第161話 エルフの神
「クルムさんは人間で言うと26歳ぐらいかな?」
「アルムさんが24歳ぐらい」
「シズクは僕と一緒で12歳にしてくれる?」
何を
まぁいいや、いじる。
「!」
「!」
「!」
「それなら、人の世で恥ずかしくないです」
3人とも勇者の称号を剥奪されたみたいになった。
「それでさぁ・・・」核心に入る。
「その創造主エルの加護っていつ付いたのさ?」
思い当たる節がある。春にアルムさん、最近クルムさんの恩寵視たときには付いてなかった。俺の加護で言う創造主 ネロの部分が創造主 エルになっているのだ。
「聖教国行く前かな?」 やっぱり!
「そうね」
「ステータスボードを作ってたら付きました」
「大精霊にも加護が付くわけ?」
「さぁ」皆が首をかしげる。
(シェルにもネロ様の加護付いてるですよ)
(そうなの?(笑))
(はいです)
(なんかネロ組のシェルみたいな?)
(そんな感じです)
(エル組のシズクになったのね(笑))
(はい)
「そのエル様って神と会える?」
「会える訳無いわよ!何言ってんのアル君(笑)」
「神じゃぞ!(笑)」
「「言葉!」」
「エル様の教会とか無いの?」
「村にあるわよ、なんで?」
「会いに行って来る。エル様に」
「え?」
「明日は三人で狩りに行ってね。それとシズクねぇ、あそこにPT居るでしょ?覚えていて明日大森林に居たらオークをヘロヘロにしてから一匹狩らせてあげてくんない?」
「はい、わかりました。アル様お優しいです」
「何よそれ?」
「四日間獲物狩れてないんだよ。リーダーが強いから1匹なら安全にオーク狩れるPTだけど、オークが見つからなくて稼げない日が続いているの。僕の時は一匹だったけど、最近一日三、四匹狩ってるでしょ? オークが居なくなってるの」
「・・・」
「そう言う事なの。シズクお願いね(笑)」
「はい!」
「私がPTの所まで追い込んであげるわ!」
「血抜きの間は暇だしね」クルムさんにウインクされた。
・・・・
ギルドで話し込んでハウスに帰ると20時過ぎだった。
風呂から上がると見た事の無い老婆が居てビビった。
「これだと何歳ですか?」シズクだった。
「それは無し!」どんなけ齢にこだわるんだ。
「これは?」アルムさんポイ可愛い系になった。
「だめ!」
「アル様、どうして!」
「バ・」
「?」
「綺麗な女の人に囲まれたら、みんながヤキモチを焼いて僕が危ないでしょ!シズクが僕と同じ齢ぐらいならシズクは可愛いから僕とカップルと思われるでしょ?ね?」
「はい!」笑った笑った!
はた目にはハーレムPTに見えるだろうが、実年齢のババアPTだ。言える訳ねぇ、知られたら傷つく。俺は絶対傷つくじゃ済まない。
(アル様)
(なぁに?)
(シズクも分かっちゃってますよ)
(あ!・・・)
シズクがニッコリ笑った。
(内緒だぞ!)
シズクがゆっくりと頭をコックリした。
シズクを見ながら喉がゴクリと鳴った。
・・・・
翌朝、日課のランニングと型稽古。クルムさんは応接で縫物してる。シズクは呼ぶと小壺から出て来る。呼べばどこでも来るが木があると簡単らしい。
クルムさんの作った朝食を済ませ皆と分かれるとムストリウ王国のエルフ村に跳んだ。
その辺の男の子に尋ねる。
「エル様にお祈りしたいんだけど」
「あ、御子様!」
ここでもそうなのか。
「御子様って皆が呼ぶの?」
「ポポロ様が世界樹を下さった神の御子様と仰いました」
見てたのか(笑)
「お
「ありがとう!」
歩いてたら あ! と違和感で分かった。
雰囲気が違う、あの概念の世界の匂いがする。
魔素が高いうえに現実が希薄で
偶像崇拝では無かった。この大森林で最も古い大木の根と根の間に相撲の土俵の一回り小さい丸い台があり、横軸4本の鳥居が立っている。
視たら鳥居の中の空間がエル様の世界らしい。
エルフの祈り方は、世界樹に祈ってたあれだな。
「その神台の前でお祈りしてください」
「はい、ありがとう」
来るかな?じゃ無くって行くかな?
祈った。瞬間にあの世界だった。
「人の御子よ、ようこそエルフの世界へ」
「あなたがエル様ですね」
「そうです。子供達を救ってもらい感謝しています」
「子供達というのは、あのアホ共ですね」
「心がそのまま口に出るとはなんと珍しい!」
「あ!すみません、お子さんたちでした?」
「良いのです、あんな子でも同じ
「え!同じ?」
「エルフが望まず進化した者達です」
エルフが進化してたの?・・・えー!
旧人と新人みたいな?・・・えー!
「・・・」呆然。
そう言えば原始人マニュアルみたいの似てたな。
「いつしか心根が醜悪に変わっておりました」
「やっぱり囚われてました?」
「いつかは気が付いたでしょうが目が覚めたのも御子のお陰。世界樹もようもあそこまで立派に!」
「何も知らずに やりたい放題ですみません」
「いや、創世の神々と同じく我も加護を与えた。好きにしてよいとの誓約も聞いており何も問題はない」
あ!また男性側に引っ張られた、危うくポポロ様に!
「アルムさん、クルムさん、シズクにも加護を下さりありがとうございました!そのお礼を言いに来ました」
「そなたと一緒ならエルの加護も役に立つでしょう」
「このシェルに聞きました、シズクはエル様の組に入れて頂けたのですね」
「同じ天と地の神の系譜、世界樹の精霊なら強大になります」
「え?そのような系譜があるのです?」
「そうですよ、創造神から連なる系譜があるのです。元は全てが創造神様の子なのは御子も知っておるでしょうに」
そういや枝分かれしてるけど元は創造神様の子供だ。審判の神ウルシュ様はテミス様の系譜と言ってたな。
「そうですよ、シズクも大地の系譜です」
「なるほど!わかりました」
「精霊は力を使って磨きます。シズクは大きな精霊過ぎて名を与える者がおりませんでした。御子の名を受けてやっとシズクは力を使えます。そこなシェルを御使いに付ける者がいない様に」
(シェル!さすが!)
(えへへー)
「シズクとも仲良くしてあげて下さいね」
「あ!」
「祝福にエルフ娘の本能を解き放ってあげますよ」
「え?」
「何を驚くのです、伴侶を得て種を残さねばならないでしょ?御子に相応しい加護と恩寵を持った娘を・・・」
「ちょちょ!ちょっとまって!」
「何です?」
「早い!まだ早いです!」
「あれ?まだ子を成せぬのですね。それでは子を成せるようになった暁には・・・」
「違う違う!早い早い!まだ12歳!」
「齢は関係ありませんよ、生きとし生くる者、世の全ては子を成し繁栄するのです。種を蒔き残すのです」
「そうですね!全ての生き物がそうですね。でも人間はもっと野生から離れていると言うか。ちょっと違うんです!」
「野生から離れてはいけませんよ。雄として成熟したなら、発情した雌とつがいになり子を成さなければなりません」
人間は年中発情してんだよ!アルムさんが言ってた。
「年中発情してるならなおさら蒔かねばなりません。人間に限らず、良い種は皆に蒔かねばなりませんよ」
あ~!丸見えじゃんか(笑)
「なんですか!知っておるではないですか、強いサルが群れのメスに種をたくさん蒔い・・・」
「あーあーあー!、わーわーわー!」
「今日はありがとうございました!」
「あ!まだ伴侶の話が・・・」
「それでは、帰ります。お元気で!」
「まぁ!エルフの娘をまだ決め・・・」
・・・・
あぶねぇ!あの勢い。最後の言葉がなんとなく分かる。ネロ様はマジ分かってる!ホント分かってる!エル様、伴侶と種蒔く事しか考えてねぇよ。
とにかく子を作って繫栄して、輪廻の巡りを早くして魂を成熟させよとかそんな感じだろ。マジ宇宙の本質の説教だった。
あの勢い。逃げられない。
次会ったら終わりな気がする。
「ふぅー!」気を落ち着けろ、他の事を考えろ・・・
・・・・
よし!
よかった!
なんか怒りに任せてやっちゃった感があったけどエル様が許し・・喜んでくれた、麻痺を治して良かったんだ。まぁ、半世紀後に治しても喜んでくれたと思うけど。
年寄り?麻痺の中に1700歳とかいたからな。
1300年前の穢れの大暴れ知ってるじゃねーか!
まぁ寿命の無い妖精族が実体化して寿命を得たのがエルフと言うからな。そうでも考えないと、人やってらんねぇよ(笑)
お
とても視線を感じる。
視たら御子様に憧れるエルフの娘たちだった。御子様がお
エル様・・・解き放って無いよね?
これを見たから積極的だったんだよね。
平静を装い、周りに笑顔を振りまきながら手を振って歩く。女の子(明らかに100歳行ってても)に注目されるとにこやかにサービスしてしまう俺の汚さはなんだ。邪念しか無いのか。
・・・・
心を癒しにリフォームハウスを見学に来た。
アルベルトハウス
https://gyazo.com/3083c68985f085ab4e23f4632430e76c
二週間程?少し目を離したすきに玄関のポーチ部分(上は手すりの付いたベランダ)が出来ていた。屋根も張り出してお見送りのメイドも主人も濡れずに馬車に乗れる。
上手い事作るなぁ。手すりは言ってた通り前のベランダの手すりの支柱を使ってお金を掛けています風。
中に入って見る。
導師ハウスの二倍どころじゃないぞ、これ。
あ!アホか!長さ・奥行二倍なら四倍あるじゃねーか。
奥行きは二倍まで無いから四倍弱かな?天井の高さがハンパない。
へー、こんな風になっちゃったんだ。
なんか階段もお貴族風なゴージャスな階段だ。
この柱は二階の廊下だな・・・あれ?ぐるっと廊下になってる。へー。あ!前面のベランダが無くなったからオーシャンビューの部屋も全部取ったんだ。
それで吹き抜けを広くして明るくなった。
奥の裏へ回ると・・・
やっぱ使用人の部屋はどうしようもないな(笑)
四畳ぐらいか?これ。
三家族のメイドと執事が泊るならなら絶対必要だったし使用人のお風呂とかトイレもそのままだな。
冒険者活動用のPTハウスだな。
良いね良いね!客用トイレも一階に三つ。
うほー!キッチンも食堂も広い!
