第280話  お姉ちゃん取らないで



翌日の朝七時。


モリスさんとマーリンさんは、朝食を取り次第に大工さんの所に行ったみたい。アルムさんと二人でコルタの街を走って帰るといなかった。

二人で朝食を済ませて大工さんの所へ顔を出してからギルドでオークの代金を受け取ってくるつもりだ。


宿から出ると昨日ぶっ飛ばした冒険者が俺に声を掛けようと尾行して来る。ご丁寧に歓迎の用意をしてギルド演習場の模擬戦で揉んでくれるらしい。子供にぶっ飛ばされた冒険者も朝から走り回って大変だ(笑)


昨日言っていた通りの代金。大銀貨1枚(8万円)で新品の車輪に替わるそうだ。視て分かるけど大工さん二人がタダ働きになっているので後で中壺を渡しておこう。


尾行して来た金魚のフンが俺にいつ声を掛けようかとやきもきしてるので大工さん達にオークの代金を取って来ると声を掛けて早々にギルドに向かってやった。


金魚のフンを連れてギルドに向かった。


「アルムさん、金魚のフンが仲間集めてギルドに居るから注意してね?アルムさんが綺麗だからお友達になりたいみたい」


「あー!そういうのばっかよね(笑)」

「昨日ぶっ飛ばした因縁もあるから任せて」


「え、昨日の奴らなの?(笑)」

「うん、最初にぶっ飛ばした方(笑)」


「アル君のお客なら任せるわね(笑)」

「僕を餌にしてアルムさん釣るって感じみたい」

「なによそれ(笑)」


「メルデスだって良く有ったんだからね、アルムさんが住んでる所とか、齢とか、好きな食べ物を聞かれたよ(笑)」


「え?」

「僕を誘えばアルムさんも一緒に来るでしょ?」


「あー、そういう感じ?(笑)」

「色んな釣り方あるよねぇ(笑)」


ギルドカウンターで買取札を出してると、殺気をまとった視線が食堂から絡みつく。アルムさんに言う事聞かそうと仲間と徒党を組んで俺を狙ってる(笑)


「おい!坊主!強いんだってな?」

「なんだ?お前もバカの仲間か」はなから全開。


「言うじゃねーか、そこの演習場で・・・」

ドボッ!


言う前に腹に一発でノシてやった。


何の事はない、因縁付けて俺を演習場でコテンパンにして(弟に乱暴は止めてー!と叫ぶお姉ちゃんに)言う事聞かすつもりだ。要するに最初からアルムさん狙いだ、美人と見たらハエの様に寄って来やがって!


どっかの異世界モノのテンプレか! バシ!


俺にテンプレが通用すると思うなよ。演習場で揉んでやるとか一手指南とかアホか、そんなテンプレ速攻で潰してやる。



朝から計画に乗った奴らに聞かす様に大声で挑発する。


「おい!クソバカども、俺は言ったぞ!変な奴に絡むと死ぬってな。死にたい奴多いみたいだから掛かって来い!」


「坊主・・・」ドバーン!

言った瞬間縮地でぶっ飛ばす。一発K.O!カンカンカン!


次にやる気の奴が声を発するのを待つ。


「お・・・」ドバッ!下っ腹に掌底がめり込む。

誰が来そうか視て分かるので即座にぶっ飛ばす。


「次寝たい奴は誰だ?(笑)」


「てめ」ドカーン!

縮地で飛び蹴り!椅子と机ごとぶっ飛んでく。


ぶっ飛ばしてもギャラリーがひるまないのは凄ぇな、さすが辺境の荒くれ城塞都市。俺も根性見せて少し〆ておくか。


食堂に居る奴らに見返り美人風にキザっぽく吠える。


「引かねぇ野郎は地獄見せてやる!」ニヤリ


背中せなで吠えてる 唐獅子牡丹からじしぼたんなセリフを言った。


カッコイイ!


今のポージングとセリフは決まったな。と得意になって周りを視た。野次馬どころか食堂のおばちゃんまでが一丁前に荒くれ冒険者に憧れて吠える小さくて可愛い子供をでていた。


この世にそんな美学は無かった。


「来るのか来ねぇのか!」顔が真っ赤だ。


子供にコケにされて気の短いのが椅子を立った瞬間、内懐に入って食堂の机に投げ飛ばす。


ドバーン!ガラガラードッシーン! 

