第154話  新解釈




東街で魔法袋用のバッグを買った翌日は雨だった。


屋敷で体育館練習屋内鍛錬してからクルムさんを朝食に迎えに行った。


応接の机にカバンと裁縫道具があった。もう一個目のカバンに内袋を縫い付けてる。昨日の晩から朝でそこまで?メチャ早い!


朝から元気に働く田舎の婆ちゃん思い出した。(朝起きるとすでに収穫したサヤエンドウの筋を縁側で取っていた)


裁縫していた手が止まってクルムさんが目を上げる。

目が点の俺と目が合った。


「おはよう!ご飯だよ」

「おはよう。そうね」



ロスレーン家の食堂で朝食を取りながら、今日は雨だから神聖国で御子の仕事があると(アルムさんと出かける事を)伝える。


クルムさんはお金もらったからカバンの仕事を進めると言う。エルフ村から持って来た食材が勿体ないのでお昼は自分で作るって、昨日もハウスの台所に慣れるように作ったんだって。


シズクは神聖国へ一緒に来るって言った。


「アル様の仕事が見たいです」


「家内仲良く、親と子を大切に。とか言う布教だよ?まだね、リノバールス帝国だった頃を忘れてない人も地方に少しいるの」


「アルムがいたら大丈夫よ!」


「はい!」


「そんじゃ仕事の間、アルムさんと離れないでね」


お爺様とお婆様が俺達4人の騒がしい会話を聞きながらパンにヤギのバターを塗っている。


メルデス寄ってクルムさんを置いて跳んだ。



神聖国の荒れ地の郡は晴れていた。


目の前の荒れ地を見てシズクに聞いてみた。

「荒れ地に世界樹植えたら草原になる?」


シズクは壊れる途中の物は壊れないと再生が始まらないと言う。と禅問答?を言われた。


「でもキラーワームが襲って来るんだよ!」

「滅びる途中の再生を邪魔しに襲いますね」


ニッコリ言われる。


にぶっ飛んだ!


なんか混沌も良い事してるみたいだ。

人には迷惑過ぎるけど、シズク的には良い事みたい。


開門村で植林してた木を荒れ地に植えた。

「アル様、無駄ですよ(笑)」ニッコリ言わないで!



今日は郡の300~3000人規模の村と街を転々とする。(1万人以上の街は最優先で潰して行ったから小さいのしか残ってないの)荒れ地の郡は基本的に楽。ポツポツ残ってる耕作可能地に点在する村と街を巡るだけ。


街を俯瞰して。イリュージョンで注目!>叩き込んで拡声>布教。自首に動く者は罪人なのでそのまま武具や財産強奪。


近くの村や街を検索して跳び、布教の連続だ。布教してから街で食事を取ると、住人の態度が激変する。


とにかく身内扱いしてくれるのだ。(主人だけど)

だから俺は神聖国の冒険者ギルドが大好きだった。


傭兵団は仕事も無くて傭兵ギルドも潰れている。他の仕事してるけど以前に獣人差別で殺っちゃってるから自首しちゃう。罪人の財産を没収。検索で強奪一発だよ。


街の皆が自首する者に温かい。

ポツリと言えば罪人詐欺が出来る(笑)


そして・・・それがバレるととんでもない事になる。

って怖いよ。



以前の獣人狩りそのままの逆パターン。山狩りならぬ街中をすべてが覆いつくすとなる。ハンターが門を封鎖して必ず捕まって鉱山行きとなる。


「明日の朝の馬車で鉱山に行くのさ・・・」

「この街最後の食事なら驕るよ!元気出せ!」


・・・2日後・・・


「お前!2日前に鉱山でって、この野郎!」

と最初は一人の人間がハンターに変わり、追われる。


「そいつ詐欺野郎だ!」


その言葉を聞いた者がゾンビより早く音速マッハ1で感染する。最後には街中の人間がリアルハンターに変わる。


が「ちょろいぜ!」と実行するとそれが見せしめとなって親切な人を騙す奴もいなくなった。



親切でとても良い人達なんだけど、怖い国である。逆にこんな安全な国は無いと移住して来る人達も多い。と言うか、移住して来て通りがかりの隊商共々俺の布教に巻き込まれる。


