第213話  秘密会議の新メンバー



9月13日(光曜日)


家族旅行の日だ。


朝の鍛錬しながら天気の事を考える。

コルアーノ王国のキャンディル領とサント海商国の最南端、首都の海岸は緯度で8度程も違う。セイルス商国か神聖国イーゼニウムを跨がないと海を見られない。気候も日本で言うと函館から高知県ほど違う。今までこんなに天気を気にした事無いが、お兄様とフラウさんの最初の海のデートになるのだ、気になるに決まってる。


綺麗な砂浜を二人で歩いて欲しい!

天気がとても心配。


教室に行って、リズに今日の予定を再度確認する。十一時にリズの屋敷でメイド長ナタリーと執事長セオドラと三人で俺が来るのを待ってもらうだけだ。


教室が終わるとタッカート師匠と模擬戦だ。


模擬戦後。

ステラ婆ちゃんに恩寵が取れた事を話し、今までの弟子はどれぐらいで恩寵付けてたのか聞いてみた。人それぞれで恩寵が出たら帰って来る人、三、四か月山に籠る人も居たそうだ。やっぱり!と納得した。


笛を返すと、返された。


「それはアル様に差し上げた物です。お爺様の太刀筋を受け継ぐ者に託します。恩寵に関してはアル様の自由になさって下さい。恩寵は強力ではございますが稀に勘の鋭い者には打ち破られるのでご注意下さい」


「・・・」幽玄流の証を無くすステラ婆ちゃんを想う。


「その様な顔をなさらずに。お分かりでございましょう?老夫婦のお墓に入れる物ではありません。アル様が持つのが相応しいのです。よろしくお願いいたします」


お墓に入れる話が出ると思わなかった(笑)


「ありがとうございます。色々と貰ってばかりで心苦しいので、これをお二人でお使いください」


ミッチス無料券を二枚渡した。気持ちが嬉しい時は価値のない物の方が良い。


「毎回無料券ではタダ食い夫婦と思われてしまいます(笑) 月に五回夫婦で食べられる様に今月から棒給を銀貨三枚(3万円)増やしておきます。増えた分はお二人で食べに行って下さいね」


老夫婦は笑って頷いた。



・・・・



最近、鍛錬後は八時頃にミッチスで朝食のアル。


クランの門出た横のミッチス。

入った内開きのドアの裏が定位置だ。死角になって入って来た人の視界に入らない。朝から貴族の姿など見たくないだろ?


え?冒険服? 冒険服みたいな格好で入る店じゃ無いんだよ。当然空気読まない冒険服はいるけどね、一応雰囲気は守ってるのよ。


大銅貨三枚(3000円)のパンケーキセットはその金額でモーニング行く人いるの?という金額だ。小金貨一枚(20万円)あれば家族四人が慎ましく暮らせる街では平民が早々食べられる物じゃない。



手早く朝食を食べたら管理棟のマスター室からサント海商国に跳ぶ。


Yah~ヤー! 海がエメラルドに輝いてる!最高!

これから一緒にお食事に来ようか~♪


まだ夏の匂いのする海を見てたらキンキンに冷えたエールを出したくなった。


レンツ様飲むかな?・・・飲ませばいいんだ!