机と椅子を派手に巻き込んで向こう側に落ちて行った。


「・・・」ギルドがシーンとなった。


「おぃ!金魚のフン!隠れてないで出て来い!」

「・・・」真っ青で震えて隠れてる。


「しょうがねぇなぁ」とお迎えに行ってやる。


「俺は昨日言ったぞ。分かってんな?」


襟首掴えりくびつかんで持ち上げてやるとウンウンするけどダメだよ。


「いいや、分かってねぇ。昨日は顔を許してやった事を分かっちゃいねぇ。今日は顔に行くから覚悟しろ」


ぶべべべべべ! ばぺぺぺぺぺ! ふぺぺぺぺぺ!


超高速の往復ビンタが頬を襲う。当分腫れが引かない様に丁寧にお多福顔にしてやった。



「坊主!強いな!こっちで飲みな。奢るぜ!」


「・・・」関係ないお兄ちゃんがおごってくれる。


ミカンジュース渡す所がなめている。俺に渡して、そのままアルムさんの方へにこやかに行きやがった。


関係ないお前はナンパか!いい加減にしろ。


ジュースが勿体ないので飲んでから取り合えず振り向いてもらった。


「俺は成人だ!ジュースおごってんじゃねぇ!」


掌底しょうていあごを揺らしてK.O。屑折くずおれたお兄ちゃんはミカンジュースおごってくれたから丁寧に背負って食堂の椅子に座らせておいた。


慌てて視たらこの国十三歳成人だった、良かった!


「アル君、受け取りのサイン要るよ?」

カウンターで棒立ちのあんたもどうなんだ?


「はい、お願いします」サインして渡す。


お金もらって、横でノビてるやつに捨て台詞。


「ザマァねぇなぁ」起きろと気付けに蹴りくれる。

「アル君、あおってどうすんの?行くわよ」


「手前ぇら、おととい来やがれ!」

声変わりもまだの可愛い声で吠える。


お姉ちゃんに手を引かれる子供に言われる冒険者。


連れて行かれる子供を唖然あぜんと見送り誰かが言った。


「なんだ?あの子供は?(笑)」笑いだす。

「声かけた瞬間殴られてたな(笑)」

「あれお姉ちゃん取られたくないんだぞ(笑)」

「あれだけ美人なら心配だな(笑)」

からんだ奴ら全部やられたぞ(笑)」

「元気な子供だな、あの気性は獣人入ってんな」

「まぁ子供は元気だけどな(笑)」

「アレは元気過ぎだぞ!親は苦労してるぞ(笑)」

「そりゃちげぇねぇや!(笑)」


エライ言われ様だった。


・・・・


オークの買取にボーナスが付いてた。オークが増えて買取強化月間みたいな?三匹の解体と魔石込みで税金引かれて大銀貨2.8枚(23万円)だ。


大工さんの工房へ行くと車軸に合わせて削った車輪を丁度付けていた。横にいる馬にヒールと野菜をあげて撫でる。


聞いたらあと一時間ほどで出来るとの事。取り付けたらちゃんと走って様子を見るんだって。車輪の中央が超固くて油分を含むあっちの世界のリグナムバイタって特別な木で出来てるから磨り減りにくいらしい。やっぱ力の掛かる滑車や軸に使われてるみたいな素材だった。見てても削るのが大変ポイ。


お金を大銀貨一枚払って、二人の大工さんに中壺一個ずつ渡した。


モリスさんとマーリンさんに挨拶して出発しようと振り向いたら、後ろから大工さんに話し掛けられた。


「お前さんあれだけ強いならコレ出たらどうだい?」


「え?」そこには張り紙があった。


「四峰の剣の達人なんてのは、噂話しか聞かねぇが、いいとこ行けるんじゃないのか?」


「あ!凄い賞品!」

「あのオークを一撃だ、腕試しにどうだい?」

「うーん・・・まぁ・・・」

「どうせ見に行くし、出るなら応援するぜ」

「良い賞品ですねぇ(笑)」


「俺たちにゃ、何処どこが良いのかさっぱりだ。売れば金にはなるんだろ?クリーンの恩寵玉が一番良い様に見えるがなぁ」


「クリーン便利ですもんねぇ(笑)」


----------


コルタ辺境伯領 剣術大会。6月25日(光曜日)


1位 腕力の腕輪(力+10) 白金貨1.2枚(1千万円)

2位 精力の腕輪(生命+10) 大金貨6枚(480万円)

3位 壮健の腕輪(体力+10) 大金貨5枚(400万円)

4位 恩寵玉クリーン 大金貨3枚(240万円) 

5位 恩寵玉ライト 大金貨2.5枚(200万円)