罪を犯さない弱者にはとことん優しい国だ。


子供の面倒から仕事の面倒、スープが余った、BBQに通りかかった。人の喜ぶ顔が見たくてしょうがないから声を掛けまくる。食事して酒飲んで意気投合して仲良くなっちゃう。


独身でいると街中世話を焼く人だらけ。誰を紹介しても真面目に働き、家族を幸せにするから鉄板の縁組だ。


この世の人達は、皆が当たり前に助け合う。

この国は助け合う。


もはや田舎の無法集団だ。



怖さが伝わらないな。あっちの世界で例える。


世話好きなおばちゃんたちが外を歩くついでに窓から部屋を覗き込む。1Kでカップラーメンすすってたら、さあ大変!


ヒョウ柄の軍団が雪崩れ込む。


「ええとしの子が何寂しく食ってんねん!」バシ!


「ヤダこの子、ワロてまうわ!」バシ!


「おばちゃんがええ子紹介したる!出といで」バシ!


それをも布教されている!勤勉で人に優しく、善意で微笑んでそれを受け入れる。


大通りへ引き摺り出されて、氏名・年齢・職業・出身・月給まで暴かれ1Kに帰る頃には結婚前提の彼女持ちだ。


独身でいると街中世話を焼く人だらけ。誰を紹介しても真面目に働き、家族を幸せにするから鉄板の縁組だ。


鉄板とは意味だ。


俺は教会の御子だ。光曜日の結婚ラッシュを知っている。聖教会前で自分の花嫁を間違う位に盛況だ。合同結婚式か!


神の御子と誓約を交わす人達だ。



・・・・



途中の小さな村に寄ると、オークの家族が山から下りて来たのを見たと大騒ぎなので辺りを検索してサクッと狩った。魔石を取って村に肉を持って行った。村に布教したら罪人のSPで各種恩寵付けて次に飛ぶ。


※魔石はお金同様どこでも換金出来るので貨幣より便利な面もある。アルムに色々教わってからアルは売ってなかった魔石を全部売った。(溜まった魔石をアルムに知られて説教され売った)



・・・・



暇を見て導師の所へ行った。


覚えた魔法が2~3あったのだ。


「導師!」

「おぉ、無茶はしとらんだろうな?」

「何ですか?ソレ!新しい魔法を仕入れて来たのに」

「お?新しい魔法じゃと?見せてみい」


「どうしようかなぁ?(笑)」


「アル!お主まさか!」

「ふっふっふ!」


「必要無かろうと教えなかった魔法か?(笑)」

どて!


