第219話  落人の里



11月20日にメルデスに帰って来た。


今日は休もうかなと毎晩読んでる本を片手に応接に転がる。


忙し過ぎた。


結局ロスレーンの色々に40日以上掛かった。余計な案件も多かった。


お兄様のグレンツ商会の立ち上げと商業ギルドの登録、もの凄い利益を生むためお爺様から武官、文官の家臣団までたまわった。グレンツ商会が第一セクターになっちゃったんだよ(笑)

※国もしくは地方自治体が立ちあげる公企業。



アルが提案した一言が引き金だった。


「お兄様!グレンツ商会の街灯の利益でヘクト湖の観光地開発とロスレーンの北か南にヒルスン兄様の治める街を作りませんか?」


当主と次期当主を差し置いて三男が長男に思い付きの案を話すから皆びっくり。


「なんじゃ?」

「え?」


「お金を貯め込んではいけないので、領地に回すために北と南に徴税用の街を作ればロスレーンの南北で混む事も無くなります。西はヘクト、東はモルドがロスレーンの入領税を取ってくれてますが南北は領都が行っています。現在は城壁も無い小さな街が点在して宿も少なく南のナッソの道はともかく、北の道は狭く痩せてます、丁度良い街灯のお金が入って来るのでヒルスン兄様が治める街を作りましょうよ。3位(都市持ち)の男爵家か子爵家を」


「アル、お前利益を全てロスレーンに落とすつもりか?」


「住む者、来る者にロスレーンを愛してもらう為に使うならグレンツ兄様も賛成するかと思って」


「わっはっは!反対出来ぬではないか(笑)」


「あと、ヒルスン兄様に縁談が来てどっかに婿に取られちゃうのは嫌です、今のうちに用意すればフラウ姉様の様な方が来てくれます!」


「アルとグレンツがそう決めるなら何も言わないよ」

「お兄様!やりましょう!」

「伯爵家や子爵家の婿の話も無いだろうしな(笑)」

「わーい!やったー!」

「こりゃ、4~5年従士を召し抱えても足りんの」

「募集も枠もその様にお願いします」

「グレンツの商会はその様に家臣団を付ける」

「現場は私だけで結構ですからね(笑)」


「グレンツよ、稼ぐはアルに任せて家臣団とヒルスンの街を作ってみよ、お主が誇れる伯爵領を作れ」


「城壁は任せて下さいね、凄いの作りますからね(笑)」



コルアーノ王国地図

https://gyazo.com/c2fcc6f4a0ce5df3b45b90075d2eb317



・・・・



武官の恩寵付与にサービス施設改善、お兄様の商会や岩塩の魔術証文、別荘と保養施設、ネズミ退治とか色々やったけど読み書き教室と鍛錬は2日間しか休んでない・・・俺日曜日光曜日も働いてたじゃん。 orz


まぁ、しょうがない。14歳目前だ、フラウお姉様にリズの事もお願いしなきゃなんないし最低限の親孝行は出来た筈だ。


フラウお姉様の卒業まであと5カ月しかない、結婚式まで半年だ。お兄様の方はとりあえず出来た。後はヒルスン兄様の方だ。まだ帰って来るまで1年半あるし大丈夫だ。


街灯も知れ渡れば、アホほど注文が入る筈だしな。あ!キャンディルとミウムだけは仁義通しとかないとヤバイ(笑) 聖教国の訪問販売なんて話は一発でばれる。



・・・・



11月21日。ゴロゴロした翌日。


とりあえず珍道中の3人に連絡取って見た。


今、山間の簡素な村に滞在中。村人は気さくに話しかけてくれるが森林に魔獣が出るので近づくなと言う。魔獣なら退治してやろうと3人で森林に入ったらポヨーンとした後、入口に向かって森を出ちゃうと言う。


それってエルフの里のテンプレじゃねーか!エルフが飛ばされてどうすんだよ!と心のツッコミを入れてしまった(笑)


ポヨーンと飛ばされたくない。美味しそうな餌に食いついてエライ目に遭いそう。フラグ臭がにおう。でも、アルムさん達は何度ポヨーンしても何も起こらず、魔獣も出なかったので帰って来たと言う。それはエルフだから攻撃されなかった? エルフの遺跡? エルフの始祖の村?


好奇心に勝てなかった。エルフの隠れ里ってどんな感じ? どうしても視たくてアルの中では3番目の大陸に遊びに行った。


森林というか見た目大森林だ。視ると中で普通に村人400人程が暮らしている。エルフじゃない隠れ里だった。あれだ、平家の落人部落の大きいやつだ。魔法で隠蔽いんぺいしてんだよ(笑)


アルムさんに付いてポヨーンを視に行った。


誰が?と追って視たらお婆さんだ。うほ! 魔眼持ちだわ、魔紋眼。以前聞いた人かなと思ったら違った。この人は片目の賢者じゃ無い。先天性の瞳を隠して無い、先天で出る人って片目に出るんだ。別に車輪眼とかじゃない、当然邪王真眼の使い手でもない。オッドアイの瞳孔の色が薄いブルーと薄いオレンジじゃ一発で分かる。


視るだけじゃアレだ、魔眼持ちの魔法をとりあえず体験してみた、ポヨーンと突き抜けると180度体の向きが入れ替わる。そのまま歩くと入ってきた場所から森を出てしまう。



まさに一方通行。アクセラレータをここで見るとは。


面白ーい!わーい!


石を投げて見た。石が戻って来る(笑)

強く投げたら強く帰って来る、受け止める。一人キャッチボールだ!嬉しくて何度もやってたらみんなが面白がって石を投げてキャッチしだす。さすがみんな動体視力が良いから難なくキャッチする。


もしかして・・・アルムさんに投げて見た、難なくキャッチする。へいへい!と石を要求すると投げてくれる、取ってすぐスローイング!アルムさんも楽しいのが分かってきた。


シズクとクルムサンもお互いに石を投げだした(笑)

「楽しくないー?コレ」

「たのしーい!」

「でしょ、こういう遊びがあるんだよ!」

「石を投げ合うの?」

「石じゃ危ないから布を丸めた球を投げ合って遊ぶの」

「アルムを殺そうとしないから面白い!」

「それ怖い!僕も石を人に投げたの始めて!(笑)」

「こんど布で作って遊ぼうか?」

「布じゃこんなに飛ばないわよ?」

「中に石を入れるんだよ」

「クルム姉に球作って貰おう」

「うん!前作ったことあるから教えるね」

「裏の空き地でみんなで遊べるね」

「こっちでキャッチボールが出来るとは!最高!」


40日も働いていたんだ、今日も休んでもいいや!許す。込み入った事情もあるみたいだし、押し売りも出来ないしな。


10分ほど夢中でヘイヘーイ!やっていたら、お婆さんが出て来た。


「お主ら何者じゃ!」

「・・・」急にお婆さんが現れて驚いた。


「豆大福の計は成った!」偶然だが言ってみた。


「え?」驚くお婆さん。


「そこのポヨーンが面白いと聞いて来ました」

「・・・」


「この人が呼んだんです」アルムさんを指差す。

「・・・」


「一緒にやりたい?」違う!それは違うぞ!

「この人がポヨーン作ってんだよ(笑)」


「そうなの?」<「うん、魔法使いっぽいでしょ?」

「なんで?家に誰か来ない様に?」核心かい!


「そうだよ、見られたくない物があるんだよ」

「アルムは見たいけど・・・」


「見たいの?」<「うん」<「そんじゃ行こう」


手を出すとみんながつかまる。中に跳んだ。お婆さんに怒られそうなので怒られる前に入った。お婆さんを置いて。


「あ!村があるんだ(笑)」

「そうそう!」

「じゃなくって、見られたくないんだよ(笑)」

「そうなの?」

「国に追われてるみたいだからね」

「え?」

「色々あるの!人生は」子供が言う。

「ふーん」それで終わるあんたが好きだ(笑)


「お主ら何者じゃー!」あっちからお婆さんがけて来る。

「怒ってるぞー!」逃げろー!と子供らしく言ってみる。


アルムさんが大喜びで逃げる。ノリが良い。シズクが袋を腕輪に入れて木に入る。クルムさんが木の天辺に縮地で飛んで引っ付く。俺が縮地と縮歩と妖精の靴で爆速で村の中に逃げる。アルムさんがお婆さんを翻弄ほんろうしながらピョンピョン喜んで逃げている。楽しさを全身でアピールしてる、それ相手をあおってると教えなきゃな(笑)



魔法を撃ちだしてもアルムさんが大喜びで逃げてかわす。

いかんいかん、あの人元宮廷魔導士だから興奮させちゃダメ。


お婆ちゃん走り疲れて座っちゃった。


「お、お主ら精霊か?」お!シズクが当たった!と思ったら当てられたシズクが木から出てきた(笑) かくれんぼか!


近くの木からシズクが普通に出て来て唖然あぜんとしてる。

近くまで言って話しかけた。


「お婆さん、魔法使いだよね?」

「僕が誰か知りたい?」

「うむ」


「行くよー!」みんなが駆け寄って俺に引っ付く。

「なんじ・・・」言う前に触って聖教国へ跳ぶ。


「ここ、違う大陸の聖教国って国ね、神様あれだけど分かる?」


教会の大聖堂を見渡して、指差すネロ様を見てお婆さんが安心した。


「ネロ様?」

「あ!よかった!一緒の神様だ(笑)」


「あの神様も分かる?」

「アローシェ様じゃな」


通りかかった司教様に手を振って話しかける。

「司教様ー!」


「あ!御子様!今日は大聖堂に何かご用事でも?」

「このお婆さんが聖教国知らないから連れて来たの」

「ほう!我が国を知らないとは、驚きましたな(笑)どちらからのお国で?」


「違う大陸のチリウ王国って国なの」

「あ!なるほど、知らなくても仕方がありませんな(笑)」


「教会の前散歩して来るね」

「どうぞ!ごゆっくり」


「お婆さん、何者か分かって貰えた?」

「せいきょうこくの御子様じゃな(笑)」


「そうそう、こんな感じ!」変身した。

合わせて3人も貴族服になった。


目を点にして言った。


「高貴なお方じゃったか?」

「うん、服だけ高貴(笑) 噴水公園で何か飲もうよ」


教皇セットで露店でジュース買う御子様。


噴水に座ってみんなでジュース飲んでたら

「御子様ー!何やってんです!」

買い物帰りの司祭が走って来る。


「お婆さんとジュース飲んでるの」

「見たら分かります(笑) 誘拐されますよ!」

子供扱いだった。


貴族服に着替えた。

「これならいい?」

「あまり目立たない様にして下さいね」

司祭に手を振ってバイバイした。


お婆さんを見て話しかける。

「信用してもらえた?」

「うん、何者かは分かった」

「お婆さんの家に入れてくれる」

「入れてやるわい(笑)」

「良かった。行くよ!」


マジ良かった、最初の剣幕では何言っても疑われて話も聞けなかった。一発度肝どぎもを抜いてリセットした。敵意は無いだろうけど魅了したら目も当てられない(笑)



・・・・



「して、この村に何の用じゃったな?」

「ポヨーンが面白いって聞いて来たの」

アルムさんを指差す。


「それは分った(笑)」

「来たら隠れ里だと知ったの」

「誰に教えてもらったのじゃ?」

「神様」

「え?」

「これなの」見せた。


加護 創世の神々(63神)

    現世の神々(191神)

