第254話  脳筋の挨拶



1月14日。


台風一過で今日の予定を空けた俺はロスレーンに来た。


お爺様の執務室。

コルアーノの北に出来る子爵領の概要を絵図面と共に見せてもらっている。おれが予定地の内外に作ったキューブハウスとサービスエリアはすでに書き入れられていた。灌漑用水のため池も絵図面に入ってる。メインストリートを馬車道と遊歩道に分けて3mずつ拡張して石畳と街路灯は修正されていた。


新しい街の名前は決まって無いと言う、呼び方無いと困るよな。何か無いかと多重視点で北の地を検索したら予定地から7kmほど横にある丘に湧き水があり体に良いと村人が親のために汲みに来るのが分った。


健康かぁ、ヘルスじゃ不味いな、民が連呼するぞ。


・お兄様!先にヘルス(領)に行って下さい。

・ヘルス(領)に彼女が待ってるんだ。

・私、ヘルス(領)で働くのよ!

・ヘルス(子爵家)のお姫様。

・ヘルス(領)のデリバリーサービス。

・母さん、ヘルスに出かけて来る、晩までに帰る。

いってらっしゃーいと村の奥さんが子供と見送る。


ぽわーん。


アルの頭が囚われてしまった。延々と連想する。


「アル!どうした?」


ハッと!戻って来た。


「子爵家予定地の近くに湧き水があり体に良いと村人が親のため泉に汲みに来る事を知りました」


「お!啓示か?」


「はい、サルーテは如何いかがでしょうか?」

「何からその言葉が?」噴きそうになった(笑)


(連呼したくないからだ)


「健康や幸福という意味ですね」

「良いでは無いか!泉はサルーテの泉というのか?」


「今の話で思っただけです(笑)」

「サルーテ、サルーテ」猿手に聞こえて来る。


「ふむ、良いの。サルーテにするか?」

「案で。お父様とお兄様にも良い名の案があるかも」


「一応、サルーテの泉を書き入れよ」

「この辺ですね、荷馬車の跡で分かります」

「取り合えず泉の名はサルーテの泉で良い」


すでに俺の頭では猿手の泉に変換されている。


「ミウム領から執政官は来られました?」


「まだじゃの、しかしミウムへ発注資材の書類も整っとる、証文交わしてミウムから預かる金で支払うだけじゃ。すでに人足に出す日当も仕事別に決まっておるぞ」


「早いですね(笑)」

「工費積算は文官の本業じゃ(笑)」


「へー!」


「儂は武官じゃ、任せておる。そこのシュミッツの方が詳しいぞ、聞くならシュミッツに聞け(笑)」


「工費基準書と価格相場を知らねば仕事がとどこおります」


「さすが宰相閣下!」

「恐れ入ります」


「ミウム執政官の書類を早くミウムに届けるほど人足の出発や資材が早くなります。辺境伯はすでに私の大魔法を知ってますので書類を届けますが如何でしょう?」


「それは良い考えじゃ。ミウムは一番の中心になってサルーテ建設の土台を担う領地じゃ。そして一番に支払いが始まる領地じゃ、早ければ早いほど良い!」


「他は差し置いてもミウムは早いに越した事ありませんな」


「それならミウム行きの書類がまとまり次第、ロスレーンから特急便で送ると執政官より預かって下さい、折り返しの書類は預かってきます」


お爺様はミウム伯の義弟だ、かなり自由に動けるな(笑)


話の途中でシュミッツが書類を出して来た。執政官がサインするだけのミウムへの原材料発注書類を見て驚いた。最初は広場への1万4千人収容の人足長屋建設と図面、それにまつわる原材料と予備、人足の必要数。それが終わると執政官庁舎の建設と図面、それにまつわる原材料、予備、人足の必要数。


とんでもない量の1冊20cm以上ある書類本だった・・・。視た、最初の2か月分の絵図面と材料が工期に分けられ一週ごとにミウムで集められる原材料と人足を荷馬車に付けてサルーテに送り込む計画書。人足を余らせず次々に工事を発注していく算段。パネエ。


うちの執政官が集まると2か月でこれが出来るのか。春に王都でお兄様が契約し、相互通信機で連絡取れば、契約結んだ時点でこんな書類が各領都に向かう筈だ。時間も十分ある。ロスレーンは国の中心だ、下手すると領主が帰るより街路灯建設が早い可能性もある。