「え?必要じゃない魔法も教えて下さいよ!」

「まぁ、仕入れてきた魔法を見てからじゃの(笑)」


「禁術ですが使えないので研究に役立てて下さい」

「む!禁術か」

「良く見ててください、単純で奥の深い魔術紋です」

「・・・」


「これ反魂の魔術紋です」

「おぉ!今どき珍しいの」

「知ってました?」

「おぉ、使ったら神に唾する輩になるの」

「そうなんですよ、死兵を3000操ってました」

「なに!まだおるのか?」

「南の中央大陸にいました」

「・・・」さすがに知らんわな(笑)


~~~


「・・・まぁそういう訳です」


「戦争中なら仕方がないの。負けたら死ぬでの」


「イヤ、術者は蝕まれていたので恩寵ごと取りました」


「なら良い。うむ!それで御子が知ったのじゃ」


次はですね・・・コレ。


「導師に掛けますからね」

「ん?」

「お!なんじゃこれは!」

「動いて見て下さい」

「体が重い!」

「もっと行きますよ・・・段々と重くします」


導師が重い体で魔力の編込みを注視している。


「重いわ!潰れるわ!(笑)」

「見ました?」

「おぅ、見たわい!」


言うなり使ってきた。うほっ!仕返ししてる(笑) 負けるか!おりゃー!ほれほれほれー!


二人でやっていたら奥からアルノール大司教が珍妙な目で見てるので一緒に掛けてやった。


「おー!ぐぬぬぬ」机に突っ張って耐えている。

「むむむむむっ!」意地張って立っている。

「ぐぐぐ!」自分より相手の歪む顔が見たい。


爺ぃと初老と子供が顔を引きつらせ重力と戦う。


「アル!わぁた!わぁた!」皺が伸びた。

「わーい!勝った勝ったー!」飛び跳ねる。

「イヤ、アルノール卿が可哀そうでの」

「そんな事言ってー!(笑)」

「御子様!今の魔法は!」顔を割り込ます。


「重さを変える魔法ですね」

「おー!少々お待ちください」


お茶を飲んで最近の話をしていると・・・


「御子様、この紋に先程の魔法を」

「継続紋!あ!そっか!」


木板の継続紋にクソ重いを放つ


「魔石で発動した瞬間に木がヒタヒタまで沈んだ」

「沈みませんでした(笑)」木ってすげー!

「御子様、充分です!反転で浮きますぞ!」


※構築した魔法陣の回転を反転させる。土魔法の掘るホールと埋めるホールが反転の関係。魔法陣が360度の相対称的図形(シンメトリック:魔術紋の真ん中に(魔術紋の公式に沿って)鏡を置いても元の紋から崩れない同一形状)の場合に反転できる。


研究して魔法陣をシンメトリックにするのが大変だけど、導師なら3次元の編込みを改良して魔法陣に出来ちゃいそう。


仕事で使う便利な魔法は魔法士が必要な上、魔力量も問題。そんな魔法は社会的にあんま意味無いの。荷台を軽くしても魔法使いを雇わないとダメだし、道中何度もやってたら魔力無くして終わりだからだ。


だから魔術紋にして魔石で使えば魔法使い要らない。

※魔石に関しては魔力内包量が大きく出力も高い攻撃魔法用の軍用魔石も存在するが後述する。


「・・・」

「・・・」

「あ!」

「あー!」

「そうです!広められない危ない魔法です」

「そっち?荷車が軽くなって商人が喜ぶと思った」

「両極端じゃの(笑) 有効な魔法ではあるの」

「その様な事は思いませんでした(笑)」

「ふーむ。面白いのぅ」



後ですね、これ!


ミニチョレスを掻き鳴らす。


「うるさいわ!」

「御子様、研究室では他の者も・・・」


「違う違う!この中見て下さい、海商国で発見しました。反響の魔術紋です」


「ん?お!遮音の魔法から来とるの」

「興味深いですな、反響増幅させるとは」


「これ、聖教楽団の共鳴箱のある楽器なら深い音色になります。教会の石作りだと残響音があるので聞きながらの調節になると思いますが、各楽器の反響音はこの紋の回転部分で調節できます。これ利用したら凄い楽団になりますよ」


「そうですな!深みが増しますな!良いですな!」


「興味が尽きませんな、本当に魔法は面白い」

