第243話  人生の初見殺し



純愛物語の劇を見て真っ暗となった十七時に帰ると、財宝の仕分けが終わったと教えてもらった。見張りの近衛隊が囲む中、ライトの魔法をポイポイ灯して中庭の金塊、銀塊、宝石をインベントリに入れた。これはグレンツ商会の売上金だ。


リズの部屋まで行き、リズとメイド長ナタリーと執事長セオドラを交え今後の事を話しておいた。問題点があれば指摘してもらう様に言う。


・お兄様の結婚式以後、ロスレーン家とフラウ姉さまが落ち付き次第に、リズはロスレーン伯爵家でフラウお姉様の弟子となって魔法の修行に入る。


・リズの居ないメルデスのお屋敷を維持するため、ロスレーン家にはナタリーとセオドラと六名の先生のみ連れて行く。


・お兄様の結婚式以後は読み書き教室からアルは抜ける。ナタリーとセオドラの穴が抜けた分は人員を補充し私塾の先生をしていたキャプターに任す。


・結婚式以降はクラン雷鳴の運営は副クランマスターに任して、アルは基本不在となり。神教国の建国に傾注けいちゅうする。何かあれば連絡を取ればよい。


神教国タナウスを四年後か五年後に建国するためにはお互いに自覚して目の前の事に打ち込まないと薄っぺらい名前だけの教皇と名前だけの皇妃になる事を真剣に伝えた。


人には必ず雌伏しふくの期間があり、その期間に己を如何に磨くか、力を溜めるかで後の未来を左右する事を説いた。七難八苦の話もした。実力が伴わなければ建国は六年以後だって良いと言った。六年経つとナタリーが四十歳になるから、ナタリーを幸せにするためにお互いに頑張ろうと誓いあった。


メイド長のナタリーが初めて怒った。



晩餐ばんさんまで一時間あったので演劇一座にもう一度行った。昨晩の顛末てんまつを教えるためだ。劇は最後の幕を開演中。料金を取って席に案内するおじさんは最後になだれ込む聖騎士の役で終わりだ。その人が座長さんなのだ。


待合に立つお兄ちゃんが帰りの観客を捌く。おれは流れに逆行して手を上げて挨拶、座長さんの所に行くと通してもらった。舞台の横の扉から裏に行って座長さんに声を掛ける。


「お疲れさまでした!」

「坊ちゃん!」

「昨日の騒動はごめんね、心配したでしょ?」


「坊ちゃんが冒険者は分かりましたが守備隊やっつけちゃって、私達は恐ろしくて逃げ帰りましたからね、守備隊も騎士団も宿に事情を聞きに来ないんで不思議でした」


「ゴメン!守備隊ぶっ飛ばしたら怖かったよね(笑)」


「いえ、今日客席に見えて安心しました(笑)」

「デートだったからさっきは話せなかったの」


俺達に気が付いてない!(笑)


「元締めと話は付いたから、それを話に来たの」

「嫌がらせが怖いので、本当にありがたいです!」

「はいこれ!」色々戦利品を出す。

「これは?」

「元締めの事務所の権利書と改装費用」

「?」

「迷惑かけてすみませんて謝ってたよ(笑)」

「え!」


「今から一筆書いてあげる。誰かが何か言ってきたらナレスの騎士団を呼んで見せたら大丈夫だからね。魔力通したら浮き出る魔力証文だから無くさないでね?」


綺麗な字で書かれる譲渡を証明する顛末書てんまつしょと慰謝料の金額。最後にサインされた名前を見て座長が凍りついた。


聖教国 教皇代理 

アルベルト・ド・ミラゴ・イ・クレンブル。



今日の演目の皇太子だった。


聖法騎士団の鎧を見せて帰った。青に直すかな?(笑)


・・・・・


その晩。

兼ねてより伝えてあった通り、王宮で晩餐を取り王室一家に挨拶して迎賓館のスラブ王夫妻、アキーム兄様を訪ねてからメルデスに帰った。スラブ王家は明後日帰るんだって。ナレスに外遊したアキーム兄様の部屋には兄弟への土産物が沢山積まれていた。