ギルドで中樽(20L)買ってきた。


入り江の持ち主のランドさんに「お構いなく」って言ったから海は完璧に仕切る。お屋敷も快速艇もメイドも用意しなきゃな。


去年来たメイド達と同じ体験だけはさせてあげたい。



・・・・



レンツ伯の宮殿に迎えに行くと応接に全員集合で座ってた。


「セルマン、アルヴ、こちらがベントの弟子で御子様じゃ」


「御子殿、こちらがクリストたちの長男夫婦セルマンとアルヴだ、そちらはまだ学院に行っておらんサブリナ(8歳)じゃ。今日はよろしく頼みますぞ」


昨日キャンディルに連れて来たフラウ様がニコッとしてくれる。お互いに挨拶した後、握手で少しお話した。


レンツ伯、カメリア様夫妻 

次期当主クリスト、アミア夫妻 次女フラウ 三女サブリナ

次期当主長男夫婦セルマンさんとアルヴさん

執事ダムトルさん、メイドマリーさん。


十一人で手を繋ぎロスレーンに跳んだ。


ロスレーンは三十人もいるので食堂に集まっている。シズクもクルムさんもかしこまっている。


食堂の机を囲い込む様に四十一人の輪が出来る。大人数でダンスかお遊戯してるみたいで皆が照れる。


「皆さん手を繋ぎましたね? 行きますよー!」


そのまま皆でサント海商国に跳んだ。


皆がエメラルドグリーンの海を目の当たりにして絶句する。


初めて跳んだ人は繋いだ手を離さず、目を見開いて首だけ動く。


「アル!いつのまにこんな凄い魔法を!(笑)」


知ってはいても初めて跳ぶグレンツお兄様が首っ玉に抱き付いてきた。


「キャンディルの賢者の弟子ですからね(笑)」

「この婚約はアルのお陰かもな!(笑)」

「お兄様、レンツ様とフラウ様がそこに」

「よいよい、喜んでもらえて何よりだ(笑)」

フラウさんも下を向いて恥ずかしそうに笑ってる。


そのまま海を左手に歩くが、やっぱ皆海が気になって進まない。


四十一人がレストランに迎えられる。

旅行代理店の引率過ぎて笑える。


打ち合わせ通りにマネージャーが一番見晴らしの良い席にレンツ様達を誘う。


その向かい側にロスレーン家が座って行く。俺はお兄様の横にリズと一緒に座る。ロスレーン側の末席にリズのメイド長ナタリーと執事長セオドラ。この席は見事に十対十の全員貴族だ。


お爺様夫妻、お父様夫妻、お兄様、俺、リズ、アリア、セオドラ、ナタリー。


リード師匠、執事長のシュミッツ、メイド長のジャネット、料理長のバルトンは今回夫妻で参加してるので別席でアインやお屋敷のメイド達と座っている。アルム、クルム、シズクもあっちの席だ。


食前酒とオードブルが運ばれるとお爺様が音頭を取る。


「急ではあったが、めでたくロスレーン家長男グレンツとキャンディル家次女フラウ殿の婚約が相成あいなった。今日は祝いの席として大いに語らって親交を深めてもらいたい。アルベルトの横におるのはナレス王国の第三王女リズベット姫じゃ。2か月前ナレス王国にてアルベルトと婚約の約定を交わした。何分にもお互いに十三歳ゆえ発表もしておらん。皆でこちらも祝ってやって欲しい」


「それでは、ナレス王家とコルアーノ両家の安泰を願い乾杯!」


サラダや海鮮のおつまみが運ばれ、歓談していると吟遊詩人が現れた。


俺が声を掛ける。


「待ってました!」


吟遊詩人もこないだ会った俺に声を掛けられにこやかに弾き語りを始める。


本日は~♪コルアーノ王国からキャンディル伯爵様とロスレーン伯爵さまがお見えとの事~♪その上、ナレスのお姫様まで見えられた~♪特別席での観覧に~♪気持ちを込めて歌います♪最初はサントに来られた貴族の方に喜ばれる昔話と参りましょう~♪ 幕の始まりぃ~♪


♪~サントとセイルスとコルアーノは三兄弟。元は一つの三兄弟~♪海を馳せた商人がいにしえに作った国が分かれた。海の商人、陸の商人、奴隷商人。三兄弟は国を作ったのだ~♪



始まったら(吟遊詩人ツアーでロスレーン家の)家族は慣れたもので手拍子で一緒に盛り上げるとキャンディル家も一緒に手拍子してくれる(笑)



♪~奴隷商人はいつしか奴隷の国を作り他の兄弟をいじめ出した。悪いコルアーノをサントとセイルス二兄弟とシリング。三つの国の協力の元ハルバス家が話をまとめて攻め込んだ!~♪


チョレスが掻き鳴らされる。

チャンチャンバラバラ!チャンチャンバラバラ!


♪~二兄弟は囚われていた奴隷たちを開放して武器を持たせた。シリング共和国は悪いコルアーノ王族を呼び出し国から遠ざけた。ハルバス家が攻め込み、悪い奴隷国家は無くなったのさ~♪


♪~悪いコルアーノ王国は良いコルアーノ王国に変わり。三兄弟は元の仲の良い家族になったのさ~♪ めでたしめでたし~!


