第284話  祝賀の焼肉大会


6月、7月のカレンダーはこうなっている。


6月

光 風 火 水 木 雷 土(曜日)

㉕ 26 27 28 29 30 

7月          1

② 3 4 5 6 7 8

⑨ 10 11 12 13 14 15 


284話にしてやっと曜日の説明が出来てホッとしている。俺はわざわざルビを打ったり、曜日を説明する様な面倒臭い事が嫌いだ。だから今まで光曜日だけで逃げ回って来た。神の使徒がそんな事ではいけないと最近思い直したので曜日を書いておく。


6月27日(曜日)


カレンダーの通り6月25日に武術大会に出て、26日の朝からアルムさんと自販機ボタン連打の修行をして、狩りに行き食材を調達して晩に魔法指輪と食材をロスレーン家に渡して来た。


後は好きに結婚式でもパーティーもしてもらう。リズと二人で出たかったのに!ピュアの天上の滝イリュージョンをしてあげたかったのに!国じゅうからお兄様のお祝いに来やがって嬉しいやら悔しいやら複雑だ。出たかったのに。



まぁ、そんな話はいい。


今は俺の目の前の状況に至っている経緯を聞いて貰いたい。余りにも関係無い小さな話。まったく繋がりが無い様に見えて密接なつながりをもって、今俺の目の前に繰り広げられるシュールな場面。


イコアさんは(神教国の七星第三騎士団長1位叙爵の貴族)留学生という肩書で副クランマスターだ。クラン集会では演壇に立ちミネバ・ラオ・ザビ張りのとても優し気で毅然きぜんたる演説と鼓舞を行っている人だ。


そのイコアさんが管理棟のクランマスター室でメイドの格好をして可愛く人形を手にはめている。


イコアさんの頭の上にあるホワイトブリム見て目が点である。うちのメイド達は皆レースのボンネットだからだ。そう!俺の記憶から生成しやがってる・・・ソレ違うメイド!



混乱してカレンダーの話を突発的にしてしまった俺の気持ちも分かる筈だ。じっくり聞いてくれ、とても長いからコーヒーでも煎れてから聞いてくれるとありがたい。


カレンダーを見れば分かると思うが〇の部分が光曜日だ。実は光曜日は教会が最も忙しい曜日でもある。平日に普通の教会行っても誰も居ない程静かで、司祭やシスターも大きな声で呼ばなきゃ出て来ない。光曜日の街の教会は一転賑やか、散歩代わりに住民が寄ったり司祭の説法を聞いたりする。


問題は光曜日の神聖国や聖教国の大聖堂だ。


俺は1年間は休まず、次の1年間は光曜日と雨の日は神聖国に布教に行っていた、布教が終わる15時~16時に神聖国の(帝国が作った方の)大教会に行くと首都教会だからそれは凄い人。楽団(熱心な信者や吟遊詩人)が教会前の広場で神の歌を演奏し、大聖堂では聖歌隊も歌う。


そんな光曜日。布教の完了地図を持って神聖国教会に行くと月に2回はステレン教皇の依頼でにタクシー代わりで行っていた。行くと大体2~3時間掛かるが19時の夕食に間に合う位で帰って来る。


光曜日にタクシーで行く聖教会は自前の10歳から18歳までの聖女、御子の合唱隊は歌うわ、楽団は演奏するわ、噴水広場は信者の吟遊詩人が歌をかなでて露店は集うフェスティバル状態。大教会の光曜日は超忙しい。俺が楽団のチョレスの先生と知り合ったのもそんなフェスティバルに向けて練習する楽団を見学していた関係だ。



少し話が逸れる。


ベント導師とアルノール卿の暮らすアルムハウスは風曜日からつち曜日までの平日に聖教国の司教が暇で研究でする。魔法学に疑問が出ると導師と卿に持ち込めば割と簡単に結論が出るからだ。そこに学術的な興味を示すタナウス宮廷魔導士の職を持つお婆さん、ジェシカさんが魔法談義を交わしに風からつち曜日まで司教と共に入り浸る。


