第237話  ナレスの休日


1月1日。朝の7時前。


やっと明るくなった頃、ノックと共にリズが飛び込んで来た。模擬剣を持った俺を見て驚くが、外を見ろと言う。知ってるよ!すごい雪なんだもん、俺は暗いうちから鍛錬してるの!(笑) 


リズは俺には雪が珍しいだろうと雪遊びに誘いに来たがスマン!明でスキーとか雪遊びは経験してんだよ、許してくれ。雪は冷たいだけの物体だ、なんだよ。そんな輝く笑顔で俺のために誘わないでくれ・・・。


そんな思いは通じ合わない。


婚約者と一緒に雪で遊ぶ事しか思い浮かべてない。俺には、雪原で捕まえてごらんなさい~♪と言われてラッセルしながらリズを追いかける絵が見えている。それは雪中行軍だ!(笑)


二人で王城の庭に出ると膝頭まで積もっていた。

リズは太ももまで雪に埋まって派手に体ごと転ぶ。僕の後ろに付いて来いと言うとハアハア言いながら笑って付いて来る。


この世で認知されていないハートマークを二人で歩いて作った。多重視点で完璧なループを描くハートマークだ。シズクがテラスから手を振って笑うから恥ずかしい。


ハートから離れて二人で雪合戦。

投擲Lv4の俺は手加減してワザと外し、リズの雪玉を食らってやる。胸とか腹に小さいのをお返ししてやる。


モコモコに着ぶくれた婚約者の二人が王城の庭で遊んでいる。そこに二人で書かれた綺麗なハートマーク。


「アル様ー!(笑)」とリズが呼ぶから聞こえた人が窓からのぞくのよ、恥ずかしい。遊ぶ二人とハートの文様を見て、なんかだとみんな認識するんだよ(笑)


恥ずかしくてリズを新雪のパウダースノーに投げ飛ばした。キャー!とリズの形に人型で埋まる。身体が小さく見事に大の字で埋まるので大笑いだ。やったわねー!と起き上がったリズがもっとやれと大喜びで掴みかかって来る。王女様だけあって今まで投げ飛ばされた事が無いらしい(笑)


大喜びで投げ飛ばされてパウダースノーに刻まれる王女様の大の字が美しい。王女様がキャーキャー!言いながら雪に投げ飛ばされるのをギャラリーは生温かい視線で窓から見ていた。


王城の庭に小さな雪だるまを作った。


作っていて気が付いた。


王城テラス正面の広場にもう人が居る。十時の奉賀を見ようと大きな奉賀門の前に二列ぐらい並んでるの。広場の雪は騎士団に除雪され、残った雪は宮廷魔導士達に溶かされてた。奉賀門と広場もヨーロッパ風とか中華風じゃない。ホワイトハウスと大統領公園みたいな感じだ。


俺とリズがホワイトハウスの脇から出て来た位置関係ね。


並んでる人に二人で手を振ると、手を振り返してくれる。宮廷魔導士の人達も守備隊の人も遊ぶ子供に手を振ってくれた。


奉賀の正面広場は雪が全部無くなっていた。


またサービス精神がモコモコした。あと二時間以上この寒い中で待つのは大変だと思った。待ってる人に氷のイリュージョンを見せてあげようと思った。


正面広場と王宮テラスを結ぶ斜線をさえぎらない様に精霊魔法で5m程の氷像を作って行く。一体五分以上掛けて待ち時間が気にならない様に細かく細かく作って行った。


人の創造神、ネロ様。豊穣の神、デフローネ様。

戦いの神、ネフロー様。審判の神、ウルシュ様。

慈愛の神、アローシェ様。学芸の神、ユグ様。


光を反射して氷がキラキラで綺麗。


アルを聖教国の教皇代理と知っている宮廷魔導士もその見事な魔法に舌を巻いた。


八時半に広場の歓声が大きい事に使用人も気が付いて報告が王宮に上がった、アルベルト皇太子が作ったと聞き、その氷像の見事さに外に出て鑑賞会となったが、その時には俺とリズとPTの皆は朝食を取っていた。