知らない人は驚き、知ってる人はヤンヤの大喝采。

チップを両伯爵からもらっていた。


♪~それでは二曲目は、コルアーノ王国民なら知らなきゃモグリのお話と参りましょう~♪キャンディルの賢者伝説~!♪



物語を知っている読者には割愛する。



(導師が神聖国を作ったと)仕込んだった(笑)

弟子の存在を薄くするには、ドギツイのが必要だ。


コルアーノでこんな話も聞きましたよ、こんな話も聞きましたよ。と色々付け足しておいた。吟遊詩人は情報屋だ、誰も知らないネタを瓦版の様に賛美し、うたい伝える。新しいネタが命なので、色々教えただけだ。


ガゲッツ公爵実名かよ!の率いる傭兵団一万人を導師が一人で立ち向かい、壊滅させる所がチャンチャンバラバラに変わっている。数も盛ってあるのは言うまでもない。


良いんだよ、無血建国じゃなくても!吟遊詩人の様式美なんだよ!あっちでもとかあるだろ?



世界にとどろけキャンディルの賢者伝説。



レンツ様が赤くなったり青くなったりだった、弟がスーパー賢者として他国で賛美されうたわれてるのだ。さぞ驚いたろう。


リード師匠がお前やったな!と視線ガンを飛ばして来るのを(今初めて聞いたと目を剥いて)軽やかにかわしまくる。レンツ様は海の見える大窓に正対してるので、背中越しのそんな視線に気が付かない。


シレッとレンツ様に言った。


「賢者伝説のお題は色んな国で聞きますねぇ。私は奴隷解放の話は初めて聞いたぐらいです」勿論嘘だ。国内しか聞かない。


食事が終わると食前酒とワインのお土産の受け渡し。

両替が面倒なので、バーツさんに請求が行き、コルアーノ貨幣で後日支払うようにしておいた。



・・・・



ランドさんの別荘に跳ぶと、皆が固まった。

とんでもない綺麗さだった。俺も息を飲むほど綺麗だった。


浅瀬は透き通るような透明な海。

入り江がエメラルドグリーン、だんだん遠くに行くにしたがってコバルトブルーに輝く。


「御子様ー!」


「え?」ランドさんが居た。俺、屋敷まで持って来たのに。メイド部隊まで最近は入ってる(ナノロボットだから)


「コルアーノの伯爵様がおいでになると伺ったので参りました(笑)」


「ありがとうございます、こちらがキャンディル伯爵様です」


「レンツ様、海商国十傑の議員さんの長男ランドさんです」


「お邪魔しております」


と聞きお待ちしておりました」


その言葉でレンツ様はランドさんの仲間になった(笑)


「魔動船も用意出来てますので皆さんで入り江一周の船遊びは如何いかがですか。今日は特に海が綺麗です、是非船からの景色も見て下さい」


皆に入り江の先まで自由に遊んでよいと伝える。

うちのお婆様が入り江の遊覧に誘ってキャンディル家の婦人方は魔動船の方へ行った。


お兄様とフラウさんは少し離れた所で笑って喋っている。

二人に海は関係無かった。二人が一緒ならいい筈だ。


砂浜に応接セットを作る。

面白がってレンツ様も作る。

今回は夫妻が多いので家族で固まれるように多めに砂浜に椅子とテーブルを作って行く。作る端からランドさんのメイドさんが飲み物やお菓子を置いてくれる。


伯爵夫妻と次期伯爵夫妻が大満足で座ってくれた。


エールをキンキンに冷やしてツマミと共に机に出しておく。

大壺とジョッキとコップを出しておく。


リード師匠の所へもジョッキで持って行った。


「アル!こりゃ最高だな!」

「エール最高でしょ(笑)」

「エールだ!(笑)」


ルナとアリエラを誘って皆が遊ぶ砂浜の中心まで連れてきた。


メイド達の分と、波打ち際に大テーブルを作り、葡萄ジュース、ミカンジュース、コップ。大山脈で取ってきたサクランボの籠盛を置いておく。


ルナとアリエラにサクランボとジュースとお菓子を山ほど持たせる。船を指差してアレにも師匠とリリーさんを誘うように言う。


アルムさんが皆に海水を舐めろと手を引く。

クルムさんは初めてじゃないのに海の前で立ち尽くす。


お婆々を景色で感動させられるって凄い事だと改めて思う。これ程綺麗な海は誰も見たこと無いと確信する。俺だって地球で見たこと無かった。


メイド達は船の順番を待ちながら貝を拾ってる。


少し離れた所にカップルシートを作り、やっとリズと二人になれた。と言っても無理矢理だ。

(お付きのセオドラとナタリーを遊覧船に乗せたった)