シュミッツ視たら過去の経験が修正され、最後に作られた執政官庁舎の資料を叩き台に不具合点と修正点、現在の単価や運送料が直されてるだけだった。仕事に間違いねえよ、民の税金使うなら間違いない。



俺は思い知った。


恩寵や魔法が有っても、俺が作る積み木みたいなキューブハウスも!だった。


建築技術もデザインもちゃんと学ばなきゃ子供のねんど遊びなんだよ!石畳に模様は作ったが要するにテーマパーク風にパクっただけだ。自分で生み出してないし、生み出す能力も学も無い。魔法で作る速さと無料が売りなだけだ。手早く簡単、文化の欠片も無い。無味無臭で早い世界にお似合いの、この遅い世界に全くそぐわない短小軽薄な物だった。


何が恩寵だ!何が魔法だ!俺は自分に毒突どくついた。でも笑うしかナカタ。まぁ、便利になって民が喜んだ分は得だったな(笑)


俺なんてそんなもんだよ。もう!


俺は自分のアホさを思い知った。俺は高々20年チョイしか生きてない大学生だった事を思い出した。


よかったー!サルーテ提案したのは誰の為でもない俺のためだった。身の程知らずの異世界の若造がわかったふりで先進の地球に住んでたアドバンテージだけで動いてた。


俺このままで大丈夫か?と危機感(明に受け継がれた超防衛本能)が生まれた。見るもの知るものに振り回されて本質は見る事が出来てるのか心配になった。元々それでテミス様の目に止まったんだ。剣振って恩寵育てて好き勝手に討伐して・・・。


これどう見ても変だわ、座って無いもん。自分が歪に育ちそうなのが分る。今までやってこれたのは眼と20歳だった大学生の明の経験だもんな。こっちでも磨かないとアドバンテージが毎年少なくなるぞ。


不意に思った。

アドバンテージを使い切ると主人公が止まるネット小説を。高い教育と文化的アドバンテージだけで無双して本人磨かないから追い付かれると止まる・・・。


コレハイカンゾ!


足踏みかも知れないけど一度どっかで揉まれた方が良いかな?俺学生で就職して無いからな。一度は民と同じ目線で修行と思って足踏みするのも正解かも知んない。初見殺しの問題にもがき苦しんで予備校で質問攻めする事で気付きも多かった。あの時は足踏みに見えてずっと焦ってたけど結果的に急がば回れ式に一歩ずつ着実に成長していたのは分る。


今わかる不思議。そういうのもさぁ、気が付くLvと言うか、必要な時期に来たから気が付くんじゃないのか? 自問自答した。


丁度話しかけられ、書類目線の物思いから抜けた。


「もう昼じゃ。アランとグレンツとも話していけ」


光曜日で丁度良いとお爺様の所に9時に来て、雑談してたらあっと言う間に2時間半経っていた。


「あ!はい、食事後すぐにこの横の会議室に皆で集まってお茶にしてもらえませんか?」


「構わんが、何かあるのか?」

「恩寵の事でちょっと」

「む、分かった」



・・・・



男どもが食堂でに群がる。夢中にしゃべたおして食事を待っているとお婆様の雷が落ちた。 ピシャーン!と。


昼食を食べ次第、秘密会議のメンバーが集まった。


「10月20日からの恩寵付与ですがその後は?」

「おぉ!毎年やってくれと(笑)」

「それは不味いです(笑)」


「恩寵についてかなり重要な事が分りました」

「何か知ったのか?」


「いえ、恩寵の上がり方に気が付いたのです、恩寵が少しずつ溜まると僕は呼んでますが、溜まる時に各自の基礎数値がランダムで1上がって行きます」


「・・・」


「恩寵はLvが低ければ低いほど、例えば身体強化なら身体強化の経験が貯まって行きます。溜まっていく過程で力の基礎数値が1とか2とか上がって行きます。そして経験がある一定になると恩寵Lvが上がります。逆に恩寵を上げてしまうと、前の恩寵で上がる筈だった基礎数値が上がらずそのまま恩寵レベルだけが上がります。


