑)」

「勘違いするから呼んでおく!コアさーん(笑)」

「アル様(笑)」

「笑って出て来るし!(笑)」




次回 236話  略取誘拐の父

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