第294話 女王蜂の微笑み
12月27日(光曜日)
サルーテからハウスに帰る前にパーヌに寄り小壺~大壺を仕入れてオットー商会に顔を出す。
「オットーさん!ナレスに納品ありがとう」
「商会の全力で黒ウサギの皮を揃えました(笑)」
「代金はもらった?」
「はい、済んでございます」
「これ、異国のお菓子と肉、針子さんに分けてあげて」
「ありがとうございます」
「大商会の当主なんだから年末年始にリリーさんの所に顔出せばいいのに(笑)」
「商談のついでに度々寄っておりますので大丈夫です」
「そうなのね、孫もいっぱいだと大変ね(笑)」
「今はそれが楽しみでございます」
・・・・
第12開拓村に寄った、すでに村長の名が付いている。
ロセとミニスに会いに行ったら両親のセロスとジェーンが出て来た。村の広場に行商が寄っているとの事でロセとミニスは見物だそうだ。村で分けてと両親に肉を渡して見に行った。
34戸150人弱の村にやってくる行商は生活雑貨を売りに来る行商だ。安い豆菓子や飴、綺麗な小箱、木彫りの人形、髪飾り、
広場の中心では行商の若い衆がお菓子を買う子にボールのジャグリング芸を見せていた。ロセー、ミニスー!と寄って行ったら、20人ほどの子供が水飴を舐めている。お前も見るなら賎貨3枚(30円)の水飴買えよと子供達にジト目で見られる(笑)
行商がすぐ近くで馬車3台の露店を開いて、客寄せのハンドベルをカラーン、カラーンとたまに鳴らしてる。若い衆の方へメイドと執事を連れた貴族の子が近付いたと見て顔が引きつっている。こんな田舎の村に居てはいけない存在だ。
子供達のジト目に苦笑しながらジャグラーのお兄ちゃんに銀貨3枚(3万円)渡して子供達にもう一本の水飴と、以後は広場に来た村人全員に水飴配って見せてやれと言うと子供達の目が点になった。
「アル兄ちゃん!」
「アル兄ちゃん、来たの?」
「村に肉持って来ただけだ、父ちゃんに渡したからミニスとここで好きなだけ見せてもらえ、もう一本忘れずにもらえよ(笑)」
「ありがとう!」
「うん!」
新年明けたら成人のロセが棒に付いた水飴を
俺もコアさんもニウさんも
水飴は日本の黄金糖の濃い色でクランで飴屋のゼスが作っている。孫のイース(6)がクランの子供と遊ぶときにコップ半分の水飴をもらって子供達で棒で
・・・・
ロスレーンに寄った。例によってお爺様にしか会わない。執務室の応接に跳び、コアさんとニウさんを仕舞ってドアをノックする。この登場は俺しかやらないのでお爺様も慣れたもんだ。俺が応接からノックで入って来たので
「お!来たな?アル」
「何かありました?」
「8~10月に街路灯の追加注文が各領から入ってな。早急に聖教国の魔法士に連絡を取るが設置は来春になるとの約定付の契約書を送ったら各領より12月に契約書の返信が届いた。来春までの受注は済んだので伝えようと思っておった」
「はぁ、追加注文ですか?」
「ちょっと待っておれ、シュミッツを呼んでくれんか?」
コレットが出て行ったが廊下で応接室の廊下側に扉が無いのを確認してから呼びに行った。貴族家の隠し扉?と壁まで触って超考えてた!(笑)
その辺の椅子に腰かける。
「忙しくてシュミッツの休暇がまだ取れぬでな、ライツ湖へ行くのは春先以降になると思う」
「まぁ、仕方がないです。サルーテが動いてますし」
「しかし、別荘に代官を招くのは良いな」
「良かったです?」
「湖畔を見ながら代官と会話する食事がな」
「良かった!」
「アランとエレーヌも喜んでおった」
ノックがした、ジャネットもシュミッツと一緒に来た。コレットと交代したみたいだ。
「シュミッツ、街路灯の追加分の取りまとめをアルに渡したいのだが出るか?」
「は!ただいまお出しします」
壁の書類入れに向かうシュミッツ。ジャネットはお茶の用意をしてくれる。
「追加は多いのです?」
「追加分も特産が売れるのが分かった様じゃ(笑)」
「分るでしょ?あはは!(笑)」
