第248話  春の夜の夢


1月9日。チノ共和国で暴れた晩。


ハウスに帰って来たアルムさんとクルムさんと小壺を飲みながら話し込んだ。悪党がオスモさんに悪行を喋ったのを二人も聞いていたのだ。


「あれは人では無いの」

「あれは殺して良いんじゃないの?」

「殺すのが法だの・・・」

「・・・」

「あんな奴らでも神がそう言うのか?」


「知っちゃうんだよ、あんな奴らも子供の時はあるんだよ。悪事だけ見たら人から生まれて来たとか信じられないけど、子供の時には普通に笑ってたんだよ」


「ああいうのを、見て来いと言ってたのね」


「イヤ、情報だけで良かったの。ギルドにたずね人の依頼書が多いとか、流民が道端みちばたで良く死んでるとか、重税で苦しむ人が多いと聞けば、僕がその国に行くつもりだった。何が悪いのか知るかもだから」


「クルムさんが年末に行っていた村は、病人は治ってる?」


「流行り病だからの、村の病人を訪ね歩いて治すだけよ」


「それもね、時間が出来たら一緒に行って領主を知ろうと思ったの。薬師も用意しない領主は、価値が無ければ追い出すのよ」


「(笑)」


「領主は泣き叫んで謝ってスッとしたわ!(笑)」

「間違いを直す領主ならそこまでしないよ(笑)」


「まぁ、アルのやっている事も分かった。アレは普通の者には出来ぬ事じゃ、領主も御子の前ではただの人か」


「今年は、他国に出るからね!頼むよ(笑)」

「アル!ヘクトの囚人はあれだけにしておきなさい」


「え?」


「やるなら、タナウスに作りなさいね。タナウスならコア殿達が好きに出来るが、オスモ殿みたいな代官には荷が重すぎる。他国の領主をヘクトの囚人とするのは止めなさい」


「なんかタナウスだと人の役に立つんじゃなくて、僕の役に立っちゃうじゃない。僕が欲望のままに奴隷を狩るみたいで嫌なの」


「あはは、そうよね(笑)」

「言われてみたらそうね!(笑)」


「知らない人が見たら、僕に天罰を与えに来るよ(笑)」 

「アル!罰に村で食料を作らせるのよ」

「それなら知らない人が見ても農民だわ!(笑)」


「えー!あいつら農業なんてやったことないよ」

「教えたらいいじゃないの、五年も教えたら農民よ(笑)」

「そりゃ農民だけど・・・」


待てよ。村を希望した人たちから農業博士みたいな人を観測して、メイドに指導させるか。栽培させるのはハイブリッドの高収穫の農産物。出来た物は種子として世に行き渡らせる!


「そうする!ありがとう、クルムさん」


・・・・


1月10日。


教室に行くと、リズが待っていた。


俺が王宮から帰った後にアラームを覚えたと言うので見せてもらった。タイムも早かったし、アラームは四か月?


今は魔力制御を磨く様に励ました。


「こんな感じです?」ライトを編む。

「こんな感じに」少し小さく編む。

「・・・」

「そうそう!上手い上手い!」

「制御が上手くなってる、やらなきゃ損だよ!」

「はい、アル様!」


気が付くと早く来た子供達が口から砂を吐いている。


「あ!時間だな!」とチョレスを出して外に逃げた。



・・・・


クランから帰って来ると皆で冒険号に行き、犯罪者を捕まえてハイブリッド作物の農夫をやらせる案をコアに話すと、首都より温暖な北の地でハイブリッド種の栽培は予定してたとの事。直ちに村人の観測を優先して行い、囚人を収容する村と農耕地帯を整備すると言ってくれた。



すでに騎馬民族の五割ほどの集団はタナウス島の南の土地まで移送していると言う。家畜をどうやって連れて来たか聞くとナノロボット三万体で家畜を囲ってコンテナに追い込んだと言った。予定ではあと三日ほどで移住は完了だそうだ。(タナウスの南は緯度が高いので来ても熱帯低気圧まで)


