第304話  職業の宗教国




ナレスの王家と晩餐ばんさんの後、冒険号に行った。コアさんを相手に今回のシナリオのすり合わせをしたかった。


序章:覇権国没落による海賊の跳梁ちょうりょう


一幕:海賊船と寄港地の殲滅せんめつ

二幕:カラムへのハーヴェス侵攻。


交易港へ侵攻したハーヴェス艦隊情報で始まるカラム王族の脱出計画を阻止し、ハーヴェスに降伏させ終戦させる。アルが予言によって警鐘を鳴らして海岸近くの街は職場ごと移民させる。


信徒国が絡むと複雑化する、三幕以下は絶対阻止。


三幕:カラム王族の脱出と周辺国の義勇軍。


四幕:ラウム教のカラム参戦。

テズ教セラス、ヤーリカのモルトへの宣戦布告。

テズ教信徒国によるサンテ教圏国への宣戦布告。


五幕:ハーヴェス支援国三国を手中に収める。


対策は?と言うと一人で考えるには限界もある。


あおる講談師、吟遊詩人に情報を与えない。


一案:神教国の御子としてハーヴェス皇帝に進言する。


二案:カラム王国にお礼参りをしたら反転してハーヴェス艦隊が帰国する。和平講和を受け入れる。


三案:カラム王族が逃げるのをインターセプトする。


四案:王族を捕まえた上で侵攻させ、降伏書に調印させ速攻で終わらせる。和平講和をさせない、義勇兵の決起をさせない。もしくは邪魔をする。


五案:黒幕を全部捕えてタナウスに連れて来る。


六案:一から五の複合案が一番の着地点に思える。


考えるだけで気分が滅入る。


難民が出るからと安易に情報を視に行って闇をのぞいてしまった。視てしまった不穏ふおんな闇のシナリオに、自分まで闇に染まる恐ろしさがあった。教国を守る、信徒国を守る、自教の信徒圏に固執するあまりに民の苦難など考えない連中だった。そんな闇にとらわれた連中に何を言ってもハーヴェスを包囲する袋叩きは変わらない。


ハーベス相手の追い込み漁をダシにラウム教を一枚咬ませ、サンテ教の信徒国を削るのが真の目的だ。五幕が終わるとサンテ教圏はチリウ・クレス・カシャス・ライナと飛び地の二島の極小教圏となる。


テズ教には六つの国、ラズン、モンテーヌ・オラルス・モルト・サロマット・ロドンが信徒国の属国として加わる。


ラウム教にはカラム王国とゴウド王国が信徒国となる。テズ教と違って実入りが少なく見えると思うが違う。


今まではハーヴェス帝国を要するサンテ教との対立など論外だった。近年マジス王国とカムラン帝国が謎の滅亡で消えた。ラウム教の信徒国が十三から十一国に減ったのは大きかった。先細りの中でテズ教と隣り合って未来の無い信徒国争いはしたくなかった。


テズ教と同盟を組みハーヴェスを防ぎテズ教とラウム教で民を二分していたカラム王国とゴウド王国をラウム信徒国に出来るなら上出来だった。ハーヴェスがカラムに負けるとカラムは二国になるのだ。実質三国の信徒国が得られる事になる。


宗教を職業とする。そこには市場を締める占有率がモノを言った。顧客こきゃくつかまないと売り上げは伸びない。限られたパイの中で人気を得ないとじり貧で増収は無い。今のラウム教がその状態だった。


職業となった宗教。


職業の宗教はどこを向くかだ。神に向くのか、為政者いせいしゃに向くのか、民に向くのか?


・職業の宗教が民に向くのは怖がらせる宗教。


世の不幸や不安をあおり、安心の元を売るお札、開祖の絵、幸運の壺。他の宗教を全否定し他の宗教に入ると地獄に落ちるという系(笑) なぜか普通に幸せに生活してる異教の者を目に入れないし説明義務を果たさない。


・為政者に向くのは権威と後ろ盾を元に集金。


戒名と法要が高い系の宗派だ。どこも権力者の庇護を受けたと大威張りだが、その影に財を納めた民衆がいた事を語る寺社は無い。現代日本では税法で優遇を受け、寺社だけが優遇は不公平だと新興宗教も何もかも宗教を語れば宗教団体だ(笑) 法要に使う理由があれば経費でお高い車に乗って、檀家だんかからせしめた金を回してし多角経営。黒服を引き連れミナミで遊ぶ生腐れ坊主の根源だな。