二人で葡萄ジュースを飲んで自然に笑いあう。


「護衛も馬車も無く海で遊ぶとは思いませんでした」

「あはは、そのうちコレが普通になるさ」


「本当に王宮とは退屈な所だと思い知りましたわ」

「えー。そんなに?」


「ナレスは計った時間で流れる国ですわ(笑)」

「あ!王宮だとそういうの有りそう」


「あれほど目近で吟遊詩人の歌が聞けるとは思いませんでした」


「面白かったでしょ?」

「とても!(笑)」


入り江の遊覧船から降りてきたアリアとサブリナが手を繋ぎ砂浜で貝を拾う。変わってお兄様の二人とメイド達が船で入り江に出て行く。


リズと手を繋いで入り江の岬まで歩いて行く。小道の両脇はレンガで仕切られ手入れされた花が植えてある。


もう一度雫と明になって、雫を喜ばしている自分を重ねる。中身は24歳になっているアル。婚約者として庇護し、リズが喜べば自然に嬉しいのだ。色々楽しませてあげようと思っていた。


海風にリズのロングスカートがはためき、髪が揺れる。


十三歳だけど見た目は小学校二年生から四年生。服でクルクルと見た目の年齢が変わる。そんな娘が俺を頼ってコルアーノまで一緒に来てくれた。この子供にしか見えない頼りない体の俺をそのまま頼って横に居てくれる。


心地よかった。

身体全体で頼られる事が心地よかった。

中身が違うにアル様と頼り切ってくれる。


覚醒して3年と半年後にこんな未来があるなんて。

虚無より拾い上げてもらったテミス様に感謝した。

そして全ての神々に感謝した。


今回はお爺様の周りには行かなかった。


当主同士で笑いあって胸襟きょうきんを開いて話している。

次期当主同士も酒を重ねて笑っている。


お兄様とフラウさん。俺とリズベットの寄り添う姿を見せる事が親孝行だと思った。



・・・・



俺とリズベットが最後に入り江の遊覧船から降りると少し日も傾いて十五時半、二時間半も遊んでいた。


そのままスマフ商会長によろしくと長男のランドさんにお礼を言った。スマフ会長は覇権国の武力解除を目の当たりにした十傑の一人だ。今回の訪問も気に掛けて貰ってありがたい。



前回と同じお土産物屋に向かった。


「婚約の祝いじゃ、好きな物を買って渡すが良い」

お爺様が俺とお兄様に含みを持たせて言った。


「皆も好きな物を買え」出た!


俺も金は無いわけじゃ無い。小銭まで合わせたら白金貨十何枚は持っている。両替商の件で十枚ほど、盗賊の鹵獲品売って三、四枚は持ってるのだ。他にもクランの金庫に眠ってる。


お兄様が聞いてきた


「前回お婆様達は何を買った?」

さすが!頭が切れる!それ以上のは送れない(笑)


「大金貨一枚半ほどの物を一人三品」

「なにー!(笑)」(300万×3品)


「第三騎士団で二年も稼いでたんでしょ?(笑)」

「バカ。スズメの涙だ!(笑)」


「後から知ったらコルアーノでは十倍の価値だそうです」


「本当か?」

「買う貴族がいればですけどね(笑)」


「そんな宝飾、買えるのは侯爵級だろ(笑)」

「ですよね(笑)」


「だから、レンツ伯も驚くはずです。行きましょう」

「そうだな」


やはり大金貨一枚級の黒真珠見たら他が見えなくなる。

値段で希少さが分かるのでサンゴが見えない(笑)


リズの目が宝石に魅了されている。

フラウさんも真剣に選んでいる。

身を飾るものだから真剣勝負だ。


若いからなのか二人共に同じものを選んだ。

大粒のピンクパールのネックレスだ、首にグルっと回る奴。

輝きの深みが違う、深みを帯びてピンクに輝く大玉だ。

・・・それコルアーノ持って行くの?