キモは恩寵レベルが上がれば上がる程、経験が溜まらなくなっていくのです。ですから基礎数値も上がりにくくなってしまいます」


「それは普通ではないのか?」



「ええと、武官で説明しますがお爺様のステータスボードで説明してもよろしいですか?基礎数値部分だけで良いです」


「このメンバーなら構わん」


「皆様、お爺様のステータスボードを見るように寄って頂けますか?」


ラルフ・ロスレーン 63歳 男

ロスレーン子爵家当主  健康

職業 騎士 


体力:252 魔力:104 力:117 器用:100 生命:116 敏捷:99 知力:112 精神:143 魅力:75 幸運:69


「おぉ!」皆が驚く。


「僕がこれです」


アルベルト・ロスレーン 14歳 男

ロスレーン伯爵家 三男 健康


職業 聖騎士(騎士10UP、精神+10、幸運+2)剛力の指輪(+15)瞬足の指輪(+15)幸運の指輪(+3)アプカルルの涙(魅力+10)


体力:86(96) 魔力:- 力:62(87) 器用:403(413) 生命:67(77) 敏捷:61(86) 知力:713(723) 精神:735(750) 魅力:84(94) 幸運:87 (92)


「おおー!」


「私の恩寵には付与してません、神の恩寵を己の欲望で自分に付けては加護が無くなると思うのです。(お前良く言ったな!)


ですから鍛錬で上げた物です。そのままの鍛錬で上げていくと、身体強化がLv1からLv2に上がるまでに力の値は10程上がりました。少しずつ上がってたんです。今回武官の鍛錬を見て、恩寵を上げると本来Lv4で鍛錬していたら上がる筈の基礎数値が得られずにLv5になる事が分りました」


「え?その様な事が!」アランお父様。


「これはですね、Lv4に上がったばかりの武官とLv4で数年過ごした武官では基礎数値に20以上も開きが出た事で分かりました。やはり導師が言われた通り神の恩寵は努力関係なくたまわる物で、個人の努力よりは下の様です」


「お爺様の様にすでに数多あまたの戦いで恩寵を上げて来た者にとってLv7をLv8に付与するのはそうそう基礎数値は気になりませんが、になります。今回は知らなかったので皆に付与しましたが特に伯爵家になって登用が増えている騎士は極力自力で鍛錬させるのが良いと思います」


「そこでグレンツお兄様です。恩寵を下げて鍛錬して見ませんか?恩寵レベルを落として基礎数値を上げるのが一番効率的ですが、それでは怪しまれます。十月に上げたLv4をLv3に落とすならスランプ体の不調と言い張れるのでは?Lv3で得られる基礎数値が仮に+20ならLv4の現在は基礎数値を相当損した状態です。何より基礎数値を上げれば自身の力が増します。


逆に付与された恩寵レベルでは基礎数値で劣勢に立ちます。私はまだ子供の体でもLv5の身体強化で得た基礎数値はお爺様の半分程の60です」


指輪がズラっと並ぶ左手を見せ、指輪を外す。


アルベルト・ロスレーン 14歳 男

ロスレーン伯爵家 三男 健康


職業 聖騎士(騎士10UP、精神+10、幸運+2)幸運の指輪(+3)アプカルルの涙(魅力+10)

体力:86(96) 魔力:- 力:62(72) 器用:403(413) 生命:67(77) 敏捷:61 知力:713(728) 精神:735(750) 魅力:84(94) 幸運:87 (92)


「力と敏捷がガクッと落ちたな、指輪の力か?」

「そうです、帝国問題より聖教国より貸与されてます」


「なるほど、基礎数値は重要だな」お父様。

「基礎数値で恩寵効果も違うという意味か?」お兄様。

「そういう意味じゃな?」

「元の力が変われば当然そうなります」


「お爺様のLvでは普通の鍛錬や戦争では恩寵上がりませんから付与しても良いんです。しかし若いうちから恩寵上げて、基礎数値の自然上昇を飛ばすと、仮に恩寵Lvが同じでも基礎数値が貧弱になります。自然に上がるうちは鍛錬によって着実に基礎数値を上げた方が良いと思います」


「なるほどなぁ・・・」

「そんな事がなぁ」


「ただ、もうすぐ王都に行った際に恩寵が低いと心配もありますので、お兄様とお父様にそのままで行くのかLvを落すか聞いた上でその様にしようと今日は来ました、落すのも王都から帰ってからでも良いですし」


「うーん、そう言われると怖くなるな(笑)」

「アル!下げてくれ、明日からでも身になる方が良い」


「グレンツはそうするか、僕も1つ下げてくれ、2つも上がってだいぶ端折はしょってるからな。上がったら又下げて貰うよ(笑)」


「分りました(笑)」

二人に付与した剣術と身体強化を下げた。


「騎士団は皆上がっております。細心の注意で模擬戦して下さい、実はギリギリの攻防にこそ恩寵や基礎数値上昇の秘密があります。ギリギリ打ち込めた、ギリギリさばけたという真剣な攻防が出来る少し格上を探して専属の相手にすれば早く上がりますよ」


