第276話 傷物の巣をあなたに
モンスは王都の衛星都市で都会だ、空き地で剣振り回す雰囲気ではない。朝から剣の鍛錬にギルドの演習場を借りて、ついでに冒険者証を作ろうと思い付いた。この大陸で移動するのに四峰の身分証だけでなく、アルベルト・タナウスとアルム・ポポの名前の冒険者証もあれば便利と思いついた。
ギルドカウンターで四峰の
ギルドマスターは隣国の四峰の剣技は噂を聞くので良い機会と、平民が貴族に至るそのシステムを教えてくれと言って来た。身分証の二門、
縁もゆかりもない他国で飛び級したぞ、わーい!
ムン国に足を向けて寝られない。貧しい国だから民が幼き頃に一度は剣に誓って身を立てようとする国だ。そんな国で認められた存在、
まぁ何位の冒険者でも良い。その名の冒険者証が欲しいのだ。朝早いから依頼票を見に来た冒険者が四峰の剣士?と困った事に寄って来る、演習場でLv1の模擬戦が出来ないよ(笑)
ギルド憲章と規約をもらってタグと冒険者証が出来るまで勉強する振りして資料室でこの大陸のモンスターを調べた。
クイーンビーは大体三位から五位(銀級から魔鉄級)の冒険者の獲物だな。討伐方法はキチョリの草で
ぺらっと一枚めくる。
!
もっと凄いのいた!キングビーだ。クイーンの一回り大きいって、どんな大きさやねん!一回り大きいと書いたぁるがな!バシ!余りの衝撃に昨日の
現認ヨシ! じゃねぇよ。
いるじゃん。普通にいるじゃん。と言うか依頼票のフラッシュまで入ってたんだけど・・・場所まで図示してるのに誰も受けてねぇ(笑) 二位から四位冒険者に依頼するモンスターだ。
キングは一撃で死ぬって書いてある。でもクイーンビーだって死ぬわ。毒の入った所は肉が溶けてたぞ。あんなのどうしようもないだろ・・・受ける奴いねぇのかよ。
・・・コレどうしようもねぇな。
ここ、周辺の害獣や採取で腰を落ち着けて地道に稼ぐ依頼が多いギルドだ。大山脈や大森林無いからオークやオーガとか討伐&素材の美味しいモンスターいないんよ。護衛依頼で訪れた高位冒険者が隊商の出発待ちに狩ってくれるの待ってた。
・・・。
・・・どうしようもない混沌か。
背中に付いたやる気スイッチがONになった。
その場で薄いミスリル板にポヨーン魔術紋を刻む。
「アル君なにやってんの?」
「ハチに
「え?」
「アルムさんを(夜中に)泣かせたハチを退治する」
「え!」
正確に言えば昨夜ベッドでうなされたあんたのハチの悪夢を追い出す作戦だ。うなされてるエルフのハチの夢を思い出すとマジ笑える。腹が
アルムさんがご機嫌になったので視た。
違うぞ、その方向は違う!こんな小さなアル君が
皆こうやって自分の都合の良い方向に考えちゃう(笑) 俗な事に首を突っ込まない神の気持ちが良く分る。人間は勝手に都合良く解釈して勘違いしまくるからだ。こんなのに関わればそりゃ穢れるわ(笑)
「アルムさんもやっつけてよね!」
「うん!」
「これ胸のポケットに入れて魔力込めたら4~5時間はポヨーンだからハチ大丈夫!精霊魔法でも弓でもなんでも使って一匹も逃がしたらダメよ?」
「わかったー!」元気ハツラツ。
ギルド嬢に依頼票を持って行く、キングビーの巣討伐二枚にクイーンビーの巣三枚。冒険者証がまだ出来て無いので冒険者証Noをギルドマスターに聞いている。
ギルドマスターに依頼票に無いキングの巣とクイーンの巣を地図上で教えたら。巣を持ってきたら同じ様に討伐報酬をくれると言う。視たら執政官事務所に追加の代金請求するみたいね(笑)
「アルムさん、証拠要るから巣は僕が落とすね、飛んでる奴を逃がさず落としてくれる?」
「分かった!あれ多分
言われて見たら昨日逃げずに向かって来るハチばっかだった。イヤ、
とにかく依頼票の木まで行かなきゃ。
門を出て、大森林前の草むらに入った所でシャドがアルムさん巻いて跳ぶ。
俺は用心深いから巣から(200m離れた)近くに跳んだ。見つかったらヤバイけど200mならギリギリ安全圏だろ。(個人の感想です)
周りのハチを警戒しながら
200m先の巣を多重視点で
ハチが気付いて出て来る前に絶対零度で巣を凍らせた。戻ってきたキングビーをアルムさんがエルフィンボウで撃ち落とす。もうねぇ、4リットルの大五朗じゃないの。阪神カラーの串付きケバブが飛んで来る。串が毒針みたいな?。それで分からなかったら団子三兄弟の抱き枕が飛んで来ると思ってくれ、串の部分が毒針だ。
外に出てたキングビーは20匹程いたけどみんなアルムさんのシュートで爆裂してポトポト落ちた。体が半分に千切れたケバブがドフラミンゴなグラサン顔でガチガチ言うから怖い。
シャド!頼む!
