第169話  えい!えい!



12月5日。


今日はクルムさんとシズクの魔鉄級5位の受験日だ。

開催担当は北ギルドで9時からの試験になる。


受かった後にジョブの申請は全部する様に言っておいた。クルムさんなら回復士>治癒士。魔法士>魔術士。戦士まで取れる筈。


アルムさんも精霊魔法使えるけど、見た目も性格も脳筋だから魔法担当は二人に任せたいのよ。クルムさんは知っての通り調薬や裁縫や料理とか細やかな仕事が好きな人なの。シズクは魔力で魔法を編む処じゃない、魔力を直接具現化するから速攻で思う通りに魔法を発動するからね。

俺は前衛の恩寵上げたいから譲れない。


クルムさんとシズクは魔法使いファッションで杖持って7時半には出て行った。


アルムさんが今日のお昼のご馳走の用意を始めたので、俺は聖教国のアルノール大司教の研究室に跳んだ。



(腕輪にお着換え魔術紋を組んだ)教義部の司教様に魔術紋の指南をお願いするためだ。


簡単に(簡単過ぎに)着替えてるけど、中身は凄く高度な魔術紋なんだよ。俺もお着換えぐらいなら分かると思うんだけど、すでにプログラムの域なんだよ。魔術紋が腕輪の装備枠と現行装備と干渉しあって答えを出すみたいなプログラム。


自分が武器を持ってる場合は、武器枠の武器と入れ替える。無手の場合も武器枠の武器が無手に現れる。腕輪の装備品枠に寝巻が1枚有れば、貴族服とチェンジすると貴族服+武器、靴や手袋、アクセサリーまで寝巻が入っていた装備枠一式に全て格納して装備枠ごと交換する。


だから冒険者一式装備から、下着と寝巻に一瞬でお着替えできるのだ。その魔術紋はシーケンスの様に装備はYES>装備はNOで命令が進行するプログラムみたいなものだ。



「お着換えの魔術紋覚えたいんです」

「あれ?ステレン大司教の分じゃ無いのです?」

「それとは別に作りたいんです」

「今日やりましょうか?」


「え?」

「腕輪の素体はありますよ」

「本当です?」わーい。

「イリュージョンの関係で色々沢山作るんですよ」

「・・・」

「わかります(笑)」


「まだアレに凝ってるんです?」

「命掛けてますよ。物凄い量の多段魔法陣を山ほど書いて来ますからね。どっさりと(笑)」


「(笑)」二人で顔を見合わせる。


「前の教皇様の奴は最高傑作ですからね」

「え!」

うんうん頷く。

「あそこまで途切れなく7色光が煌めきながら主張するのを調節するのは年単位と思いますよ」


「でも聖教国の伝統と研究資金が投入されてると」

「そりゃ、研究しまくってますから」

「・・・」自分の研究の歴史かぃ!

「御子様の腕輪のNo4にアレが入ってますよね?」


「もう消しましたよNo4でお着替えするとホーリーブライト>魅了>教皇装束にサンバでしたからね。間違えたら大変なのでNo.4のセットは無くしてNo.10に入れ替えました」


「良かった!残ってたらいいです」

「え?」

「あの多段魔法陣を消しては後世の損失です」

「そう。そう言ってた!」

「芸術の様な組み合わさり方ですからね」

「・・・」ダンテの神曲みたいなもんか。


「腕輪の素体いっぱいあるんです?」


「何枚でも!(笑)」

「5枚ぐらいもらえません?」

「どうせ作らされますからもっと良いですよ」

「いいのです?」

「御子様が試作に感動して持ってった。で喜びます(笑)」


「分かりました、お着換えセットの魔術紋が知りたかったので、教えてもらって刻むのに丁度良いです」


「あと、私の腕輪、イリュージョンした後に教皇セットが元に戻らなくされたんです。あの人が勝手にそうしたんです。直し方って分かります?」


「やりかねないですね(笑)」

「よかったー、味方がいた!」

「ON-OFF付けたら如何です?」

「それだ!教えて下さい」ペコリ


10枚パクってきた。もっと良いと言われても取り合えず3つしか要らないのだ。足りなかったらまた貰いに来ればいい。


腕輪の素体は10枚のすごく大きな樹脂ペーパーだ、採取した木からドロドロに出るが、空気に触れて常温で固まる性質、熱を掛ける前に円筒状に整形してその上下を輪に繋ぐ。熱を掛けると収縮して融着する。冷めると樹脂がカチカチに固まり腕輪となる。


