第175話 落日の日
1月3日16時半。
魔動船は中型船の停泊する港に用意されていた。50人分の豪華弁当を持ってモータークルーザー型の魔動船に乗る。
用意された船は45人乗りと言ったが、何も積んでない状態なら60人ぐらい乗れるだろ。
海商国の十傑は来る気満々、5人まで連絡員を許した。見届けない事には、確信持って動けないだろうから皆さんの気持ちは良く分かる。
昼食しながら練った俺の策はこんな感じ。
・海商国ゆかりの大きな港に連絡員を降ろして植民地に向けた交易商船の手配を行う。
・降りた連絡員は自分の商会優先で良いが、他の国の商人にもミランダ、ハーヴェスの海上戦力喪失の情報を流す事。
・全ての連絡員が降りたら補給地の封鎖勢力を武装解除。解除と共に海商国の魔動帆船が補給港を一斉に出て目的地に向かう。ミランダとハーヴェスに跳び両国の海上戦力を奪う。植民地勢力も無力化するので適正な交易を行い民を安堵する。
魔動帆船に45人分の弁当あった!お茶の用意まで積んであったよ、さすが商人だよ、頭が下がるよ。コルアーノにも一人来てくれよ。
魔石も一杯積んであったよ。俺の準備の上を行くとは半端じゃねぇ。(準備のカテゴリが違っている)
そんなに魔石要らないかも?飛ぶんだもん。
「この船は頂いてもよろしいですか?」
「構いません」
「空飛ぶ船にしちゃいますよ?」
「はい、御存分に」
「シズク。船を強く出来る?一体構造にしちゃおう」
「やってみます」
みるみる船がミシミシ言っている。俺は重力紋を刻む。
「強くなったと思います」
「シズクありがとう」
60人の武装集団が船室も甲板も埋め尽くす。45人乗りと言ったら45人なのが良く分かる、明らかに定員オーバーだ!(笑)
「ゆっくり行きますよ~」
船ごと跳んだ、海商国にほど近い港。
「連絡員の方は弁当持って降りて下さいね、次の港行きますよ」
七つの港を指定されて補給地の連絡員以外はすべて降りた。俺は弁当の心配ばかりして弁当屋か!と心で突っ込んだ。
サント海商国の勢力圏はこの星の経度で100度程ある。赤道圏を中心とした南北緯度30度程の範囲の国々だった。日本の位置をサント海商国とするとインドからハワイ位の経度で交易をする。
二国間だけではなく、三国間、四国間の多重交易だ。空荷では走らない。近くの特産を積んでそれを他の国へ持って行く。
「日ももうすぐ暮れますので海上封鎖の補給地から参ります。無力化しますから見ててくださいね」
封鎖された補給地に跳び、最後の連絡員を弁当持たせて降ろす。合図のライトの光が空に流れたら出航の合図だ。
「さぁ!海上封鎖を解きましょう」
船はぐんぐん浮き上がる。30mの船の大きさに対して重力紋が小さい感じ?頑張って魔力込めないと急上昇できない(笑) 逆に魔力を抜くと徐々に高度が落ちて良い感じ。
物理障壁を張り風を防ぎ1000mまで上がって、上の方は風が凄くて障壁巻いて風が来る。歯をカチカチさせながら海上地形を視まくる。耳もツーンとして変だ。
花形航路のドル箱の補給地だった。これは紛争になるわ(笑)
実際に海戦になったとレプトさんが言うだけある。
海の360度何もない中でデカイ島がポツンとある。
補給地だろうけど中継地点じゃん、無いと困るわ。大陸と大陸のほぼ中間(笑)
こんな要所を封鎖して迷惑かけて色んな国から何思われるか考え無いのかな?強さは正義の世界だけど
風は防ぐが、皆が船の中心でブルブル震えている。寒さと高さのダブルパンチだ。真冬の1000mだぞ。大体どんな感じなのか地形は把握したので速攻で高度を落す、これはマジでダメだ!寒さで
300mの高さまで高度を落して港の前に居座る軍船の上まで行く。でも寒くて死ぬ。海の上って風少しでこんなに寒い、来るんじゃ無かった。飛ぶんじゃ無かった、歯の根が合わない(笑)
「アレですね?軍船!」やけくそで聞いた。
「あれがミランダ国旗ですね」
眼下に四隻の軍船が補給地の港の入り口を両脇から二隻ずつで挟んで停泊してる。視ると大砲がハリネズミの様に武装されている。魔法士も火魔法ブッパ専門で三人いるな。商船は勝てんわ。
もう薄暗い、赤道に近付いて日暮れが遅くなってると思うが有視界のうちに慣れておきたい。暗くなったら俺やシズクしか見られないだろうしな。視えるうちに豪商たちの目に焼き付ける。
確認するや否や、シズクに船の魔力供給を交代して貰い大砲と魔動回路(魔力で動くウオータージェットのノズル)を奪う。甲板上の肉弾戦も出来ない様に武器、防具も奪う。丁度良い事に総員戦闘配置にならないと乗組員は武具なんか付けてない(笑)
戦闘用に積んである燃料の魔石も、兵士も魔法士の恩寵も奪う。どうせ軍人だ、死ぬよりマシだろう。三本マストの真ん中の一番大きな帆も取った。一番目立つ物を盗ったので皆がおおー!帆が無くなった!とリアクション良し。
我ながらちょっとやり過ぎ?とも思うが、後で後悔するよりやり過ぎの方がいいやと反省は後回し。
「真下の四隻終わりました。次に行きます」
ミランダ船で検索に引っ掛かった港の岸壁にいる魔動船は海上停泊している魔動帆船の物資運搬の連絡船だった。六隻の小型艇に誰もいないのでもらっておく。
「海上封鎖の船は全部無力化しました。封鎖してる四隻はただの帆船です。剣や防具も無くなりました」
海上300mで検索して見つけた補給地周りに帆走で10ノット(18km/h)で航行する三隻と10kmほど先に四隻でまとまった二つの巡視艦隊を全て無力化して行く。
補給地まで取って返して空にライトの巨大な球を2つ流れ星の様に飛ばした。
既に暗くなり19時なので無理はせずラムール会長の邸宅に跳ぶ。船の台座はシズクが作ってくれたので船を軟着陸させる。
ラムール会長が庭に出て来る。
「御子様ー!」
土魔法でタラップを作って皆で降りると説明した。
「今、補給地の巡視艦隊と封鎖艦隊を無力化してきました。こちらはバーツ会長とサント海商国の十傑と呼ばれる評議員さんたちです。明日の朝からミランダとハーヴェスの海上戦力を無力化しようと思いますのでお知恵をお貸し下さい」
「とりあえず鹵獲して来たものです」
大砲、魔動回路、弾薬、武器、防具、魔石、帆布を庭に並べる。
「魔動回路を奪ったのでミランダ艦隊は帆船になってます」
「しかし・・・これは帆では?」
「真ん中の一番大きい帆だけ取って来てます」
「それは・・・」
「まずかったです?」
3ノット(時速5.5km)出るか?自分の国まで帰れるのかなぁ?と心配してた(笑)
※魔動回路:魔力でジェット水流を発生させるノズル。ノズルが舵の役割をする。ノズル内にプロペラ様の物は無い。吸入口から取り込んだ海水を噴射口から魔法で吐き出す仕組み。
ラムール会長の家に弁当を持って皆で上がり込んで、補給地で行った事を踏まえて明日の作戦を練って行く。
そりゃ、海千山千の転んでもただでは起きない商人の集団だ。俺は話だけ聞いて老獪な商人達の決定事項を頭に叩き込んで行った。
どの植民地を統括するのが、どこの国の豪商と分割協議を行った後、統括する豪商の元で商人が一致団結して事に当たる。ラムール会長がサントとワールスが組めば成る。と言ってるのでやっぱ凄い豪商がいるんだと思う。
事前協議は終わった。
俺は出来上がったシナリオ通りに事を勧めるだけだ。
明朝の5時集合。
ラムール商会の従業員を各国支店に連絡員として派遣してから夜明け6時20分と共に作戦を行う。
1月4日。
朝の5時に集合したラムール商会の15人。
昨晩、お昼の心配をした俺の意を汲みタクサルさんが弁当を積み込んでくれた。
あと、真冬の高空は死ぬほど寒かったので毛布を積み込んだ。
正直に言う、昨晩はそれでやる気が失せた。
待ってろと言うのに、番頭が飛び回ってるのに見届けないとダメだと十傑とラムール会長と副会長の長男まで乗ってくる始末。
・武器弾薬は取り上げる。
・魔動回路も軍用魔石もすべて取り上げる。
・覇権国の商船は魔動回路と積荷を拿捕。
・武装商船も武器弾薬、積荷、魔動回路拿捕。
・植民地の軍船も拿捕、商船も積荷も拿捕。
・小、中の軍船は以後護衛船として運用する。
・海上戦力を無力化したら豪商の世界連合に動く。
・メインマストの帆布も取り上げる(俺が付け加えた)
俺の仕事は、そこまでにした。後は知らん。
タクサルさんの指示で各国支店に跳ぶ。ラムール商会の連絡員を全部降ろしきったらまだ時間があったので、海商国御用達の遠くの国にも会長をメッセンジャーとして連れてってあげた。
6時20分ごろ朝日が昇ると同時に浮き上がる。
高度300mでミランダ、ハーヴェス検索。
近くの船から無力化していく。
艦隊を見つけては飛び石伝いに20数回武装解除をやってミランダの植民地に付いた。植民地の港にはたくさんの軍船と輸送船が並んで超威圧的。
植民地を船から見下ろし、ミランダの人間を麻痺、恩寵取って隷属紋を叩き込み布教を行う。安全になったら麻痺解除。
・家内仲良く、親と子を大切に。
・獣人・人には親切。仕事に熱心。
・獣人・人を恨まず、
・腹を立てずに悪口言わず正直に生きる。
・笑顔の絶えない楽しい人生を歩む。
・富を分け合い皆で手を取り助け合って生きる。
「船から降りて下さーい」拡声魔法で言う。
乗組員が降りたら重力紋への魔力供給をシズクに代わって、俺が地上に降りていく。ミランダの軍船と交易船は計画通り全部拿捕していく。港に居並ぶ軍船、商船が何一つなくなる。
十傑が顎が外れそうに驚いている。
拡声で船から降りろと言えばミランダの兵士が降りて来るのだ。そして俺が地上に降りると軍船と輸送船が消える。
「軍事施設から出て、武器防具脱いで下さーい」
植民地の武力基地や施設、現地戦力を武装解除した上で武器弾薬を倉庫ごと奪った。
「御子様、今のは?」
「布教の事です?」
「布教ですかな・・・」
「商国の交易船が来るとミランダ人を含めて住民皆が大喜びで迎える布教です。聖教国の布教は尊いので皆良く聞きます」
「・・・」
「商国が交易で訪れた時は安全がいいでしょ?」
「まぁ・・・」
周辺海域を検索して行く。
ハーヴェスの交易艦隊発見。植民地からの帰りか(笑)
全部同じ様に魔動回路を奪い帆船にして無力化する。物資を奪う。今日は晴天で良く視える。遠くは検索する。
62km先にハーヴェス軍船四隻。しらみつぶしに襲って行く。拿捕された他国の交易船が二隻軍船に引っ張られてる。視たらハーヴェス着いたら裁判で因縁付けられて強制労働が待ってるよ。
乗組員が縛られて船室で見張られてるから
船がインベントリに溜まり過ぎたらシズクに運転を代わってサント海商国の港に持って行く。
ハーヴェスの植民地も発見。
軍船も交易船も軍関係施設の駐屯地も多いので軍の武力設備は全部鹵獲してからサントに跳んで港に軍船と交易船を並べて行く。
一隻見つけたら何処から来たとか、何処へ行くとか芋蔓式に全部港の場所が分かるから楽。
また植民地に跳んで武装解除、恩寵取って隷属して布教。船から降りて軍事施設を貰って全部の軍船、商船を鹵獲。
布教がライフワークか!
海上艦隊を綺麗にしていったら一塊の軍船を何百キロ先に発見。
跳んでみたらミランダの軍港。中型船が100隻程いる凄い威容だった。ボサッとせずに軍船は武装解除しなくちゃな。
500mの高空から大砲、魔動回路、攻撃魔法紋をすべて無くして行く。陸上から武器を奪いつくす。
上空からミランダの武器倉庫を中心に2000メートルの範囲で隷属。施設から皆が出る様に拡声する。
手ごろな小型、中型の小さい軍船をインベントリに入れて行き武器倉庫を丸ごと奪う。
跡地の真ん中にハーヴェスの旗を建てておく。
一回ラムール商店の事務所の裏に跳び武器倉庫を置いた。既存の岩山の倉庫の向かいだから護衛も見張るのが楽だ。
ミランダの軍港を芋蔓式に順次潰して行く。
軍港守備用の陸上大型大砲も武器弾薬倉庫も奪い、跡地にはハーヴェスの旗。ロスレーンに何か使えるかも?と造船所の工作機械も一緒にもらっておく。
ミランダの武装軍船が検索にも出なくなったのでハーヴェスの艦隊を見つけ次第に狩って行く。
ハーヴェス帝国に近ずくにつれて港に軍船が多くなってくるので忙しくなってくる。
隷属紋で船から追い出し中小型軍船をもらっていく。
同じ様に軍港守備施設からも大型大砲を奪う、魔動回路を奪う。武器庫ごと奪う。交易船も奪って行く。視てるのが面倒で一塊の倉庫ごと取ったら植民地からの収奪品倉庫だった。
ハーヴェスの無敵艦隊と呼ばれる80m級の軍船があった。大砲が最新式で貫通後炸裂する危ない大砲の弾を使用する。無敵艦隊なら全部丸ごともらっておけ。作るのに5~6年て言ってたからな。
検索して大砲作ってる所から鋳型を全部取ってきた。重要書類も含めて製作中も製品も大砲は奪った。炸裂砲弾も工場も倉庫ごともらってきた。工場が更地になってただの土地になった。
港の武器倉庫も並びで奪う。跡地にミランダの国旗を建てて横目で良い建物があるのに気が付いた。
すごくお洒落なお店が敷地に併設されていたので奪っておく。軍人の士気はくじかれただろう。うちのクランの士気は上がると思う。行きがけの駄賃でインベントリが余ってるので倉庫が空でも全部もらってきた。奪った大砲の入れ物が無いのだ。
軍港も建物が寂しくなったのでついでに更地にしておいた。
休憩しましょうとハーヴェスの山脈の高台に船で降りる。船の台座を土魔法で作るのがシズクの仕事になっている。
船内で弁当を食べる。
12時:6時間ぶっ続けでやってたのだ。
皆の顔はまだ興奮で火照っている。
海軍基地が何もない更地になって行くのだ。
「もう、海で暴れないとは思いますが、また何かあるなら言って下さい。罪には罰を与えに行きます。まだ植民地が有るので夕方までに掃除しますね」
食事の後にも色々検索して植民地の軍船、貨物船、武器や倉庫を鹵獲して布教して行った。
サント海商国に帰って来たのは19時だった。
遅い夕食を作ってもらってバーツさんの屋敷に全員泊った。
明日の8時から会議にしますと言って解散した。
(5時から起きて鹵獲品に小細工したいのだ)
皇帝の風呂に入ることが出来た!ドラゴンの口からお湯がドバドバ出てる!わーい。
屋敷の庭には土台に空飛ぶ魔動船が鎮座している。
・・・・
1月5日。
「新年から御子様は忙しいねぇ(笑)」
俺だけ5時から働いてたのだ。
「私、船に初めて乗ったら空飛んだのよ!」
「アルムだって空飛んだの初めてよ!」
「あんな上から街が見られるのはビックリです」
朝食を取りながら陽気な3人娘が
バーツさんの館は会議場がある。
そこに皆が8時に集まった。
「議題は今後の対応の事です」
「計画通り、主要な大陸の豪商に連絡を取り早急に動いて下さい。明日、リンダウも無力化しますからね。海は皆の交易路として嵐と海賊だけと戦いましょう。手紙なら届けてあげます。会談でも好きな国に連れてってあげます」
「リンダウも?」
「次の海上の覇権を狙って来ますからね」
「・・・」
「ほっておけば、交易路が危険です」
「見てもらった通り、サント海商国は関わっておりません。
何かの災厄でも良いですし、植民地の呪術師の呪いを受けたと伝えても良いでしょう。海商国が軍事大国を罰する事なんて出来ませんからね、無事に終わったと言う事は神の思し召しでしょう」
「御子が神に変わって天罰を下しましたので、皆さんはお変わりなく商売に励んで下さい」
「鹵獲品の軍船と植民地の交易船は大砲付いたまま港に並んでいます。打ち合わせ通りに皆さんで分けて下さい。改装しようが、そのまま使って揉めようが知りません。大砲と魔動回路は並べておきますね。植民地に向けて皆さんの交易商船が向かうと思いますが後はよろしくお願いします。」
俺は5時から起きて盗んできた魔動回路の魔術紋を改変し、タケノコ状のミスリルプレートの形を少し変えた。大砲の形や製造番号も精霊魔法で変えていた。口径の外周に照星とかリングとか付けて照準器っぽくし二国の鹵獲品とばれないように外見から改変した。台車などコルアーノ商会とシャレを込めて刻んだ。以後船に積んで見られてもバレない筈だ。俺の仕事は終わったから早く話をまとめて帰りたい(笑)
会長さん達は今後の心配や
「御子様、余りの事に皆が混乱しております」
「え?でも悩みは無くなりましたよね?」
「はい!綺麗に無くなりました」
「そんじゃいいですよ(笑)」
「いいのですか?」
「はい、攻めていた国がこれから攻められるだけです」
「それでよろしいのですか?」
「自分がやった事が返って来るのは誰だって同じですよ、国だって同じですよ。今か10年後か100年後かの違いです」
「皆さんも、自身で蒔いた種が跳ね返ってくる苦境は経験されている筈ですよね?同じ事です」
「・・・」
「周りに喜びを蒔けば自身に喜びは帰ってきます、苦しみを蒔けば苦しみが帰ってきます」
「・・・」
皆が何も言わないので視たら、マジで俺を恐れている。
「しょうがないですねぇ。みなさんだけ特別ですよ」
御子のステータスを見せた。
「私の後ろに神様がいます。心配無用」
苦しい時の神頼み。
加護
創造主、ネロ
豊穣の神、デフローネ。
戦いの神、ネフロー。
審判の神、ウルシュ。
慈愛の神、アローシェ。
学芸の神、ユグ。
ステータスを
「御子様、サント海商国は神の御心のままに」
バーツさんが俺に祈った。ラムール会長と長男も十傑も続く。
「何やってんです私は人間です。神様じゃない(笑)」
「それでもありがとうございました。感謝いたします」
「私は若い教皇代理です、神とは違います。聖教国の教皇様や神聖国の教皇代理の様に慎重ではありませんので心配させた様ですね。若い故に思慮に欠け、暴れすぎて良くお二人の教皇様から怒られてしまいます。逆に聖教国、神聖国の教皇様は思慮深くお優しい方ですが絶対怒らせてはなりませんよ、リノバールス帝国の様に国が無くなりますよ、私より怖いですよ」
「・・・」
皆が放心状態だ。ラムール会長はアルが売りに来た武器の出どころの大元が何処の国なのか知って驚愕している。
「バーツ議長とサニダン副議長様は教皇様と私と当時の帝国の奴隷問題で会談しておりますが教皇様が帝国を滅すると
十傑が見守る中、バーツ議長とサニダン副議長が確かに言われた。と肯定した。
聖教国と神聖国の教皇の方が怖いよと
「庭に鹵獲品出しますので皆さんで分けて下さいね」
大砲は性能は一緒だが盗まれた物と分からぬように外見だけ少し変わっている。魔動回路も決定的証拠を隠滅した。
鹵獲品 ミランダとハーヴェス海上戦力