「そうじゃの!不思議な面白い事ばっかりじゃ(笑)」


この雰囲気で腕輪を直す話を出そうと思ったら、(楽団所属は教会部)と走って行ってしまった。


網に掛かってたのに逃げちゃった!もう!せっかちさんめ!(お前が言うな!)



・・・・



褒章授与まで12日となる日に夕食で言われた。


聖教国の授与式を家族全員で見たいそうだ。


「食事後に聖教国に家族出席の件を聞いて参ります」

「折角の機会じゃ、孫の褒章を見たいでの」

「はい(笑)」


視たら、言ってみよう感がすごかった。遠慮してないで見たいって最初から言えば良いのに(笑)



・・・夕食の最中・・・



クルムさんが裁縫をやりに戻りたいと訴える。

メルデスで食事を作りながらでも縫いたいと言う。食事を終えたらメルデスに連れて行くと約束したら嬉しそう。


すでにクルムさんのマジックバッグは、手作りでカラフルな可愛い魔法巾着に作り変えられていた。アルムさんがメチャメチャ欲しがって自分のバッグでお揃いを注文し、完全にツボにハマッてしまったらしい。


アルは広告で折った四角のゴミ箱(ミカンの皮を捨てる用)を婆ちゃんが山ほど作っていたのを思い出した。


お婆ちゃんてそういうのに燃えるよな?



食事後メルデス経由でアルノール大司教の研究室に跳んだ。


「あ!いたいた!。導師!」

「なんじゃ、こんな時間に(笑)」20時を越えている。

「14日の授与式はレンツ様呼ばれます?」

「気にしとらんかったの(笑)」

「だと思った(笑)」


「私からお耳に入れて、出席だけお聞きしましょうか?」


「おぉ、そうしてくれ。儂が知らせて?とは聞けぬでの。強要しとるみたいじゃ(笑)」


「そうなっちゃいますよね(笑)」


「アルムさんも貴族服作りましたので関係者で近くに置いて良いですか?」


「おぅ、構わんぞ」


「うちのお爺様が家族で見に来たいと言い出したので、今からレンツ様も含めて教皇様にお願いしようかと思うのです。師匠の奥さん来月に産月なんですよ、人ごみの中では辛いと思うのです」


「そうじゃの!リードの褒章なら見たいじゃろう」


「あとですね。ちょっと相談したいことが・・・」

「どうした?」

「これ見て下さい」

「ん?伐採Lv10?土魔法ⅡLv4?インベントリⅡLv5?」


「アル、ちょっとこい」

「え?」

「ほう!もう6門は開いておるな、なるほど第2門、3門がⅡになって大きくなるか・・・不思議で面白いのう」


「調節しておこう」

「あ!それ!・・・あー!」

「あつつつつ!あー!」

「あーーー!」

「やーーーーあ!」

「おほほー!」

「良いじゃろう、巡らせてみよ」

「あ!すごい!すごい!導師凄いです!」

「よう巡っておるな(笑)」



「Ⅱって見たこと無いです?」

「文献ではあったの。見たのは初めてじゃ」

「どういう時にⅡは付いたんです?」


「穢れの凄いのを倒したときに闇魔法Ⅱが付いたとあった」


「あー!」

「お主もなにか倒したか?」

「世界樹殺しかけました」

「んぁ?」


「ハイエルフの世界樹斬り倒したんです」


#「何をやっとるか―!」

両手で机をバーン!


「いや、もう大丈夫です。治りました」

「ん?」


「ハイエルフの世界樹は無くなりましたが、他の国にデカいの作っておきました」


「・・・?」


「こないだのあの子元気だったでしょ?」

「おぉ!その世界樹だったのか?」

「切り株になって、あの子死に掛けました」


「穢れなら良いが、お主が言う秩序の側の大精霊を殺すところじゃぞ、もっと気を付けよ!」


「はい、すみません」


「世界樹じゃからの、大地を統べるとか、大地の繁栄を司る植物の大精霊をお主が殺しかけて付いたのじゃろうな」



「伐採Lv10なら木こりになれ、向いておるわ」

「・・・」


「世界樹が切れる世界一の木こりじゃ!」

「・・・」


「儂も若いときは木こりに憧れてのう」

「・・・」