平日に司教が研究に来るのは良いが、光曜日の聖教国大教会は猫の手も借りたい忙しさ。光曜日の深夜未明1時~2時まで研究して朝(と言っても時差の関係で8時)にアルノール卿に叩き起こされる司教達。!と怒鳴られタナウス8時>聖教国6時に卿にタクシーしてもらう司教の光曜日の朝。


そんなある日、朝に同居するクルムさんとシズクとスフィアを目にした卿が、光曜日の聖教会は楽しいですぞ!と3人を誘ったのが全ての始まり。


森の田舎エルフが驚いた。


クルムさんは街の教会の光曜日は知っていたが、聖都大教会略して聖教会のフェスティバルに驚いた。二年前に初めて街に出てきたクルムさんは、そんなイベント的な物を(884歳で)初めて見たのだ。森の部族集会の祭りよりにぎやかだった。


大聖堂の演奏、聖歌隊の歌声、神の教えの説法、噴水広場の喧騒にクルムさんは魅了された。シズクもスフィアも初体験で喜ぶから卿が孫を連れて歩く様に何時から大司教の誰の説法、何時から聖歌隊、何時から楽団と聖教会を案内して回った。


クルムさんはアレは見なきゃ絶対に損よ!とアルムハウスの4人のメイドを誘ったが、お客様や導師の世話で4人では行けないと言う。仕方なくファーちゃんだけだったり、セカちゃんだったり、次はサーちゃんね、と毎回メイドを順番に伴って光曜日に聖教国に通った。


そして覚えるのである、40人もいる楽団の演奏を。細かく言えば弾いてる人の顔や口髭の形、ほくろの大きさまで覚えて来る。聖女と御子の合唱隊も各人の顔はもちろん歌声や体型やその体形に合う服のサイズまで覚えて来る。


だから楽器の音色、形、大きさ、アルノール卿や司教や司祭に質問して楽器の名前を覚えて来る。広場でやってる人形劇を見たら覚えて来る。人形の大きさ、素材、特徴、お話、動きの一部始終を覚えて来る。分からない物は聞いてくる。


露店を見たら覚えて来る。それは情報の蓄積。当然ファーちゃんが見ても、セカちゃんが見ても、サーちゃんが見ても何万体のロボに伝達され共有する情報財産となる。


そんな光曜日の事は全く知らない俺。


クルムさんが毎日落ち着いた生活で料理、裁縫、狩り、解体、PTの動き、森の鉄則、人の生活をお姉ちゃん代わりのシズクと一緒にスフィアに教えてる毎日と思っていた。


俺がムン国へ修行に行った1月からクルムさんはスフィアに人の生活を教えてくれていた。人の生活や冒険者の仕事を全く知らないスフィアに一から教えてくれているのだ。盲導犬のパピー制度の様なつもりでお願いした。


※パピーウォーカー制度:盲導犬候補のパピー(子犬)を養母が家族として迎え、人と一緒に安心して暮らす関係づくりと家庭でのルールを教える期間。



まぁ、光曜日は聖教国巡りしてるの知らなかったのよ。


そんなある土曜日の晩。メイドのアロアからアル様が前におっしゃった人形劇や楽団演奏、村祭りで荷馬車隊が行う歌や踊りに使う楽器を買いたいと言われた。


あ!覚えててくれたの?と俺もそれを聞いて喜んだ。


楽器は凄く高いから40~50人分の一揃いで大金貨を150枚(3億円)渡したがお金が足りるかどうか心配した。一流レストランで弾く吟遊詩人の大きなチョレスでも大金貨1枚~2枚(200万円~400万円)するのだ。


ある晩には、大山脈の倉庫にある魔獣革や素材、衣類の山や反物や糸などの裁縫道具を使って良いかと聞かれ、何も考え無く自由に使ってねと言っていた。


ある時には大きめの荷馬車をもらって良いかと聞かれてOKした。


アル様の答えをメイド隊に伝達するアロちゃん。


・タナウスの楽団の話や人形劇の話、村祭りでかなでる歌や踊りの出し物の話をアル様が喜んだ。


・フル楽団が作れる程の楽器のお金をアル様がくれた。


・タナウス倉庫に備蓄する素材は自由に使う許可を頂いた。



アルムハウスでファーちゃんから聞いたクルムさんが大賛成。


ファーちゃん達を連れて各国に楽器を買いに行き、同じくクルムさんとシズクとスフィアも楽器を買った。ファーちゃん達は聖教国と同じ周波数を奏でる高価な楽器を次々と揃えて行った。クルムさんは元々多芸で娘時分から横笛や弦楽器のギーギと呼ばれるエルフ楽器はたしなんでいた。