体が半分でも動くキングビーがミンチになる程シャドに斬り刻まれた。やっと魂を表す光の輪郭が消える。
俺は木を半分に斬り倒したので桑の実状のアパートは倒れた拍子に半分ほど潰れた。
目の前で見ると大木に多段に引っ付く人が入れるほどの猫ちぐらにハチが通る穴だけ開いてるアパートだよ。
キングビーは自由奔放に巣を作る。
二つ目はキツネの穴か?という大きさの穴が六つも地面に伸びていた。穴から阪神ケバブが狭そうにブブブと出て来る。内部のハチを検索プロットしてシャドが針千本の様に巣穴もろともブスブスに突き刺した。カミノミの天理だって抜けだせないぞ!トドメに土魔法で埋めて巣を丸ごと石に硬化させた。(どれだけアルが怖がってるか分かる)
巣を処理してる最中、アルムさんは帰って来るケバブを撃ち落として落ちた所をシャドが斬り刻んで行く。
三つ目のケバブ!じゃなくてキングビー!の巣。
巨大な球が六個大木に付いてる、出来始めの巣だ。巨大な猫ちぐらと言ってるが、大きさ的には人が作るかまくらの大きさだ。大き過ぎて枝に吊って無いの。幹に直接引っ付いてスズメバチ特有の茶色の
そのまま瞬間凍結で沈黙させて、後は帰って来る奴だけ待って撃ち落とす。落ちた瞬間にシャドが斬り刻む。
やっぱハチの巣
沈黙した巨大猫ちぐらを木の幹ごと切ってインベントリに入れた。
キングビーで検索したらまだ三匹ほど森に飛んでたので麻痺させて落しシャドに斬ってもらった。
「アルムさん。次、クイーンビー行くよ。四つも巣があるからね、お昼までに終わらそう」
「はーい」
ギルドを七時前に出たから、まだ九時前だ。サクサク進む。
依頼票に図示されたクイーンビーの巣に行くと、マジ赤ちゃんハチに見える。阪神ケバブと四リットルの大五郎なんてえらい違いだ!可愛い過ぎる。
30m位の大木の枝に付くヒョウタン型の巣に三匹ぐらい止まってるがホント可愛く見える。まぁサクッと瞬間冷凍で沈黙させる。ヒョウタンもまだ小さく上部が2mに下部が4m程だ。シャドに枝に吊るされたへたを切ってもらったら下の枝に引っ掛かった。シャドに帯で包み込んで取ってもらったら落ちて下の枝に当たった時に少し凹んでた。綺麗なヒョウタンだったのに!
アルムさんが巣に帰って来る八匹ぐらいやっつけたら居なくなったのでインベントリに入れて次に跳ぶ。
クイーンビー好きだわ、ちゃんと枝に吊るしてヒョウタンの巣を作ってる。マメなのね、あんたら好きだわその性格。
サクッと瞬間冷凍してシャドに包み込んで取ってもらう。わーい。上から下まで8m程の立派なヒョウタンの完全体が取れた!日本家屋の二階建てぐらいの大きさの立派なひょうたんだよ!
やっぱ外にお使いに出てたハチは10匹ほどみたい。攻撃態勢もクソも帰って来た瞬間に小娘エルフの餌食になって爆散する。
三つ目!チャッチャと行きましょう!
「なんか、小さいほう可愛いわね?」
「今わかった?僕キングから来た時に思った」
なんか勢いで俺の方が先に可愛いのを見つけたアピールになっている。
言いながら絶対零度!可愛かろうが関係ない、サクッと死んで頂きます。完全体をシャドに取ってもらう。うひひひ、なんか戦利品がかっこいい。ハチの巣討伐は
飛んでくる奴はアルムさんがバシバシとシバイてシャドが切り刻む単純労働になってる。ホラ今も可愛いのが飛んで来て空で爆裂する。落ちて来た塊をシャドが処理する。
爆裂した時に跳んで来る汁は毒だけどポヨーンが寄せ付けない。多分普通に見上げてたら目が溶けて
~爆裂、爆裂、爆Let's~♪
鼻歌で心も軽く最後の四つ目に跳ぶ俺は毛ほども油断していない。それどころか慢心したらダメと己を
でも、跳んだら草むらでPTが楽しそうに踊ってた。わーい!