「兄者とキャンディルの山に行っては・・・」


「師匠いないから、止まらないじゃ無いですか!」



・・・・


20時半に教皇を訪ねる常識外れな奴、それはアル。


教皇の間に通してもらった。


「教皇様、こないだはありがとうございました」


「なんのなんの、ムストリウの返答はまだ来ぬぞ(笑)」


「今日は14日の授与式の件なのですが」

「ん?何かあったのか?」


「うちの家族が晴れ舞台を見たいと。ベント卿の伯爵のお兄様も誘ってないと先程お聞きしたのです。リード師匠の奥さんは来月初産なので人ごみから見せるのも危なく思いまして」


「なるほど。教会部のミイルフ大司教をここに」

部屋に控える侍女に言う。

「かしこまりました」



「教皇様、夜分に何か御用ですかな?」

「教会部に願いがあるのじゃが御子様に聞いてくれ」

「御子様、先日の世界樹は目福でございました」

「一度は見たいですよね。双子の世界樹」

「神の御業とは凄いものですな」


「今日はお願いがあって来ました」

「何でしょうか?なんなりと」


「うちの家族。伯爵家なのですが私の晴れ舞台を見たいと言いまして。先ほどはベント卿もお兄様の伯爵に知らせてないと仰るのです。リード卿は奥さんが来月初産で人混みの中から晴れ舞台という訳に参らぬのです。何とかならないでしょうか?」


「人数はどんな感じでしょうか?」

「今から伯爵家に伺い、ベント卿のお兄様の意向を聞いて来ます。うちの家族は5人です。リード師匠は奥さんに介添えが必要かと思います」


「明日の朝にはお分かりになるのでございますね」


「はい、明日の朝ミイルフ大司教をお訪ねします」


「それであれば、伯爵家のご家族と執事1メイド1 で御子様とベント卿の人数をお決めください。男爵家はご家族と執事1メイド1介添え1に致しましょう」


「はい、わかりました。皆が平服でよろしいですか」


「皆様、格式のある平服にて、教会内に入られます時は帯剣は無いようにお願いいたします」


「そう伝えます」


「その様に宿も手配させて頂きます」

「ミイルフ大司教。ありがとうございます」

「なんの、ご心配無きように」

「教皇様、ありがとうございました」

「何を仰る御子様。当然の事です」


「それでは夜分遅く失礼しました」

「なんの」

「いえいえ」



・・・・・



21時過ぎでも平気で伯爵邸に行く奴、その名はアル。


キャンディル伯爵家に跳んだ。


部屋のベルを鳴らす。

チリンチリン~チリンチリン~


「アル様!お久しぶりでございます」

「ダムトルさんお久しぶりです」


「レンツ様はいらっしゃいますか?」

「執務室にいらっしゃいます、こちらへ」


「御子殿!久しぶりじゃのう!」

「レンツ様お久しぶりです」

「今日は夜分に何か火急かな?」

「はい、14日に導師が褒章を授与されます」

「お?聞いておらんな」

「導師が伝えて無いのです」

「して?何の褒章じゃ?」

「聖教国:一位円環聖騎士勲章という褒章です」

「聖教国じゃと?」

「はい」


「帝国から多数の獣人奴隷を開放し、聖教国に貢献したと言う理由だそうです」


「なるほどのう、ベントと御子殿の仕業じゃったか(笑)」


「内緒ですけどね(笑)」


「聖教国の凄さが周辺国に知らしめられたからのう(笑)」


「まず、お聞きください」


~という訳です。


ふむ、ダムトル。予定はどうなっておる。

式典は日曜日なので問題は有りません。

13日・・・も問題ありませんな。


「弟の褒章じゃ、儂だけ出るかの?」

「奥様はよろしいので?」


「儂の奥は謁見前のパーティーだけでも嫌がるのじゃ。そんな所はドレスの品評会になるでの、誘わぬが良い」


「あー!(笑)」

「分かるじゃろ(笑)」


「それならば、今回護衛が許されておりません、長年護衛を務めたエルフのアルムさんを同伴して頂けないですか?」


「おー!アルムか!あれもベントに付いて長いのう。良かろう!アルムを連れて行ってやるぞ」