お召替えの後に十時の奉賀参拝にテラスから顔を出す。


俺はアキーム兄様が貴族服にタスキと勲章付けた格好で頭にクラウンを乗せて無かったので安心して御子帽を被った。聖教国の御子服に褒章でもらった一位勲章を胸に付け、クラウンを付けたリズの横に立った。御子服の帽子は真っ白に金糸の刺繍のドングリの帽子だ。 ご丁寧にメロンのへたの様なのが天辺てっぺんに付いてる。電波拾う訳では無い。


奉賀ほうが挨拶あいさつは拡声魔法で最前列まで100mの距離、王宮の四階のテラスから行われた。テラスの皆が雪うさぎのバラライカを首にしていた。民衆も布のバラライカをしてる人がかなりいる。


ナレス王国へ挨拶に来てくれたスラブ王国の陛下を紹介し、次いで王太子、俺も紹介してもらう。集まった民衆はスカーフの様な色とりどりの布を肯定の意を示すのに振り回す。スポーツ観戦のサポーターみたいな民衆だった。


昼食を食べたら俺の部屋に来てもらったリズにミスリルドレスとニーソックスを渡して着替えさせ王都に遊びに行った。見た目冒険者の子供カップルだ。


ミスリルよろいは空調が付いてるので寒くない。スカートなので膝下ひざしたが寒いと思ってニーソックスを付けさせた。シャドにはリズを守る様に頼んで王都を散策さんさくする。


王都を護衛も無しに自由気ままに歩いたことが無いと言う。学校も送り迎えは馬車で窓から見る王都だけ知っていた。リズから聞く王族は民と交わってはいけないものだった。


そりゃ、子供の時から閉ざされた世界に居たら、代変わりした時に勘違いしたり、側近の言葉を鵜呑みにしたり、実情を把握できずに頓珍漢とんちんかんなお触れを出しそうな感じがする。でもなぁ、学校もあるしいびつに育つのはそれだけじゃない事も知ってる。俺なんか野球しか知らなくても中学校まで通用したしな(笑)


国王になったら以後は国を取られない様に外部の者から手堅く家族を守る様になるんだろうが過ぎれば閉塞へいそくするよな。


・・・・


ナレスの露店が寂しいなと昨日感じた通り、道の露店は寂しかったが、の方式がコルアーノと違った。


雪が道に積み上げられて露店どころか道が狭くて歩けない。店の前の雪を道路の端に積み上げてリズなんか道の向こうが見えない筈だ。露店なんか置けないし、露店めぐりの人も歩けない(笑)


ナレスは寒いからメインストリートの大店おおだなが店を開けるのだ。店の中には轟々ごうごうと燃え盛る暖炉があり、食事や酒や雑貨などの露天商が商品棚を借りて商売する方式だった。


それはそれで考えられた新年の露店でもあった。風を受けないだけで寒さもだいぶマシなのだ。


街を巡り、大店おおだなを二人でのぞいて歩く。

その中に旅芸人の一座があり、リズと二人で観劇かんげきする事にした。


看板が出てた舞台は「けがれの襲来しゅうらい!ナレス復興物語」が演目だ。


大店に入ると待合所。奥にミニシアターの様な劇場になっている。十人掛け八列の席は中樽にクッションが敷いてある。小さな箱の劇団やお笑いライブそのままだ。席代がコルアーノ換算で大銅貨三枚だ(3000円) 


待合所では芋屋、スープ屋、串屋、酒屋が並んで売っている。お酒や飲み物、つまみは露店に頼めば出来たら持って来てくれるし、持ち込みも自由に食べられて、ゴミはその辺に撒き散らす。ゴミ箱すらないのもお国柄か?


温かい蜂蜜酒ホットミードを二人分買って席に着いた。


演目はこんな感じ。

ナレス王国がけがれれに壊滅的な打撃を受けた時代。王家も一度滅び人々が生きる力を無くしていた時、王家の血筋だった現王家のヴォイク家が指揮を取りナレス王国を立て直す話で、リズも一緒に楽しんで観た。


一幕の穢れの襲来は本来の戦い方を再現していた。歴史書かなんかでちゃんと舞台設定が出来ていた。


一時間の劇で舞台チェンジが三回程ある。舞台チェンジのの間におじさんが看板を持って幕の前に立つと皆がお手洗いに席を立ち、お酒やツマミを買いに露店に群がる。俺もふかし芋を買ってリズと幕の開くのを待つ。