緩んじゃった!(笑)
じゃねぇよ!
草むらで大五郎に
こいつらなに戦闘態勢にしちゃってくれてるのよ、ハチがブブブブ飛び回って怖いわ。どうすんの!ハチ祭りで踊ってどうする!
アルムさん
うーんと、うーんと、こんな時は・・・。
調べるあんちょこ持ってねぇよ!
(スフィア!)呼んだ。
スフィアが現れた。 遅れてシズクも顔を出す。
「いっぱい跳んでるハチ、回してポテッとして!」
口に出さなくても俺を視てそうしてくれた。
俺は言いながらもこれ以上出て来ない様にハチの巣を瞬間凍結する、って言ってもハチはもう一杯出てるんだけど(笑) ヒョウタンに一本矢が刺さってる。ハチを
俺のイメージ通りにスフィアが二層式洗濯機の短半径高速脱水の様に回したら大五郎が自重で体が
これ、視たら一種類の毒じゃ無い。複数の毒が混じってる。酸で溶けたり、毒がタンパク質と化学反応する物質に変わってる。これハチの天敵にそれぞれ合わせて複数の毒が進化してる?・・・あ!普通の事か、それ普通だわ。天敵に合わせて毒が進化するのは普通です。
焦って毒視てたら腕を引かれた。
そんな状況は大精霊には関係ないみたい。シズクとスフィアがお昼ご飯作ってる最中だけど、ここに居ていいの?と聞いて来る。ヨシヨシ可愛いなとハグして、大事なお昼ご飯だから作っておいでとお礼言って帰した。
今から焦る。
PTの奴らを毒の撒かれてない草原まで引きずって再生治療した。まだ若いから十円
ホントハチは怒ると怖い。
増田より怖い。(そのハチじゃなくて
視たら、ハチの
イヤ、PT追い抜いてどうすんだ、それどうよ!(笑)
じゃねぇだろ!自称斥候だよ!ニセ斥候だわ、弓もLv1じゃねぇか。気配遮断持ってねぇよ、クイーンビー討伐のスペック満たしてねぇ。そりゃハチが大喜びで追ってくるわ。
そして大惨事で草むらで踊ってた。
遠くから見るとそう見えるんだよ。
まぁ事故だ、悪意の
俺は
TRAIN TRAIN 走って行く!
TRAIN TRAIN 助けてよ!
ウケた。それだけだ。
・・・・
アルムさんとポヨーン魔法を切るが充填した魔力全然使って無かった。爆散した毒の雨避け位しか使って無い。鉄壁のパールさんはポヨーン魔法があるからと無双はしない。有利になった分一歩引いてフラグから遠ざかる・・・そりゃもう超鉄壁よ!
五位PTに昏睡付けて、シャドが巻いて大森林を出た所に跳んだ。出した荷馬車に六人を積んでギルドに帰る。
ふー! お昼にモンスのギルドに付いた。
一人一人意識の無いのを担いでギルド食堂の長椅子に並べて行く。食堂は昼で冒険者は少しだがザワザワと事件が起こった事を皆が知る。アルムさんと三往復終わる頃にはギルドマスターも顔を出した。クイーンビーの巣の前で襲われて死ぬところだった五位PTとギルマスに嫌味言っておく。演習場にデカい戦利品を出しといた。
余りの美しいクイーンビーの巣に人だかりができる。
ほれぼれするような美しいハチの巣だ。見てるだけでうっとりしてしまう。キングビーの巣が三、クイーンビーの巣が四。
キングビーの巣の一つは図示された通り地中で持って来れない事を伝えて討伐依頼は済んだ。ハチの巣を解体するまで待ってくれと言われたので討伐報酬+素材報酬があるみたいだ。
視たら、あのペットボトルの様な幼虫に素材報酬付いてる。ギャー!少し黄なびた乳白色な幼虫、キングが4リットル大五郎、クイーンが1.5リットルのコーラボトル的な幼虫。アレが食材みたいだ。タンパク源はそりゃ分かるけど見たら総毛立つわ。蜂蜜とかなら良かったのに!
でも肉食だから蜜なんて無いわ。
昏睡解いて順次起きて来たPTの連中に木に引っ掛かって凹んだ傷物の巣を一個やった。
こいつらも討伐証明と素材報酬もらえば当分食える。
リアルトレインの舞台を見せてくれた代金だ。
次回 277話 鬼気迫る刃風
---------------
この物語を読みに来てくれてありがとうございます。
読者様にお願い致します。
応援ポチ。☆も頂けたら嬉しいです。
ポチをしてくれる事。それはとても励みになるのです。
一期一会に感謝をこめて。よろしくお願い致します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます