第172話  闇が本業



アルムさんとキャンディルで過ごした冬の日々。


精霊魔法を教えてもらった。

精霊魔法を使うに当たって精霊の事を教えてもらっていた。


精霊は何処にでも生まれる。


冒険者や旅人が焚火を見てホッとする想いから精霊はポロポロと生まれる。


喉が渇いた人が井戸の水にあり付いて、水は旨いなー!との想いで精霊はポロポロと生まれる。


魔獣や動物が飢えて飢えて彷徨さまよい獲物や水に有り付いてホッとした想いに精霊はポロポロと生まれる。


魔獣だけではない。石や木、土、水。人が無機質だと思う物全てが創造神から作られた。星すら生きている。


人が100年の年を生きるなら、の者は何千年、何万年の尺度で生きている。その想いでポロポロ精霊は生まれて来る。


特に星の想いは強大で火山や大河、氷河や巨大な山脈になるとポロポロどころでは無い大量の精霊が生まれる。月の満ち欠けによる引力でも生まれ、潮の満ち引きでも活発に生まれると言う。



魔素のあるこの世に精霊は満ちている。



・・・・



精霊には存在意義がある。

周りや誰かの想いに応えて魔素を使い、自分の得意な現象を起こすのが具現化だ。


精霊魔法はそれが得意な精霊が引き起こす具現化現象である。


精霊と人が意思を通じて魔力を渡す対価で精霊は存在意義を示す。存在意義を示す事が精霊の務め。それで精霊は成長し、より大きな精霊に成長する。


ポロポロ生まれた小さな精霊は存在意義を示し続け、成長し、同族を統べる精霊へと昇華して行く。果ては大精霊、精霊王、精霊神となっていく。昇華するに従って存在はおぼろになり概念の存在が増して行く。


概念の存在が増す。それは次元も時間も超越して何処にも普遍的ふへんてきる存在と言う意味だ。創世の位階に達する神階まで昇り詰めればおぼろ過ぎて宇宙の端から端にまで存在する。


生まれたての精霊は目も耳も聞こえず存在意義を示そうとアルの魔力に寄って来る小さく漂うおぼろな存在。シャドは球に捕まるおぼろな存在だった。名前をもらって球に捕まる存在では無くなった。中精霊になったと言っていた。昇って概念の存在が増したのだ。


シズクは呼ぶと来る範囲におぼろな存在。シェルはすでに神域に達する存在、おぼろ過ぎて顕現けんげんするに凄まじい力がいる。慈愛の神、アローシェが顕現けんげんしたというのはおぼろになってこの星の何処にも存在する者がその場の一点に実体化したと言う事だ。ネロが他の星の人神を兼ねると言ったのは他の星にも存在できるおぼろな存在。


シズクが大精霊で木に入る概念と実体を持つ存在になっているのは概念であり実体化できる力ある存在なのだ。まさしくアルのいる世界の中では大精霊なのだ。


話しがそれた。


精霊は概念で有るため何処にでも呼ばれたら来る。


水の大精霊が、砂漠でも魔力の対価で大喜びで来る。己の存在意義を示すために大喜びで来るのだ。渡す魔力によって水の大魔法も砂漠で使える。


物質世界と概念世界を区別しないと分かりにくい。


は、物質界の砂漠だろうがそんな物で弱らない。溶岩の噴火口だろうが関係ない。大喜びで来る。そんな物質世界の事象に左右されない。



ただし精霊が存在意義を示す時。

魔素を変換して具現化すると物質同士の相性がある。



100℃の水魔法と-100℃の氷魔法はどっちが勝ち?