二幕は倒れた王家と敗残兵の苦悩、残されてしまった人々の嘆きの話。いかにもアルアルじゃ無くて、当時は本当に飲み水すら穢れて口にすると死んでいったのだ。


三幕で王家の血を引く公爵家の三番目の息子が敗残兵で現れて、王家や公爵家が皆倒れたことを遠い領地で知る。自分が公爵家の当主となった事を知った三男が領民と共に食べ物も飲み物も無い領地を捨てて、穢れてない水源を求めて苦難の旅に出る。その旅では王家の血を引く者が立ち上がったとの噂を聞いて各地の領主や王国民も集まってきた。


王家の血が残っているならと周辺国の援助も集まった。1300年前の実話が再現されていた。アルは演者のイメージも合わせて見るので感情移入が凄く、次々と生き残った有能な者達が集まって国の体を成すシーンは感動した。


酔っぱらって歌いだしたり掛け声がうるさい客は、劇団のお兄さんが外に連れて行く。体が温まる様に小壺をリズと飲んで懐から出したを食べながら六十分の劇を観終わった。


「明日は違うお話だよ~!」と皆が誘われる。


観終わった感がすごい。映画館から出て現実に帰るような懐かしい感じがした。演劇の舞台だけが明るく、舞台の明かりの照り返しで物を食べる感じで暗いの。


待合所に出るとリズがトイレをキョロキョロ探す。そのまま王城に帰って用を済ませる。ついでに二人共が王城で遊んでる様に複数の使用人に姿を見せて偽装する。


露店で投擲とうてきの店が有ったので冷やかしてみた。恩寵の投擲上げている奴がその辺にいない事を知って親父も投擲とうてきの店を開いている確信犯だった。確信犯なら良いよねと行ったった(笑)


投げにくいピンポン玉ほどの球を点数の穴に入れて点数順に欲しい景品がもらえる射的の店みたいなものだ。


通す穴も大、中、小とあって、大なら誰でも通せる。商品も四段階。1:好きなお菓子が貰える。2:木工のおもちゃか熊や犬や猫の木彫り。3:帽子やマフラー、手袋などの実用品。4:ブローチやネックレス、髪飾りのアクセサリー。


球も無いと大きく見える穴に通す。小の穴は実際は球の大きさ的にかなり難しい穴だ。位置も投げ上げ方向でゆるく投げるならお辞儀じぎする計算までいる。穴だけ見ると大きく見えるから挑戦したくなる。要はゲーセンで穴の中にクレーンで棒を通すゲームと同じだ。


三つの球をもらって、一つを三つの指でつまむ。


投擲Lv4で狙った上に精霊にあの穴!とお願いしてるので不自然な曲がりも無く一番難しい穴に三つ入れて最高得点を取った。


一回挑戦大銅貨一枚(1000円)の露店で銀貨二枚(2万円)の貝殻を磨いてキラキラさせた髪飾りをリズに取ったら第三王女様が飛び上がって喜ぶ。そんな女の子の姿を見て親父もしょうがねぇなぁ、と笑っていた。


そしてすかさず鐘を鳴らして次の客を誘っていた。


露店の焼き鳥をリズと二人で立ち食いしてたら、隣の立ち食い兄ちゃん三人が王宮のネロ様たちの氷像の前で司祭がお布施を取っているからそこで祈ったという信じられない話を聞いた。皆が面白がってそっちで祈っていると言う。


それ詐欺師じゃねぇのか!(笑)


リズと手をつないで上手い事考えた奴を見に行ったら間違いなく聖教会の司祭だった。そんな大したことやってない。小さな喜捨箱を六つ氷像の前において喜捨してくれた人たちにお礼を言ってるだけだった。


うーん。ここで祈ると長時間放心状態になりそうなので祈るのはやめた。喜捨して両脇に居るシスターと司祭に小壺を渡しておいた。


「これはこれは、ありが・・・!御子様!」

「え。御子様ではございませんか!」


しー!しー!