    創造主、ネロ

     豊穣の神、デフローネ。

     戦いの神、ネフロー。

     審判の神、ウルシュ。 

     慈愛の神、アローシェ。

     学芸の神、ユグ。 


「え?」


「お婆さんが元宮廷魔導士で魔紋眼なのも神様に教えてもらった」

「・・・」


「隠れてないで出て来ない?」

「何処へ?」

「ポヨーンのない所へ」

「・・・」


「神様の国の新天地だよ」

「この国を見限らなきゃダメだよ?この国の事を忘れられるなら連れてって上げるけど」


「どこかの国なのか?」

「ううん、これから出来る国なんだけど」

「ん?」


「神教国タナウスって言う宗教国だよ。戦争とか無い国」

「何処にある?」


「あ!ちょっと今、ゴミゴミしてるけどいい?(笑)」

「その国はあるのじゃな?」

「うん、見に行こうか!」


お婆さんをつかんで飛んだ。


「ここなんだけど」

王宮予定地に置いただけの王宮から海まで見渡す限り家家家・・・


「目の前の家は置いてるだけだからね、置き場が無いから取り合えず置いてるの」


「これから、4~5年で出来ると思うんだけどまだ国民が居ないの。村の人って王宮の執政官や大臣さんだよね?この国の執政官になってくれるなら家でも食料でも畑でもたまわるよ」


「ちょっと見ててね」


王宮の下に現れて、道にポコポコ置いてある家を取って、苦労して作ったレンガの道を見せてあげる。


馬車が回りながら交差できるラウンドアバウトの交差点まで見せる。


お婆さんの横に行って

「どう?世界で一番繁栄した国になるんだけど一緒に作らない?」

「畑が無いようじゃが、食べ物はどうする?あの村は一族郎党400名程いるぞ」

「こっち来てくれる?」

冒険号の格納庫に跳んだ。


「これが当面の食料なんだけど」

芋、大豆、小麦、トウモロコシ、小豆、米の袋を見せる。

「ここにしまってあるからね」

自販機のボタンを押すとジャガイモの大袋が出て来る。

「一応、全部持って行って、みんなに話してみて」

各一袋(40~50kg)をインベントリに入れて自販機コーナーの居住区に行く。


異次元の味の天ぷらうどんをお婆さんに勧めて自分も同じのにする。皆で昼食を食べて、きなこのみたらし団子を出してあげる。婆ちゃんには定番だ(笑)


「あ!そうだ!」


王都のケーキのボタンを押すと箱詰めのケーキが出てきた。

40ケース出しておいた、400人なら一切れは食べられると思う。アルムさんがマドレーヌやクッキーも追加で押した。そっちは連打で押してもらった。


「これはね、女の人の説得に使ってね(笑)」


折角なので色々持たせた。チキンバスケット、ポテチ。葡萄ジュース。村では中々食べられないだろうから。


新しい国作りを手伝ってほしい事を何度も言った。


お婆さんの家が食べ物で一杯になった。



「結論が出たらこれで御子様と話しかけてくれたら、僕と話せるからね。国作りを手伝ってくれなくてもその食料は食べて良いからね。ただし、食料用の加工がしてあるから種芋にはならないから植えずに全部食べなきゃダメだよ(笑)」


「村の家が勿体ないなら、全部あの国に持って行くから大丈夫だよ、それと移住するならポヨーンの魔法教えてね!」


そう言って、ご無礼した。



他の村民が見に来るかも?と考えて、大急ぎでタナウスに帰って街並みを並べ直した。すごく難しかったのでコアに最良の置き方を教えてもらった。大通りは繁華街、小さい道は住宅街と教えてもらっただけでだいぶ整理できた。



・・・・



チリウ王国。前国王の家臣団の隠れ里。

国王崩御ほうぎょの際、後を継いだ長子をいさめて王宮を追放され、陰から追っ手に付け狙われるのを第4席にあった宮廷魔導士 ジェシカの手により隠れ里にかくまわれる存在。


前国王の寵愛を恩義に感じ現国王をいさめ華美な生活をあらためさせようとした所、現王の逆鱗げきりんに触れた。所謂いわゆる飲む打つ買うのお坊ちゃま国王だ。視たら、意見を言うとこじらせ恥をかされたと他の件でかたきを打つタイプ。


スカウトするには最高の人材をPTの3人はぎ当てた!