全然知らなかったが北方の家畜は寒い方が元気よく過ごせるそうだ。聞いてそのまま検索して分かった事。黒王号と俺が言ってたのは中間種の荷役馬で、馬は馬でも北方馬とは違った。北方馬は馬の中でも大型種で体重1300kgもある。南方種と呼ばれる馬は小柄で大体500kgだから大きさも全然違う。


・北方種 寒さに強く多毛種1300kg程。

・南方種 普通の馬だが熱帯は苦手500kg程。

・中間種(荷役用)北方種寄りの力の強い生産馬1000kg。


騎乗用は南方種で特に足の速い生産馬500kg


※魔力が強い固有種が訓練されて軍馬となる。


亜寒帯で暮らしてたなら大丈夫と思うが、タナウスの南限は大山脈地帯で1000m級の高原だから気候は変わらないかも知れない。


元はコボルさんの座っていた机でモニターを出して騎馬民族の分布図の説明を受けた。開いてる箇所に残りの騎馬民族を連れて来るそうだ。連れて来ても大集団は定住できず牧草地を求めて移動し続けるそうだ。


家族集団みたいな60人程の騎馬民族は家畜も含めて牧草地に定住出来るらしいので、生活必需品と革製品、羊毛製品の交換窓口の定住家族にすると言う。


・・・・


昨日の盗賊や人攫ひとさらいいから辿ったシンジケートの鹵獲品ろかくひんを冒険号の倉庫に出す。冒険号の倉庫もハンパない。使われてない宇宙船まで入っている程でかいのだ。


アルムさん、クルムさん、シズクに好きな物あげると店を広げてコアに整理を頼むと200人程のメイドが整理に掛かりだす。


お金もハンパないがどうでもいい。マジックバッグが四つ程あったので倉庫の隅の方で開けた。ろくな物が無かった。金目の物ばかりで全く興味がない。


アホじゃねぇのか。貯めるだけ貯めて死ぬまで奴隷で鉱山だよ。

あの世に行くまで・・・あの世に持って行けると思ってるのか? なんでそうなっちまったんだよ。この世も厳しいけど、貧しければ貧しい中に幸せがあった筈なんだ。何処で間違っちゃうんだ。


思いながらも視て分かっていた。

悪い友達とつるんで、友情や強がる分泣き言を言えなくて一味を抜け出せない。一線を越えてしまった時から皆で一緒に転がり落ちる様に悪の列車が走り出す。やられたらやり返す負の連鎖で殺しだす。破滅するまで止まらない暴走列車だ。


十二歳で紙級の冒険者だって、道を間違えなければ幸せな道も見えて来るのに。楽な方へ走って身を滅ぼす。悪の集団となり街の武官や文官とつるんで自分のシマを持ったと、成功したと思ってるがそうじゃない。俺が来なくても宿敵ライバルが来るさ。


小学校、中学校、リトル、シニアと俺の前には必ず次の乗り越える上手い奴が現れた。努力する俺の上を行く才能と努力で立ちはだかった。


多分、どんな道でも同じだ、必ず同業に立ちはだかる奴がいる。ギャングなら越えられた時に死ぬだけだ。早いか遅いかだけ。


今を面白可笑しく生きる。それを点で見ると気付かない。


源平合戦の時から覇権はけんは移り行く。


祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。沙羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰せいじゃひっすいことわりをあらはす。おごれる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、ひとえに風の前の塵におなじ。


平家物語か・・・。



盗賊が付けていたマジックアイテムがかなり溜まっていたが皆+3から5の指輪や腕輪だった。高級感あふれる魔法ランプや銀器が高級クラブからかなり出たが中でも酒蔵の酒の数がハンパない。


隊商からの戦利品と思われる布や糸をクルムさんが持って行った。アルムさんは膝掛けを持って行った。シズクは興味のある物を手に取って眺めるだけだ。



ひとえに風の前のちりにおなじ。



・・・・




罪人の村で作物を作るは良いが、ハイブリッドの種を地域に定着させる方法に困った。貧困の激しい国に定着させて、裕福な国の外貨を稼ぐのは良いがハイブリッド種子など戦略兵器並みの代物で扱いに困ってしまう。豊かな穀倉地帯の土地が他国を刺激して戦争になりかねない。