(神々の像をありがとうございます)

(役に立って嬉しいです)


(ここに来た方が神々を見て喜捨を出して下さるので、こうなりました(笑))


そうしてる間にも喜捨が入れられると司祭が声を掛ける。


「ありがとうございます、皆様に良いことが訪れますように」


こそこそと話をする。


(噂に聞き、詐欺師さぎしが現れたかと見に来ました(笑))


(神々で詐欺さぎをした者は聞いた事無いです(笑))


(そうですよねー(笑))

(神をも恐れぬ所業ですぞ(笑))


リズも釣られて笑ってる。ステータスボードに加護で神々の名が浮き出る世界だ、誰しも神々が居る事を知っている。


でも、そんな詐欺やってる連中が他の大陸に居るんだよ、純粋なのは聖教国だけだよ。


十五時に王都の有名レストランで吟遊詩人の舞台を観に行った。予約制で飛び込みなどのレストラン。次は十九時の演目しか予約取れないと聞いた俺とリズがお互いの指輪を見せると最前列の机を並べ直して場所を作ってくれた。横に並んだ子供カップルを見て席の貴族が驚く。第三王女と聖教国の皇太子だと一瞬で見抜かれた。


吟遊詩人が現れると、ヤンヤの喝采かっさいをする、軽快な音楽部分には手拍子入れる、演目を邪魔じゃませず盛り上げる姿に吟遊詩人も気を良くして饒舌じょうぜつとなる。お客はナレスの貴族ばかりだが最前列にいる聖教国の皇太子に遠慮して、聖教国のマナー?と皆が受け入れて楽しい気分になってくれた。


コルアーノのレストランでは吟遊詩人の持ちネタと演奏で約一時間半。一幕終わると休憩が十分程入って、吟遊詩人が喉を潤しながら食事中の音楽を演奏したりするがナレスは一曲目を披露したら皆に挨拶するのがマナーみたいだ。アルと隣のテーブルに挨拶に回り、後ろの席に挨拶に行くと隣の貴族が話しかけてくれた。


ソワソワしてるから視て知っていた。


「アルベルト皇太子殿下、失礼いたします。ナレス王国イエーク侯爵と申します。先日のダンスパーティーでは娘をダンスに誘って頂いたとの事、良きダンスパートナーまで巡り合わせてくれたと家に帰って娘が大層喜んでおりました。この様な場所にてお礼を言う機会に恵まれ誠に感謝します。第三王女殿下におかれましては慈悲深く皇太子殿下と踊る娘をお許し下さりありがとうございました。娘の一生の宝になりましょう」


二人で微笑みながらうなずくしか無かった。娘さんを見るとテーブルからおしとやかに立って挨拶してくれる。確かにお誘いして、子爵家の長男と踊らせた娘さんだった。


実は早いうちから婚約者を作っても良いよ。という王家のメッセージと受け取った貴族家が早めに子女を社交界にデビューさせていたのはアルは知らない。


それまで婚約は早くても16歳以降で卒業前の18歳でも婚約していない子女も多く、ナレスの国では貴族の結婚年齢はそんなに早くなかった。コルアーノ王国の成人年齢12歳や貴族の結婚年齢はかなり早い部類なのだ。


ナレスの王太子の結婚もこんな感じだ。

王太子:フォント(26) 結婚(25)

王太子妃:アマル(24) 第一子:カークス(1)


コルアーノのお父様と比べるとこうなる。

アラン(21)卒業前婚約、領地叙爵後結婚(20)

エレーヌ(21) 第一子 グレンツ(1)



侯爵を視るとナレスは年越しから貴族が王都に集まり新年十日から序列で謁見を行うと共に天候を見てめいめいが領地にソリ馬車で帰って行く方式だった。十日までは貴族は休みみたいなもんなのね。


十五組ほど貴族が入ったレストランで、もう一組の男爵家も娘を連れて挨拶に来てくれた。初めてのダンスパーティーに送り出した娘を心配していたら聖教国の皇太子様がダンスに誘ってくれたと大喜びで帰って来たのだ。どれほど心配していたか視るとよく分かった。


娘さんがながら挨拶してくれる。わーい。


アルは本人を楽しくさせてあげようと思ってしたのだが、一人で参加した十五歳の長子と一緒に踊って、次のパーティーを心待ちにするようになったと言う。男爵にも感謝されてしまった。