そうしていつの間にやら、聖女と御子を模する楽隊と子供達の聖歌隊もタナウス宮殿に生まれていた。


各国を跳び回って神教国として恥ずかしくない楽器を揃え、色々と各国の見世物やバスカーと呼ばれる大道芸人を見て来たクルムさん一行。人形劇を公園で眼にすれば、少なくない投げ銭を入れて勉強させてもらってくる。アルムハウスに帰れば見て来た演目の人形劇を模して、メイド4人とクルム、シズク、スフィアの7人がせっせと人形を縫って作成していた。メイド隊はジャネットの裁縫を学んでいる。


クルムさんが驚くほどのクオリティーの人形をファーちゃん達は作り上げた。大空洞倉庫に山積みの高級反物や糸、魔獣皮(交易品の鹵獲品)を使って裁縫名人クラスが元の人形を模して、それ以上のクオリティーの本物を作るのだ。


狼の魔獣人形の口には(アルが銭貨2枚で売っていた)ケーブスネークの毒が中和された小さな牙がたくさん生えていた。ガブッとすると刺さるクオリティーなのでクルムさんが研いで牙を丸くした。


俺は何も知らなかった。アロちゃんかフィオちゃんと交感会話した時に判断する多数の案件に指示を出し、ありがとう。お願いね。お金はこれ使って、と交感会話で聞く都度の単一的な指示で全部丸投げだったのだ。


それは村祭り関連、教会関連、荷馬車隊の訪れる小さな更生村関連の民が楽しみにする小さな癒しのイベント案件と思っていた。



そして今日、6月27日(曜日)


ギルドで解体した肉を渡そうと管理棟へ跳んで驚いた。


誰か分からないがタナウスのメイド服。頭にボンネットでは無くホワイトブリム。え!だれ?と視ても何も見えないから、顔を確認してイコアさんと気付いた。


気付くまで、予想出来ない風景に俺は固まっていた。


いつも貴族服のズボンに帯剣のイコアPTのメイド装束も驚いたが、あっちの違うメイドがする頭にヒラヒラしたヘッドドレスが付いた上に、手には可愛い動物を模したお人形が被っていたからだ。


・・・カワイイ・・・


いつも男装のイコアPTがメイド服にも驚いたが、マスター室横の会議室で人形劇してたのを見たのだ。


それは無言で静かに進む人形劇。


人形劇を監督するイコアさんが魔力線で物申す。


「そこは観測した忠実なセリフより子供に分かり易い簡単なセリフでやる方が笑いも増えましょう」


魔力線が7人に飛びかうだ。もちろん上記は俺の勝手なアテレコだ。


視てるとちゃんと歩いてる様に、走ってる様に人形を振るわせて移動する、ウサギとリスの女の子やピーターパンの様な森のエルフの人形が手をオーバーに動かして驚いたり、泣いたり、怒ったり会話してるのが分かる。静かな会議室で繰り広げられる超科学ロボのシュールな無言人形劇。


俺は声も掛けずに見ていたが、イコアさんに交感会話でここに至るまでの上記の経緯を聞かされた。



そして練習の成果と観衆の反応を見る為に、神教国に先駆けてクランでお披露目してるそうだ。光曜日のお昼、雷鳴食堂のステージや食堂前の屋外ステージで演奏や人形劇や合唱をお披露目したところ非常に評判が良く、人形劇、演奏、合唱と一週間おきに演目を変えて光曜日の昼に30分の出し物をしていると言う。