大きな樹脂ペーパーの内側に魔術紋を刻んで行く。丸めてリング状に成型し熱して小さくする。



教えてもらった多段魔術紋の各部の意味を知って、お着換え魔術紋を5つ刻む。自動サイズ調節を刻む。くるくる巻いてリング状にし円錐台に嵌めて成形しながら熱を加えて直径15cm程に縮ませて終わり。



司教様に教えてもらった事を胸に、取り合えず黙々と魔術紋を刻んで行くだけなので脳内補完しておく。



※アルは今着てる冒険服と2,3を入れ替えて生活している。

1:教皇セット:変身自動イリュージョン。ON-OFF

2:貴族平服セット 

3:寝巻きセット

4:教皇セット:変身自動サンバ。ON-OFF。

5:貴族服セット

6:聖騎士セット

15:

16:


各セットの武具装備品は別枠でお着替えと連動する。



教皇セット1:装備枠

頭防具(冠)、胴防具(ローブ)、左右腕防具、左右手防具(右教皇の腕輪)、左右指防具(左貴族指輪、強力の指輪)脚防具(貴族服)、足防具(尖った靴)、背武器、左右腰武器、左右手武器(右錫杖)


教皇セット1:お着換え枠

頭、胴(下着)、外套(貴族服)、腰(ベルト)、脚(下着)、足(靴下)、腕、手、アクセ6


胴:下着 > 外套:貴族服 > 胴装備:ローブ。と優先してお着替えとなる。この状態にしておくと、その時着てる冒険者の恰好が全て格納されて教皇セットに着替えとなる。


魔術紋も分かりやすく改変した。武器と防具を別枠でセットするとお着換え枠と見比べないと優先順位が分かりにくい。アルは教皇セット(装備されて冠が吸い付く装備など)があるので使っているが普通の人にそんな物は要らない。


エルフ姉妹が使いこなせるか不安だった。優先枠を間違えるとズボンの上に下着になっちゃうからだ。だから武器と防具は別枠を作らず同枠に作ってお着替えセットにした。1枠にセットしたら優先順位別に下着>服>装備品と並べて行けば装備できる様に作った。



今日は、お着替え魔法紋とマジックバッグの魔術紋だけの刻みだ。変身イリュージョンも付与魔法も効果範囲3段階切り替えも楽団ミュージックも要らない。



腕輪に付与するマジックバッグ容量は大きな獲物が直接入る口にする。アルムさんの魔法巾着は25㎥程あるはずだ。戦闘中は腕輪に巾着入れて、街では巾着から出し入れすればそこまで変な目で見られない。


腕輪は10㎥でいいな、と50cmの立方体で空間を切って10㎥まで引き延ばす。大体一辺3m×3m位までの物なら入る様に口を大きく引き伸ばして、1/80時間経過の空間魔術紋を刻む。


ここでマジックバッグについて話す。


マジックバッグはを魔術紋が三次元空間に重ね合わせている。以前言ったが、切り取られた3次元の空間は余剰次元によって空間から切り取った直後に埋まる。


あれと同じ様に余剰次元を任意の場所。この場合には切り取った3次元空間を引き延ばして、魔法袋の中に発生させると袋の内部の3次元空間と発生した空間が3次元では同時に存在出来なくなり融合する、引っ付いてしまう。


6次元になったのか4次元になったのか3次元のまま融合したのか3次元で生きている人間には分からない。認証していない者が使えないと言うのは重ね合わせた3次元部分が融合して空間魔法の魔術紋が発動しないと空間が出なくなったからだ。


だから、認証される前のマジックバッグは普通の袋として使える。魔術紋認証(魔力認証)=切り取られた大きな空間を発生させて現空間に融合させる事だからだ。


融合させると口の大きな空間が袋の内側に発生する。袋の見た目の口に3m程の3次元亜空間が発生する。(亜空間:物理法則の通用しない空間:異空間呼びもします)


切り取った大きな亜空間を三次元空間に重ね合わせている。これは腕輪もそうだ。入れる場所も何も口も無いのに腕輪に入るのは認証した者の魔力を使って魔術紋が融合した3次元亜空間を腕輪の内側から外側に向かって発生させているからだ。


腕輪の場合は内部が閉鎖空間でチューブ状で繋がった形状で特異な現象を生む。3次元空間と重ね合わさった発生亜空間を貫通する形で手が入っている。(マジックバッグの中に絶えず手が入っている状態)コイルと電力の関係で発生する磁界の様だ、コイルを縦に並べると磁界がコイルの中を貫通する様に生成される。


マジックバッグの3次元の口(巾着など)は口に重ね合わせた異空間の口が開いている、ただし手を突っ込んで中身を認識して掴み出さないといけない。


腕輪の場合は異空間の中を手が貫通してるので手を突っ込まなくても中身を認識する(アルは発生する磁界の強さで電力の強さを測るテスターのようだと思っている)マジックバッグで空間認識して任意の一点を掴むのと一緒で、腕輪から認識して任意の一点を腕輪の外側にそのまま出せる。


腕輪に発生する空間に入れて、腕輪に発生する空間から出す。だから右手でしか出来ない。インベントリは体と融合してる感じで左手でも足の先でも発生している空間に触れさせたら自由自在に出し入れできる。だから厳密にいえば手で触れなくても腕輪とインベントリは物の出し入れができる。


重ね合わせた空間の口が実際の大きさだからアルが作った50cmの立方体なら50cm×50cmの口となるし、それを引き延ばした10㎥の空間なら2.2m×2.2mの口だ。

(分かりやすい様に言ってるだけで正6面体で空間を切ってない、先程は3m×3m×1.1mで10㎥に引き延ばして口を3m×3mにしていた)


アルは空間魔法を手に入れ、教皇から貰った腕輪のマジックバッグの魔術紋の空間2㎥をもっと引き延ばして元の15倍の容量、30㎥で時間経過1/150に改変するまで知らなかった。


11歳になった初めての新年で手に入れたマジックバッグ。ナレスの王族のが4㎥、帝国の将軍のは2㎥だった。


将軍が持っていた2㎥のマジックバッグの口が大きく使い易いと思い、ジャネットに頼んで大きな口に合わせてショルダーバッグに縫い直してもらった。知っていたら内懐の4㎥のマジックバッグをショルダーにしていた。


に応じて物が入る。と知らなきゃそうなっちゃうよな(笑) とその時アルも笑った。


ダンジョン産は導師からもらった6㎥の袋が最大。

財務部からもらったダンジョン産は大中小で6㎥、4㎥、2㎥だから6㎥のマジックバッグでも1.8m×1.8m位の口だ。まぁ口が1.6m×1.6mの袋か1.3m×1.3mの袋かなんて誤差の範囲だ。



ただ、マジックバッグは希少で高価だからアルの使い方は決まっていた。バッグの口と掛け離れた大物が出ると余計な事で人の目を引くのでNG!大物はインベントリから出す事で賢者から受け継いだ大魔法と思わせるため、眼を引く大物はインベントリに入れている。



話しは逸れたがそんな感じだ。



5枚の腕輪の魔術紋刻みが全部終わった。5枚は予備にとっておく。司教様の微細な魔術紋刻みの簡単で手間ばかり掛かると言うノルマも全部やってあげた。


イリュージョンのプログラム魔法も教えてもらって刻んだが、細かい事を覚えるのはやめた。途切れなく滑らかに、しかも魅せるためにゆっくり連動させるのは最早調整作業なのだ。気に入らなければ発動時間を調整して刻み直して完成させる進化の魔術紋だ。


文章の様な多重魔術紋だ、俺のNo.1清浄>魅了のイリュージョンは22段も魔術紋が連動している。No.4の祝福>魅了のサンバは36段の最高傑作だそうだ。俺はそんな魔法のプロになりたくない。魔法の方向性が違い過ぎる。だから極大光が踊り回るんだよ。


予備校でやった初見殺しの問題を作る難しさだ(笑)


知って初めてわかるアルノール大司教の凄さ。これを皆が知らないとあの人誤解されまくるよ、教義部の研究室で尊敬されてる訳だわ、聖教国の賢者だよ。(教義部:司祭、聖女、御子教育、教義解釈研究)※神聖国のステレン教皇代理の上司でもある



研究室の奥の扉を開けてチロッと伺うと導師と目が合った。


「なんじゃ、来とったのか?」

「おはようございます。8時には来てました(笑)」

「おはよう。それはまた早いの。朝、研究室の雰囲気が違ったでの、アルが来とったとは知らなんだわ(笑)」

「お着換えの魔術紋を教えてもらってました」

「あれは便利じゃのう」


「アルムさんとクルムさんに使わせようと思って」

「アルムも可愛がってもらっとるの(笑)」

「あはは、返すものが無いんで困ってるんです」

「よいよい、それでよい(笑)」


「そうじゃ!あの冷房紋は兄上が褒めておったぞ!」

「ばれちゃった(笑)」

「ばれるわい!暖房紋の横に有ったわ!」


「二つともレンツ様が付けたんですよ?(笑)」


「聞いたわ。よくぞ氷魔法の編みを火魔法の魔術紋から改変した物じゃ、専門の研究者でも難しいぞ。あれを見た者は単体で作られたと思うであろうよ。お陰で兄上が研究室にこもるようになっとった(笑)」