「街路灯と特産と交換で喜んでおる(笑)」
「お互いに喜ぶなら良い取引です(笑)」
「そうじゃな。今回は領主の庭園と別荘分も多いぞ」
「分りました、新年に御子服で行ってきます」
「すまんな」
書類入れから出したシュミッツが発注書をくれる。発注書を仕舞ったらお茶が来た。
「その位しか役に立ちません。他領の執政官も多くてなかなか姿を見せられません」
「おぉ!サルーテの流民は見事にまとまったな?」
「え?」
「ミウムの元締めを呼び込んだろう?」
「あはは、解りました?」
「領都の元締めから
「えー!すみません」ぺこり。
「良い!サルーテ建設の一番乗りでミウムが動いておった。ミウム伯は儂の
「ありがとうございます」
「その・・・
「シュミッツがの(笑)」
「あー!ビックリした!(笑)」
「まぁ、お主が2月に言った事にも合点がいったわ」
「あはは」
「元は儂が流民はお主に任すと言っておるしな(笑)」
視たら、他領の外道を
「流民相手の服飾の露天商を
「話を聞くと、
「オスモに聞いたぞ、派手に討伐しとる様じゃの?」
「まぁ、そこそこに・・・」
ジャネットがプッ!と笑った。視たら知ってやがる。
「1600人も狩ったそうじゃの?」
1553人だよ、増えてるよ。モルドの588人はバレて無い。
「いやぁ、それは
47人は随分と多い。
「ミウムの盗・・・」
「あ!そんな話じゃないです!これ!持って来ました」
執務室にブランデーの500リットル樽をドンと置く。
「・・・」
「ナレスの酒500リットルです、年末年始に・・・」
#「ここに置いてなんとする!」
「あ!ですね(笑)」
樽を持って調理場の裏に跳んだ。いきなり調理場の裏口を開けてバルトンに言う。
「バルトン!ナレスのブランデーの樽どこに置く?」
「アル様?・・・」
「コレ!これ見て!
「・・・地下室にお願いします」
地下室に置いて速攻でハウスに跳んだ。シュミッツが調理場にアルを探しに来て、バルトンに地下室と聞き、踏み込むと酒樽だけでアルはいなかった。
すぐ追手が放たれて危なかった!片眉がピクッと上がったぞ。ミウムの盗賊の話になる前にぶった切って正解だ。オスモの野郎もミウムの盗賊は烈火のごとく怒ったしな。
あの爺ぃ・・・。お爺様はスイッチ入ると引かねぇからな。他国の領主を奴隷にしたのまで知ったら手討ちにされる。
オスモさんが冗談でも言えない訳だ(笑)
当分実家は鬼門だな。
・・・・
ハウスでアロちゃんから今日の情報を聞く。
お風呂を入れてもらってる間に明日のダンスパーティー用、白の貴族服に変えてフィオちゃんに見てもらう。
後ろ髪と耳横が少し長いらしいので合わせて全体の髪を減らしてもらった。
「今日コアさんから聞いた?」
「ナレス王家のタナウス訪問ですか?」
「それそれ!」
「日にちは聞いてないですね」
「新年2日か3日かな?転移先は大陸交易・・・」
「お昼前に王宮馬車は手配しております」
「あ!ありがとう」
「あと何かあるかな?」
「準備はアルムハウスの横の伯爵邸でよろしいですね?」
「うん、それで!」
お風呂から上がるとソーダ水を出された。
今日はクリームソーダは重いかな?と思っていた気分を完全に読まれてアロちゃんに負けた気がした。
・・・・
12月28日。
朝5時に起きて、外に雪がちらついていたので玄関ホールで型をやったら
この一歩の動きを足から波動で伝えて捩じりと螺旋を乗せて打ち込む鍛錬は体が覚える類の大事な本質部分だ。時間が少しでも許せば、気が付くとゆっくりと型を行っている。今日は15時にナレスに行くつもりなので時間はある。外は寒いので冒険号に行った。
さすがの冒険号の格納庫。どんな一歩を刻んでも安心だ。ただし床下も空間なので太鼓?のように音は響く。寺の演舞場も踏みしめられてカチカチだがこの格納庫には
ダン!
タン、タン、ダン!ダン!
タン、ダーン!
ダン!
タン、タン、ダン!ダン!
タン、ダーン!
ダン!
タン、タン、ダン!ダン!
タン、ダーン!
