第210話  お兄様の婚約



8月中旬。


お爺様から今年もサント海商国へ出掛けようと連絡が来た。グレンツお兄様に海を見せたいと言う。


細かく打ち合わせに行った。


9月13日の光曜日、11時30分に食堂集合。

サントが雨天の場合は食事後に神聖国の首都巡りで建築中の大聖堂を見せてもらう。(アリアの希望)


今回はサント海商国に行った事の無い使用人が選ばれた。


家族6名:お爺様夫妻、お父様夫妻、グレンツお兄様とアリア。


リード・オーバン男爵夫妻。5名

リード師匠夫妻と子のセルス。メイドのルナ、アリエラ(キレーヌはもうお屋敷に帰って来てるので使用人の方)


使用人13名:シュミッツ執事長夫妻、ジャネットメイド長夫妻、バルトン料理長夫妻


初めての海商国となる使用人:キレーヌ・シンシア、マリー、(メイド修行の)リサ、メグ、カルラ


(グレンツお兄様の供回り)アイン。


アル7人:PTの3人とリズベットとお側付きの二人。


計31名


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ここで伯爵家になり、新しく入った人も増えてるのでロスレーン家の人物紹介しときます。(:現在は皆の誕生日の都合上+2~+3歳)上に点は伯爵家から入った人(現時点の年齢)


・ロスレーン家当主

ラルフ・ロスレーン59歳(10月)ルシアナ58歳(8月)

(1月下旬~3月下旬まで国王謁見で居ない)


・次期当主:アラン(11月)39歳 エレーヌ39歳(7月)

(子供の入学と卒業、任官の時だけ1月末~4月末まで王都に行く)


・長男:グレンツお兄様18歳。騎士科(9月)  

・次男:ヒルスン兄様16歳。貴族科(10月)

・長女:モニカお姉様14歳。魔法科(6月)

・三男:アルベルト10歳

(アルは覚醒時の3月末の年齢:11月生まれで覚醒時10歳。この年に11歳)

・次女:アリア7歳。(12月)



・メイド長:ジャネット・オブライエン44歳  

・副メイド長:セリーナ23歳 メイベル22歳

 

・伯爵家メイド:クリエッタ21歳、ジュリエット20歳、キレーヌ19歳、シャレル19歳、コレット18歳、メル18歳、ブリジット17歳、※アリエラ17歳、アニー16歳、マーガレット16歳、ノーマ15歳、※アネット・ギシレン14歳、アンナ14歳、レノア34歳、13歳、13歳、12歳、12歳。


・3年のメイド修行:18歳、17歳 17歳


※アネット・ギシレン モニカと共に魔法科。

※アリエラ(現在20)リード男爵家にてセルス長男の守。


・家宰(執事長)シュミッツ・デリック46歳     

・従者頭(副執事長)モース32歳

・従者(執事)アンドロ26歳、ビクトリオ17歳、13歳


・料理長バルトン・モード52歳

・副料理長センス・キプラス45歳

・調理員コンティ42歳、レフトル30歳、ランディー27歳、ノックス24歳、ショーター21歳、ラウムス18歳


・庭師長ブライン48歳

・庭師ハンス30歳、コントス23歳    

・馬丁頭ルード31歳    

・馬丁ミラン26歳 ニルス23歳 13歳

   

(ジャネット夫)

・第一騎士団長ヒース・オブライエン49歳

長男:19歳 グレンツと共に騎士科(だった)

次男:マーフ16歳 ヒルスンと共に貴族科



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日程に余裕は有るが、連絡を受けてサント海商国のレストランに予約を入れてきた。

スマフ商会長の息子ランドさんに晴れたら9月の13日に敷地に入れて貰うようにお願いした。雨なら来ないのでお気遣い無くと大壺3つ渡してきた。


去年の吟遊詩人さんと会って演目を聞いてみたかったが居なかったので海神商会のバーツ会長の所へ行ってみた。


「あ!御子様!」

余りにも驚いてるので笑ってしまう。

「どうしました?(笑)」

「?」

「バーツ会長が凄く驚いてくれたので(笑)」


「そりゃそうです、相互通信機の使い方を教えたと思ったらワールス共和国とハムナイ国から通信した後、こちらに寄りもせずに帰ってしまうのですから。「あ!」とも驚きます(笑)」