・大砲18100門と台車(大中小の軍艦分と大砲工場分)
・大砲の鋳型各種。製法書類、砲弾製法
・鹵獲船83隻(80m級20、小・中武装軍船32、交易船31、)
・魔動回路3260個(船の物と倉庫の物)
・鹵獲物資127万7,600トン(両国交易船、植民地鹵獲物)
・鹵獲船の砲弾と砲弾工場弾薬庫大中小552,600発
・武器倉庫36(ラムール商会10)弾薬倉庫28
・海上甲板戦闘用の武器、武具 多数。
・植民地七国開放。特産物を運ぶ船無し。
※1:オシャレなカフェっぽい店舗はアルの戦利品。
※2:今回飛ばした魔動船はバーツさんにもらった。
※3:鹵獲物資は船荷で日持ちする。商国同盟物資に使うと言うので俺が預かった。
※4:魔石52トンを出したら、世界共通で使えるから御子の取り分と貰った。軍船の戦闘時用の魔力燃料らしい。これが軍事用魔石と初めて知った。
※5:80m級の無敵艦隊の大型船はアルが預かる、大砲が魔術榴弾で無差別殺傷過ぎで持たせられない。技術の流出も怖い。
軍船で使う魔石は質も良く大量だ。軍船は勝つのが目的なので戦闘時は燃費構わず魔石を大量に消費する。それが大中小の軍船で何百隻分もあった。(通常時は乗組員の魔力を使うが魔法使いじゃ無いので魔力は少ない)
ミランダとハーヴェスの位置関係。
コルアーノを東京とするとサント海商国は小笠原の父島、ミランダがシンガポール。ハーヴェスがポルトガル。今回海上封鎖を受けた補給港がグアム(大きさは台湾:世界地図だとグアムは点)
※後に出て来るリンダウがチリ、ハムナイはフィリピン。コルアーノを日本とした場合の位置関係。
この星の大まかな位置関係だけだ、大陸の形も何もかも違う。
ハーヴェス帝国は何も関係ない。帝政国ミランダのついでだ。
両国は国力こそあるが海上軍事力をすべて失った。植民地に辿り着ける船は無い。大航海時代に戻った。
一旦三人連れてメルデスに帰った。
PTにはハウスで休んで頂戴ととんぼ返り。
あ!ミールさんに言って最高の魔動回路を積んでもらえばもっと凄い船になるぞ。
今回の相談料として、武器庫の半分はラムール商会に持って行く事を伝えた。大砲に囲まれた十傑は頷いてくれた。
「御子様、海商国の湾内に大砲を据え付けたいと思います」
「良いんじゃないですか?」
「つきましては・・・」視た。
「置き場を作れば置いてあげますよ」
「お願いいたします」
「あ!ミールさんに軍船の魔動回路使えないか聞いて頂けますか?凄く早いの出来そうです」
「かしこまりました。あと御子様の船ならマスト要らないのでは?マストより防寒の方が大事と思いますよ(笑)」
やはりあの寒さは堪えるよなぁ・・・。
「魔動帆船として偽装と思っていたのですが必要無いですね、折角マスト作って貰ったので柱にして覆っても良いですね(笑)」
「ミールに言って考えさせます」
「よろしくお願いします」
「この船もらって行きますね」
この船は快速艇なのでマストは無い。
「どうぞ!」
「これで明日リンダウ行って来ます」
ラムール会長と長男を乗せてハムナイ国へ跳んだ。
事務所の奥にある武器庫を囲むよう、サントから持って来た軍の武器庫を置いていく。1k㎡もある敷地が、昨日置いた分も入れて見渡す限りの武器庫になった。
ラムール会長が陽炎に霞むはるか向こうまで続く武器庫を見て、呆然とため息を
ラムール会長の邸宅に送ると、庭に昨日置いた鹵獲品があった。
「事務所の武器倉庫に置いておきます?」
「サント海商国へ」ゴミ扱いだ。
「わかりました」
次回 176話 揺れる三本の糸
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