売り方と守り方ねぇ・・・。


ふと移住した村で取れる高原の夏野菜を北半球で売る話を思い出した。


鹵獲品の選別をメイドに任せてPTを連れてタナウスの農村部に跳んだ。


「こんにちはー」

「アル様」

「大体落ち着いたかな?」

「お陰様で、平和な日常が戻って参りました」

「村長さんって決まった?」


「元の村で農業を教えて下さったグレゴリさんに決まりました、あそこに見える半二階の家です」


「ありがとう!農業に詳しい人なんだね?」

「はい、それはもう」

「ありがとう!行ってみます」


「グレゴリさーん」

家族一同と世話を焼くメイド隊も一緒にいた(笑)


「アル様!何か御用ですか?」

「野菜って村が三分の一になったら余らない?」


「そうですね、余るので街に売りに行こうかと思ってました」


視たら、やっぱ首都に紛れてるメイドロボたちの数を当てにしている(笑)


「少し聞いてくれる?」

「はい」


「まだ街もね、人口が少ないのよ。食料も配給制にしてるの。ハッキリ言って建国前で衣類や配給の食料を今は買ってるのね、まだ工業製品がこの国は出来ないのよ、だから何から何まで買ってるの。だから不自由な事も有るのよ」


「それはどのような?」


「そこのメイドは何のためにいると聞いたかな?」

「暮らして行くのに不具合のある事や困りごとを解決するためと聞きました」


「そうなの、例えばそこの農具が欲しいと言ってもまだタナウスでは作れないの、だからそういう要望を聞いて要る物を買わなくちゃなんないの」


「ははぁ・・・」


「それだとうちのメイドも不慣れでしょ?だから、出来た野菜を他国で売って、それで手に入れたお金でその国で買い物してくれたら嬉しいの、魔法でゲートを作るからこの村で出来た夏野菜を冬の国に売りに行けば良いお金になるけどどう?」


「今、冬の国があるのですか?」そこからかい!

「うん、この世は広くて今が冬の国があるのよ」


「はー!」まぁ大陸がケーキ状と思ってたらそうだわな。


「冬の国のお金を貰ってもタナウスでは使えないけど、野菜を売った荷馬車が空になったら、そのお金で村で必要な物を買ってタナウスに帰って来たら生活も豊かになるでしょ?」


「確かに!」


「大陸の交易路構想の話は聞いてるかな?」

「聞いてはおりますが、一農夫では意味もなく(笑)」

「それの野菜版で冬の国に売りに行こう!」

「いかほどの量が必要でしょうか?」

「村で要らない分だけ売れば良いんじゃないの?」

「街に移った250人分の量は余ります。三食の付け合わせに余った物は塩漬けにして樽に保存してたのですが、タナウスの冬は厳しいでしょうか?」


「冬でも問題なく野菜は作れると思います」

「え!」

「一年中温暖です」


「分りました、野菜はいつ出荷いたしましょうか?」

「あそこの馬一匹の馬車で何杯ぐらい?」

「全ての野菜を乗せると三、四杯位でしょうか」

「詰め込んで野菜痛まない?」

「あ!それはですね、あそこのかごに見栄え良く詰めるのです」


見ると口の広いツバのついた柔らかなバスケットがあった。見ててくださいねと野菜を詰めるが視たからもう分かった。朝顔状のツバの上にトマトみたいな柔らかい物を詰める感じだ。荷重が分散されて真下に重さが伝わらない。