クランで好評の演目は荷馬車隊による各村への娯楽にフィードバックされてお披露目されてるんだって。


教官や雷鳴商店の子供達と遊ぶ北東の街の子供がクランの小さなお楽しみ会に集まり出し、今ではお昼の12時半を待つので欠かせぬ様になったとか。


出し物を始めて2か月目の現在では。親子が多数集まってメルデスで有名な二つ名持ちのイコアさんとPTに投げ銭くれた後に雷鳴食堂で食事していく家族が多いと言う。食事の後にはクランの広大な敷地や施設や設備を見て回り、光曜日に自主鍛錬する教官と冒険者達の幽玄流道場見学(平屋の木造道場で半年で出来た)と雷鳴商店の裏にある牧場の牧草地で動物を見ながらのんびりする家族が多いと言う。


貧民や平民上がりの乱暴者と偏見へんけんを受けて怖がられる冒険者が多い中、メルデスの街の住民はイコアさんの記事が出てからはクランや冒険者の理解を深めてくれているとの報告だった。


ホワイトブリムは決してあっちの違うメイドを真似した訳ではなく、人形劇の舞台裏は意外と忙しく四つん這いや片膝は当たり前なので仕事用のメイド服、それでありながら劇が終わった後には出演関係者がカーテンコールのように担当した人形を手に嵌めて人形舞台の前で整列してお客に挨拶する都合上、ボンネットより華やかなヘッドドレスであるホワイトブリムになっている事を聞いた。


アイマス的なメイド服じゃ無かった。


それはそれで残念だ。


それが人形劇してたイコアさんとの交感会話。

俺は個別での報告は知っていたが、上記の事を今やっと知ったのだ。逃げ回って来た異世界カレンダーを語る気にもなろうと言うものだ。



来週の7月2日の光曜日はロスレーン家のグレンツお兄様の結婚式なので、成婚祝賀としてクランメンバーに肉を振舞う事をやっと伝える。前回はこの様にやったとイメージ丸ごと読んでもらい、前回の経験者もいるからそんな感じで進めると楽だとお願いした。エールビールミード蜂蜜酒の飲み物系は人数や日程を雷鳴食堂に伝えたらエール馬車がまた待機するだろうと伝えた。


最後に言われた。


宿泊メンバーが2400人、外部PTが500人以上に膨れ上がっている事。そろそろ増築しないとクランの宿泊施設がパンクすると警告された。


俺はそれを聞いて急遽、上位の貢献メンバーのPTを執政官宿舎に入れろと指示を出した。最低でも3部屋付いた居室で風呂付だ。4~6人PTなら入れるだろ。とイコアさんに指示しながら、頭の中では稼いでるPTなら自立しろよ!と思う俺は自己中な人間だろうか?と思案した。


俺はそもそも冒険者相手に稼いでる感覚が無い。7位、6位、5位のまだ初心者に必要な教育経費や運営経費を捻出する為にメンバーに貢献してもらってるだけだ。俺が儲けてる訳じゃない。この集団は苦しい時にお互いに助け合う互助会だ。集まった金はイコアさんがクランの運営に使うから大丈夫。俺は当然タッチしていない。



俺の逃げ腰で安易な全速回避行動を観測したイコアさんが予測しやがった。


「その場合、寄宿舎が200名ほどしか空きません。場当たり的な対応ではなく、早晩必要になる宿舎の増設を進言致します」


イコアさんは正しい。


「はい、すぐに動きます。執政官宿舎の件は無しで」


「とても論理的で予測事態を回避する有効な選択です」


俺は結局その週、南の中央大陸に


まずタナウスの倉庫へ行って同じような建築を探したが北の大陸の様式とは全然違って、一棟宿舎の横に置いただけで色や素材のいびつさが違和感満点。タナウスの様に同じ様式で並べるとメチャクチャ映えて解け合い街全体が綺麗に見えるのに。違う大陸同士の建築は溶け合わなかった。


地中海クレタ島の建物をあいりんセンターの脇に置いても解け合わないんだよ。イヤ宿舎があいりんセンターと言う訳ではない。食ってる物とか・・・まぁ冒険者が群がる姿は似てる気もしないでもない。


だからそれは最終手段にして、聖教国、神聖国、ロスレーン、キャンディル、ミウムと伝手を訪ね歩いて廃品回収の様に各地に飛んだ。要らない建物や老朽化した建物を丸ごと撤去します!とセールスして回った。使えなかったら埋めたらいいのだ。1週間掛けて何でも回収して来た。


