第176話  揺れる三本の糸



1月5日10時半。


メルデスのハウスに帰ると皆が応接でデローンとした。


1月3日の朝にサントに行ってラムール会長の家とバーツ会長の家にお泊りして世界一周二泊三日のお泊り旅行だったのだ。新年に他国へ遊びに行ったつもりでアレじゃ仕方ないとも思う。


アルは21時に寝て5時起きの子供サイクルで過ごしているのでピンピンしてる(笑)


勇気を出して言ってみる。


「明日リンダウって国に行くんだけど、シズク付き合ってくんない?」


「わかりました」

「なんでアルムとクルム姉には言わないのよ」

「デローンと疲れてるみたいだから」


「行くわよ!アル君の仕事が凄過ぎて疲れてるだけよ」


「・・・」疲れてるんじゃん(笑)



クランの演習場へ誘うのは諦めて一人で出かける事にする。外へ出てハウスのドアを閉めながら呟いた。


お休みを宣言すると忙しい件。



奪ったお洒落なカフェを何処に置こうかと演習場に行った。オープンテラスでは無いがガラス張りで店内に開放感のある大きなカウンターまであるお店だ。雰囲気は木製で出来たUSJのスタジオ・スターズ・レストラン。中の配席は全然違うけど雰囲気だけはこっちの世界の最先端!そんな感じ。コメダ珈琲二軒引っ付いたよりデカい建物だ。


ウキウキと歩きながら色々物思いに耽る。


オシャレなカフェで食堂って訳に行かないよな?やっぱパンケーキとメイプルシロップとヨーグルトドリンクか紅茶だよな。貴族用の白パンに紅茶とメイプルシロップでも良いなぁ・・・バニー焼きは手間が掛かるかなぁ、単価高いと本末転倒だしなぁ。


とにかく店が広いからセットメニューのセルフ形式が無難だな、注文聞いてとかじゃ人件費が掛かり過ぎる。カウンターバイキング形式なら算術スキル無いと対応できないしな。


と言う話になる。

でも美味しいスイーツならみんな喜ぶよなぁ。


雇うにしても孤児の12歳じゃ色々と心配もある。


シヨンお姉ちゃんみたいな感じなら孤児も預けられるな。商家の娘、生活魔法 私塾で検索。メルデスも魔法塾が有るなぁ。イヤイヤイヤ!ダメだ目の前の事クランの事も出来て無いのに・・・うーん。


でも、この店勿体無いよなぁ、折角相応しいメニューもあるのに。食べさせてやりたいなぁ。


迷いながらも取り合えず店長候補のお姉ちゃんを見に行った。良い感じの子がいるよ!やっぱ10歳で覚えに来て普通の子だと六、七年は掛かるな。でも齢が低すぎるより良いか。


クリーンとアラームはみんな苦労してるんだなぁ。先に恩寵付けて、後から魔法を・・・ダメ。画一で伸びない。ボードあるから説明つかない。スクロール買って・・・ダメだ。同じだっちゅうの!


結局皆が自力で取ってるからな、それしかないな。18歳の子がいいな、今にもめげそうなのが良い(笑) まぁ冗談抜きで頑張る様に声は掛けよう。


メニュー決まった店ならギルドのカウンタータイプで対応できるしな。食べ終わったトレイと食器も返却カウンターで洗うなら孤児でも出来る。


調理主任はさておき、お洒落な店のイメージ的に店長は商家の娘だよなぁ。声を掛けるより先に店の形だけは作らないとな。色々考えながら演習場にウキウキと帰って設置の準備する。


