第86話 暴れて!この子は
朝。
昨日シヨンと同じマントで寝てアラームを使わなかった。それでも5時にちゃんと起きる。久々に9時間以上寝た。シヨンも早く寝たからなのか横でゴソゴソし始める。
まだ辺りは暗いが魔法ランプの小さな明かりで前を見ると、そこには服を脱いで肌を拭いてるご婦人方がいた。見た目若いどころか小さな明かりで見る裸は艶めかしくぷりんぷりんだ。
マズイ!
見て無いよと「うーん」と言いながら逆向いて転がったのがダメだった。眼の前でシヨンがすっぽんぽんだ。ご婦人方の様にはじらいなど無い。丸出しだ。目が点で固まる。
時が止まった一瞬後。
ぎゃー!シヨンも横で裸になってる!
「アルも起きたの?早く服脱いで拭きなさい」
お前!裸で寄ってくんな!ってか俺を脱がそうとするな。
「嫌がるんじゃないの。本当にもう!」
「僕はいいの!僕拭かなくていいです」
「拭かないとダメよ!汚いじゃない」
「いいです、汚くない!大丈夫、間に合ってます」
クリーンがあるんだってば!やめろ!服脱がすな。逃げられない、ドア開けたら裸がまる見えだ。
「暴れて!この子は。しっかりしなさい!」
バシッ!
頭叩かれた。床に押しつけられた。全く勝てない。
おまえ!すっぽんぽんで何してくれる!
身体強化無いとこんなに弱いの?マジか、マウント取られたヤバイ。めちゃ力強い!バカやめるれ!俺はお兄ちゃんだぞ、雫のだって見てんだか・・・ダメだ!俺がされ、あ!ダメェ!お兄ち、やめて! お兄ちゃんのは・・・よして!
不意に関谷のみょうがを思い出した。あいつ!関谷!お前もこうだったんだな!てめぇ、許さん。弟を何だと・・・あ!脱がされた。ダメだ。もうだめだ。拭かれた。俺のみょうがも念入りに拭かれた。お尻のあそこも拭かれた。
・・・・
「そんなに恥ずかしかったの?気にしなくていいわよ」
ふざけんな!つまんで見てたじゃないか!裏まですごく見てたじゃん。お前いい加減にしろよ。ガン見で打ち首にするぞ!尻の穴まで見やがって。満足したか!強姦魔!
「こんなに汚れてたわよ」
そりゃ、お前だ!お前が汚れてたんだ。俺が汚れてる訳無いだろ。汚れた汁をなすり付けやがって。お前も早くクリーン覚えてくれよ、頼むよ!お願いだよ。興奮しすぎて鼻から汁が出るよ。
「・・・」
「あら、アル良かったわねぇ、すごく綺麗になったわよ」
「・・・」
「ほら!綺麗になったって。良かったわねぇ」
ふざけんなてめぇら!そんなおためごかしはいらん!頭撫でるな。機嫌取ってんじゃねぇ!はやくぷりんぷりんをしまえ!視たら綿の乳袋がついたブラの原型?バンドっぽいもので覆うみたいだ。って何視てんだ。早く出て汁をクリーンしたいんだよ!
脱がされ散った服を集めて着た。
なんか・・・体に力が入らない。
手が強く握れないよ。
もう俺はダメかもしんない。
シヨンお姉ちゃんと一緒に汁を捨てに行った。
手を繋いで帰って来る間、クリーンを覚えたら一発などと言っているが、クリーン覚えても粉と戦争になることを軽く考えている。あはは・・・ふぅ。3歳違うと何も出来なかった。
(体格差は7歳と13歳である、シヨンに勝てる訳が無い)
考えたらアニーはおんぶして階段も普通に上がってた。
もういい、何も無かった。お姉ちゃんに噛まれただけだ。
皆の朝食の用意を見ながら箱馬車へ向かう。ようやく朝もやの木々を割って朝日が差してくる。バタバタしてただけで6時過ぎになっていた。箱馬車へ着くと昨日早くから野営をしたので朝を食べたらすぐに出ると言われた。皆がパタパタ動いてて先頭の馬車に乗りたいと言える雰囲気じゃなかった。(お姉ちゃんから逃げたかった)
今日は虎獣人のお姉さんが馬に乗って馬車の横に付いている。見てるとウインクしてくれる。わーい。他の獣人より体付き自体が大きい。やっぱ虎獣人の種族特性とかだろうな。俺はあんま属性無いからアレだけど、皆はやっぱ犬とか猫の獣人が良いんだろうな。
ハーフとかクオーター?とかで毛の場所までだいぶ変わってるんだよ。アニメやラノベみたいな人間に耳と尻尾がついた女の子じゃない。頭にクルリと角有る羊獣人もいる。牛獣人はあっちで言うプロレスラーだ。肌もさぁ茶や黒、白もいる。
萌えるような存在じゃないんだよ。マジどうでもいい。獣人いるな。でお終いだ。それ以上ない。
アニメと違ってリアルの獣毛なんだよ。
玄関で尻尾振ってる犬とかエサをねだる猫は可愛いよ。
あの金時の定夏みたいなデカイのが二足歩行で歩いてたら萌えるのかって話だよ。それはもう野生のクマだよ。
獣人は二足歩行して動物みたいな人もいるけどやっぱ人の街には動物そのまま系は少ない。良く見るのは目の前の虎獣人のおねえちゃんみたいに人間に耳と尻尾つけて頭から背中に毛が生えてる獣人だな。背中の毛はしっぽまで繋がって終わる感じ。