1800度の溶岩に水だの氷だので1700度に下がった。

溶岩の勝ち、水の勝ち、氷の勝ちと思うのは人間の勝手な思い込みである。


砂漠だから水の精霊が弱いのではない。

噴火口だから火の精霊が強いのではない。


具現化した時の差益で人が勝手に判断してるだけで精霊は何処にいても同じ魔力を渡したら同じ仕事をしている。


しいて言えばシミュレーションゲームの地形効果だ。


火の具現化が得意な精霊は与えられた魔力で火を具現化してるだけ。水の具現化が得意な精霊は与えられた魔力で水を具現化してるだけ。


人が属性精霊と呼ぶ精霊は全部そうなのだ。


中には無属性の訳の解らない想いから生まれた精霊も居るからで成り立っている。


人好きな妖精は何属性か人は言えない。しいて言うなら無属性。そういうことだ。聖属性の聖の精霊も居ない。


聖魔法の回復剣を作ろうとしたら精霊が戸惑いながら協力してヘロヘロの青い剣が出来たのはそのせいだ。


とにかくアルの魔力は甘くて美味しいので精霊も欲しい一心で頑張って協力する。それが例え訳の解んないイメージでも。


死兵戦の時、こんな感じに精霊も喋っていたかもしれない。


「聖魔法って何よ?」

「イメージで見た青いのじゃないの?」

「青っぽい光を出す回復剣って何よ!」

「取り合えず青い剣作ってみようよ」

「こんな感じ?青くなってきたよ」


みたいに・・・


アルの訳の解んないイメージでみんながハテナ精霊くえすちょんはーと?になりながらも協力し、ヘロヘロの青いの作った。


シェルが助言している。

>慣れたら出来るかも?


慣れるのではない、慣れるのだ!(笑)



精霊魔法の聖魔法、水魔法、土魔法。そんな物は無いとシズクが言う。魔素をイメージ通りに具現化するのを得意な精霊が来ると言う(笑)


人が勝手に学説上説明するのに定義した物だ。それは本質ではない。精霊も妖精もマナ(魔素)も魔力も恩寵もスキルも単なる固有名詞だ、国が変われば、大陸が変われば呼び名も違う。では説明できず不便だから付いてる名前だ。



精霊は己の存在意義の魔法を行使して上位の存在を目指す。


主人を持たなくても周りの魔素で行使する。


風の精霊が山道でたまたま風を吹かしたら山に囲まれた地形効果で強い風になった。風を受けた旅人が驚いた様子に気を良くして、もっとリアクションを取ろう!と風の精霊が存在意義を行使する。


結果、冬には凍死が多数生まれる山の難所になった話。


アルがアルムに聞いたのは、面白くて行使してるだけで精霊は悪い事だとは毛ほども思っていない事。精霊として生まれた存在意義を示すのは当然という考え方だ。そうやって磨いて昇るのが精霊だ。


火事で人がしてるのに気を良くして、火の精霊が、風の精霊が存在意義を示して追い打ちを掛ける。精霊は頑張って示しているかも知れないが、人にとっては迷惑この上ない。


悪魔と言われてもしょうがない。悪魔のおりで捕まえられてもしょうがない。


>(闇の精霊は悪い事知って無いですよ)

>あぁそっか!とアルが納得するのはその部分だ。



重要なのは精霊に呼びかけて?と精霊を募集する。集まった精霊にイメージを示し、魔力を渡し具現化してもらう事なのだから。


すなわちそれが精霊魔法である。



アルムが呪文で先人から具現化イメージを呼び起こすのに対して、SFXやCG、特撮技術で鍛えられたアルの確固たるイメージの違いは述べたとおりだ。精霊魔法こそアルにとっては創造魔法に他ならない。


思う現象のイメージが完全に具現化してしまう。

絶対零度の精霊魔法は最たるものだ。


精霊の基本的な話はこんな感じだ。



アルはアルムの膝の中で聞いた話でキャンディルの日々を思い出した。あのアルムさんが今は一番親しい人になっている。



・・・・



教会を出て東門の守備隊に急ぐ。


新年に実家に居るなら、世話になってる隊長にも顔を見せておきたい。守備隊長に新年の挨拶を済まして、寒いから隊員に飲ませてと大壺2個渡す。



・・・・



大慌てで馬を迎えに行った、十六頭を八頭ずつ手綱を掴んで実家の厩舎に連れて行く。さすがに入り切らないので横にキューブハウスの厩舎を作っておいた。ノストリーヌとは痛車に乗って以来なので喜ばしておく。お前たちの分忘れてたと厩舎に暖房紋を付与して温度調整しておいた。


