第204話  ロクデナシ



夜。ギルド長に連れられたナレスの第三王女(13)とやら。


このクソチビ女。


ロクデナシに護衛断られたとか。

ロクデナシでも救世主様だからとか。

ロクデナシでもしょうがないとか。

ロクデナシの家に覚悟を決めて行くしかないとか。


ロスレーン伯爵家ので済みませんねぇ。


ナレス王国第三王女(13)だとよ(笑)


勿体無いわ。クソチビでいい。


アルは(4300文字にも及ぶ)はるかな邂逅かいこう(解説)から帰って来た。



・・・・



目の前のギルド長に了承りょうしょうを伝える。


大叔父おおおじ様の手紙は拝見しました。後は責任を持って対応しますのでギルド長はここで引いて頂けますか?」


他国の姫を紹介する大役を終えてギルド長はホッ!と帰って行った。


侍女達は苦労がやっと報われたと思った。


・災難でしたね。とねぎらわれ善後策を検討。

・婚約の方向で話がまとまりナレスで報告。

・婚約のお触れで幼女趣味を退しりぞける。

・1~2年で婚約解消。金で解決の出来レース。


ナレス王家の威光に平伏ひれふして廃嫡少年も大喜びで王女との偽装婚約のレールに乗ると思ってる。


視えてんだよ!俺をダシに使いやがって。

婚約解消されて俺の家族がどれだけ傷付くと思ってんだ!ナレスのクソ野郎共が雁首揃がんくびそろえやがって。視た事で怒りは侍女にも飛び火した。


ふざけんな。俺だって傷付くんだよ。


手紙をポンと机に放り投げ、そっくり返って言った。


#「それで?」足をこれ見よがしに組んでやる。

それは目下の者を見下す態度だった。


「・・・」


態度の豹変ひょうへんに驚く王女一行。


#「中央大陸語は話せますか?


「「な!」」


王女初め一同が驚愕きょうがくする。


「お待ちください!失礼のない様にお願いします」


#「あなた達も大変だねぇ?」侍女長を見て言う。

お付きの侍女も分かっている。俺しか頼めない事を。


#「大叔父様の手紙は拝見したと言った」

 「・・・」


見下した態度で押し黙る。

「   」

「   」


#「話が無いなら帰れ」

「   」



アルムさんとクルムさんが後ろでハラハラしてる。


動かないので席を立った。


「お待ちください!」


#「やっとしゃべりやがったな。ナレスの姫はとは口を利かねえと思ったよ」


威圧Lv2の全開100%でにらみつける。


「・・・」


王女は目を見開く。そんな威圧とぞんざいな言葉をぶつけられた事が無かった。三女は上の姉を見てうまく立ち回る頭脳派だ。初っ端からコレでは立ち回る隙が無かった。


「ナレスかなんか知らんがは去れ!」


席を立った。扉も締めずに出て行った。


椅子の後ろでアルムとクルムは烈火のごとく怒り狂う見た事の無いアルに神託が降りていると確信していた。



・・・・



ナレス王国第三王女の一行はハトが豆鉄砲食らった様な心もちで一言も発せず帰って来た。


ナレスの姫もへったくれも無い。ナレス王国自体を侮蔑ぶべつする物言いだった。仮にもナレス王国最上級の身分に投げつけられた言葉。


ナレスかなんか知らんが=ナレス王国がなんぼじゃ!


クソチビは去れ!=俺の前から消えんかいや!