・神に向くのは精神世界や本や映画や奇跡に行く。 


興行して信者を集める。講演会で教祖、教会、寺グッズを良く出す。『そうだ!参りに行こう!』キャンペーン。信者Tシャツも多い。最近では羽振りの良い他教の商売を真似て多種多様の布施を取るハイブリッド型宗教も多い。


異世界も丸々一緒だよ。


何世紀も遅れてる筈なのに一緒の集金システムだ。為政者に教会を建ててもらい無税で説法し権威を見せ付ける。このお寺は家康が建立とか秀吉が建立とかと一緒。教皇の金ピカさを見せてあげたい、教団の紋章の金ピカ馬車。ミスリルの錫杖にデカい属性宝石乗せて、キラめく王冠だよ。何処が神を説く姿やねん!バシ! 


俺が神なら一番先にばちを当てに行く。


視えるんだからしょうがない。


視える俺が宗教やって同じ事したく無いからこうなってる(笑) 無償奉仕だぞ!マジ新年から何やってんだ俺?


アル蔵心の葛藤かっとう


善アル(お前、毎回手数料もらうよな?)

悪アル(悪い奴から貰うなら良いんだよ)

善アル(手数料取るならビジネスじゃねーか)

悪アル(悪銭を代わりに使ってやるんだよ!)



脱線した・・・。

そんな延長線のを仕掛けるシナリオを描くテズ教国とラウム教国。


考え込んでいたらコアさんに質問された。


「アル様はハーヴェスが好きなんですよね?」

「直球過ぎるよ、コアさん(笑)」

「私の予測をそのままお聞きしました」

「うん、ハーヴェスを守ってあげたい」

「お手間ですが、複合案が一番良いかと予測します」


「コアさんなら手順をどうする?」


「アル様が思う通りが一番かと思います」


「僕はこんな感じが良いかなって思ってる」


・ハーヴェス帝国と神教国の同盟。

・カラム王国への予言と避難民の誘導。

・カラム王族の誘拐、早期降伏の実現。

・カラム王によるテズ教、ラウム教の陰謀暴露。

・二教国首脳の即時解体、神教国による傀儡かいらい化。

・シナリオに乗った国への懲罰ちょうばつ

・カラム王族、テズ教皇、ラウム教皇のハーヴェス帝国への引き渡し。


「急所は押さえてあると思います」

「まぁ、そんな所が決着だよね(笑)」

「今の情報ではそれ以上は不確定過ぎます(笑)」

「コアさんにその言葉を言って欲しかったと思う」

「そうなんですか?」

「不確定な事が心配で寝られない(笑)」

「アル様の用心深さは分かります」


「これ以上は何時いつ王宮のアホになるから考えない(笑)」


「論理的な引用でございます(笑)」

「論理的かなぁ?」


「選択の道が多岐に渡ればその先は蜃気楼しんきろうです。蜃気楼しんきろうを見て足が止まっては選択の道にすら到達しません、とても論理的でございます」


「導師のが証明されてる!(笑)」

「そうでございましょうか?(笑)」

「足が止まって進めない所(笑)」

「見ない事には予測も進路も見えません(笑)」



「ありがとう、よく眠れるよ。タナウスに帰る」

「お休みなさいませ」

「おやすみなさい」


・・・・


1月4日(光曜日) 5時。


起きるとそのまま冒険号の居住区に跳ぶ。

顔を洗って恩寵フル装備確認。神教国御子服に着替える。コアさんとニウさんを呼んで今からハーヴェスの皇帝に会いに行くから護衛を頼んだ。


「最初にハーヴェスの伝手から行くね、軍事諜報部のTOPのバスティー・モンツさんって大砲売った時の偉い人に会う。バスティーさんも皇帝も用事とか視察で不在も有るから皇帝陛下に神教国が接触したいと伝言だけでもお願いする」


「かしこまりました」


恩寵GPSで検索するとハーヴェスにいる。


「行くよ!」


シャドが二人を巻いた途端にハーヴェスの山に跳んだ。


タナウス5時>ハーヴェス8時


中腹に跳んで俯瞰ふかんし、もう一度追視。


「ハーヴェスの軍港だね」


職務も変わってお偉いさんになってる。


軍港守備隊の門に現れる皇太子様一行。今日は陽光を浴びて一際まぶしい神教国の御子服だ。俺の格好を見た守備隊員がすぐに守備隊長を呼んで来る。


「私はハーヴェス帝国に対海賊船用の大砲を納入した神教国タナウスからやって参りました。作戦本部のバスティー・モンツ海軍政務武官とお会いしたいのです」


守備隊長が指輪をじっくり確認して皇太子と気が付いて驚きながら部下を使者に走らせ、守備隊の応接室でお茶の接待を受けた。


しばらくするとバスティーさんが供回りと共に凄い勢いで守備隊事務所まで馬で走ってきた(笑)