演習場の壁を一部崩して通りに面して店舗を置いて眺める。寄宿舎も付けた方が良いな。如何に白夜城でも夜遅いと従業員が危ないし。


演習場の部屋が多めの3Fの家を横に置く。崩した壁を綺麗に直して家の方にクリーンを掛けておく。


二年近く放置してた家は結構粉が出る。

窓もドアも開け放してクリーン掛けると目に見えて壁から粉が吹き出た。風の精霊さんに粉を連れて行ってもらう。お陰で壁の日焼け以外は綺麗になった。


やってたら昼過ぎてたので私塾に行ってみる。

お姉ちゃんは仲のよい二人の塾生と近くの食堂に居た。


店に入って。と声を掛ける。


「何かな?ぼく」


「お姉ちゃんて生活魔法覚えてるんだよね?」

「そうよ、ここの2人も覚えてるわよ」

視ると3人の残す魔法はアラームだけだ。


「生活魔法覚えたらどうするの?」

「宿屋さんのメイドか大店おおだなの使用人かなぁ」


「やっぱりそうなんだ」


「なれたらね、なれなくても魔法使いはどこでも雇ってもらえるからね」


メイドは年齢制限が厳しい。結婚したら辞めるからだ。ロスレーン家に去年入った執事セスとメイドのニールとリップが12歳で生活魔法を持って入って来ている。


12歳で入り、25から30歳で嫁に行くと白金貨1枚弱(2000万円)と嫁入りの輿道具(この世は道具が高い)が貴族から下賜かしされる。親の威など借りず12歳から自力で稼ぐのだ。将来狙うは騎士団の新鋭(準男爵)である。


執事は男なので棒給を貰って嫁も取るが辞めない。40歳程まで勤めたら地位も上がり武官、文官との差配が増え、自然と同格の準男爵が付いて棒給が多くなる。


次にリリーさんのように貴族相手の宿屋のメイドがあるが、やはり年齢での競争は厳しい。


脱線した。


「覚えたら僕のお店で働いてくれない?」

「え?」


「あっちにあるんだけど、見てくれない?」

三人が顔を見合わせる。


上目遣いで甘えてみる。

「生活魔法覚えたらお店に来て欲しいの」


「見に行って見ようか?」

「お姉ちゃんたち来て来て!」



店を見て絶句する三人。



建築様式が全く違う(笑)

戦後の駄菓子屋の横にスタバかコンビニぐらい違う。


世界の覇権を握る国の軍施設だから金が掛かって豪華だ。


焼きレンガを海砂を混ぜたセメント(モルタル)で積み、漆喰で塗り固めた真っ白の建物なのだ。コルアーノでは焼きレンガの接着は粘土が主で領主の館のレンガの接着にセメントを使うぐらいだ。この店は外観まで漆喰(消石灰:サンゴ由来の真っ白な壁)で作ってる。アルは負けた様で悔しいが良い物は良いのだ。


海のある国だから石灰岩の大地とかそういうので紀元前のローマみたいにコンクリート文化が進んだんだろうな。紀元前3000年にはエジプトや中国でモルタルは使われている。