ここ良いわ。ダイレクトで分かり易い。近所迷惑も何も気にせず入り込める。
より体に落とし込む為に、ゆっくりゆっくりと波動を意識して
ドン!
タン、タン、ドン!ダン!
タン、ドーン!
ドン!
タン、タン、ドン!ダン!
タン、ドーン!
一心不乱、良い感じと思ったら何度か確かめながらの型使い。視たイメージ上の形はすでに師兄と形は同じ、波動と捩じりが合わない、形は一緒でも体の内部を通る力が薄い。体重どころか自然の力を利用して星の重さを拳に通せとかアホみたいな事言うけど要するに力の伝え方が悪いのだ。
人間の身体の60%は水って言うから波動も水系の波動とかあるのかなぁ?と並列思考で考えて行く。
波動、波動と言われても言葉と形では分かっててもなかなか体現出来ない。体を波動が通ってる感じが薄い。
波動って何だ?伝わる波だな。伝わる波って何だ?タナウスに打ち寄せる波を思い出した。単体では無い沖からとめどなく流れる様に打ち寄せる波。
最初は小さい山で、砂浜に近付くにつれ山が大きくなっていく、大きく大きくなっていく。まだ崩れない、限界まで耐えるそれは爆発を溜めている波、溜めるのが捻じりだ。そのまま行かない、そのまま行くと崩れちゃうから捻じって螺旋に力を逃がして絞り切る。もう限界となった頂点で波は崩れる。絞り切った力を波と一緒に開放する。
ドン!
タン、タン、ドン!ドォン!
タン、ドォーン!
ドン!
タン、タン、ドォン!ドォン!
タン、ドォーーン!
ドン!
タン、タン、ドォン!ドォン!
タン、ドォーーン!
格納庫に響き渡る音に気が付いた。波になり切れば反響音が良かった。波はゆっくり静かに列を乱さず岸に近付き、足から腰へ巡った波を崩さず腰と肩と肘の捻りと捩じりに溜めて溜めて崩れる波として打ち込む。
ドン!
タン、タン、ドォン!ドォーン!
タン、ドォーーーン!
これか?波動が乗る感覚。力が乗る感覚はこれか?掴みかけた
何度も確認しながら波になった。波の型を繰り返した。同じ力を同じ様に伝えて捻じって溜めて放つ繰り返し。一心不乱にやっていると動作が早くなっていた。早くなっても踏み込む足の音は同じ。
同じ出力を出していた。
ドン!
タン、タン、ドォン!ドォーン!
タン、ドォーーーン!
踏みしめられた地面では聞こえない音だった。宇宙船という区画を仕切られた壁の中だから音が反響し同じ威力と教えてくれる。これは間違って無い。この型の中に本質があることを確信した。
気が付くと先程朝食を気にした8時から3時間経って11時になっていた。肌寒い中アルの体からはモウモウと湯気が立っていた。
ハウスに帰ると風呂が入れてあると言う。
アロちゃんが湯浴み着で入って来てビックリしたがダンスパーティーなので体の香油や髪のオイルも用意してくれてた。マジありがたい。脳筋過ぎて気が付かないよ。
お風呂から出たら爪の手入れから産毛から全部やられ卵肌のお坊ちゃんの出来上がりだ。鏡を見たら髪の毛が眩しいほど光る。
ニウさんとコアさんを出してナレスの王城に行くから護衛でお願いして貴族服の男装になってもらう。部屋に行ったら執事とメイドでお願いしておく。
昼食が出て来た。集中しすぎて朝食も食べて無かった。
食事を食べてたらイコアさんから通信が入った。
結核セロンズとマリアンナ夫婦が2位になったそうだ。クラン一の高給取りになったな(笑) 序列の名札を夫婦で2位の末席に、来月から銀貨5枚俸給アップで、うちは育児休業制度ありだから俸給に見合った数の子供作れと伝えてもらった。
リネとマルス(子ぎつね)もそろそろ4位じゃ無いのかなぁ?下が上がって来るなぁ(笑)
「アル様、少し早いのですが時間が有るなら思考
「あ!コアさん、是非お願い。時間までお願い」
「かしこまりました」
・・・・
15時にナレス王城にコアさんとニウさんを連れて跳んだ。礼儀は大事なので第二ゲートに現れると門番に手を上げた。皆一斉に敬礼した後に門を開けてくれる。やっぱ顔パスって安心するなぁ。
王城に入った所にメイドさんの詰め所がある。
手を上げて顔を見せるとスススとメイドさんが露払いで先頭に立って勝手知ったる部屋まで連れて行ってくれる。
「ありがとう、後は勝手にさせてもらう」と下がってもらう。
ニウさんとコアさんが部屋に入って執事とメイドに変わってくれる。この体制が一番落ち着く。
「今年も演劇を見たいから演目見て来るね」
「行ってらっしゃいませ」
冒険服の帯剣に着替える。
「コアさん達も見る?」
「アル様の観測で見えております」
「あ!そっか!そんじゃ行って来る」
「お気を付けて」
街に出ると寒いんですが・・・日陰に雪がだいぶ積もってるよ。去年の大店に行って見ると、なんか用意してない・・・あ!事務所に移転したな?走って行くと立派な芝居小屋になっていた。芝居小屋の上下に子供用人形劇や紙芝居な一人講談?もあった。
「コアさんいる?」
(なんでしょうか)
「芝居小屋の上と下に人形劇と紙芝居あるけど見る?」
(是非!)