「(笑)」


「編める者はこの世で3人じゃ!と興奮しとったぞ」

「5種の複合紋なんて絶対編めませんよね?(笑)」


「これ以上兄上を刺激するでない(笑)」

こもったらキャンディルの損失ですね(笑)」

まことにそうじゃ!(笑)」



・・・・



お昼まで1時間半程あったので、ロスレーンに帰って来て家の窓を開けて換気した。今日の天気も関係あると思うけど、急に冬になっちゃった、屋敷を通り抜ける風が寒くて息が白いよ。

魔術結界のミスリルプレートを家の隅にセットして行く。天井裏にも上がって隅にセットして行く。


発動の鍵となる認証プレートを家の玄関ドアにセットする。

家の鍵(認証紋入り)か認証プレートで鍵を掛ければセキュリティーは動作を始める。(導師ハウスと一緒)


コテージハウスもやっておく。


これでヨシ!



調度品を置いて行く。

皿から鍋から何から何まで戸棚に入れて行く。

使用人室にあった物入れや倉庫に有った棚とかはそのままなので仕舞って行く。ティーワゴンも出して行く。


元々がすべて揃った屋敷だったのだ。


応接にあった敷物や応接セットは 3Fの屋根裏部屋に置いた。


余った机と椅子はメイド待機所や、キッチンに作った使用人の食事場所にした。食堂の長い机を置いたら見違えた。元々が古い木で使い込まれてるから、住んでからテーブルクロスを掛ける事にした。


海側の部屋に有ったベッドとか客間の調度品を作り付けで作って貰った分ベッドやチェストが18も余っちゃった。


やってたら昼まですぐだった。

戸締り確認してハウスに跳ぶ。




・・・・



12時20分前にハウスに付いた。


アルムさんがご馳走を並べていたが二人はまだ帰って無かった。


「まだ帰ってないんだ」

「もう来ると思うわよ」

視ると北ギルド方面に居る。北東ギルドで昇位試験受けた俺と同じ時間の訳無いわ(笑)


「北ギルドだから遠いしね」

「そうそう」


バニー焼きに砂糖が雪の様にまぶしてある。全部が全部あっちと一緒のバームクーヘンな訳無いか。


同じお皿の横にアイスクリームを乗せて食べるのが村の会議の時の食べ方とアルムさんが教えてくれる。


・鳥のピリ辛焼き(こないだの余り物)

・オークのトンテキ(塩コショウのサイコロ)

・ビーフのクリームスープ

・パン

・サラダ

・バニー焼き。(アイスクリーム付き)


(いっぱい精霊が集まってます)

(アイスかな、全部かな?)

(火と水と氷に変えてますね)

(全部だね(笑))

(はい(笑))

アルムさんが魔力を精霊に渡して保温している。


ドアが開いた!


「受かったわよー!」

「受かりましたー!」


12月5日のサクラが咲いた。


食べるか喋るかどっちかにしろ。と言うぐらいクルムさんが喋った。公的機関の試験を生まれて初めて受けたと言う、そりゃ魔鉄のタグ握って興奮するわ(笑)


俺に言われた通り、受験の人の少し上の魔法を見せて来たらしい。今回受験の魔法使いは二人を入れて7人だったって。俺の時4人だった気がする。



デザートの時に3人に腕輪を渡した。


アルムさんは二人の面倒を見たご褒美。

クルムさんとシズクは合格のご褒美。

シズクは良く見て腕に同じものを作った。


俺の考えが分かるから必要ないよね(笑)

シズクは以後、皆の前でお着替え出来る。


「5種類のお着換えが出来る腕輪だよ、戦闘の時は魔法袋も腕輪に仕舞えるからね」


シズクが愕然がくぜんとした。あ!そうか。

シズクに腕輪を渡したら受け取った。わーい。


「アル君の使ってる奴だよね!わーい」

「一瞬で着替える魔法と思ってた!」

「この腕輪でしてるんですよ(笑)」


アルムさんが「えい!」と念じてすっぽんぽんになった。

「「「!」」」


「あれ?」

#「なにやっとんじゃーい!」お婆々フルスロットル。


「えい!」元に戻った。ホッ!