「皇太子様!」


扉を開けながらの叫びで周りの守備隊がマジ驚く。


「お久しぶりです(笑)」ぺこり。

「今日は、如何致いかがいたしましたか?」

「ハーヴェスの危急に参上しましたよ」


「危急とは?」海賊討伐の報告がまだで驚く。

「お人払いを」目で促す。


守備隊は出て行ったが供回りはそのままだ。


「供回りの方もお願いします、今から皇帝陛下の耳に入れに行きますからね、それ程の危急です」


「なんと!ハーヴェスの危急なのですか?」

「そうです、神託が降りました」


二人が驚いて顔を見合わせる。


バスティーさんが供回りを思い出して目で促す。


供回りが部屋を出た瞬間に遮音しゃおんの魔法を掛ける。


「ハーヴェス帝国が三年以内に滅ぶと聞いたらどうします?」


「え!」みるみる間に不機嫌な顔になって行く。

「そう思われるでしょうね(笑)」


「これを見て下さい。宗教国の御子とはこういう者です」


ステータスを見せた。

バスティーさんの目が釘付けになる。


「本来、宗教国の教皇とは神の代弁者です」

「・・・」

「神が仰る事に異議を唱えても仕方ないですよ」


「私はどうしたら?サンテ教国は何も言っておりませんぞ・・・」


「神の御言葉を聞く者がいないのでしょうね、宗教国も欲に溺れるとそうなってしまうのです」シレっとディスる。


「・・・」


「私は実を言うとハーヴェスが好きです、信徒国ではありませんが、そこには努力があり誇りがあります。今を生きて歩む姿があります。民をやすんずる国が私は好きです」


「ありがとうございます」


「あなたがハーヴェス帝国の為に命を掛けて、私を皇帝陛下に謁見えっけんさせてくれると信じます。あなたが望むなら神教国はハーヴェスを救います」


目を見て言う。


「それでは遮音しゃおんの魔法を解きます、供回りの方も一緒で構いません、王城に参りましょう」


「海岸から王城までかなりあるのです」

「関係ありません。神の御業があります」


「王城へ行けますか?」

「危急ならば!」

「行きますよ!」


シャドがたちまち四人に巻きつく。


9時。


王城郊外の城壁横に跳ぶ。バスティーさんの記憶のままの場所に跳んだ。二人は目をパチクリする。


「神の御業・・・」


しばらく王城を眺め、辺りを眺めてバスティーさんがハッと気が付く。


「ユフィー!宰相閣下に謁見えっけんの先触れに走れ、皇太子殿下のご案内は儂が勤めて王城まで同道する。口上は、ハーヴェスに大砲を供給してくれた神教国タナウスの皇太子殿下が王城に参られた、全ての職務を投げ打っても会わねばならぬと伝えよ!」


「は!」走って行くユフィ―さん。


「皇太子様、宰相閣下は私を信じてくれております。宰相閣下が納得するお話であれば、陛下の予定をずらしてでも必ずや皇帝陛下に謁見えっけんかなうと思われます。手順がございます事を御承知下さいませ」


「いえ、バスティーさんは流石ラムール会長が取引をした方だと感じました。この話に猶予ゆうよは無いのです。一番の近道を指し示して頂くために、縁をたよってまいり正解でした」


「お褒めに預かり光栄です」


会話を楽しみ時間をつぶしながら王城前に来ると、先触れが叫びながら通ったお陰で王城の入口まで守備隊と騎士団が整列して正面に執事長とメイド長がそろって出迎えしてくれていた。


皆が驚く。凄まじく高貴な格好の皇太子が楽しく笑いながら歩いてくるのだ。こんな珍妙な他国の皇太子は初めてだった。リズを追ったギブラルの王太子の大名行列、その規模で通るのが普通の王城の花道なのである。