「良かった、呼び出されなくて。使えてますか?」


「それはもう!お忙しい御子様を呼べる訳ありません」


「バーツ会長の方が忙しいのに(笑)」


「して、今日は?レプトはまだですぞ」

「~~なんです」


「2回目の方が多いなら、業師を呼びましょう」

「え?業師?」ジャグラーの総称で食事の席では曲芸では無く、手品やパントマイムして楽しませてくれるという。


「今度は、私にご馳走させて下さい」


「それはまた今度で!今回は私の親孝行では無く、お兄様が領地で叙爵されたお祝いも兼ねてお爺様が言いだしたサントの食事会なのです。私でもしゃしゃり出たら大変な事に(笑)」


「それでは、次回の約束ですぞ(笑)」


「それと・・・商国連合の関係は御子関係です。うちの家には関係ございませんので、その辺だけご注意ください」


「承知しました」


「止めて下さいよ、皇帝なのに!(笑)」

「それも内緒ですぞ。他で漏らさない様に(笑)」

「承知しました」

「(笑)」


飾ってある世界地図が全然違うなぁと思い、会長を見ると一番豪華な最新版の世界地図だった。

(地球の図法と全く違う図法でだ、魔法は進んでも測量と縮尺がいい加減)


どの大陸が抜けているか視ておいた。



・・・・



一週間程経ち、またお爺様から連絡が入った。

レンツ伯と会いたいと言う。


「お礼なら要りませんよ」

「ん?お礼とは何じゃ?」

「え?あ!まだですか(笑)」

「まだとは?」


3週間以上経ち色々と村の後片付けが済んで、お爺様の耳に入ったかと思った。


「山脈の猿人にキャンディルの村をやられ退治したんです」


「そのお礼か(笑)」え?当主に言うだろ。


「お爺様も何でお礼に食いつくんです(笑)」


「そう言うな。グレンツ(20、今年21)の元に婚約の打診が入った」


「えー!」


あ!僕が裏で動いたと思ったのね(笑)そんな事する・・・事もたまには有るけどしない。胸に聞いたら色々やってたわ。


「レンツ伯にも信用されたもんじゃ(笑)」

「それで?」


「うむ、グレンツも承知した。モニカ(17)の一つ上で魔法科で有名な才媛さいえんらしいぞ。お互い学院で知っておるそうじゃ」


そりゃ持ってるからな(笑)


「そんでお姫様は?連れて来るんです?」

「姫様は学院じゃ(笑)大事な盟友と婚約の話じゃ」


「へー!キャンディルの魔法使いは凄いですよ」

「それじゃ!卒業を前に申し込みが凄いそうじゃ(笑)」


「あはは、そうでしょうね(笑)」


「それでうちに打診するとはのう」

「お爺様も鼻が高い(笑)」

「からかうでない(笑)」


「レンツ伯のお誘いはどのように言えば?」


「今度の光曜日かその次の光曜日の午前中より昼食までで聞いてみてくれぬか?」


「かしこまりました」


すぐにレンツ伯の所へ跳んだ。机のチリリンを鳴らす。


「御子様!」扉を開けたのはメイド長のマリーさんだった。


「お爺様の使いで参りました」

「まぁまぁ、こちらへどうぞ」視たら喜んでる。


「御子様!この間は助けて頂き・・・」


「レンツ様。もうお言葉は頂きました(笑) お爺様が婚約のお話で今度の光曜日か次の光曜日9時にお昼を交えてお会いしたいとの事です、そのご予定を聞きに参りました」


「良い返事のようじゃの」

「大事な盟友と(笑)」


「よいよい(笑)」導師とおなじ口癖(笑)