ナレス全土の街路灯や北方騎馬民族の仕事は増えてしまったが、次の王都はリズを迎えに来る時だ。それまでに終わらせたらいいや。


すでに俺はポヨーン村の移住に頭を切り替えた。


・・・


1月4日。


朝起きて冒険号のトレーニング室に跳んで一時間半、用意されたモンスターと戦った。


トレーニングが終わった後の食堂。


「コアー!ニウー!」

すぐにコアとニウが生成された。


「アル様、何か?」

「これ、観測して作ってくれる?」


白玉ぜんざいと豚骨スープとブランデーの樽と瓶を出した。

樽は大樽。500リットル以上あるので半端じゃない。


「樽は倉庫の自販機でお願い」


「かしこまりました」


ボタン押して出て来た白玉ぜんざいを食べながら言う。


「チリウ王国の隠れ里の民なんだけど」

「はい」

「移住場所は決めた街区と村で変更無いね?」


「村で一緒に暮らす家畜の相性が不明なので、すでに馬用、羊用、ヤギ用、ロバ用と柵は分けておきました。鳥の方は池を作っただけです、おっしゃっていた様に今の鳥小屋を置けば同じ様に小屋へ帰るかと思います」


「村の方は、貨幣とドンゴロスの食料で自給するまで援助する。街の方は執政官の俸給で暮らす方向で良いんだね?」


「その様に街区の住民は配置しております、タナウス通貨は街も村も400人分、移住後の家を案内次第にメイドが前渡しとして各自に通貨を渡します。各食料については建国までは人数分として配給制の小売りと致します。観測以後の仕事の割り振りはお任せください」


「うん、解った。移住は何人まで対応出来る?」

「二千人までなら即日対応できます」

「それも凄いね(笑)」


「アル様が連れて来る民の観測日程はコアの方から申し伝えて各自思考観測して参ります。アル様の方は要注意者をピックアップして頂けたら入国後の事はコアとニウにお任せください」


「分った、タナウスに疑いを持つ者で検索掛ける、危険思想があれば置いて来る(笑)」


「アル様(笑)」ばれてるか(笑)


「イヤ、嘘です(笑) 向こうで敵意抱かせて魅了する。一人のせいで家族まで移住出来ないのは可哀そうだ」


「それがよろしいですね(笑)」

「まぁ、半分冗談だけどね(笑)」

「忠誠だけはお忘れなく視て下さい」

「うん、解った」


「それでは、まず用事済ませてから隠れ里を視て来るよ、九時には村の人達が家の前に並ぶ筈だ」


「アル様、格納庫にストックの自走式コンテナを用意してますので、家畜や鳥が余りにも多い様でしたら、中に入れたら移動し易いかと思います」


「あ!全然考えて無かった。ありがとうコア!」

「いいえ(笑)」


格納庫でコンテナをインベントリに入れる。


「僕も伝えたけど、ひもかごに入れてだった(笑)」

「せっかくのコンテナなので利用下さい」

「ありがとう。行って来る」

「行ってらっしゃいませ」



朝一番にロスレーンのお爺様を訪ねた。新設した開門村サービス施設(サービスエリア:S,A)の状況を聞こうと思ったのだ。


が!予想外の事態を聞いた。

開門村では無く滞在型の常駐村になったと言う。領民がすでに受け入れてしまったのでお爺様も今更いまさらやめさせる訳に行かず新年の祭り気分が沈静化ちんせいかするまで流れに任せると呆れた。


慌てて開門村を多重視点で追視した。

1月4日の朝って、まだ人が引いてないよ・・・。


開門村が街になっていた。何考えてんねん!アホか!カオスやがな。釜ヶ崎の露店か!(笑) ツッコミ入れずにいられるか!


新年時期にロスレーンを訪れる商人達は去年に見たり、滞在したキューブハウスを当てにしていた。去年はキューブハウスに泊りながら門で一度入領税を払えば証明書を貰えて何度でも領都の中で露店を出せたからだ。


ロスレーンは領都だ、旅商人は少しでも大きな街で店を広げたい。宿が取れなかったらキューブハウスでいいやと思って来てみたら、水やトイレやクリーン施設に風呂まである。串焼きや雑炊の露店と同じく車庫の馬車からそのまま物資を広げて開門村で売り出した。それは領都のメインストリートと同じ交易路の幅。対向三車線道路の一車線を使って店を広げても馬車は楽に通れてしまう。