馬車も御者も執事もメイドも同道しない皇太子が護衛の男女騎士だけを連れて歩く。堂々と何も恥じる事無く、話しながら笑って歩いて行く。横に付き従う者はバスティー・モンツ海軍政務武官(伯爵)ハーヴェスで一番権力を持つ海軍軍閥の将官(海軍作戦本部のNo2)だった。No2たる由縁ゆえんは神教国との大砲取引を成功させ、海軍政務武官の諜報部TOPから引き上げられたからである。あれで散々だった海軍のメンツが立ち、今では海軍閥の政務文官と政務武官から祭り上げられた地位だった。


パールホワイトに輝く光沢のチュニックに袖広のダルマティカ。右肩から斜めに左の肘に抜けていく片流れの金糸のマント。勲章(宗教国の紋章型)は六つ付いて頭には小さなクラウン。左手にはデバイスモード錫杖を持っている。居並ぶ各国の王族を見てきた騎士団の者もこれほど高貴な皇太子を初めて見た。


・・・・


執事長とメイド長が案内する貴人の控室。

バスティーさんはそのまま執事長に別室へといざなわれた。


王城第一級の部屋だった。国の規模が違った、覇権国家だったのだ、全てがヴィクトリアン調とは言わないが、あっちの世のイギリスやポルトガル、スペインなどの覇権を取った事のある国々の王侯貴族の栄華を示す部屋だった。


負けずに光輝く身なりのアルにとっては豪華な椅子も風車亭の椅子メルデス食堂も同じ椅子に過ぎないのが風刺的だ。


メイドが出してくれた美味しいお茶を頂き宰相に呼ばれるのを待つ間、根性入れろ!と気合を入れたアルには言霊が乗り移っていた。本気度が分かる人間に通用する気迫と眼力と心底からの過重とも言える言葉。それはリノバールスに捕らえられた獣人を保護する為に聖教国の打席に向かったアルだった。


10時過ぎに執事さんが呼びに来た。


バスティーさんに用件を聞いた宰相。

ハーヴェス帝国の危急を知らせに来たと言う皇太子にとにかく会おうと宰相が前向きになっているのを視た。


・・・・


案内されたのは宰相の執務室の応接だった。


「神教国タナウス皇太子のアルベルト・ド・カミヤ・メラ・タナウスです」


「ハーヴェス帝国宰相のベア・プレースと申します」


「無作法な訪問をお許しください」


まずは掟破おきてやぶり的な訪問の非礼をびておく。


「何か危急の用件にて皇太子殿下は参られたとか?」

目配せをするとメイドの所作を待つ宰相。お茶を入れ終えたメイドに誰も部屋に入れない様に言い付ける。


一応遮音の魔法を内緒で掛けるが掛からない。まぁ俺の眼はごまかせないので確かめただけだ。


「ベア宰相、一つお約束を願います。これから聞く話は四人にして下さい。その中に皇帝陛下もバスティーさんもベア宰相も入っております」


「ネロ様に誓って約束しましょう」

「まず私のステータスを見せておきます」


「よろしいので?ハーヴェス帝国を助けて頂いた神教国タナウスは疑う相手ではございませぬが」


「私が虚言きょげんろうすると正気を疑われます(笑)」

「ははは、皇太子殿下もおっしゃいますな(笑)」


「これを」

「な!まさか!この様な」


「神の神託が降りましたが信じますね?」

「はい。何でございましょう?」

「三年ほどでハーヴェス帝国は滅びます」

「ご冗談を(笑)」


「冗談を言ってますか?そう見えますか?見えるならあなたは宰相失格です。皇帝陛下を呼びなさい」


とんでもない威圧で宰相が驚く、目の前に居るのは子供だが皇帝陛下に勝るとも劣らぬ威厳を兼ね備える者だった。


「失礼いたしました」

「今、海賊討伐に行っている艦隊がございますね?」

「なぜそれを!」


「見たではありませんか、私は神の代弁者ですよ。宗教国とはそもそも神の寵愛ちょうあいを受ける者の国です。神が神託を下すのに知らない事がおありだと思いますか?」


「サンテ教は・・・」

「神託も無い国などどうでもよろしい。欲にくらむと神の寵愛ちょうあいは無くなりますからね(笑)」


頭が瞬時に切り替わり、艦隊を失ったと心配している。


「安心して下さい。海賊のアジトのあった寄港地はすべて討伐されたと神はおっしゃってますよ(笑)」


「皇太子様は・・・」そうだよ、視てるよ。

「神は何でもお見通しですよ(笑)」


ベア宰相とバスティーさんは心底から俺を恐れた。


「お二人とも怖がらなくていいですよ、助けに来たんですから怖がられても困ります(笑)」


「何を助けて頂けるのでしょうか?」


敬語になった(笑)