何処に行っても下座には置かれず、絶えず上座で物申す一行にその言葉はぶつけられたのだ。侍女長が怒りに震えて手打ちにしても許される事例だった。


もっとも、剣で斬りかかった瞬間にナレスの命運は尽きたと思われる。怒り心頭のアルを力でつぶそうとした瞬間、ハイエルフの国と同様に終わった可能性がある。アルの怒りに剣で油を注がなかったのは侍女長(執事役、教育係)のMVP賞だった。



その晩。


第三王女は打ちのめされ尻に氷を当てていた。


先ほどのロクデナシの意味を侍女長兼護衛長のセオドラ(33)見た目(23)に問い詰められ。メチャクチャ怒られていた。


王と王妃の命を受け王女付きの侍女長は遥々はるばる異国のコルアーノまでやって来た。見つけ出した婚約者候補をあろうことか当人の王女が名前も覚えずロクデナシと決め付けていたからだ。



・・・・



とは?仮にも王家の姫に対する態度ではございませんでした。あれほど怒らせる理由があったのですか?」


女史のモノクルが光る。


「・・・」目を逸らす。

「あったのですね!」追いかける。

「・・・」後ろを向く。

「〇〇チビとまで言ったのですよ」回り込む。

「・・・」下を向く

「それはナレスなら石投げか打ち首の言葉ですよ」

「・・・」顔を歪ませ唇を噛む。

「何があったのですか!答えなさい!」


「あの失礼な奴の事はもういいわ。言わないで!」


「失礼な態度を取った訳を聞いているのです」

だからああなのよ!」


また光る。キラーン!効果音付きだ。


「そのロクデナシとはどなたですか?」

「ミウム辺境伯のロクデナシよ!」

「名前をお聞きしております」

「・・・」


「名前「知らないわよ!ロクデナシで充分よ!」」


セオドラ女史の殺気が王女の尻に飛んだ!王女は瞬時に膝に乗せられ尻を平手で叩かれた。


「パーン!」<「痛い!」


「仮にも婚約者に望む殿方をロクデナシと!」

「パーン!」<「痛い!」


「あなたの方がロクデナシです!」

「パーン!」<「痛い!」


「痛いって言ってるでしょ!子ども扱いしないで」

「パーン!」<「痛い!」


「殿方の名前も覚えずロクデナシと・・・」

「パーン!」<「・・・」泣きだした。


「ロクデナシは泣き真似が上手いですわね」

「パーン!」<「どうすればいいのよ!」


「ロクデナシには反省が必要ですわね」

「パーン!」<「痛い!」


「仮にも王女があの様な言葉を頂戴・・・」

「パーン!」<「痛い!」


「殿方を怒らせる自分を・・・」

「パーン!」<「痛い!」


「そもそもナレスの王女と言う自覚を・・・」

「パーン!」<「痛い!」



灼熱の尻は晩に冷やされたと言う。



・・・・



翌朝の6月30日。


クランに走って行くと追っ手がある。

クソチビがー!手先を寄こしやがって。

無視してスピードを上げた。


俺の顔を見てキャプターが驚く。


「アル様どうかしましたか?」

「え?」

「顔が怒ってますよ」

「本当?」と顔をこする。

「前列の生徒が泣きますよ(笑)」

「え!そこまで怖くないでしょ?(笑)」


「いや、女の子はそういうの敏感ですからね」

「まぁ、教えてくれてありがとう。気を付けるよ」



書き取りをしていてもムカついた。


あの態度で助けて貰おうなんて


頭を下げて頼む習慣が無いのだ。



教室が終わった後あんまりムカつくのでタッカートの家に行った。飯食ってるタッカートの爺ちゃんに模擬戦をお願いした。


待ってる間暇なので、パンは3回噛めば飲みこめるだの、戦場ではそんな余裕で飯は食えないだの、普段から常在戦場を心がけよと、60歳以上違う歴戦の傭兵に戦争行ってないアルが戦場訓を垂れる。


そんなアルを老夫婦は、「これは恐れ入った」「アル様の申す通りじゃ」「性根を入れ替えねば」と笑いながらいなす。


子供が早く模擬戦やりたいと見抜く。


玄関の階段にステラ婆ちゃんがブランケットを持って座り込む。アルはタッカートにムカつく怒りを叩き込むつもりだった。爺ちゃんなら受けられる。


「アル様、2位になられたそうで」

「あ!そうか。みんな知ってるの?」


途端に切り替わった。


「知ってるどころじゃ無いですな、上位種と変異種は見に行きましたぞ。お見事な剣でしたな」


められると嬉しい!