「だってお着換えできないよ?」

「それはねぇ、腕・・・」


「えい!」すっぽんぽんになった(笑)

「今着てた!着てた!」聞いてからやれー!

「腕を輪に入れないと!」俺も変な事言ってる。


「あれ、変わらないよ?」

#「アルム早く着れー!」

#「服を腕輪に入れんかいや!」どこの方言だ!

一気に言われてパニック。


「えい!えい!」服が点滅してる。

#「二回やるなー!」

「・・・」 もう好きにしろ(笑)



クルムさんに「エルフの恥めがー!」と説教されていた。



説明書読まない人の怖さを実感した。

魔法巾着に入れてある服に変わらず、念じては!やってた。脳筋は体で覚えるから言っても無駄なのが良く分かった。



・・・・



お昼からみんなでダンジョンに行った。わーい!


31Fから行こうとしたらアルムさんに怒られた。

冒険者で初めてのダンジョンだから基本通りに1Fからやるんだって。言われて気が付いた(笑)


俺も最初は何もかも珍しくて、岩を触ったり色々したもんな。


俺はダメダメで見守れない性格らしい。1Fのケーブスネークを二人がやっつけるのを見て体をよじって観戦してるらしい。アル君は向こうに行っててと追い払われる。


俺の時にはミッチス直行だったけど二人を戦闘に慣らすために時間を掛けると言う。



納得して少し遠くで見てたら横からハンマーでド殴られた。


オーク吊って〆るだけでと言われた。そりゃそうだ!血抜きして解体しかやってない!二人とも戦闘せずに魔鉄5位になってる!


ティン!と変な電球(回転してる赤色灯)が点いちゃった。

まさか戦闘不足とは思わぬ落とし穴だった。


俺は吊った日は昼からダンジョンで狩ってた。



また、当分ソロで鍛錬かよ!ガーン。



31FでPT戦!と燃えあがっていた俺の北斗レインボーオーラが初回で北斗剛掌波に立ち消えた。アリア(9)が呼んでもくれなかった。



・・・・



折角来たから二人はアルムさんに任せて、少し叩こうと33Fのアルラウネちゃんの所に来た。2刀術Lv2になってから全然やってないので短剣の2刀術で狩って行く。


しっくりこない・・・

アルラウネの推奨レベル的に違う様な気がする。

気配遮断Lv2 気配察知Lv2 危機感知Lv2になった途端にバックアタックが取れるので、こいつで恩寵上げるのはLv2までだと思うのよ。盾術がLv2だけど盾で殴っても経験値低いような気がする。


恩寵取得のノウハウなので調べにダンジョン出てきた。



ギルドの資料室に行って関連する項目を探しに行く。恩寵を得る時は実戦中が多く、強大な敵に打ち勝つと上がる事例が多いとある。


強大な敵じゃ危なすぎるので、恩寵の高いモンスターの一覧を探してみるがそんな本ない。恩寵上げる近道は難しいなぁ。



ドアがバン!と開いた。

女の子が逃げ込む様子で入ってきた。


追われてる? と視て噴いてしまった!(笑)


恋のドキドキエンカウント作戦か!

不覚にも心のBGMにMISATOが流れてしまった。


「お願いです。かくまって下さい!」

なぜ可愛い子供の所に来る。司書のお姉さんに行け!


「本棚の裏に隠れたら?」

「はい!」


本を返しに行った本棚の陰で速攻ハウスに跳んだ。

秘儀フラグ潰しの術!


いつ俺がいないのに気が付くかマジ笑えた。


パンをくわえながら俺にぶつかろうなんて甘いわ!

パンをくわえた瞬間に俺は学校休む。


もうアルムさん達が30Fに到達するまでギルド行かない。


お前の作戦は間違っていない。稼いでる冒険者に近付いて技術を盗む、穴場を盗む、美味しい目に合う。その作戦はアリだ、お前の作戦は間違ってない。



頼りになる3位のエルフのお姉さん目当ても分かる。

顔バレしてない可愛い子供を狙うのも良いだろう。



でも、んだよ。

そこを間違えてる。



エルフ姉妹に魔法少女と可愛い子供のPTは甘くないよ。4人合わせて60,793歳だ。メルデス一番のご長寿PTだよ。俺は精神年齢詐称してるしな。


計算して気が付いた。俺13歳になった!

リフォームパーティーの事ですっかり忘れてた。



パンをくわえて隠れてる奴の事は抜け落ちて、俺は何か13歳のご褒美を自分に買って上げたくて街にスキップで繰り出した。





次回 170話  辺境伯の招待

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