「ハーヴェスの滅びを助けますよ(笑)」


「何で滅びるのでしょうか?」

「侵略予定のカラム王国を攻めると滅びます」


「え!」途端に正気になった(笑)


「皇太子さま、どこでそれを!」


「やだなぁ神託ですよ。だから滅ぶって言ってるのに」


「・・・そんなバカな!」


「あり得ません!負ける要素が無いんです!」


「神託をお疑いですね?」


「・・・」


「それは余りにも我が国の海軍力を・・・」


「まぁそうでしょうね、私もある程度は視えますがまさか神託でハーヴェスが!それどころかモルト・サロマット・ロドンまで無くなると聞き耳を疑いましたからね」


「無くなる?我が国が、あはは!(笑)」

「その三国も一緒にですかな?(笑)」


「バスティーさん、あなたは供回りと一緒に奇跡を見ましたよね。二人共私の加護も見ましたよね?」


「神を信じないアホが二人居ても役立たずなので皇帝陛下に来てもらいましょうかね」


一瞬でシャドが巻く。その場に跳んだ。


11時。


皇帝陛下が豪華な羽ペンを持ったまま現れた。


陛下をにらみつけながら言う。


「神教国タナウス 皇太子アルベルト・ド・カミヤ・メラ・タナウスです。お初にお目に掛かります」


「皇帝陛下申し訳ありません!」


二人が平伏す。


「皇帝陛下、失礼いたしました。ハーヴェス帝国の危急を・・・」


「なんだ、これは?二人共どうした?」


「失礼しました、続けます」無視してかぶせる。


「ハーヴェス帝国の危急を知らせに来て余りにもバカにされたので上司の皇帝陛下にお聞きいたします。このアホ共は役に立っておるのですか?神教国タナウスの皇太子を迎えるに非礼な者ではありませんか?」


「わっはっは、えらい言われ様じゃな(笑)」


「儂はハーヴェス帝国皇帝フランク・ル・ヴィッヒ・ラ・ハーヴェス三世だ。部下が非礼を働いたならびよう」


「皇帝陛下、先程名乗りましたが今一度。神教国タナウス皇太子アルベルト・ド・カミヤ・メラ・タナウスです。お初にお目に掛かります。陛下のびは受け入れましょう、今一度ベア宰相にチャンスを与えます」


「お聞きします、神が神託を下しハーヴェスが三年で滅ぶと言っているのに、あなた方は信じられないと笑う。うちから大砲買ったでしょ?火薬を調べて到底作り出すのは無理だと知ってるでしょ?うちから買った大砲振り回してる国がどうして滅ばないと笑えるんです。今笑ったせいで助けに来た私の機嫌を悪くする。そして三年後に滅ぶ道を選ぶ。国を守らぬ宰相の価値が何処にあるのか返答をお聞かせ願いたい」


傍目はために凄い怒り様だ。


「おぉ!うちに大砲を売ってくれた国か、世話になった。お陰で海賊被害を無くすことが出来た。世話になったな」


「いえいえ、海賊から民を救うなら協力致します。大、中、小の二門づつなら三十隻は作れましたよね?」知っているが聞く。


「どうなのだ?そうなのか?」

「三十隻が七月末に武装商船として就航しております」

「だいぶ被害が出たからのう、助かったわ」

「本音のお言葉に感謝いたします」


「して、ベア宰相。返答は如何に?」

「申し訳ございません、二度と出過ぎた口を挟みません」

「分かればよろしい、帝国を守る気があるのですね?」

「勿論でございます!」


「分かりました、行き違いはあったようですが同じ方向を向いているなら神教国タナウスはハーヴェス帝国を守りましょう」


「先程から滅ぶとか、助けるとか。それ程の危急があるのか?現在の海軍の作戦行動は失敗したのか?」


「丁度陛下がいらっしゃるのでお話を致しましょう」

「あ!最後の方を神が呼べと仰ってますね」


海軍政務武官(作戦参謀のトップ)をシャドが巻いたのでその場で跳んだ。


「それでは始めましょうか」


皆がキツネに摘ままれた。




次回 235話  無血の侵攻作戦

---------------


この物語を読みに来てくれてありがとうございます。


読者様にお願い致します。


応援ポチ。☆も頂けたら嬉しいです。


ポチをしてくれる事。それはとても励みになるのです。


一期一会に感謝をこめて。よろしくお願い致します。


               思預しよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る