偶々たまたまです。模擬戦でバレそう(笑)」

「実力が無いとあれは倒せませんぞ(笑)」


と聞こえます(笑)」


「わっはっは、聞こえましたか。では参ります」



金級2位を知られたら無様な姿は見せられないので久々に全開の身体強化に眼も多重視点も並列思考も乗せて魔力の流れを注視する。攻撃からでは無く老剣士の技を丁寧に受けて立った。ムカつく怒りはスッと抜けていた。いつもの技を追うアルに戻っていた。


お互いに有効打はスッと斬るだけ。

上段の会心に対して下段の会心で斬り合う。


打ち合いの後にスッと近寄り、スッと剣が交差する。

交差した後にお互いに離れてニヤリとしてまた打ち合う。


老夫婦の家の前。鋭い模擬剣の打ち合いの音を聞いて、先ほど寮へ帰ったキャプターもレイニーや他の教官も出てきた。場所は全ての教官の家の前なのだ。


キャプター、レイニーが見切れない凄い斬り合いだった。どんどん見学の輪が広がり、座れ座れと皆が車座になった。


模擬戦なのに本気で斬り合ってると幻視するほど殺気が満ちていた。お互いの技量を見て本気になったのだ。



アルも舌を巻いた。誘う隙が魔力線まで連動している本物の隙になっている。引き寄せられる様に狙うと蟻地獄の様に型に嵌められる。打ち合う中で刹那せつな生まれるそのきらめく一瞬!そこしかない裂帛れっぱくの気合で飛び込むその刹那せつなの隙が誘いなのだ。瞬足の指輪+妖精の靴でとんでもない瞬発力で跳び込むアルの剣。それを柔らかく包み込んで防ぐタッカートの剣は間違いなく剣豪だった。


隙に打ち込む一瞬を柔らかく包み込む恐るべき技量。


打ち合う事、程なく・・・。


タッカート爺さんの息が上がってきた。


そこで出た。アルも感じた、引き寄せられる感覚。危機感知がそれを教えたのだ。感じた瞬間タッカートの足に飛び込み斬った。



「・・・」

「・・・」


「やりますな(笑)」

「まさかね(笑)」


「初見でのがれる者がおるとは・・・」

「私を弟子としてその剣を伝授ください」


模擬剣を左の腰に当て直立して頭を垂れるアル。


「その為に、儂はここに来たのじゃな(笑)」


まさしくその時、授ける者を探しているのが視えた。周りの者は何が起こったか分からなかった。二人の動きが早すぎて見えなかったのだ。


静かを割ってステラ婆ちゃんが拍手してくれた。



・・・・



アルはご機嫌でハウスに帰ってきた。


アルムさんとクルムさんが顔を見合わす。


「剣のお師匠が見つかっちゃった!」

「え?」

「2位のタッカート師匠だよ!」わーい!

「リード師匠は?」

「他の師匠だよ、リード師匠とは別の剣だよ」

「アルムも剣はつかうと思うけど違うの?」


「アルムさんのは楽しい剣だから違うの(笑)」

「私の剣は楽しいの?(笑)」


「アルムさんだけが楽しい剣(笑) 僕に負けなかったら楽しい剣。手加減しても絶対負けてやらない剣、僕に勝ってと自慢する剣、僕をぶっ飛ばすためだけの剣、教える気がまったく無い剣・・・」