応接は?テテテと走る。
ぐは!なんじゃこれは。
ここがパーティーホールほどもデカい(笑)
奥に小さなキッチンまで付いてる。
導師用の研究室は、おぉ!充分広い!
まぁ、ここはクルムさんの部屋になりそうだな。
横がお風呂か。
五人ぐらい一気に入れるな。
へー。嬉しいなぁ・・・二階に上がる。
あれ、パーティーホールに部屋が無くなってる。
あ!採光とか考えて立食と開放場所でパーティーか。
それでバルコニーを!憎いな。
あれ?・・・あ!屋根裏部屋が作ってある(笑)
二階じゃ無くて上に作ったか!やるな大工さん。
要件を満たした上にとんでもなく明るくなってる。
うん、導師の部屋もイイネ!
客間、広いね。
師匠はツインかな?リリーさん来ねぇだろうし保留だなぁ。
アルムさんはなんかキングサイズって感じか(笑)
あ!こっちもメイドの部屋が!お付きのメイド用?
そんじゃ下の三つは執事用か。
トイレも三つ。あれ?この上も屋根裏部屋がある!
うひょー!って俺の部屋じゃねぇしいいや。
最後に俺の部屋・・・ドキドキ。
俺の部屋に入って見る、広い!だだっ広い。
あ!トイレまである!わーい!
個室の専用トイレは中々無いぞ。
専用バルコニーまで!最高だ!
これ、後二か月位で出来ちゃう感じ?
まだ二階の天井張って無いしな。
二階の周り廊下も梁に乗せてあるだけ。
作り付けの家具やら形だけで何も出来てない。
でもだいぶ出来て来たなぁ。
ここまで形が分かればイメージも湧くよ。
窓から外を見るとアンナがお茶の用意をしだした。
あれ?大工さん居るんだ。
視たらガレージでベッドを大量に作ってた。すでに棚も机も椅子も出来上がってる。わーい!
壁とかドア作る前に家具を入れちゃうんだな。
視てないで走って行った。
「アル様!」
俺が飛び出してきたのでアンナが驚く。
「ゴメンゴメン!僕の分もお願い」
「はい!」
「こんにちはー!」
「アル様!」
「リフォーム見せて頂きました!素晴らしい!」
「見て頂けましたか!」
「最高です!屋根裏の部屋で屋敷があんなに明るく!」
「分って頂きありがとうございます!」
「アル様の不在が長かったので勝手に変更いたしました」
「仕方がないです、すごく良くなってます」
「作り付けの家具もこんなに!」
「はい、同じ作りの部屋が多いので、同じ家具じゃ無いと調和が崩れるんでさ(笑)」
「棟梁のお陰で素晴らしい家が出来そうです!」
「いやー、あの様な贅を尽くした木造の物件を直そうとされるアル様もお目が高いですよ(笑)」
「いえいえ、とんでもない」
「あの屋敷を作った大工の腕が良いんで、こっちも負けちゃならねぇと頑張ってまさぁ、なぁ!(笑)」
「まったくだ、レンガ作りよりよっぽど身が入る」
「柱や梁が歪まねぇから隙間なく作れるしな」
「あとキャンディルム伯が見えられて、暖炉は要らないと申されましたので用意はしてないですがよろしいですか?」
「その様に願います」
「あとお願いなんですが、内装や、カーテンなどもロスレーンで有名な店に連絡して・・・」
「領主様に先日伺いました」
「え?よろしくお願いいたします」
「皆様、お茶の準備が整いました、ご休憩ください」
「アンナありがとう」
「はい、みなさんもこちらへどうぞ」
「アル様、コテージハウスは見ましたか?」
「いや、まだです」
「コテージハウスの方は言われた通りに出来てます」
「え?、もう?」
「あはは、あれならすぐですよ」
「家の裏です?」
「はい、薪小屋は取って小さくなりましたが、要望の通り二段ベッドを作っておきましたよ。シンプルに作りました」
「ちょっと見て来ますね」
家の裏に俺の秘密基地があった!わーい!
宗彦シェルターに負けてない!魔法が有るから!
次回 162話 外道VSウルフ
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