「今から一車でいいから作れるかな?」

「今からでございますか?」


「見本に見せてくれる?お貴族様の敷地に売りに行けば喜ばれるから、知り合いの貴族の人に見せたいの」


「それでは、11時までに収穫した物を詰めます」


「その時、村のリーダーみたいな人を三人連れて来て下さい。僕もお昼食べたらすぐ来るからね、冬の国だから冬服だよ!」


「あ!そうですな!」


畑から村に入る門に馬車の車庫を建てた。車庫の向こうに赤台、青台を設置する。


「面白い事考えるわね」

「絶対売れると思う!」

「タナウスじゃ好きな物買えないからね(笑)」


「店を出す時、これを吹くと良いかも?」

「!」見てワロタ。


凄い音でピョロロロロローと鳴る木のホイッスルだ。


「よく持ってたね!僕教会の子にあげちゃった(笑)」

「なんでよ!」

「だって使わないと思って」

「(笑)」

「三つ四つ要るから作らないと!」


お昼を冒険号で四人で食べた。ら、ボタンが倍になっていた。エルフ姉妹が休み中に暴れ回っていた。


ドーナツ?ドーナツがある!ガン見してしまう。


「アル君!それ美味しいわよ!」


エルフに教えられた。ドーナツ大国の日本なのに(違います)


「街の名物で並んで買ったのよ!」

「これって、全部味見してから観測した?」

「アル!それは失礼よ!ちゃんと食べてるわよ」

「食べて美味しかったんだよね?」

「当然!美味しかったわよ」

「なら・・・いいけど・・・」


怪しいボタンを視たら虫の炒め物見たいのはお菓子だった。ちゃんとボタンが四回押されているから食べてるんだろう。こんな綺麗なお姉ちゃん達がこんなの食べてるとこ視たくない。生まれ育った文化は恐ろしい。エルフだけが消化できるとか無いだろうな。


「ここね、日替わりプレートがランダムで出るボタンね」


「え?朝、昼、夜のギルドのプレート?」

「そうそう!12月中雷鳴食堂に通って集めたの」

「(笑)」


「アルはそういうところが凄いわね」

「え?」


「一つ一つ毎日集める所(笑)」

「え!・・・アル君ならやるわね(笑)」


気に入ってやってるのにディスられてる気がする。


そう言えば!とキジ鍋と干し肉を観測してもらった。


昼食とは名ばかりで、うちのPTが机に広げたのはポテトや唐揚げ、クリームソーダ。天ぷらうどんに焼き魚とバタークリーム山盛りのカップケーキ。それはまるで予備校のグループでワックに行った様な机の状態だ。カオスだ。


・・・・


お昼を食べてすぐにグレゴリさんの家に行ったら家の前に荷馬車がある。荷馬車は2m×5mの荷台に野菜がギッシリ詰められている。


レタス、ブロッコリー、トマト、キュウリ、ひよこ豆、ピーマン、かぼちゃ、なす、とうもろこし、そら豆、パブリカ、唐辛子、キャベツ、たまご。


高原野菜だから夏野菜と言えない物まで乗っている(笑)


勿体無いと里から持ってきて良かった!