「そんじゃねぇ、こっちでメイドのルナ出して見せるね」
(お願いします)
2Fの芝居:1:ナレス建国 2:三銃士 3:恋物語 4:戦乱 5:誓いの騎士・・・ガーン。新年は同じ定番かよ!ただでさえ寒いのに通ってられるか!日本もそうだったわ、年末の忠臣蔵や紅白→ゆく年くる年→生サダを思い出した。去年も満席だったし、リズは知ってても楽し気に見てたし定番なんだろうな。まぁ、長い付き合いになるかも知れないからゆっくり知ればいいや。
3Fの人形劇が3幕15時40分から16時40分。
1F の紙芝居が4幕で15時30分から16時30分。
階段下の空きスペースでルナとジュピターを出し同時に鑑賞させる。二人に録画してもらえたら演劇も好きな時に・・・ダメだ!そんなのはダメだ。使えば最初の誓いがグダグダだ。ただでさえ魔法に見えたらOKと超科学にすり寄ってるのに。
紙芝居の10分前になったので人形劇の席札を買ってお菓子代を渡しても使わないだろうから待合の店で買ったお茶とお菓子も渡してジュピターを3Fに置き、ルナと1Fの紙芝居を見に行く。紙芝居の席札が高いのが気になった。
紙芝居じゃなかった、もっと高度な吟遊詩人の
・戦場へ行軍する最中の兵士の独白と上官や国に対する風刺で笑わせたり、親を語って子を語り観衆を泣かせる。吟遊詩人と喜劇の合体?ミュージカル風に吟遊詩人が伴奏で歌いながら講談する感じ。
・ダンジョンでPTとはぐれてしまった冒険者の嘆きと
・ある用品店の小僧のつぶやき。平民相手、貴族相手、王様相手で色々な悲哀と笑いがある、日常に普通にある悲哀と笑いを歌う。
・幼馴染との回想と思慕、離れて思う心と現在の自分の落ちぶれた境遇。そんなままならない人生を認めて歩いて行く姿を歌う。
4幕と言うのは劇団がやっていた様な起承転結じゃなかった。劇と吟遊詩人の中間に位置する独り舞台だった。ファンも多いみたいで平日なのに観客も多くて拍手も多かった。
これは人の感情に訴える部分が多いからなぁ、メイド達みんな感情を理解したかな?(実際は母艦のコアが分かれば、全部の艦がデータを共有するのでコアが理解するかに掛かっている)
ジュピターが人形劇の3Fから出るのを待合室で待って気が付いた!ルナに何も買って無い。慌てて同じものを待合の店で買って飲みながら俺も摘まんで待ってた。
・・・・
16時40分。ジュピターが出て来たので合流する。
階段下でルナとジュピターをインベントリに仕舞う。どんな絵面だ!ホラーだな。
「おかえりなさいませ」
「ありがとう、行ってきた」
「先程ナタリー様が見えました」
「何か?」
「焦った様子でアル様をお待ちでした」
呼んでみた。
「リズ? なんか用だった」
(何か用ではございません!もう1時間と少しです。ダンスの合わせをしておこうと思ったのです)
怒ってる!