※金額はアルの眼に映ってる相場。


申込受付24日(つち曜日)12時まで。


傭兵ギルド、冒険者ギルド、コルタ各武術道場、執政官事務所にて身分証持参で備え付けの申込用紙に記入。


各ブロックの組合せは当日朝騎士団より発表。


----------


目が点になった、良い商品なのよ。


話してたらモリスさんとマーリンさんも寄ってきた。


「出るなら、一端帰って明日応援に来ます」

「えー!また来るの?(笑)」

「家族に顔見せないと心配するので」

「良い所まで行けると思うぜ、そうしなよ」

「出てみるかなぁ」


車輪を見てるアルムさんに張り紙を見せて言う。


「アルムさん、どう?コレ」

「あ!基礎数値が修行三か月分だ」


ドテ!まぁそうなんだけど。


「グレンツお兄様に取ってあげたいなぁ」

「あ!来週だっけ?」

「うん、結婚式出られないけどね」

「私が出てあげる、一位になれるか分かんないけど」

「いいの?ありがとう!」


「僕も出る!アルムさんと当たったらアウトだけど」

「いいじゃない?当たらなければ行けるかもよ?」

「あ!ちょっと待ってね・・・」


「・・・うーん・・・」


「?」不思議そうに俺をのぞきこむ。


「色んな事考えちゃって・・・整理させて」


まだ八時、間に合うなぁ。居なかったら検索で捕まえるか。受け付けはギルドか、今日の昼までなら行けるか?あと四時間。選択肢を広げるのに取り合えず動いてみないと話にならないな。うん、やる価値はある。


「二人で出場する事にします」

「そうしなって!(笑)」

「応援しますね!」


「アルムさん待ってて、すぐ戻る」

「アルムも行くよ?」

「跳び回るだけなの、気持ち悪くなるよ」

「そんじゃいいわ、ここで待ってる(笑)」


タナウスの倉庫を経てアルムさん連れてワールス共和国の魔法道具屋、真贋しんがんのベガの所に跳んだ。


・・・・


エネイ8時>ワールス18時。


ドアを開けたら顔を上げるベガ。


「あー!アル、お前どうしたんだ!」

「一年以上ぶり?」聞くとベガも頷く。


「お前を待ってたんだぞ!」

「すみません、なかなか来られなくて」

別嬪べっぴんのお姉ちゃんもいらっしゃい(笑)」


「お邪魔しまーす」

「それで急にどうした?」

「お願いがあって・・・」

「何かあったのか?」

「ちょっと言い辛いお願いで・・・」


「まぁいい!アル、上行くぞ!」

「アルムさん欲しいもの買ってあげる、見てて」

「え、ホント!」

「ホント!お祝い取ってくれるの嬉しかったの」

「えー、いいのにー(笑)」


すぐに二階に上がって聞いてみる。


「腕力の腕輪って(力+10)ですけど相場幾らです?」

「え!うーん金貨十枚だな」(1200万円)

「やっぱそうですねぇ」国で違うしそんなもんだ。

「今回な、良いの有るぜ」

「何有りました?」


「剛腕の腕輪!腕力の腕輪は目じゃねぇだろ(笑)」


聞いた瞬間にフラッシュで知る。剛腕の腕輪(力+15)


「え!何?剛力の指輪に乗るの?」

「乗るさ、別装備だぞ、その剛力に乗るさ」


「強力の指輪以上か腕力の腕輪以上は無いです?」

どちらも力(+10)だ。


「え!」


「あるけど必要ないだろ?」

「必要あるんです、出して下さい」

「ちょっと待ってろ」

「あ!待って!」

「なんだ?」二歩先で振り返る。


「+10以上の指輪、腕輪あれば見せてくれませんか?」

「まぁ・・・いいけどよ・・・」


ベガはマジックアイテムの指輪装備、腕輪装備の一覧表とマジックバッグを持って来た。一覧表には在庫や仕入れ値や売値まで詳細に書いてある(笑) マジックバッグの中に全部入れてるみたい。使ってるのが嬉しい。


「必要な奴にしか売ってないんだぞ!(笑)」

「売らなくて良いです、全部見せて下さい」


「今ある奴はこれだけだな」

指輪と腕輪を並べて行く。


「ベガさん、ある奴を交換してください」

「はぁ、なんだそれ。交換ってなんだ?」

「僕の持ってる物と交換を」

「どういう事だ?詳しく話してみな」


「僕の持ってる基礎数値アップの指輪や腕輪は滅んだ国で見つけた物なんです。それは亡くなった人たちの遺品です。僕が見つけたからって強欲に自分の物として使う事が出来ません。拾った遺品を胸張って相応しい人にも渡せません。でもベガさんに交換してもらったら深層の冒険者と縁があって手に入ったと渡す事が出来ます。僕は使う気分になれないので眠ったアイテムなんです。もし交換できたら必要な人に渡せます。ベガさんも必要な人に回せます。眠ったままの有益なアイテムを世に出してもらえませんか?」