「アル君やめてー!」アルムさんは逃げて行った。


「アルムらしい、最も似合う剣じゃ!(笑)」

「だよね?(笑) !」



「明日から教室終わったらタッカート師匠に稽古付けてもらう。朝だけ1時間予約したの、もう明日が楽しみ!」


「あの老冒険者そこまでだったの?凄いわね」

「マジ凄かった!」

「マジ?」

「真面目に凄かったの」

「・・・」

「うんとね、と違うの」

「(笑)」



・・・・



その晩。


二晩連続で第三王女は打ちのめされていた。


本当に自分がロクデナシだと気が付いた。


一日掛けて侍女が集めたロクデナシの情報が凄かった。


・代官どころか執政官の皆が知っていた。ミウムの姫様の孫、アル様の事を知っていた。ギルド長にも確かめた。


・ミウム伯が与えた演習場を蘇らせ・・・


・ロスレーンの盗賊は居なくなり・・・


・死病からよみがえり聖教国に帰依きえし、神聖魔法を使う聖騎士。


・暇を見つけて神の教えを布教する。


・ギルドで獣人差別者と大乱闘。その後ヒールで治す。


・貴族でありながら、底辺の冒険者を鍛えて家族と言った。


・魔鉄級5位からいきなり金級2位に上がる実力。


・追った者が見た剣の実力は侍女たち護衛が敵うモノでは無い。お爺さんと話す姿はとても可愛いお子様だった。


・見た目はとても可愛い10歳で怒ると王族級。


ミウム辺境伯が指折って話した事は本当だった。



とんでもない金星がメルデスに眠っていた。


報告を聞くたびに顎が外れる程のショックを受けた。


しかもと思っている心を読まれてしまった。


こんなバカは変態の婚約者がお似合いだと思った。ベットで泣いた。バカな自分に泣いた。



女史が一晩中懇々こんこんと言い聞かせた。


姿は幼くても今年14歳の女の子は素直に聞いた。



・・・・



また翌朝の7月1日。


アルが教室で生徒に字を教えているとクソ女(13)が入ってきた。


平民の平服だ。(普段着)


視たら頭の中が180度変わっていた。

全開ターンも真っ青の進化。新時代のモンキーターン程も頭の中が変わっていたのだ。


服がたまたま黄色だったので5号艇を操るモンキーターンのクソ女(13)が視えて噴いた!


「プーッ!」


5号艇の船首にある黄色の三角旗がロクデナシからに変わっていた。そんな旗付けてモンキーターンで走って来たら笑えてしょうがない。


余りに驚いて周りを見渡したら侍女の人がうなずいた。視て分かった。反省したのね。そりゃ良い事で。


身なりがしっかりしてるので生徒も戸惑うが俺が何も言わないので新しい先生と思っている。勝手に生徒に教えているが無視して書き取りする事にした。



特段に話もしない、時間を取ったりもしない。



「タッカート師匠。今日もお願いします!」


「お!アル様から師匠と呼ばれるなら張り切らねば」


コソコソ話しかけられる。


見定みさだめられておりますな?」

「はい、済みません」

「昨日と一緒で。他流でも参考になりますでの」

「はい」


ステラ婆ちゃんが見守るタッカート師匠の模擬戦。


護衛達4人とクソチビ13が見守る中、模擬戦を始める。


アルの癖が全開になっていた、入り込んで師匠の剣を盗んでいく。


タッカートも驚く、昨日の技が通じなくなっている。

同じ剣筋の軌道は通用しなくなるのだ。アルの凄さを傭兵時代の誰に似ているのかと見ていた昨日。


今日は誰でも無いことを発見した。


「アル様、これは年寄りにはキツイ!」

一時間も戦うと模擬剣を止めて言った。


「勉強になりました。ありがとうございました」

「こちらこそ勉強になりました(笑)」

「またまたー(笑) 明日もお願いします」

「アル様に吸われて干からびてしまいますぞ(笑)」


振り返って言った。


「そこの侍女の人やりたそうだったね。おいで」

「え?」

「体よじってたよ(笑) ねぇ?」他の侍女が笑う。

「そんな・・・」


「いいよ、興味あったんでしょ?」

「こっちおいで」武道場に歩く。



「この模擬剣使えばいいよ」

渡したらその気になった。俺もナレスの剣技が見たい。


剣速を落して指導しながら受けてやる。

眼が有る以上、初見でも大丈夫だ。

最後に3回スッと斬って終える。


「あなたもやりたいでしょ?」


侍女長に模擬剣の柄を向けて言ってやるとクソチビがうなずく。強かった、側仕えだけあったがリードには及ぶべくもない。


すでにアルの眼はリードの剣筋さえも見抜くのだ。

(見抜くだけで異次元の速さに対応は無理)