路上で物を売るなど当たり前の世だ。街中まちなかでは地廻じまわりが縄張りとしてみかじめ料の場所代を取りに来るし、周りの村から野菜を売りに来る領民は、朝早くに場所札をもらいに地廻りの受付に並んで銅貨三枚(300円)の税金を払う。(それは執政官事務所が地廻りに委託してるからだ、揉め事を自分達で解決するから都合が良く手数料が地回りに支払われる)城壁の外までは取りに来ない。雑炊屋や串焼き屋は利便性の為に執政官事務所が開門村に開かせてた事もあってたちまち周りに露店が乱立した。


余りに東西南北の門の向こうも賑やかなので開門村まで露店を見に行く領民が続出。領民や入領税払った者は滞在証持ってるから自由に門外に行き来する(笑)


まぁ、そうだ。

箱を作るのは官で、利用するのは民だ。想定外の効率の良い使い方されたからって怒る事ないさ。開門まで待つ旅人が寝る所ぐらいは有るだろ。この寒い中、開門村に泊まれないじゃ本末転倒だけど、取り合えず開門まで泊まれるならヨシだ。


開門村とサービス施設でロスレーンがにぎやかになって税収が上がればもう何でもいいや。どうせ新年は露店の場所取りは一苦労なんだし、住んでる前に人通りあれば店も出したくなるわ。


ロスレーンを歩く人々が布のバラライカをしていた。後三か月で転生してから四年だ。バラライカで月日を感じるな。


ビクトリオに頼んで孤児院に小壺と喜捨とお年玉を届けさせた。守備隊長に大壺三個渡す様に言い付けた。



・・・・



ロスレーンを覗いた後にポヨーン村に跳んだ。


跳んだ瞬間、村を視る。


神教国、タナウス、悪意、疑念、ネガティブ思考検索。


皆がチリウ王国から逃げ隠れる里の生活から解放される事に希望を持っていた、希望をもたらした神教国に感謝してくれてた。新しい暮らしに胸を躍らせて移住の日を待ち望んでいた。


何だよ!ソレ!俺だけが疑って俺が悪人みたいだ!


俺だって疑ってる訳じゃないからな、もしもの場合に備えてるだけだ。備えて危機管理するのは当然だ、だから疑うのは当然だ!俺は何も悪くないぞ。


逆ギレした。


つまらん、根性の無い奴らめ!

(ツンです、内心凄く喜んでます)



ここは神教国よりは赤道に寄った北半球だが高原で避暑地みたいに涼しい風が吹く。朝の時間もあってか湿度が低く心地よい風が吹いている。村長さんの家に歩いて行くと俺に気が付いた人が手を振って遠巻きに付いて来る。付いて来てどうする、あと三十分で移住だぞ。家の前で待てよ(笑)


ついでに聞いてみる。


「みんな、移住の準備は出来てるー?」

「はーい、出来てまーす」


皆がめいめいにうなずいたり、返事をして準備出来てると言う。


ザワザワする外の様子に村長さんが外に出て来た。


「おはようございます」

「教皇代理様おはようございます」

「皆、準備は出来てる様ですね(笑)」

「一カ月ありましたから」

「移住に関して何か問題や心配はあります?」

「家畜の場所は?」

「出来てます、出来てます」

「ありがとうございます」


「約束通り九時から、移住を始めます」


取り巻いてる周りの人が跳び上がって歓声をあげた。


「持って行きたいもの全てを許可します。村で暮らしたい方も聞いてます。街の生活がしたい人は街に、村の生活がしたい人は首都の近くの村で動物と一緒に暮らしましょう」


「小さな家畜は柵かカゴに入れて、大きな家畜は紐を付けて連れて行ける様にして下さい。広場に置く畜舎に入れてもらいますからね」


「まずは村の西から、街に移る人から移住します。村に移住の人は広場に大きな畜舎を出しますから、動物を入れて下さいね」


西に歩きながら広場にコンテナを十個置いた。使い方は教わっている、コンテナ内は動物環境で湿度温度調整済みだ。


そして移住が始まった。

西の外れの家から取り掛かった。


「街に移住希望の人~?」


家の前に出ている人が手を上げる。荷物をインベントリに入れて四十人ほどが手を繋ぎ、転移する前に宣誓させた。


「神教国タナウスの教義を守る事」


・家内仲良く、親と子を大切に。

・獣人・人には親切。仕事に熱心。

・獣人・人を恨まず、うらやまずに罪を憎む。

・腹を立てずに悪口言わず正直に生きる。

・笑顔の絶えない楽しい人生を歩む。


「ネロ様、デフローネ様、ネフロー様、ウルシュ様、アローシェ様、ユグ様の六神を感謝の祈りの対象として教会であがめ、神教国タナウスに忠誠を尽くす事、忠誠に嘘偽りがあればタナウスを追放する事を了承する者は一歩前に出よ」