「・・・」


「僕はベガさんと冒険して、ベガさんが死んだからってベガさんの指輪を喜んで使えない人間です。だからと言って、そんな物を人に使えと渡す事も出来ない。ベガさんの遺品としてお墓に一緒に入れてやるタイプの人間です」


「お前・・・本当にバカだなぁ・・・」


「ごめんなさい、魔獣に襲われて滅んだ国の生活とか人の暮らしを視ていたら、とてもじゃないけど喜んで使えないんです」


「国を滅ぼす魔獣って、それは一体何の魔獣だ」


「こんな小さいネズミの魔獣が国を覆い尽くしました」


「はぁ!?」余りの衝撃的な話で驚きまくる。


「それを見たのか?」

目を見てうなずく。


「全て、食われました」

「・・・」


「これを対価に交換してください」

袋に入った(+3)(+5)の指輪と腕輪を差し出す。


「はは!お前本当に・・・お前みたいに突き抜けたバカはいねえよ。分かったよ!交換してやるよ」


「剛力の腕輪は買いますからね!」

「分ったよ、お前が使うんだな?」

「はい!次はこの絶速の腕輪をお願いします」

一覧表の凄い腕輪(俊敏+15)を指差す。


「お前簡単に!腕輪は特に出ないんだぞ(笑)」

「そうなんだ(笑)」

「知らねぇから好き勝手言いやがって!」


--基礎数値加算、指輪、腕輪--


力:強力の指輪(+10)×1 

力:剛腕の腕輪(+15)×1 

精神:賢人の指輪(+10)×2

体力:勢力の指輪(+10)×1

器用:達人の腕輪(+10)×2

器用:名人の腕輪(+15)×1

知力:天才の指輪(+10)×1 

生命:盛水の指輪(+10)×1

生命:絶倫の腕輪(+15)×1

俊敏:敏捷の指輪(+10)×2

魔力:清流の指輪(+10)×1


交換が成立する物を遺品ロンダリング洗浄した。


力:剛腕の腕輪(+15)をマジックバッグと交換してもらった。ベガは余りにも価値が違い過ぎると断った。腕輪だって手に入れる能力が無いと店に入らないのだ、俺的には腕輪の方が価値が高かった。世に出ない物を必要な所に出すためと説得して受け取ってもらった。


下に降りて行くとアルムさんが細い鉄管が何個も付いたウインドチャイム(風鈴)を俺に見せた。


「アル君!アルムこれがいい!」


指でつついたらチョリーンチョリーンチョリチョリーン!と鳴る。視ると吸魔石と魔術紋がついて癒しの音が出るみたい。


「あ!綺麗な音!透き通ってる」

「でしょ!」顔近い!


「分った」


ベガを見ると、いいからもってけのポーズ(笑)


半年に一回は顔を出すとベガに約束して、コルタの大工さんの近くに跳んだ。


・・・・


ワールス19時30分>エネイ9時30分


すぐにアルムさんに敏捷の指輪(+10)を渡した。


「いつもありがとうね」

「え!私に?」

「これでガッカリさせなくて良くなった」

「どういうこと?」


「お兄様の腕輪を取りに行ってダメだったらアルムさんがごめんねってガッカリしちゃうの」


「ちゃんと取るわよ(笑)」

「ちがうの」

「え?」


「もうお兄様の分は手に入ったから、アルムさんがめる腕力の腕輪を自分で取りに行くんだよ。一位になれなかったら実力が無かったー!と悔しがれるでしょ?ガッカリしなくていいの(笑)」


「あ!うん!がんばるね!」


「僕は応援するから頑張ってね(笑)」

「アル君も出ようよ!」

「僕まで取ると他の人の分が無くなるし(笑)」

「アルムに勝てないのに勝つ気でいるし(笑)」

「・・・(笑)」

「騎士団が怖い訳じゃ無いのよね?」

「わかったよ!(笑)」


「リード師匠も誘う?」

「えー!アルム勝てないじゃない!許してよー」


「師匠に勝てないのに勝つ気でいるし(笑)」

「ごめんなさい」

「そうそう、油断は禁物ね(笑)」


「よし、申し込みに行こう!」


エントリーにギルドに行った。締め切り二時間前。


エントリーシートに書き込みをして。ギルド証を見せて終わり。注意事項、反則技、集合場所、食事券と参加賞の交換用紙をもらった。明日の6月25日光曜日の午前中予選ブロック、午後決勝トーナメント。