「ダムトル、大丈夫かの?」

「それ以上大事な話はございません(笑)」


「クリストとアミアも連れて行く。マリー、予定を聞いてくれ」



・・・・



しばらくして両親も執務室の応接間に集まった。


「フラウ(18)の縁談なので直接参上しました」

「こちらがベントの弟子で御子様じゃ」


「ロスレーン家三男のアルベルト・ロスレーンと申します」


「クリスト・キャンディル(48)とアミア・キャンディル(47)と申します、先日は領の危機を救って頂き・・・」


「当然の事です!師の実家は守らねば!」

「ありがたいお言葉じゃ」


「それでも、当主や次期当主が出なかったは事実。領兵を失わずに済みました」


「数が大山脈の根城を含めて13000居たと思いますので魔法士でも魔力が心配ですからね、導師と二人なら大丈夫です」


「ベント叔父にそう言われました」


「話は来週日曜のそち達の予定じゃ。大丈夫じゃの?次の日曜日9時に御子様がロスレーン領に連れて行ってくれる」


「やはり・・・噂は本当なのですね」

「え?どんな噂です」と言いながら視た。


「ベント叔父と弟子が大魔法で奴隷を救った話です」


「それを何処で?(笑)」


うたってるの視ちゃった!


「吟遊詩人がうたっております」

「え!」と驚く振り。


吟遊野郎が!俺まで巻き込みやがって!


「それ間違いですよ、聖教国が・・・」

「御子様、噂レベルではまことになっておる」


「・・・」


「来週この二人に見られるじゃろ(笑)」

「あ!そうでした(笑)」


「御子様もベントと同じく賢者と呼ばれる日が来るの」


「えー!僕が弟子とは内密にお願いできません?」

「まぁ、そこまでは知られておらんの」


「僕、死にかけの廃嫡はいちゃくと貴族名鑑に載ってますのでそう言う事でお願いします!」


「死にかけとは載っておらんぞ(笑)」


「聞かれたら、死にかけが死んだのでは?ととぼけて頂けたらすごく嬉しいです」


「分った分かった(笑)」


「それではお爺様にお伝えしますね、来週光曜日8時45分にお迎えに参ります」


手を振りながら跳んだ。


「「・・・」」


「今、見せとるでは無いか(笑)」



・・・・



光曜日(日曜日)キャンディルに迎えに行った。


キャンディル領主のレンツ様とカメリア様(奥様)次期当主のクリスト様とアミア様。執事長ダムトルさんメイド長マリーさんの6人だ。皆貴族服にしわ一つない。気合が入っている。


うちは全員応接で待っていた。

入ってみると皆がバリバリの貴族服だ!ひえー!


グレンツお兄様は男前だった。気に入って貰えるだろう。


平服普段着は俺だけだった(笑)

お互いに伯爵同士の会合と気が付いた。


一行を応接に御案内して、サッと廊下に逃げて逃走した。レンツ様の前だ、お爺様も青筋立てて追って来ないだろ。


庭の屋敷へ行って掃除しながら進行を見守る。どうせお昼食べて行くからそれまで逃げ切る(笑)


貴族服でニコニコ談笑なんて俺の柄じゃない。


お兄様が学院の最終学年の武術大会でフラウさんが魔法部門で表彰台に乗ってたのをグレンツ兄様が皆に話してる。学院6年生と3年生でそんなに話はしていないけど学院生の役員会のような仕事ぶりも伝えている。そんでフラウさんを知ってんだな。


え?うちの家とキャンディルの家の嫁は学院時代にみんな表彰台乗ってると皆が話してる。

お婆様もお母様もカメリア様もアミア様も!



分かっちゃった。魔法科の成績の良い貴族の娘は卒業と同時位に結婚してるんだ。長子が貴族院から領地に帰ってすぐ婚約者と結婚てそういう事か。


実は、みんな上手い事知り合うなぁと感心してた。

俺的に祭りやフォークダンスで知り合うチャンスが多いと思ってた。


そりゃ貴族は結婚早い訳だ。家柄が良いほど20歳で結婚とかだわ。しかし、お兄様はダークホースだった。去年伯爵家になったばかりでツバ付いてなかった!


レンツ様GJ!