「生活魔法覚えたら、ここでパンケーキのお店をして欲しいの。お姉ちゃんが店主で三人で働いてもいいよ」


「ここ、本当にぼくのおみせなの?」

「うん。これなの」


伯爵家の指輪を見せる。


久々にウメズ顔のギャー!を見た気がする。

いつ見たのか忘れちゃったよ。


「生活魔法覚えて来てくれたら、こっちの家も住んで良いからね。店員さんも一緒に住まわせて欲しいの」


隣は神聖国の首都に有ったお洒落なレンガの家だ。


「うち伯爵家だから制服はメイドの服を用意して紋章腕輪も出すんだけど・・・」


※紋章腕輪:魔法媒体の触媒。魔力を少なく発動出来る。


言葉が終わらないうちに三人がアウアウ頷いてくれた。貴族のメイドは平民女性が憧れる花形職業だ。


「それなら、こっち来てくれる?」

クランの門を入ってクランハウスを見せた。


「ここに事務のお姉ちゃんが居る筈だから生活魔法を覚えたら来てね」



魔法の才の無い一般人の魔法取得は六つの生活魔法で簡単に六年と言われる。その中でも難しいのがクリーンとアラームだ。


出来ないからこそ頑張っている姿がアルには視えている。そうなりたい姿を追っているのが分かる。


18、17、17歳で私塾では一番生活魔法に近い三人。

成人を迎える12歳の孤児を使うには最高の年齢だと思う。


私塾の休憩時間を利用した就職説明会は終わった。

三人はミウムとメルデスの商家出身だから実家に近くて良い。


遅いお昼をハウスで用意してもらった。食堂で待ちながら視線が台所の壁の一点に向かってしまう。撃墜マークが増えてる。鼻歌出るならもういいや。


炒り卵にパンとサラダとヨーグルトドリンクだ。クルムさんは良く動く。応接で転がるのはスライムだ。


もうすぐ14時か・・・。


明日、一日で終わらせたい。と考えたらリンダウは植民地取られちゃって無いそうだし、今からリンダウ行けば晩までに終わりそうだと気が付いた。


食事を取ってお皿をクリーンして棚に戻す時には決めていた。そのまま応接に駆け込んで言った。


「シズク、今から行きたいんだけどいい?」

「はい、行きましょう」にっこり言うが読んでたな。


「アルムも行く!」


クルムさんは応接で縫い物始めてた。


「クルムさんはそのままでいいよ」


止まった手が動き出す。


そのまま3人で跳んだ。

ラムール会長から話が出た時、軍港を視ている。


リンダウの軍港へ跳び、近くの山から見下ろしながらポコポコ奪って行く。交易用の中型船の建造で三年。大型船は五、六年掛けて作ると言うから堪ったもんじゃねぇな、と思いながら武装解除して帆船にして行く。


魔動回路が少し違ったが良く見ると模倣して改良されている。


この国は地形的にも軍事的にも頭をハーヴェスに抑えられてあんま暴れて無いけど軍事と科学と魔法の潜在力はすごい。周辺国には恫喝外交どうかつがいこうだ。まぁ、黒船だってそうだしな。当たり前だな。


武器倉庫とか置くとこ無いんだけどなぁ、ラムール商会の敷地無かったら倉庫とかパンクだったし。と思いながらも山から一瞬倉庫に跳び、奪うと山に帰る。ハーヴェスの旗は忘れない。


取る物取ったら次に行く。


山に帰って横に二人が居ないと思ったら、30m程下でオーク吊って血抜きしてる。もう!こいつら。 近くに居たからって・・・視たら今日のお肉しか考えて無かった。


仕方ないなぁ。


!」と一人で跳ぶ。


二つ目の軍港でまた武装解除。ホイ!ホイ!ホイ!と基地の防御用大砲も無くしていく。大砲と魔動回路、砲弾と武器を取ってたら、港の基地に併設して軍施設の魔法学校がある事を知った。物騒な!聖教国の反対の国だ、後でミランダとハーヴェスも学校寄って見て行こう。


軍港は三つだった。

そんなに大規模な港は簡単に作れないみたいだ。

軍船に大砲積んだりして船の喫水があるから浚渫しゅんせつするのも土魔法使いが大挙して水深深い港を作るみたいだ。


三国の軍港は水深浅くすると決定して埋めた。


魔法学校から軍用魔法の本をゴッソリもらった。先生を視たけどやっぱ魔力が足りない物は研究自体進まないので大魔法は少なかったが兵器の長所を伸ばす魔法の研究は凄く進んでいた。三番目終わって水深を浅く埋めておいた。



二番目の軍港の水深を埋めて、一番目の山に帰るとオークも解体終わってた。最後だから水深埋めた上に海底に密度を上げて石化した岩礁を作ってサービスだ(笑)


リンダウ王国海軍オワタ。


石化の岩礁いいな!


そのまま山に昨日貰った快速艇を出す。魔動回路のノズルが地面に直接当たって折れる!と思ってすぐ引っ込めた(笑)


昨日シズクが作った船台を作ってから乗せた。ふぅ、船は出す時注意だな。船に乗り込んで空からリンダウ見てみよう。と飛び立った。


リンダウ軍船検索して襲うだけで楽。見つけた軍船から大砲、魔動回路、魔石、武具を奪う。恫喝外交をしても未開国を蹂躙じゅうりんして無いので兵士の恩寵やメインマストの帆は奪わないでおく。


植民地持って無いから軍船も使節団を送って行ったり圧力外交で軍備を見せ付ける艦隊運用だから優しく盗んでおいた。


植民地無いから、優しく盗まれて良かったねぇ。


高速艇を仕舞って、そのままミランダに跳ぶ。


軍の街がとんでも無い事になっていた、軍港の近くに野次馬が集っている(笑)


一日にして世界に誇るミランダ最新最強の艦隊がになっちゃった、軍港設備が歯抜けに更地になった。視ると街じゅう噂が飛び交ってる。


軍港の水深を埋め石化岩礁を作った後、お金が無いので換金用の宝石を両替に出した。お茶の店に入ると色んな噂が立っていた。

「ヘー!」「ヘー!」と三人でお茶を飲みながら街の慌ただしい噂を聞いた。


子供が目を輝かせて言う。


「僕、聞いたよ!予言があったんだって!豊かなうちの国を恨んで植民地の呪術師が災いを撒くと言いながら死んだと聞いた!」


皆がそういう眉つばが好きなので笑いながら聞いてくれる。文話ぶんわの大衆が食いつくゴシップ記事を見て俺は経験を積んでいる。


ミランダの軍港も公平に水深を浅くした。シズクがいるので石化岩礁もサービスだ。海底にシャレで作った一つの三角錐が石化してトゲトゲとなる(笑) 俺のワクワク感を読んでシズクも笑う。