翌日、馬が増えたと大騒ぎになる。


・・・・


夕食は料理長に壺で渡したピリ辛のヨージ鳥のソテーだった。

サラダのソースはフレンチドレッシングにチーズがたっぷり掛かった有りそうなドレッシングで驚いた。


視たら知ってる物ばかりだった。

日本のお酢では無いけれど、白ワインの果実酢で古くなると酸味が増して酸っぱくなったワインを再利用すると酢と同じ物なのだ。


意外とワインとか作っていたり、チーズが有ったり、ヨーグルトドリンクがあったり、地球と同じような環境だと、同じ道を辿るんだなぁ。と感心した。


俺の回りでは牛の酪農みたいの無いからヤギの乳の乳製品だけどね。



・・・・


新年の晩。


アニーが夕食後にお茶を入れてくれてる。


教会で祈って以降、球の中から念話のシャド。奥ゆかしいのではない。、みたいな事を言った時に、なんか暴れん坊上様のお庭番を思ったらそんな風(忍者とか隠密)になっちゃった気がする。


闇だけあって本業と思ったのか知らない。


アルの危急に球から助けて成敗しようという感じがする。


ヒシヒシとの感じる。



そこまで必死じゃ無くて良いからな!

(!)


シャドに言っておく。

思うだけで念話なんだけど。


俺は、今まで人を殺してないからな。


俺の手で一回でも殺っちゃったら安易に殺して、それに逃げる様に思えるんだよ。逃げずに正面から受け止めたら解決策もあるのに、怒りに任したら簡単に命を奪うようになって歯止めが効かなくなると思うんだよ。


それは逃げてどんどん嘘をくのと一緒と思ってる。


見てきた悪人がみんなそうだった。最初に殺すと泣く程も心にダメージ喰らうのに、どんどん慣れて行ってる。終いには殺人鬼だ。盗賊もそうだな。


殺らないとダメな時が必ず来る。

俺はその時まで逃げないからな、シャドもそれは分ってくれよ。闇魔法の衝撃の特大で相手は無力化できるんだ。おまえは陰から俺を助けてくれ。


影縛りとか出来るなら助けてくれ。

(急に奈良一族を思い出して付け加えた)


シャドが(はい)といった。



出来るのか!

(はい!)


シャドすごい!


☆ミ  喜んでる雰囲気だ。影薄くて分かんねぇ。


視たら喜んでた。

影も魔素を変換し俺のイメージで具現化するだけだった。


俺の魔力を好きに使って良いからな。

思っておいた。



・・・・



1月2日。


朝は型稽古をした後、夜明けが6時過ぎなので明るくなりかけたら走る。アルムさんも一緒だ。

リフォームした屋敷の前を何回も通り抜ける。コテージハウスも一緒にあるので色々なシチュエーションで宿泊することを考えてしまう。


通るたびに、必要な物や足りない物ないかな?と考えてしまうのは病気だろうか?ベッドの数は充分。キッチンも付いている。皆が魔法使い。何度考えても簡易宿泊なら充分だ。でも備えたくてしょうがない。何かのために備えるんだけど、が分からない状態だ(笑)



ちなみにシズクにはベッドが要らない。


シズクは小壺の鉢植えがあれば樹に帰る。

だから鉢植えの置ける棚がベッドと言えばベッドだ。


小壺の横にカラフルな巾着が置いてあると樹に帰っているのが分かる。巾着の中に腕輪や水やお金やお菓子が入っている。そういうのを知るだけでシズクは可愛い。


夜に充電してるのか、世界中の木と会議してるのか知んない。

朝食前に呼ぶと壺の木から出て来る。出て来るとそのまま巾着をポシェットの様に肌身離さず肩掛ける。ロスレーン行くと言うと小壺のゆりかごみたいな袋も肩に掛ける。


ロスレーンではメイドが付いて夜ベッドに入るが小壺に帰らない、普通に寝て普通に起きる。うちの家の者に忖度そんたくしてるかも?


もうすでに四人は魔法使いのエキスパートで人外的な扱いだ。お着換えを魔法で一瞬と思われている。メイドが付いてもお茶を入れるぐらいしか仕事が無い。



7時に鍛錬を終え、クリーンを掛けて平服に着替える。

四人で揃って食事に行くとお爺様とお婆様が定番で食事を取っている。


ミウム辺境伯から下賜かしされた練兵場について冒険者のクランを作った事を報告する。


10%の料金制度を聞いたお爺様が笑う。お爺様も冒険者についてはかなり知っている。


ダンジョンの踏破とうはを目的としてクランは組まれる。クランとは、信頼関係に基づいた運命共同体で相互扶助組織でもある。それはダンジョン深層踏破しんそうとうはへのシェルパ荷運びの確保、深層までの多段キャンプを設営し安定した攻略をサポートする。その攻略技術の伝授と各階層情報の共有化を軸に有志で組織される。