「なるほどのう。強い魔獣や戦争中に上がり易いとはそういうことかぇ!若い時は色々試したのう(笑)」


「元々ヒースがそんな相手ばかり当てるからな(笑)」


「そうでしたね、余計な心配でした(笑)」

「アル、ありがとう。頑張るよ!」

「はい!何事も近道は無いようです(笑)」

まことよな(笑)」


「今決めたぞ!あそこはサルーテ領にする」

「良いのですか?」猿手領なら絶対忘れない。


「俺は武官だ、文官のヒルスンとは違う、街の名で悩むより鍛錬で悩むのが本業だ(笑) 良い名と思うぞ」


「ありがとうございます(笑)」

「王都でサルーテ卿に会って来るよ(笑)」

「「(笑)」」


「分かった、昼から文官に伝えよう」


「アラン、サルーテの泉で健康と幸福の泉と昔から言い伝えがあると石工に彫らせよ」


「直ちに」


「あ!忙しいとは思いますがヘクトの別荘の方は整備の発注されてますか?」


「執政官が案を練っておるわ(笑)」

「もうそろそろ上がってくるのでは?」

「1か月じゃぞ?上がって来るか?」

「春まで王都なのでそれまでに上がらないと(笑)」


「それもそうじゃのう、そっちも頼む」

「アルのお陰で夏までには出来ると思うよ」

「覚えてます?1位の文官のご褒美?」

「おぉ、覚えておるぞ」


「褒賞の文官が別荘で過ごす間の研修覚えてます?」

「言っておったのう?」


「研修、それで文官の政務能力の恩寵を上げますので早ければ早いだけ有能な官吏が領地に生まれます。一位の文官ならお爺様と同じく基礎数値も上がってるので恩寵効果も高いと思います」


「おぉ!そういう意味で言っておったのか。早急にヘクトとライツ湖の整備を始めよう。初年度は夏のライツ湖のみで良いな、周りが開けて宿や店も多い、気が晴れるじゃろ」


「お爺様がそのつもりならヘクトは後回しでも良いです。ヘクトの代官オスモさんはライツ湖だと1週間掛かり、家族で来るのも大変ですが(笑)」


「逆にオスモの家族は喜ぶじゃろ(笑)」

「シュミッツも近くの方が良い?」


「私はどちらでも。楽しみにするだけでございます」


「それではお時間取らせてすみません」


「いや、だいぶ概要が分った」絵図面をチラ見する。


「グレンツ、一緒に出るぞ」

「はい、父上」



「失礼しま・・・」


「アル様」

「なに?」

「1年以上俸給を受け取っておられませんが」


「・・・」


皆の視線が痛い。


「アル様はクランを経営してご自身で白金貨を稼がれるのも良いとは思われますが、そもそも自領で叙爵されながらの自由の身にしてロスレーン家の俸給をないがしろに・・・」


お兄様がお父様と扉を出ながら捨て台詞。


「無役の騎士が冒険者ってアインが怒ってるぞ(笑)」


燃料投下でシュミッツがヒートアップした。ジャネットがいた。


# 何言ってくれてんだ!

しかし流石さすが武官、脳筋の挨拶をわきまえている。


5分ほど説教を受けて俸給もらって来た。


俺の多大な貢献はどこいった?



・・・・



一旦(ロスレーン家の)自分の部屋に帰る。


めんどくさいけど昼から贋金にせがねを高空から検索した。めんどくさいのはそこら中に贋金にせがねが有るからだ。話に聞いてたけどこれは凄い。簡単じゃ無いので今日は諦めた(笑)



「コアー、盗賊達の村ってどうなってる?」

「最北端の島の標高1000mに春夏気候の村を作ってます」


「ある程度の敷地は出来てる?」

「ある程度の開拓までですが魔獣を追ってません」

「いいよ、人が住んだら塀で囲う。後から追おう」

「悪いの連れて行くからね」

「村は並べて下されば対処します」


(シズク!スフィア!おいでー!)