軍に魔術士の養成学校が有ったので、魔法書をゴッソリ行った。やっぱ独自に魔法と科学が融合してるわ。他の国より技術が上なだけある。


ハーヴェスに跳ぶ。


ハーヴェスの街中。カフェ風のおしゃれな店でやはり噂を集めた後に噂を流す。戦国ゲームの悪評流布の計略してるみたい。知力が高いから成功率は高い筈だ!政治力無いからダメか?(笑)


ハーヴェスのカフェのメニューと材料を視ておく事も忘れない。その原料の調達と作り方も視ておいた。

チュロスじゃないけどツイストドーナツの細い奴が美味かった。


軍港のある活気のある街だ、カフェの店主とカウンターの客も港の噂を『どうなっちまったんだ?』と不思議がりながら話してる。


「カールに聞いたが、一夜で更地になったってよ」

「そんな訳あるかよ(笑)」

「消えた倉庫の前の当番が気付かなかったってよ」

「カールに担がれてんだよ!(笑)」

「あいつも事情聴取で調べられてる」


近くの席で子供が目を輝かせて聞いていた。


ハーヴェスの軍港も贔屓ひいきせず公平に埋めておいた。港の外もやったら遠浅の海になっちゃったよ。


ここは軍事の魔法大国でもあった、魔力回路もここで開発されてる。


魔法学校の大砲技術で検索すると大砲もただの鋳物じゃ無かった。物理的な素材の鉄(柔らかい)、鋼(靭性じんせい高い)、鋳物(固い、割れやすい)その性質を解った上で、銅、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデン、ミスリルなどの金属を混ぜて初期の合金技術まで進んで耐久性を担保している。それは粗製の大砲じゃなかった。


魔法がある分、いびつに科学が進化したのか砲金ほうきん(青銅大砲)に進んでないのと、鉄砲作れる技術があるのに、魔法使いの代用にもならないと考えられていて進化してないのが笑える。


不思議に思うかもしれないが、そもそもの発端が恩寵Lv4の魔法士や弓術士のレンジに入らずに船ごと兵士をほうむる為に進化してるのだ。射程2000mから安全に近接戦闘特化の海軍兵を沈められる。


この世で魔法を持たない者が武器(銃)を持って同じレンジで魔法士や弓術士とやり合うなど愚の骨頂と考えられている。進化したらマシンガンになって魔法士を蹴散らす武器が、種子島の状態で(対魔法士に余りにも)無力と考えられ止まったんだろうと思う。


まぁ、弾と火薬詰めて待てば危機感知でバレそうだ。火縄の点火できない雨でも火魔法は降って来る(笑)



魔法技術はコルアーノとそんなに変わらないが、素材に魔法技術を注ぎ大砲製造技術に転用してる。


魔動回路のノズルジェットを構成するタケノコの皮状プレート一枚一枚と根元のリングは-80℃と+300℃の焼きめ技術を使って太いリングにプレートが植えられてる。内筒、中筒、外筒でリングが重なってノズルになってる。


当然、魔力回路(ノズルジェット)もこの国ハーヴェスで発明された。大砲の大口径化も魔法運用と魔術紋の発達と共に進んで炸裂砲弾さくれつほうだん、(榴弾りゅうだん)まで進化させてる。


これ、戦争の大量殺人兵器の始まりだよな。

まずいなぁ。まぁ三国志でも何万の兵が死んだって言うけどあれは剣や槍使った肉体言語だしなぁ・・・。


進んだ国だけ使う、炸裂する魔術砲弾ってどうよ?