お互いに身内感覚だからな。盟友の関係は大きいな。


フラウさんは今年度、学院卒業予定の大金星だよ!誰も知らないだろうけど魔眼持ちだから貴族家的に最高のお嫁さんだ。


クリスト様とアミア様を視てフラウさん情報を教えてもらう。


婚約する三つ下のフラウさんは大人の女性で出来上がってる感じ。そっか!来年卒業の年になるといつ縁談が来てもおかしくないんだ。王家>公爵>侯爵>伯爵家と二重丸の付いた子女は早いのね。


フラウさんも早くから脅されてる(笑)

本人もそのつもりで磨くんだ。


国王派と中立派閥とかどうなんよ?と視たら大丈夫だった。昔から堅い商売(岩塩鉱・銅鉱)してるからロスレーン家だけは派閥関係無しみたい。国の中央部だから敵対派閥どころかよしみを結びたがってる。やっぱ娘には領地経営で苦労はさせたくないよなぁ。


レンツ様情報で※ヘルメラース伯爵家(西隣)もお兄様を狙ってた事が判明。貴族家の結婚事情が熾烈しれつ過ぎて怖い。


※古の豪族時代から岩塩鉱山を巡って何百年も敵対してた家。当時はロストミリス家の拠点がすぐ近くにあった。現在は王国になり普通の付き合いに戻っている。


これ、ヒルスン兄様も結婚早いな。


話しが弾んでるからもう大丈夫。

お父さんもお母さんもお兄様の受け答え見て安心してる。


あ!出した出した(笑)

俺の時にも出したんだよ婚約の約定書。


人の婚約は落ち着いて見られるなぁ。

良かった!魔力眼のお姉様が出来る。ロスレーン家は安泰だ!


あ!一緒にフラウさんへの手紙を頼まれてる。

ん?お兄様も手紙を書くみたいだ、それなら昼食後でいいな。



・・・・



昼食の席。


「アル、お主フラウ殿を連れて来れんか?」

「え!」

「先程、レンツ伯一行も一緒に同行する話になった」

「え?」

「10人追加じゃ」


「・・・あ!あぁ!海ですね、承知しました」

かと思った(笑)


「リズベット殿下もいきなり来年になって初対面で妹となるより前に知っておいた方が良いと思ってな」


ギャー!この席かよ! 分かるけど後で言ってくれ。


「え!」レンツ様が!

「・・・」

「御子様に婚約者が?」ホラ!気が付いた。


「こ奴が先月いきなり連れてきおったのです(笑)」


何言っとんじゃーい!お兄様の婚約に水を差すな!


「御子様の婚約者様はどこの息女様ですかな?」

「この話は止めましょう!お兄様の婚約の席です」

「レンツ様御一行は10名なのですね?」


慌てて話を逸らす。


「うむ、それで御子様に頼みがあるのだが」

「はい」

「後で渡す手紙を王都の別邸へ届けて欲しいのだ」

「わかりました」


「出来たら前日にキャンディルで合流したい」

「前日にフラウ様を連れて来るのですね」

「その様に含めてフラウに書くゆえお願いする」

「承知しました」


「当日は貴族の平服でお願いいします、帯剣は大丈夫です。お土産が欲しい場合はコルアーノ貨幣も使えます。ただサント海商国は貴族がおりませんので平民と貴族が同じ席で会食するのをご承知下さい。13日は・・・11時20分にお迎えに上がります」


ダムトルさんとシュミッツがすごい勢いで速記してる。


「うむ、承知した」

「アル、僕も手紙を書くからそれも一緒に頼む」

「はい!」


・・・・


立派な封筒に封蝋に紋章。レンツ様、クリスト様、グレンツお兄様の三通の手紙をキャンディル伯爵家、王都別邸に届けて帰ってきた。


「執事のクレバルさんに手渡しました」

「うむ、御子殿かたじけない」


「それではキャンディルへ送りますか?」

「そうじゃの、参ろうか。ラルフ卿よしなに。失礼する」

「レンツ卿、9月13日にお待ちしておりますぞ(笑)」


キャンディルに跳んだ。





次回 210話  糸を手繰る姫

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               思預しよ

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