「はい、アル様」

「はい、アル様」

「あ!もうミスリル鎧とか教えてくれたの?」

「色々な服も教えてました」

「良かったねスフィア」

「はい、アル様(笑)」

「ステータスボードは?」

「まだです」

「シズクの見て作って行こうか?」

「はい!」


皆が出さなくても視られる(笑)


スフィア46万歳だった・・・。


シズクのボード12歳から変わってねぇ(笑)


俺が改変したからだな。スフィアを13歳にしてシズクを14歳にした。スフィアが愕然がくぜんとするのを、実体化した時の人の世界のルールでスフィアの齢は全然変わらないと言い聞かせる。そうしないと俺と一緒にいられないと言うととんでもなく驚く。そして納得させた。


シズクに少し大きくなっていいよ、と言うと突然大きくなっちゃった。そうだ!14歳の大きさって俺よりデカい!普通の女の子はそれぐらいか、胸まで出て来ちゃった(笑)


僕の大きさ位までになってと言っても相当見た目が変わる。2年放置は不味かったな。いきなりシズクが変わったらみんな噴くな(笑) 朝ちんちくりんで晩に大きくなって胸まであったら怖いわ。さっきの12歳から少し大きくなったぐらいで落ち着いた。


シズクは半年に一回大きくなれます。次は夏に大きくなりましょう。と幼稚園の先生みたいな諭し方になる。スフィアは来年の1月から半年置きにシズクと一緒に大きくなります。俺が本当に14歳の身体だったら合わせなくてもいいのになぁ、ごめんよ。


スフィアを冒険者ギルド長の所へ連れて行った。


「ギルド長!折り入ってお願いがあります」

「何じゃ何じゃ?」


「この子なんですけど、金の卵なんです」

「スフィアって言います」


俺を読んで挨拶するスフィア。


「可愛い子じゃな(笑)」

「見てもらった方が早いので見てもらえますか?」


「金の卵をか?」

「2位の試験官っていますかね?」

「マルコスなら居ると思うが」

「呼んでこの子を試験してもらいたいのです」


「え!」


「うちのPTに入れたいのですが一緒に活動できないので」


「分った、たまに貴族のそういうのはあるでな」


あるんかい!真面目にやってる奴・・・俺が言えねぇ(笑)


「下に行こうかな?」

「お願いします」


「マルコス、特別認定試験じゃ」

視るとそういう時の別称だった。


「その子なんで?」そういう顔になるよな(笑)


「スフィアです、魔法使いでお願いします」

「お願いします」

「そんじゃ演習場で魔法を見せてもらおうか」


「この位置から、あの杭に魔法を当ててもらえるかなぁ?20本全部に威力と数を見るからね」言葉遣いが子供用だ。


20m先に、直径20cm、高さ2m程の細めの杭が焼けたり傷だらけで立っている。普通は左から順に魔法を撃って命中率とか最初と最後の傷が同じレベルで即死クラスと判定されたら魔法使いの2位だ。


(スフィア、エアバレットってこういうので全部当てろ)


(はい、分かりました)


教官を見て俺を視てスフィアが言う。


「当てます」杭より太い空気の弾丸が一斉に飛ぶ。


同時に杭が全部折れて飛んでった。地中に埋まった2mで直径細いから傾く間もなく折れちゃった。


「・・・」教官、目が点。

「・・・」ギルド長は走って見に行った。


スフィアは何も言って貰えないので俺を視て安心した。


ギルド長が言った。

「分った!」

合格!の言葉じゃなかった。


プレートの申請で視たらシズクは全部の刻印を入れてたのでスフィアにも全部入れておく。住まいも導師ハウスで皆と同じ申請だ。


15時になってしまったが仕方ない。スフィアをシズクの所に返してまたお願いしておく。


タナウスに帰っても17時、真夏だからガンガンに明るい(笑)

犯罪者受け入れ施設を作りに行った。タナウスの大空洞からネズミで少々痛んだ村セット(村ばかりの家が置いてある区画)から5000戸持って来た。コアの指示を聞きながら畑予定地の近くにポコポコ置いて行った。井戸とかめんどくさいので村の中央付近に井戸代わりの給水紋を付けて行った。村には布団から何から揃ってる。


耕作地には大山脈の中腹から出てる水源から用水路を引いてきた。ガガガガババババって感じで4つ8つと枝分かれした支流を作っておく。


100戸の村ってスゲェわ。それが50個点在する村。どっかの強制収容所みたいだわ。まぁタナウスの罪人更生村なんだけど。いつかは地平線見渡す限りの畑になるんだろうな。


同心円状に展開した更生村落。円の中心に更生村に生活物資を供給する行商人用のキューブハウスと転移装置を置いた。ダンジョンと同じくどこからでも転移可能な転移装置だ。




次回 255話  占拠

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