「それではレンツ様、アルムさん、ダムトルさん、あとメイド長のマリーさんでよろしいですか?」

「ダムトル。良いな?」

「そのように」


「それでは、13日の朝8時40分に迎えに参ります」


「御子殿お願いする」

「はい、失礼いたします」



・・・・



22時近くなっちゃった。


お爺様に会いに行く。


ジャネットが出て来る所でノックと開くのが同時だった。


「アル様!」

「遅くなりました、すみません」

「おぉ。待っておったぞ!失礼は無かったろうな?」

「失礼はありませんでした」


※用事があれば21時半まで電話が許される高校生男子のが異世界に適用されていた。だから村長の家のドアもドンドン叩く。地位も時間も気にして無い。



「まずは、家族と執事1メイド1。褒章の関係者として教会内で過ごせます。貴族の平服、教会内は帯剣不可になります。13日の朝から15日の朝まで教会が相応しい宿を用意するとの事。費用は払うと申しましたが聖教国の事。用意されるでしょう。


取り合えず聖教国通貨は、教会の脇でコルアーノ通貨を交換できますので13日に聖教国観光もよろしいかと思います。


レンツ様は4名で行くそうです。13日8時40分に迎えに上がります。


レンツ伯、アルムさん、執事長ダムトルさん、メイド長マリーさん。うちはお爺様以下5名、シュミッツ、ジャネットでよろしいですか?


リード卿も奥様が晴れ姿を見られるようにと仰ってくださいましたので教会内なら万全かと思います。


「よし、わかった。それでよい」


「明日早々師匠にも伝えます。それでは失礼します」



・・・・



部屋に帰った。


腕輪でお着換えしてクリーンした瞬間にノック。


出たらジャネットだった。


「これをお見せに来ました」


マジックバッグだった。


「ご家族分は出来ましてございます」

「もう出来た?え、10日ぐらい?早いね」

「入って入って!」


「確認させてね」

「お願いいたします」


「うん、認証、解除問題ない。ちゃんと出来てる」

「よろしゅうございました」


「誰が作ってくれたの?」

視れば分るけど聞かないと。


「メイド修行の裁縫と申しまして、私が指導しながら、お付きの者が仕上げましてございます」


「分った。皆、嫁に行くとき礼は用意する」

「アニーも頑張ってございますよ、あと2~3日かと」

「あはは、やってんだね。それはいいね!(笑)」


「どうやって好みとか調べたのさ!聞き出すのが一番大変と思ってたのに(笑)」


「結婚前の副メイド長の時から、復帰してなおラルフ様に付いております。間違いはございません。他のメイドも皆、お付きになって何年も主人と一緒でございます。私もデザインを確認いたしました。喜んで頂ける筈です」


「ははっ。買い物も一緒だからね。そっかー!」


「ジャネットはどうするの?そのまま?」


「あの布は貴族の栄華そのまま。準男爵ではとても!」


「そんじゃ、今度の聖教国に間に合いそう?」

「間に合わせます」


「シュミッツにも渋いの作れないかな?」

「伯爵家の執事が持つにふさわしい物をお作り致します」


「ジャネットとシュミッツの分が出来たら、お爺様から正式に二人に賜るようにするね。伯爵家の当主から執事長とメイド長に賜れば公私に渡って普段から使えるよね?」


「そうして頂けると助かります。マジックバッグはとても高価です。おいそれと手に入る物ではございません。ラルフ様から賜ればシュミッツも私も気兼ねなく使えます」


「それなら二人の分が出来たらお爺様に持って行きます」


「わかりました」


「ジャネット。ホントありがとう!」

「いえ、どういたしましてアル様」

「遅くまでありがとうね」

「それではお休みなさいませ」

「おやすみ」





次回 156話  謳いまくる奴ら

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