移住の対価など何も必要ない、その迎合げいごうしないいさめる心が最高の対価だ。



俺も部下にいさめられずにホッとした。

ニウとコアには俺が視た経緯けいいから背景まで全容を知らせ、今回のスカウトでタナウスに予測される危機を聞いた。


タナウス星系を脱出してきたコボルさんたちは、論理思考で感情的な直情傾向で無かったから良いが、本来仲間割れまで見越し引き起こされる危機まで予測し船長に報告するためにコアは乗組員の論理と思考の測定を行う。


要するに、


「連れて来るなら、思考観測出来たら充分です」


その一言だった(笑)

その人物の観測で引き起こされる事態が予測計算されるのだ。


極端な事言えば冷や飯食いのエリートを検索だ!


学があり、世のシステムの在りように疑問を持つだけでも貴重な人材だ。俺が視たらその意見はシステムの改善を見ているのか、転覆を見ているのか、人の揚げ足を取る為なのか隠す事は出来ない。


コアとニウの観測、そして俺の眼は逃さない。

人物鑑定には間違いなく最強の眼なのだ。


敵意を持つ者ならじっくり話し合うだけだ。


民主的に。



・・・・


11月23日。


そんな折、ラムール会長から連絡が来た。


大砲60門、中砲60門、小砲60門、魔動回路3セット(軍用)

弾薬各3000発、火薬各3000袋


帝政国ミランダとハーベス帝国へ3隻分ずつのご注文だ、80m軍船の最大搭載兵器じゃねーか(笑)


聞いてみると軍船の最大積載だけど、商船に分けて積んで海賊被害を無くすためと言う。言訳じゃねーのか?と思ったけど視たら分かるからいいや。


ハムナイの港湾倉庫で保管すれば商国の80m級をチャーターして運ぶらしい。イヤ!無理だろ!行けるのか? 商船の方が船底に置けるから安定するのか? あ!俺が心配する事じゃ無い。


取引は11月30日の1週間後。

俺の誕生日の次の日で覚えやすい。


出荷はリンダウ王国に似た形の大砲と魔動回路。砲弾の火薬も径も2国とは違う、銘版も製造番号も金型のヘソも違う。


揚げ足取られない様に確認は必要だな。持って行く前にリンダウ検索に掛けたらいいや、でも他国の武器だから早々バレないわな。



・・・・



3日ほどでチリウ王国の落人の里のお婆さん、ジェシカさんより連絡があった。

元宰相のベルン・リュードス始め、外相、財相、その部下の政務官たちが一度話を聞きたいと言ってきたのだ。


お昼からPT4人とコアとニウでお茶とお菓子の用意を持って隠れ里に行ってきた。


俺は聖教国の教皇セット、PT3人は貴族服の護衛のポジション、コアとニウはメイド長と執事長だ。

相互通信機で13時に村の広場に現れると連絡しておいた。


時間通りに広場に飛ぶと10人程の出迎えと村人の歓迎ムードが読み取れた。


「聖教国の御子様、私はチリウ王国の元宰相を務めておりましたベルン・リュードスと申します。先日は貴重な嗜好品しこうひんたまわり村人一同感謝しております。元宮廷魔導士のジェシカから御子様の話をお聞き致しました。今一度私めとお話をさせて頂きたく存じます。貧しい村ですが、お茶の用意もさせておりますのでこちらまでご一緒下されたい」


「丁寧なご口上痛み入ります、話を振ったのは私からです、今日はへり下らずに腹を割ってお話いたしましょう」


村長ベルンさんの家に誘われた。

「聖教国、教皇代理 アルベルト・ド・ミラゴ・イ・クレンブルと申します。4~5年後を目指して新たな国作りを考えております」


「私は先程も申しましたベルン・リュードス、村長です。こちらが元外相のニール・オットマン。その横が元財相のマール・ニクラスです。後ろに控えるは元王宮勤めの政務官でございます。本日はそちらの元宮廷魔導士のジェシカ・アントムより話を聞き、耳を疑う程驚き、アルベルト教皇代理様にお話を伺おうと願い出ました」