「分かった分かった!今から行く!」
リズの大きな部屋で演奏隊がスタンバイしていた。
「ごめんなさい、みなさん」
「(笑)」
ギャラリーなに笑ってんだ。
「アル様!アル様は謝ってはなりません」
「だって悪い事したら謝らないとダメでしょ?」
「・・・」ポカーン。
みんなしてポカーンじゃねぇよ(笑)
「さぁ、合わせますよ」
「はい」
「(笑)」ギャラリーなに笑ってんだ。
「アル様!はいと言われたら私が命令してる様に聞こえます。その様な時はそうだねとかの言葉で良いのです」
「はい、ごめんなさい」ぺこり。
「(笑)」 ・・・?
「あ!ごめんごめん!もうしない。ってまた謝っちゃった」
「(笑)」 ギャラリーなに笑ってんだ。
曲がやっと演奏された。
30分程、色々な曲調を少し踊って終了。
もうリズがドレスの用意なんだって。
・・・・
18時にダンス会場へリズを伴って行くと去年より凄いんじゃないかという熱気。これ結婚するまでやるの?まぁいいや、そういう役だ、役になり切ろう。
宮廷楽団がダンスパーティーの開幕を奏でだす。
最初は開会の宣言と共にナレス王夫妻が踊り出す、次は王太子、第二王子夫妻、俺とリズの3組が踊る。去年の流れの通りだ。俺は婚約のお披露目は去年終わったかもしれんが周りは違う。
今年婚約した子女たちが10組ずつ踊ってるけどマジ輝いてるの。やっぱ婚約した二人の恋愛の絶頂って
まぁ、俺もリズと二人きりで隠れてチューぐらいするようになった。それが王女じゃ、なんかダメなような気もしないでもないが、しちゃったもんはしょうがない。1回やろうが10回やろうが罪は罪だろ、どうせ王族はダメだと怒られるなら、怒られるまでやっといたほうがいい。良いとか悪いとか以前に、どうせ罪だろうと確信犯でチューしている。
今年もデビューの子がいるみたいだから助けておくか。とデビューする子と一人参加の男女を物色して目星を付けておく。40組ほどがお広めのダンスを踊ると俺が席を立つ。
立った瞬間リズに手をガシッ!と
思わず合わせた目が怖い。
口は閉じたまま異様な眼光で
リズ形警部の海楼石の手錠が能力者に
そんな内心を隠してアルは涼し気な
ガシッ!と
たったひとつの命を捨てて
生まれ変わった器のからだ
人の悪魔を裁いて磨く
アルベルトがやらねば誰がやる。
シャキーン!
リズの挑戦を受けたアルは
※口元がキュッと閉まった。
とても優雅に王女の柔らかさを出して違和感の無い様にいつもより多く回してやる。ダンスはキレが命と曲の継ぎ目にはスパン!と止める。曲が流れると優雅に優雅にここだ!と倍回す。スカートがこれでもかと花開く。見る者全てがリズの
曲の終わり近くに席の近くに踊りながら誘導してやると行きたくないと違う方向へステップで逃げる。逆らう根性あるのか!しょうがないので次も踊る。これでもか?これでもかと優雅ににこやかに踊るが当社比1.3倍速だ。皇太子と第三王女の我慢比べが始まってしまった。
曲の終わりに席の方へ誘導するとまだ中央へ向かってステップする。簡単な方向転換だ、1歩では無く2歩分のステップで容易に席とは違う方向に向いて行くリズ。曲が終わっても俺の手錠が外れない。次の曲が始まっても優雅に優雅に激しくにこやかに回す、いつもより多めに回す、もう四曲目の終わりでもリズが粘る。
変な方向見てたので視線を追うと、とても優雅で優しい目線でホールに並ぶパートナー待ちの淑女たちを愛でていた。
メンチ切ってやがる・・・。
なおも俺を引きずって中央に行く。意地でも帰らないつもりだ。もう30分過ぎるぞ!普通は2曲踊ったらパートナーと休憩とかホールの場所を譲るのに意地でも譲る気が無かった。
根負けするわ、分かったよ!(笑)
「リズ?疲れてない?」
「疲れてません」
「僕が疲れちゃったなぁ」
「踊れない程疲れました?」
「疲れました」
「それでは、休憩いたしましょう(笑)」
「はい」
聖教国の皇太子さまと踊れるかも?と期待していた周りの子女は第三王女の(威圧付きの)
リズと席に帰る俺に王妃様がニコッとした。
女王蜂が微笑んだ。
俺のシンクロ率を上げる方法をリズに伝授していた!
陛下のエントリープラグに王妃が乗っている事を知った。
次回 295話 南国エルフ
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