一応榴弾関係は工場ごと奪って更地にして装備艦隊も取ったけど、進んじゃった科学はどうしようもないよな。現に視たら魔法学校の基礎理論で解説されてる程の情報だ。


この世の人が良かれと思って、守るために作っても結局、国は弱い者を叩きに行ってるしなぁ・・・


そのうち魔術紋の付いた時限信管に移行して当たらなくても敵船の直上で炸裂させて来るだろう。そんな高射砲そのままが出来たらアルの飛空艇もただでは済まない。だから奪った、隠した、工場ごと無くした、進化させてはダメ。



取り合えず研究資料で色々本をゴッソリ行った。判断は研究してる教義部の二人に任せる。



本棚も欲しいなぁ。



日が落ちても夕飯まで時間が有ったので市場を回ってみた。


赤道挟んでるので季節はコルアーノと反対だ。市場の店先に街灯があった。街灯と言っても魔法ランプだ、貴族の部屋を照らす物が市民レベルで実用されている。視たら魔法使いが灯して回るサービス業があるみたいだ。さすが先進国。


この国は建築文化や食文化の中心なので、市場で色々と視てきた。コルアーノで見た実の小さいトウモロコシと、丸々太ったトウモロコシを比べ、夏に塩ゆでしたいなぁ。と思っていたらシズクが言う。


「私が育てますよ」

「え?」そういえば世界樹の大精霊だ。

それ以前に育てる事を考えて無い俺。


「実を買えばいいの?」

「これでいいですよ」

「わーい!」俺はとうもろこしが好きだ。



ソラマメぽい物も肥えている。色々と肥えた実の野菜を買った。

こっちの野菜は肉が厚くて立派なのよ。


針の様な麦?と思ったら米もある。

大麦も小麦とも余りに違うので気が付いた。

視ると熱帯性陸稲りくとうと出る。検索すると・・・普通に生えてるイネ科の草が原種で種がポロポロ落ちて自生していくみたいだな。


麦と一緒で畑で出来るなら種籾で買って行くかなぁ。

演習地で出来たらいいな。

って今コルアーノは真冬だ、春から夏に掛けてだな(笑)


陸稲ってもち米ぽい説明だがなんでもいいや。日本の有名な野菜は全部外国から来てんだな、余計な物まで見えて輸入してみる気満々になった。レタス、キャベツ、ナス、トマト、キュウリ、ブロッコリー、大根、トマト・・・


てか、早々来ないんだから肥えてる野菜は全部買って行け。


三大穀物がトウモロコシ、麦、米なら大麦も小麦も買っておけ。芋とか小豆とか大豆とかも植えればいいや。少しずつ植えて種を広めよう。シズクが居る上に俺の成長促進もある。植えて一気にやってもいいしな。


間違いなくコルアーノより肥えてるし多分品種改良も進んでると思う。


色々と見ていたら棚に瓶詰めがある!欲しい!

ってことは・・・ジャムとか保存食でありそう。

コルアーノに普通に有るんだ、こっちのが進んでるだろ。


赤いのなんだ?と視ると桑の実の赤い奴!

葡萄色も桑の実だ。マルベリーのジャム。


イチゴ無いよなぁ・・・検索したら有る!


木苺だって。ラズベリー!これカフェのジャムにしよう。イチゴヨーグルトドリンクが開発された。


買う気満々が見えるのか色々スプーンで舐めさせてくれた。やっぱ先進国だ、甘さが違う。砂糖沢山使ってるわ。俺、この国の植民地政策潰して良かったんだよな?


イヤ、それは公私混同だ。今は個人でこの国を楽しもう。この国に恨みも何も無いが、皆が均等に幸せに生きるためだ。人が市場で売られてる国だってあるんだよ。ジャムに惑わされるな。


次いつ来るか分かんないから大人買いしておいた。

アルムさんがハッキリした色使いの布を買っていた。

その原色に惹かれちゃうの絶対に種族特性だよ。



20時まで粘って白い物がチラつくメルデスに帰った。



アルムさんが寒い寒いと言いながら家に入ると、台所ではクルムさんが鍋のスープにオーク肉を一口大に切って入れていた。


台所の棚に綺麗なジャムの瓶が並んだ。


食事の後、応接で演習場のお店の事を話した。

お洒落なお店を持って来た事は皆が知らない。俺が飛空艇から地上の弾薬庫に降りた時に見つけインベントリに入れたからだ。



応接のふかふかの敷物が心地よい。

眼の端に動く物があった。暖炉を見ると暖房紋の前に火かき棒が差してある。その持ち手にカラフルな糸が3本揺れている・・・扇風機みたいな事するエルフに感心した。


クルムさんは縫い物をしている。


スープが静かに煮えている。


積もらない雪が舞っている。





次回 177話  クラン雷鳴

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