白金貨一枚半になるぞ(笑)(3000万円)


未来の姉妹が同じものを買った。


ジャネットがメイドを連れて来て、このサンゴの中から選びなさいと金貨一枚(50万円)相当の髪飾りを選ばせている。ロスレーン家に買ってもらって俺まで申し訳ないがの目が飛び出している。


俺はPTメンバーの三人を呼び、黒と白とピンクの大玉イヤリングを選ばせた。やっぱ黒真珠のイヤリング一択だ。未来のメンバー、リズの分もお爺様にツケといた。


ヒース団長とアインが魔動船の舵輪を選んでる。舵輪は男のロマンだ、気持ちが分かる。


バルトンさんもサンゴの指輪を奥さんに選んでる。

リード師匠もセルスを抱いてリリーさんと一緒に見ている。今の餓狼の姿をタッカート師匠に見せてやりたい。


レンツ伯も海の貴金属を家族に買っている。

アリアがサブリナにお姉さんぽく説明している。


俺はお土産コーナーに回ってきた使用人の見てるお菓子を大人買い。お屋敷で仕事してる人たちの分も買わなきゃね。



・・・・



お屋敷に帰って来たら十七時半だったが導師が待っていた。


そのまま、久しぶりのが開かれた。


メンバーが増えたからだ(メンバーあった所に突っ込むわ)


ラルフ・ロスレーン伯爵、ルシアナお婆様

次期当主:アランお父様とエレーヌお母様。

次期当主の長男:グレンツお兄様、

執事長のシュミッツ、メイド長のジャネット。


アルベルト・ロスレーン、アルム、クルム、シズク。

ナレス王国王女:リズベット・アナ・ヴォイク・デ・ナレス。


リード・オーバン男爵。リリー夫妻。

ベント・キャンディルム伯爵(一代伯爵)


レンツ・キャンディル伯爵、カメリア夫妻 

次期当主:クリスト様、アミア様夫妻 次女フラウ

次期当主の長男夫婦セルマンさんとアルヴさん

執事ダムトルさん、メイドマリーさん。



旅行中に急遽きゅうきょレンツ伯から良い機会なのでロスレーン家が盟友であることをキャンディル家の者に再認識させると開かれた。(話が出た時、俺が相互通信機を出してレンツ様が導師を呼び出した)


レンツ様に俺の加護を今一度家族に見せてくれと言われた。それを見て協力せぬ者は家族には居ないと断言した。キャンディル家は聖女の家系なのだ、神は絶対の存在だった。


ついでにグレンツ兄様やリズベットにも見せた。

当然驚く。お爺様がアローシェ様の顕現けんげん翌日にアルベルトが完治した話を補完した。


リード卿とリリーさんのデフロ―ネ様の加護は、この部屋で皆の目の前で二人が使徒となった話をレンツ様がした。


二人の結婚式ではアローシェ様の加護が付いた話も出た。


リード卿はネフロ―様の加護(戦い・武勇・生死を司る)

ベント卿はユグ様の加護(知恵・学問・技巧を司る)


加護を持つ者は神の使徒だ。


両家でこの世におわす神と共に生きる確認の会議だった。


レンツ様の議題は、フラウさんがグレンツお兄様と結婚した後の執務は魔法教師としてロスレーン家で専属でリズベット姫の魔法取得を援護えんごすると言う物だった。


フラウさんが了承の上で教えてくれるそうだ。


将来のグレンツの嫁フラウによりアルベルトの嫁リズベットが魔法を覚えたら両家は盤石ばんじゃくになるお話だった。


神の御子を守り抜く事が両家の繁栄どころか、コルアーノや大陸の繁栄に繋がるとの話を導師とレンツ伯に聞かされた。


聖教国、サント海商国、神聖国、コルアーノ王国、ナレス王国との縁が深い御子なのだと、そういう縁で結ばれている存在なのだと演説を聞かされる。この部屋にいる者はそういう縁で集まった者たちである事を説く。


リード師匠とベント導師の最初の家庭教師の手紙の話が語られる。グレンツの横にいるフラウも導かれてここにおる。逆らおうとも必ず巡り合う導きだと説く。


それを家族の皆がウンウンとうなずく。

お兄様とフラウさんも目が点なので初めて聞くのだ。

吟遊詩人がたたうたったスーパー賢者がくのだ。


この場にいる者は危急の場合、相互通信機で早急に対処する事が両家で確認された。


俺にとっては恥ずかしくて聞いてられない話だった。


皆がその都度ロスレーン家の秘密を少しずつ知って集まっていた。秘密会議の意味はレンツ様と導師によって解説された。


今日、全員がその意味を確認した。

秘密会議のメンバーは今日決まった。





次回 214話  ありのまま

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