「それでは、お話いたしましょう」


・御子の属する宗教国、聖教国と神聖国の話。

・新たに神教国を4~5年先に作ろうとしている事。

・作る国は宗教国、神教国タナウス、専制君主制。

・教皇をトップとしその下に大司教と宰相の2名。

・世の理不尽を正す教会部門と国の財政、内政を司る政策部門。

・政策部門は魔法を元に外貨を稼ぎ国を安定させる。

・教会部門は国家紛争の調停、介入を行い世界を安定させる。


政策部門の収入源:世界10大陸の魔法祭壇による交易補助。

教会部門の収入源:タナウス賛同国による喜捨。


平和を唱える宗教国であり世界最強の魔法国家であるため戦争は起こらず、民を豊かにし国を豊かにすることに力を注ぐ国家を作る。


神教国タナウスは全ての国民に、神にじゅんずる労働の対価としての家と土地と食料、身分と安全と平和を保障する。


隠れ里のみなさんにも当然国民と同じく保証する。対価として政策部門として国作りへ協力して貰う事でタナウスへの移住を許可する。教皇の専制君主制であるため移住の際には神に誓ってタナウスに絶対の忠誠を捧げてもらう事を条件とする。


※専制君主制、法はあるが王の決定が上位で法は覆る国家。


「コア、ニウ。不足な事は無いか?」

「ございません、タナウスに忠誠があれば十分です、国に忠誠が有ればどの時代の王もいさめる事が出来るでしょう」

「そうだね。国への忠誠を、民や土地への愛着を己の力と履き違える王が多いよね(笑)」


「新天地の土地を見てから決めますか?(笑)」

「よろしくお願いいたします」

「この部屋に居る方全員連れて行きましょう、皆さん立って手を繋いで下さい」


その部屋の机の後ろに控えていた15名程の政務官たちも手を繋ぐ。


「参りますよ」


「王宮に跳んだ」


「こんな感じの島ですね。この島は4~5年後全ての大陸を結びます。今皆さんが跳んだ魔法技術で世界10大陸が交易路になります。10大陸からこの島へジャンプ、この島を中継して他の大陸へジャンプ出来るようになります、皆さんには適正な税制と税を使って国を豊かにする政策をお願いしたいですね」


「海路での交易は世界の商国連合が担います、内陸部の国に対する世界への交易路は宗教国家、神教国タナウスが担います」


「コア、ニウ。大陸交易路の資料を渡してくれるかな?」

「かしこまりました」


試料内容:政策部門執務概要。


・タナウス島全土の詳細地図。

亜熱帯から亜寒帯まであるタナウスの土地と魔獣資源を有効活用する全体的な政策を同時進行で行う。


・開墾地の農業政策。

教会教義部が研究する先進の種により、高収穫、高栄養、大収穫による開墾と作付けで世界への輸出を考える。開墾地は現在拡大中でタナウス全土に拡散中。


・通貨政策:流通通貨量。

国内規模と国外の名声に従って流通量を増して行く。希望は全世界の通貨統一まで視野に入れる。


・衛星都市政策。

国内交易の中心都市をブロック別に設け入領税、入市税は国内無料とする。


・大陸交易路構想(案)

大空洞内の転移祭壇サークルの大きさと予想馬車の規模。

6トン積み馬車10以上20まで、など設置する国へ他国からの交易路の拡充や他国から転移祭壇までの課税の扱いの詳細。


・対外紛争は教会部が全権を担う。

神の御心のまま教会は動くので、国としての思惑や人としての欲望とは掛け離れる活動となる。政教分離は絶対とする。政策部門は何も責任は無く、ノータッチ。


教義を解りやすく解説した御子様語録集が10冊付いていた。


「その資料についてお持ち帰りになり検討下さい」


「相互通信機はそのままお渡しいたします。今までの経験を生かして、今までの概念を越えて新しい具体的な数字や口だけではない生きた政策を期待しております。4~5年先に出来る国です。教義に沿った国作りをして頂きたいです」


落人の里へ皆を送って行った。

最後に魔法使いジェシカ・アントムのお婆さんに言った。

「結界が破られ危機が訪れたら迷わず連絡を、平和な村を襲う無法な者に天罰を下します」





次回 220話  クラン改造計画

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