手を繋いだ全員が一歩前に出た。疑念も芽生えてない。

これで何かあれば心おきなくタナウスから追放できる。タナウスは島国、許可なき者は絶対に入れない国。追放されたら二度と会えない。来られない。


俺達の儀式を村希望の人々が取り巻く。早く動物を広場に連れて行かんかい!見たいのは分かるから心で思って突っ込まない。


チリウ王国>神教国タナウス


移住希望の四十人ほどを広場に連れて行く。広場では千名にも及ぶメイドが控えて各部署に分かれて待機中。連れて来た村人の荷物を広場に置くと、メイドが各家族を住宅の抽選場所に案内して行く。


二人家族~十人家族まで対応した各ブースにクジが置いてある。家長がクジを引くと番号札で目の前の大きな住宅地図に家族の名前と年齢が書き込まれて案内されて行く。家族と同数のメイドが手伝って荷物が運ばれる。お貴族様の引っ越しだ、コアの仕切りはマジ凄ぇな。


案内された家は全てが整っている家だ、四人家族には四人用のベッドがある。全ての家がクリーンが掛かった色褪せ以外は綺麗な代物だ。


俺は次から次に連れて来て広場でメイドにバトンタッチするだけだ。首都への移住希望者は七回の転移で済んだ。


六回ぐらい運んだ時にアルムさんとクルムさんとシズクが大森林の方から帰って来た。山菜や薬草を山ほど取って来たと言う。手伝うと言ってくれたが手伝う事が何も無いのでそのまま屋敷に帰ってもらった。


村への転移が大変だった。

コンテナに大人しく入る家畜と嫌がって逃げ回る家畜が居て、村中が大騒動だったのだ。あんまり暴れる馬やヒツジやヤギは闇の衝撃で大人しくさせて何匹もコンテナに引いて行った(笑)


鳥はアヒルやチャボやキジや軍鶏の様なのは追えば鳥小屋に入ったので、鳥小屋ごと持って行った。


新しい村は首都の郊外にある、ポヨーン村で使っていた農具や荷馬車も運んでクリーンも掛かった綺麗な村の家だ。新しく作った池の近くに鳥小屋を置くと、大喜びでアヒルが池で泳ぐ。この世のアヒルは白いのもいるがほとんど白くない。飛べないからアヒルと俺が思ってるだけだ。どちらかと言うとカルガモだ(笑) 子供連れて何家族も色の違うのがスイスイ泳ぐ。藻やら草を食べてるのを見てるだけで癒される。


メイド隊が作った新しい柵が見慣れず怖いのか、馬は柵に近付かずあんま動かない。ヒツジやヤギは犬が追うので柵に入って走り回る。犬は二十匹、猫も二十匹ぐらいはコンテナにいた。


俺は冬のナレスやコルアーノから来たから、ポヨーン村で育てられていた高原野菜が珍しく、成長途中で勿体ないと村からインベントリで持って来たらメイド部隊が大挙して開墾した畑に即日で植え終わった。


移住が終わると首都へ二百六十四名。村へ百五十八名。首都郊外の村に移住した。



今回移住した者は一親等に執政官や近衛武官がいるのだが、その家族にも元々の職業がある、その元々の職業に対応する摺り合わせをコアが観測した後に行う。鍛冶屋なら鍛冶屋、家具職人なら家具職人、大工なら大工。そのままの職業をしてもらい。その出来高で賃金を払い生活して貰う。村の教師は、そのまま教師になって貰う。


元のチリウ王宮で働いていた者は、そのままで政務官二十六名、執政官二十二名、武官二十六名の七十四名が首都の執政官事務所と守備隊事務所に勤める事となる。


移住に際して渡した貨幣は一人に付き銀貨十枚×家族人数。建国するまで物価レベルも統制価格だ、同じ物価で建国まで推移させる。建物は支給して家賃も取らないので一人一ヶ月銀貨十枚(10万円)で二人が楽勝で食える。誘致する自治体は税金や用地で優遇する物だ(笑)