娘さんの挨拶を受けて喜んでたらリズが言った。


「良い事をされましたね」ツンと澄まして言う。


「青筋立ててたのに?(笑)」


「もう!それはいいです!」手をパンと叩く。



吟遊詩人の第二幕が始まった。


定番ですとリズが教えてくれたのは、ナレス恋愛冬物語だった。


ナレスは優しくて強い女=男にガツーンと言える様な女らしくて強いのが好みっぽい。男が外で戦っている時も家で子供をしっかり育てる強く優しい女が居る事を忘れるな!みたいな感じ。仕事が出来て、女一人でも気丈に子供を育て上げる優しく強い女が好まれてるみたいだ。


ナレス恋愛冬物語の山場になるとリズがファイティングポーズして音楽に乗って吟遊詩人の掛け声で俺の肩にパンチして来る(笑) 周りを見ると他の貴族の奥方も旦那にパンチしてるんだよ。出兵で死ぬかもしれないと告白する勇気を出せず落ち込む男に女性が泣きながらパンチして告白するの。それがこの話の山場で定番。



戦争に巻き込まれる恋愛の物語なんだけど、男が酒飲んで仕事の愚痴言うのは許さん。こんな強く優しい女が惚れてるんだからね!という内容だ。教訓的なツンデレみたいな物語(笑) 夫婦ならこの話を忘れるなよという警告の物語だった。


男はそんな事する女の人が可愛い存在に見えて許してる。国によって文化が違い過ぎて笑える。


十七時になったので王宮の庭に跳んで遊んでる振りをする。

暗くなったから帰って来た振りをする二人。


コソコソ俺の部屋の別室で服を着替えてコアとニウとお茶を飲んで話をしてる振りをする二人。



ナレスの休日は王女様と大変だ。



・・・・



食事が終わって帰って来ると、クルムさんとアルムさんが部屋に来た。昨日の綺麗な青の布でが出来たと言う。


クルムさんが珍しく今から付けに行こうと言う。そんじゃ行こうかと三人で跳んだ。


クランも雪が積もっていたが5cmぐらいだったみたいで日陰に雪が残ってる位だ。ナレスは道の雪が俺の胸程も積み上げられていた(笑)


診療所の診察室と処置室の間に掛けて、とても良い感じ!暖房紋と冷房紋と処置室には給水紋と流しを付けておいた。


「さぁ行くわよ!」とアルムさんが元気になった。

そのまま食堂へGO!だった。


食券売り場でベルに、幽玄流道場作ってる大工さん見かけたら診療所の扉を作ってもらう様に頼んでおけと言っておく。扉が出来たらカギをもらって事務所のリナスに一個預けてベッドの寝具を頼む様に指示を出して、つまみの食券を買った。



フィッシュアンドチップスみたいなつまみと小壺を飲んでアルムさんが言う。


「アル君、ナレス寒いのよ。タナウスに居ちゃダメ?」


「えー!今日街に出て無いんでしょ?」

「だって、あの雪だよ。普通雪の日は暖炉の前だよ」


「暖炉の前ならいいじゃん(笑)」

「暖炉の前で転がるのがアルムには出来ん」


「(笑)」


「裁縫でも覚えよと言うけどダメね」

「でも分るよ。ナレスの冬は別格だよ」


「風が違うの!風が!」


「(笑)」


「僕もロスレーンの新年位と思ったら甘かった」


「でしょ!」同意を求めすぎだ(笑)


「だって外にいられなくて、観劇や吟遊詩人のレストランとか大店おおだなの暖房入ってる店の中しかリズと行けなかった(笑)」


「ナレスの新年は勘弁して」

土下座の勢いか(笑)


「タナウスの海は気に入ったの?」

「天国よ!あそこは天国よ!」


「分ったよ、シズクとクルムさんと行って来な、一月八日に帰って来たらいいから」


「ありがとう!アル君が神様に見える!」


「アルムの目にくもりが無くなったのかしら(笑)」


「やっと見える様になった!(笑)」


「アル君!」


「はい、管理棟の鍵!」

「わーい!」


「クルムさんも診療所のありがとうね」

「あの雪では出たく無いからよ!(笑)」


「食べ過ぎて太らないようにね(笑)」


アルムさんは嫌な顔をした。





次回 238話  過激な説法

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