グレゴリさんと三人のリーダーの人達とみんなで跳ぶ。


神教国タナウス13時>ロスレーン家11時。


ロスレーン家の玄関前だ。後ろに噴水がある。

11時だ、16時には暗くなるから売り切りたいな。


屋敷の中に入るのが面倒なので、お爺様とお父様の部屋の前で叫ぶ。


「お爺様ー!お父様ー!」ピョンピョン跳ねる。


三回程呼んだら窓際に出て来た。窓を開けてお爺様が怒る。


#「アル!お主は貴族じゃろうが!何をやっとるかー!」


「玄関に美味しい物がありますよ~!」

お爺様が窓から顔を出して荷馬車を見た。


「何ぞ持って来たのか?」

「皆が喜ぶと思って!料理長も呼んで下さい」

領主を使う孫。


「僕も行けばいいのかい?」

「お母様も居たら呼んで下さい」

次期領主も使う三男。


少ししてロスレーン家の重鎮じゅうちんが集まった。


「この人たち、圧政あっせいから逃げて来た移民の人達です。夏の国なので夏野菜をロスレーンで売らせて頂けないですか?」


ALL「・・・」


「お主の人助けも際限が無いの(笑)」


苦笑してくれた。


「バルトン、良ければ見繕みつくろって買ってやれ」

「は!」


「それでですね、他国なのでコルアーノのお金を持って帰っても困るのです。野菜を売ったお金でロスレーンで足りない生活物資を買わせて頂けないですか?」


「ほう!売った金をロスレーンで落とすのか?」

「移民なので色んな物資が足りないのです」

「ふむ・・・領都は出んのじゃな?」

「はい!」


「シュミッツ領民証を出してやれ、御用旗ごようばたもじゃ」


「は!」


「ありがとうございます」


「今日は貴族街で売って四番街で生活物資を買って帰ります、帰りに寄りますね」


「アル様、その者達の名前を教えて貰えませぬか?」

「この方が村長のグレゴリさん、そして・・・」

「ホイス・アーセン・バチストです」


そんな事をやってる間にお婆様とお母様が好き勝手に摘まんでバルトンの持って来た篭に入れている。レタスとトマト、カボチャ、ナス山盛りだ。


「ロスレーンの相場ではこんな感じかと思います。この金額で買わぬ者は価値を知りません。入用が多ければマケても良いでしょうがこの値段で売ると良いでしょうな」


料理長が野菜の上にざら紙の値札を置いてくれた。


「マジックバッグの在庫もこの季節は少なくなるばかりでした。売れ残ったら持って来てください、新鮮な葉野菜をこれまで以上に出せます(笑)」


「バルトン!ありがとう!」

「いえいえ、この季節に無い食材です。腕を振るえます」


「お爺様、お父様ありがとう! 厩舎の裏にこれから荷馬車で飛んできますので、来たら玄関前でこの笛を吹きますね」


アルムさんが笛を吹いた。

ピョロロロロー!


「アル!ここは貴族家じゃ、玄関前でメイドに言えばバルトンが来るわい。客や執政官や武官もおるやかたと覚えておるか?」


「あ!そうか!(笑)」

アニーがハラハラしてくれてる(笑)


「良し、行って来い!お主がおれば門も開くわ(笑)」

「はい!ありがとうございました」


うやうやしく近衛隊に見送られて貴族街から売りに回った。シュミッツやロスレーン執政官の序列上位の人の家がここにあるよと言ってたら、師匠の家のメイドのルナが出て来て鉢合わせ!俺を見て固まって、すぐ家の中に逃げて行った。


と思ったらアリエラ(アニーの上で今年22だ)連れて出て来た。「アル様!(笑)」荷馬車の俺見て大ウケ。領主の孫が野菜売ってたら驚くわな。


「無理に買わなくていいよ、食べる分だけ買って!」

「今日は妙にお腹が減りますわね(笑)」

「好きに買って(笑)」


結果、メイドや奥さんたちが出て来てすぐ売り切れた。グレゴリさん達はコルアーノ貨幣を知らなかったが街に出てその価値を知った。買う物は大人用と子供用のサンダル(バイソンの厚手の皮に革ひもで足首に固定する村人の履物)お金と相談して買っていた。


そんなにサンダルに困ってる?と視たら違っていた。村人にちゃんと行き渡って、一軒一軒が食う分を我慢しても豊かになるために野菜を大事にするように考えてた。


これだ!これなんだよ!

そうやって工夫して我慢して少しずつ豊かになれば良いんだよ。サンダルが来たら一日は幸せな筈だ!子供だって履いたら嬉しいよ。明日も頑張ろうと思うじゃないか!自分で立って歩くってそう言う事だよ。俺が恵む事じゃ無い。この人たちは成功する!


アルはもう気持ち的に満腹になった。


少しの小銭を残してロスレーン家に帰る。

シュミッツに四人の領民証と御用旗(手旗)を貰った。荷馬車の見えるとこに立てておくと門は自由に行き来出来る。


荷台に詰まれたサンダルを見てシュミッツが笑う。


「これから村が豊かに栄えると良いですな」

「うん!これからなんだよ(笑)」




次回 249話  捜索願いの依頼票。

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