ダンジョンの階層によっては、30人のクランも居る。国に名高いクランは60人以上で深層に挑む。前人未到の霊峰に挑む登山隊と一緒である。



アルのやっているのは真逆である。


・ダンジョンの踏破をうたわない。

・信頼の置けるシェルパを望まない。

・加盟PTの技術向上に手を貸さない。

・食える様になったら出て行け。

・住みたいなら10%出せ。


食えないPTのための救済でクランを作った。



お爺様が面白いと笑う。


そして真顔で言った。


「アルベルト・ロスレーンの名でクランを作り金を取った。貴族であれば人頭税と一緒だのう、商人なら宿屋じゃ。クランマスターであればリーダーではないのか?」


「?」


「加入した者によっては都合よく利用して言うであろうな。と言われぬようにな(笑)」


「・・・」


「要はアルは宿屋になるのか貴族なのかじゃ。儂なら、と言われたいのう」


「!」


アルは絶句した。


新年二日目の朝からノックダウンを奪われた。口は動くが食べ物の味がしない、深く思考の海に入っていた。



金が欲しい訳じゃない。

施設の使い道を考える上で、宿泊料が無料じゃ話にならないから名目上10%取っただけなのだ。


じっくり考えてみる。


2週間で300人近く集まった。北東ギルドの食えない奴らだ。イヤ、食えるPTの奴らも入って来てる。


ギルド推奨の上に、一週間に一回の水揚げで銀貨1枚(1万円)なら大銅貨一枚(1000円)で一週間泊れるのだ。木賃宿だって素泊まり大銅貨三枚は取るのに七泊素泊まり大銅貨一枚だ。


ある程度稼げるPT だって宿代より安いと入って来てる。

一日銀貨三枚稼いで初めて取られる大銅貨三枚なのだ。


一日銀貨一枚稼ぎ、大銅貨一枚で泊れたら大銅貨九枚が手元に残る。普通の宿なら大銅貨七枚しか残らない。


毎日獲物が取れなくても、一日平均冒険者の稼ぎ10%が銅貨五枚(500円)の宿泊料であれば300人で1.5の収入(15万円)になるのだ。9(450万円)だ



冷静に考えたら三万人の冒険者がいるメルデスの最底辺はこんな300人なんて数の訳がない。もっといる筈だ。


システムが理解されたら増えると思われる。


仮に1000人が平均大銅貨一枚の宿泊料なら一日金貨二枚(100万円)だ。月に白金貨1.5枚(3000万円)だ



誤算もあった。


稼いでいるPTまで根城クランを変えて来る理由。


クランは揉め事になると上の者同士でケジメを取って仲裁してくれる。上納金が多かれ少なかれあるのだ。二割の所から三割の所もある。その代わり技術を教えてクランの総合力を上げようともする。


クランは相互扶助組織でもあるのだ。


俺の名前でクランが出来た事で平民、貴族含めて冒険者が絡んでくる事は無い。揉める前に。とびの一言で終わる。そのメリットについては誤算だった。


上納金が10%で庇護ひごとなるから他のクランを抜けて来る。


クラン雷鳴は俺が面接で人物を視て入れている。

アルは自信があったので考えずにギルドで大見得おおみえを切った。


「うちのクランにからんで行く奴はいねぇ。雷鳴とめるなら、める相手が悪い。お前等の様にな」とめたクランを公開処刑で〆た時にを切っている。


だってショボイ底辺PTが絡んで行く訳ないもの!安心して言っちゃったんだよ!(笑)


でも見てた人は違う。何かあった時に相手にケジメ取れるかどうかを見る。金級2位PTを〆る貴族の庇護ひごに入るのは、安全を買うために入って来るのだ。俺は表面上分かってるだけだった。


稼いでるPTまで加入してきた訳は、2位PTの6人を〆た3人の美女を子飼いにしている貴族の庇護ひごに入ったのだ。


そうだ!俺が悪い。気が回らなかった俺が悪い。PTの三人は良いことしようとした俺に、クランにつばかれたと怒って大暴れしただけだ、悪くない。


気が付いてないアルはクラン雷鳴はそれで良いと本気で思っていた。


>関係無いけど助けるか。


それだけの気持だった。


大雑把おおざっぱに考えて、不要な施設を使って良いことした!と安易に安心していた自分に呆然ぼうぜんとした。


心無い者が見たらどうなるのか考えて無かった。


例えるなら不要な土地ありませんか?甘い言葉に乗って借金でアパート作って、管理会社に委託丸投げで、住んでる人の名前も生活も知らない、汗を流さず利益だけ吸うのを夢見るアパートの大家だ。


我ながらひどい例えだ、もっと無いのか該当する事件(笑)

※忘れてはいけない、こいつは元法学部だ!