普通の金級2位ぐらいの実力はあった。護衛4人でなら充分の戦力だった。存分ぞんぶんに打ち合えたので3回斬って終えた。



ハウスに帰る。


玄関前で蚊の鳴くような声が聞こえる。


「アルベルト様」

「は?」

「私たちも入れて頂けないでしょうか」


「お前、喋れるんだな?入りたきゃ入れ」

「はい」


「朝は食ったのか?」

「はい」

「みんなだよ、食ったのか」


護衛視たら食って無かった。姫が心配で喉を通らないってアホか・・・笑うわ。


「クルムさん、皆にパンケーキセットお願い」

そんなニコニコして動くな!安く見えるぞ。


パンケーキセットにバニー焼き付けた奴出て来い!(笑)


皆が天国に行っていた。

皆が一人一人の女の子になっていた。

初めて食べたらそうなるわな。



・・・・



「アルベルト様」

#「なんだ?」

俺の刺々とげとげしさに皆が引く。


「折り入ってお願いがございます」

#「なんだ、申して見よ!」


何言ってんだ俺!どっちが王族か分かんねぇ。ちとまて!怒っちゃった勢いで自分がコントロール出来てない気がする。


「私と婚約して頂けませんか?」

#「・・・」王女をめ付ける。


目をそらさず俺を瞳に入れている。俺もクソチビの瞳の色に集中して視線を動かさない。お互いに引かぬ見つめ合い。揺らがぬ決意が視えた。ふざけていない。後先の事も無くこの一瞬に賭けている。


まぁ、真剣なら聞いてやるか。


「結婚の約束だぞ。分かってるのか?」

重く静かに問う。


「分かっているつもりです」


「つもり?分かってんだな?」

斬るにらみで見据える。


「はい」


「二言は無いな?」

「はい」


「そこの侍女に湯浴み着借りて体流してもらおうか」


「「え!」」


その場の全員が驚愕する。


「なりません!姫。なりません!」


「そんじゃ帰れ」静かに明瞭に言った。その場の皆の動きが一斉に止まる。


「お待ちください!着替えて参ります」

「支度が出来たら呼んでくれ」


クルムさんが風呂に案内する。


侍女兼護衛も大慌てだ(笑) いい気味だ。



王女に背中流してもらえば、ロクデナシの気も収まるわ。どれ程傷ついたと思ってんだ。ふざけんなよバカ野郎。王女だ何だとノボせ上がったクソチビに三助はお似合いだ。反省しろ。



「アル君!王女様だよ」

「僕は御子様だよ」

「それはダメだよ」

「ダメじゃ無いよ。シズクに聞いてみ」


シズクは頷く。


「そういうこと、僕はあのクソチビにバカにされていたからね」


「え?」


「そういう事だよ、あの連中は皆分かってる」

「いいのね?」


「いいよ。やらなきゃ助けない。反省するなら助けてやる」


入ってきたクルムさんが目で怒る。


「クルムさん、怒ったって無駄だよ。僕の名前を廃嫡はいちゃくされたロクデナシって覚えるクソチビ女だからね」


「言うに事欠いて・・・それは本当か?」


「クルムさんにまで怒られたらかなわないよ(笑)」


「アルをロクデナシとはよう言った。やったれ!」


「お風呂の用意が整いました」侍女が呼びに来る。



何、顔引きらせてるんだ。人に生まれて来たら器に貴賤きせんは無ぇんだよ!肩書に踊っていつくばってろ。そんな生まれた場所だけで囚われやがって。お父様が金で解決とソロバン弾くバカだ、磨かなきゃ王族だろうがそんなアホなんだよ。笑うわ。



上等だ、雫と風呂入るのと変わんねぇよ(笑)





次回 204話  湯浴み着の王女

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