そして・・・凄い物をもらう約束して来た。


神聖国の首都大教会だ。

後一年で出来上がる神聖国の新しい大教会。あと2か月で全ての部署が引っ越すので今の旧教会を丸ごと取って跡地に教会司祭や司教の合同庁舎と合同宿舎の建設に移ると言うのだ。


神聖国の御子、聖女教育の学び舎だったり、新設した騎士団の合同宿舎はすでに皇帝居城の広大な跡地に新教会と共に作られて建物は出来ている。


だから、今ある元ごみ屋敷だった執政官宿舎2棟も半分程ゴミが溜まった状態でもらってきたし、最後の区画整理で余った家もたくさんもらって来た。


今でもメルデス冒険者総数の1割みたいな約3000人。外部PTだってその気になれば収容する3000人対応のクラン宿舎がとりあえず4600人収容の公団住宅みたいになってきた。見た目はすでにURであーる。メルデスで下っ端ばかり抱える超巨大勢力になっている。


※UR:ウルトラレアやアルティメットレアと読む人も居るかもしれないが、この場合は独立行政法人都市再生機構が管理する賃貸住宅のようだね?の意。


7月2日(光曜日)の結婚式当日の18時からリズのお屋敷の庭園に天幕を張り、リズの屋敷の全員と焼肉パーティーをした。リズの屋敷の壁の向こう、クランの敷地が凄かった。群衆のるつぼでメルデス北東の街が一晩中焼肉の飯テロに襲われた。自分の土地と言う事もあり街路灯も多めに付いてるから非常に焼肉イベントは映えた。


俺は怖くて聞けなかった、外部PT入れて関係者込みで3000人近い焼肉PTが何日続くかを・・・。イコアさんPTで回るのかしらん?と心配だったが24時間酒に付きあっても寝なくて良いイコアさんPTにとっては意味のない杞憂きゆうだった。



3日の風曜日に1か月分溜まった160人のメンバーを入れた。うち60人が外部PTだ。100人のメンバーに宣誓の儀をして焼肉PTに滑り込める事を教えた。この後イコアさんの集会に出て終わった後に事務員に宿舎の割り振りと施設の使い方を教えてもらう。すでに月初めに行う定番の儀式になっている。事務員の皆がクランの生活を学んでプロの仕事をするようになってきた。


PTメンバーのお世話に事務員と一緒に控えていた事務見習いの魔女宅カレン。今日は10歳の祝いと言って宣誓の儀でステータスボードを与えた。何かカレンにしてやる時の理由で『主人の務めだ』と(本人にしか聞こえない声で)言うと喜ぶ。


世間一般の奴隷はそんな事無いからね。借金奴隷はミッチスでパンケーキ食べないからね。焼肉大会の肉の支給とか無いからね。


親からもろくにご飯がもらえなかった境遇から奴隷に売られてカレンが買われた(と思い込む)お貴族様のアル様。お貴族様の奴隷の待遇をカレンはドンドン思い込みで美化して行くが実は奴隷じゃないのがすごく笑える(笑) 


一緒に住むリナス一家も俺が他の貴族から預かった複雑な境遇の孤児と思い込む。カレンに聞くと最初奴隷商人からお貴族様に買われてお屋敷に行ってから、そのお屋敷でアル様に連れられここに来たと言う。


アルのカレンに対する待遇(リナスに言って季節の下着や服、靴をちゃんと揃えさせている)を見て借金奴隷は抜けてると思ってる、奴隷は給料を貰わないし、カレンは当初家賃と食費を払った後に毎月銀貨1枚(1万円)の給料で暮らす9歳だった。


一年以上経った今では銀貨5.6枚(5万6千円)の給料を得る10歳の使用人になっている。


教官の子には宣誓の儀はしない、稼いでるから親がその内に教会に連れて行くだろ。


俺はハウスに帰る道を歩く中、イコアさんの予測に震え上がった。執政官宿舎にPT誘導してもマジ焼け石に水だった。


俺の手から離れたクラン雷鳴はもう一人で歩いてた。





次回 285話  ジェシカさんの秘密

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               思預しよ

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