知らずにあっちの世界の副業最先端のずっこけビジネスしてたわ。銀行屋と不動産屋が組んで、楽に稼げると皆が引っ掛かって店子が集まらず不正融資問題で社会問題になった。


中身知らない人間が外から見たら全部一緒に見られちゃう。健全にやろうが悪徳にやろうが大家は一緒だ。俺だって金を取った以上は利益吸ってる一味に言われる。人の口に戸は立てられない。


知らぬ人にはと言われるよ。


現に俺は住むとこ用意してやる。 汗をかかない大家だった。グループ討論するのに、色んな視点でそのビジネスモデルで何が問題なのか考えたじゃないか!俺は本当にアホだ、自分で笑えるわ・・・(笑)


笑える理由はこうだった・・・


明が調べて行くと根が深い問題だった。考察したのはバブル時代までさかのぼる、好景気に浮かれて誰も彼もが投資に走った。証券、不動産、銀行、金利が6%から9%だったのだ。逆にそうじゃないとバランスの取れないインフレだったともいえる。


皆、投資に走れば儲かると錯覚し、本業を突き詰めずに副業収入を当てにした。多角経営だ。バブルがはじけ副業に足をすくわれ本業が倒れて行った。色んな借金王が生まれた。本質の時代になった時に耐えきれない本業の磨きだった。


政府は生贄で大きい企業を見捨てと、国民に経済の悲惨さと恐怖をアピールし世論を誘導、何兆円もの税金を民間企業でバブルに踊った者の救済にあてた。甘やかした。


甘やかして子供に傷を付けなかった。傷の付かない子供は学ばなかった。同じ過ちを繰り返す。


本業を磨かず安易に素人でも儲かると副業に走る。その人には副業かもしれないが、副業が本業で磨いてきた本物がいるのだ、本質の時代に勝てる訳が無い。


本業の稼ぎが悪いとぶち当ってる自分の壁から逃げて磨かず素人で何も知らない副業の世界で稼げると思う心。


デザイナーが食えないからアルバイトをする。それならいい。アルバイトが当たり前になって流されデザイナーの腕を磨かなければいつまで経ってもアルバイトの副収入で終わりなのだ。その人の考え一つ、自分が納得するならアルバイトを本業にして磨けばいいのだ。


アルは知っている、どんなスポーツでもどんな趣味にもどんな勉強にもどんな仕事でも磨いてトップに立つ者がいる事を。


副収入目当てでアパマン投資に引っ掛かって、不正融資で社会問題の泥沼ニュースになった事件を明はそう考察した。(法律的な話は省く)


同時に布団の中で宗彦さんから聞いた小話を思い出した。


ある航海士がいた。日本の港で停泊時、釣りで転落しておぼれた人を飛び込んで助けた。感謝された、表彰された、金一封貰った。会社からも表彰と金一封だった。航海士はそれで酔った。停泊当直の時は海ばかり見る様になった。


上司が言った。

「表彰や金一封で浮かれてないで当直中は船を見ろ」


部下は胸を張って言った。

「自分は泳ぎが得意で誰よりも早く溺れた人を助けられます」


上司は言った。

「そんじゃお前本業間違ってるぞ。保安庁に行け」


部下は納得して保安庁に行き、立派な海猿になった。


宗彦さんは人の可能性の話をしたのは分かっているが、何故か今、ふと思い出したのだ。



俺の本業は宿屋じゃねぇ(笑)

だが現実、寺銭ショバ代10%取っちまった。奴らは言うだろう、貴族が貧民を食い物にしてると。


アルは冒険者である、副収入なんて期待していない。だからそんな物は当てにしていない。最初から無い物として全部未来に使ってしまおうと思った。


物に投資では無い、人に投資である。若い未来への投資。アルにラムール会長の言葉が沁みていた。



セルフで泊って料金自動徴収の宿屋経営になっていた。



住ませてやるから勝手にやれ。


それは、客をもてなさない商売だ。





次回 173話  もらい泣き笑い

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