回復魔法士、治癒士が各ブロックに待機と書いてある。朝の集合時に主催のコルタ辺境伯家から用意される大会用模擬剣を使用すると書いてある。

※治癒士:回復魔法+状態異常回復魔法士もしくは各種回復ポーション持ちの錬金術師。アルは前者の治癒士証持ち。



今日の予定が完全に狂ったので、昨日暴れてギルドで徒党を組まれたかがり火亭を敬遠して昨日四人は空いてないと言われた赤旗亭(コルタの旗)に行くと明日の武術大会で満室!ギャー!これは不味い。


アルムさんと走ってかがり火亭まで行くと俺達で満室だった(笑)女将さんが今日発つんじゃなかったのかい?と聞かれたので武術大会に出る事にしたと言うと女将さんの目の玉が飛び出した!


「あんた!あれは騎士団で勝った者が褒美ほうびをもらって副団長や団長になるエリートを決める大会だよ?あんたみたいな可愛い・・・あ!」


あ!は何だ。


「・・・男の子が出たら殺されちまうよ!」

オチビちゃんを回避した。男の子は・・・合ってるのか。


「え?参加自由って書いてありましたよ」

「書いてあるさ、相手がいなきゃ困るもの」


視たら、騎士団同士は当たらない組み合わせみたい。


「そうなんだ・・・」

「大体あんた、冒険者になってからだよ、そこからだよ」


「いや、僕十四歳なんだけど。冒険者なの」

「あ!」


女将さんがカウンターの後ろから伸びてきたでコンと叩かれた。


コルタ辺境伯領シャンシャン武術大会(笑)

騎士団同士が当たらない様に組まれるなら、騎士団と当たるのは飛び入り参加優先てこった。アルムさんに当たる確率が減るなら好都合。


ギルドの演習所へ取って返して、アルムさんと二人で剣術Lv1身体強化Lv1で夕飯までの八時間模擬戦しまくった。アルムさん力1 俺も体力1上がってぴったり100になった。


かがり火亭の夕食は昨日とは客層が違って冒険者が少なく、村から出てきた人が多かった。皆が普通に明日の剣術大会の話しながら楽しそうに食べていた。


今日は目一杯模擬戦したからハウスのお風呂にゆっくり浸かって体をほぐした。


剛腕の腕輪を足にしてみたらちゃんとはまる。良かった、右は教皇の腕輪に左が導師の魔法発動体。いい加減腕輪ばかりうるさいもんな。


アルベルト・タナウス 14歳 男

神聖国 神都 領民   健康


職業 聖騎士(騎士10UP、精神+10、幸運+2)剛力の指輪(+15)瞬足の指輪(+15)幸運の指輪(+3)アプカルルの涙(魅力+10)剛腕の腕輪(+15)


体力:100(110) 魔力:- 力:79(119) 器用:409(419) 生命:80(90) 敏捷:75(100) 知力:712(732) 精神:739(754) 魅力:84(94) 幸運:87 (92)


現在選択>(表①:聖騎士。体力+10、力+10、生命+10、敏捷+10、精神+10、幸運+2)

馬術、盾術、身体強化、格闘術、剣術、槍術、聖魔法効果UP。

(裏②:神の使徒。数値の向上無し)

(裏③:魔導士。魔力+15、精神+15、知力+15)

全攻撃、弱体魔法、魔術紋効果UP。

(裏④:治癒士。魔力、精神、知力)

全回復、補助、強化魔法効果UP。

(裏⑤:斥候。知力、器用+10、敏捷、幸運)

気配察知、気配遮断、投擲、罠解除、罠発見効果UP。


スキル表示分 

身体強化Lv6 格闘術Lv5 剣術Lv5 短剣術Lv5 槍術Lv5 盾術Lv3 二刀術Lv4 気配遮断Lv2 気配察知Lv2 危機感知Lv2 物理攻撃Lv5 物理防御Lv4 魔法攻撃Lv7 魔法防御Lv5


力119(笑)+40はさすがに鬼だな。敏捷100はうちの爺ちゃんにギリ勝ったぞ!いや、あれから六か月だ、多分上がってるから勝ってない。そんな点数自慢で喜んでどうする。歴戦の騎士に中身が伴わねぇのに勝てる訳ねぇわ(笑) 明日は慢心せず心乱さず身体強化の細分化に注意だな。



アルはベッドで身体強化の細分化修行を行う。

アルムは隣でもらった敏捷の指輪(俊敏+10)をめたり外したりステータスを眺めている。




次回 281話  武術大会予選

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