執政官事務所での最初の仕事は本年度四月から建国までの間の無税と建国後の課税対象者の住所と名前をファイル化することだった。それはから番地までを考える事から始まった。


一週間は移住の様子を見て、足りない物、不便な事、気が付かなかった問題について執政官がフィードバックしていく。それは貴重な経験となる事を皆が認識していた。起こりうる問題を片付ける度に前例が出来て手順が明確になり効率化される事をチリウ王宮にいた政務官たちは本当に分かっていた。逆に俺がそれを思う方が失礼だと思って何も言わなかった。この人達は放し飼いで充分だ(笑)


元宰相ベルン、元外相のニール、元財相のマール、元王宮勤めの政務官十五人は移住から落ち着くまでの待機期間を経てから、俺と戦闘メイドと一緒に現チリウ王国より冷遇され離職した者を追う。


・・・・


十九時近くまで村に付き添って皆の笑顔を見て海辺の屋敷に帰った時にはアルムさん達が食事を食べてた。


「アル君!今日はここなの?」

「ん? 何も考えてなかった(笑)」

「夕食作る?」

「エビの良いのが取れたのよ~!」

「え?大森林行って無かった?」

「大森林の沼のエビよ。美味しいわよ!」

「道具は?沼で簡単に取れるの」

「クルム姉が呼ぶに決まってるでしょ!」

「そんなの知らんわ!」呼ぶって何だそれ!

「エビの好きな歌で喜んで来るのよ(笑)」

「・・・」


視たら精霊魔法で歌って引き寄せて喜ぶエビを手づかみだ。なんじゃそれ!


「アルムさん教えてくれなかったけど!」

「アルムが出来る訳無いでしょ!だから紹介状書いたのに!」


「あ!・・・」


「すみません、エビが喜ぶ歌教えて下さい」

紹介状をクルムさんに出した。


・おばばへ、アル君に精霊魔法教えて下さい。アルム。


アルムさんはゴン!とげんこつを落とされた。


「うんとね、もうお茶でしょ?クランの食堂で食べるよ。七日までゆっくりしてね、新年は忙しいから良く休んでね」


「アル君も休みなよ(笑)」

「休み方忘れちゃった(笑)」

「アル!楽しむと仕事も休みも同じよ(笑)」


そう言えば野球やってる時は年六日だったな。当たり前すぎて休みがどんなもんかも分かって無かった(笑) 土日は朝からシニアの練習か試合だった。夜はナイター中継見てたのが休みか? でも部活ってそんなもんだろ(笑)



だから俺は高校入って、ハッチャケたんだよ!高校デビューだったんだ。誘われたら絶対断らなかったからな、何処に行くのも付いて行った。誘われたら断るのが嫌で放課後はバイトしなかったからな。人の熱く語る趣味を真似して追い掛けまくったなぁ(笑) 


「アルムさんは仕事でも来る?って聞くと行く!って言うのは仕事と思って無いの?」


「だって、一人でいるより面白いじゃない」


「あ!やっぱ楽しんでるから仕事じゃないのね(笑)」

「楽しまないと損じゃない」


「やっぱたまに良い事言う!」

「アル君!」


「僕も仕事に思ってないや!」

「え!本当?」


「うん、問題が来るの待ってる感じ(笑) その問題は自分が解けるのか楽しみにしてる。誰かがそれを解決するのを見てるのも楽しい」


アルは今気が付いた。


俺は知っていた。


・誰でも知る公式を人生に当てはめる。


この世界の常識を崩さず、否定せず、人生の初見殺しにはまったおぼれそうな人の道を気付かずに整備していた。そのシステムは明があちらの世界で見て来た物の模倣もほうかもしれなかったが、理由など無く解決すると嬉しいのだ。


問題が解けるのが楽しいのだ、もつれた糸を解くのが面白い。問題を解決すると皆が笑うのが嬉しい。自分が視たくない事を>本来こうあるべきじゃないのか?と改善すると人が生き生きする。それは法を作るのではなく、法の解釈の枠を利用して改善する手法。直接的に手を差し伸べずシステムを作る事で自力救済させていた。



受験勉強で考察した事を自分で証明していた。


厳しいから救っていた。





次回 244話  襲われる御子

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