背中の毛が面積が広くなってお腹と首、肩、腕と増えて行く感じなのかなぁ、獣の血の濃さ?が出てるのかも。
うちの領地は交易中心で成り立つから獣人も珍しくない。
オードに攻めてきたリノバールス帝国は獣人差別の国だ。と言うのも元々が獣人を奴隷狩りで捕えて貴重な労働力として使ってきた背景があるからだ。今は教会の定めた教義によって立場が保証される人や獣人としての尊厳のある奴隷だ。尊厳あるのかって話だよな(笑)
だからそっち方面からは獣人はあまり入国してこない。獣人だって差別あったら胸糞悪くて通りたくないよな。聖教国方面から知恵や技のある獣人が入国してくる感じだ。
コルアーノ王国は差別はしてないが、別称はある。
横を進む虎のお姉ちゃんもそれを聞くと飛び入りで参加して、悪かったな、毛者で!と腹パン一発KOしてるのが視える。食べて飲んだばかりの物がレインボーで噴出している。
捨て台詞が「この毛無しが!」だ(笑)
こっちと言うよりあっちの差別用語に聞こえる。
獣人は力系と早さ系が凄い数字で身体強化まであるからな。俺は自分から絶対ケンカしないぞ。
俺が見てるので虎のお姉ちゃんが手を出してくれた。箱馬車の跳ね上げ窓(板を上げる窓)から俺も手を出して繋ぐ。こういうの面白い!シヨンも俺と交代で繋いでもらう。虎のお姉さん護衛でうちの領にずっといて欲しいなぁ。
休憩を挟んで昼になった。
固いパンとポトフだ。芋は山芋系とか冬瓜みたいな大きな野菜も入ってる。視るとカブ系と里芋系だった。パンが固いのよ。乳歯が悲鳴を上げるわ!まぁ身体強化で無事だと思うが、パンと見ると忘れてかぶりつく俺が悪いんだけどそれでも酷い固さだ。マジで口が切れるんだぞ!
不意に害意に引っ掛かる視線を視た。
2人の盗賊だ!なんでいるん?
師匠と導師が取り逃がしたのか?と思った。
視ると隊商襲った後に他の商人襲おうとしてた3人のツレだった。3人が遅いので待つのを止めて見に来てた。速攻で恩寵盗って2人の名前で冒険者に検索、指名手配とかじゃないな。しょうがない。
虎のお姉ちゃんに盗賊みたいのが2人居ると教えると冒険者が4人慌てて馬に乗って向かって行った。2人は馬を回しすぐに逃げようと走り出したが、そこで盗賊に麻痺。そのままの勢いで落ちてコロコロ転がって捕まった(笑)
馬車に盗賊が2人増え、また馬が冒険者のお小遣いになった。鞍とかの馬具も高いんだよ。盗賊の採掘と封印は当然付与している。みんな領主家の鉱山に行く大事な労働力だからな。抜かりは無い。
盗賊の乗った馬車を見ると綺麗になっていた。あれじゃ水もやれないからな、賞金も貰えるから綺麗にしないとね。
ミリスが見えてきたのは3日目の夕方だった。隊商が順番来るのに40分以上待った。税金を納めるが大した税じゃ無い。街に滞在する利用料金みたいなもんだ。隊商の滞在証の札を貰って進む。
ミリスの街は、うちのロスレーン家初代様から生まれた兄弟の弟の方がロストミリスよりミリス家を名乗りミリスを治める男爵となっている。人口約2万3千人。うちの領では3番目に大きい街だ。2番目はギシレンの街だが今はいい。
ここで隊商は交易をしてから旅立つので2日後か3日後まで滞在すると思う。隊商の常宿に着いて皆さんにお礼を言う。シヨンとお母さんにハグをしてバイバイした。虎のお姉さんと狼のお兄さんが貴族の宿まで手を繋いで連れてってくれた。
二人共デカイからFBIに捕まった宇宙人みたいだ。
冒険者の狼のお兄さんがカウンターでベント卿に取次ぎを頼むと慌てて従業員が迎えに行ってくれた。しばらくして導師が現れた。
「おぉ、アル!無事に着いたようじゃの。良い良い」
「お主らも御苦労じゃったの!」銀貨2枚渡す(2万円)
「行儀のよい坊ちゃんでしたよ」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
最後に抱きついた。ホントに人間も獣人も関係なくニュートラルなお姉ちゃんだった。
「護衛の仕事も気を付けての」
冒険者と分かれた後、部屋を取って荷物を置く。師匠に食事の後でベント卿の部屋で話すと言われたのでノストリーヌに会いに行った。厩舎に顔を見せるとメッチャ喜ぶ、マジご主人て分かってると思うが、癒しが目当てか?とも疑っている。
ご希望通り癒しのヒールを3頭に掛けてやる。厩舎はさすがにメチャ綺麗、行きとどいてるわ。やる事無いので他の枠の馬にも掛けてご機嫌にする。
3日間碌に鍛錬して無いので視ながらの模擬戦をやっておいた。傍から見たら厩舎の前で模擬剣振り回すなりきり冒険者だ。食事の時間になったので個別食堂に入るとメイドが3人に付いていた。これは絶対高い!怖い。さすが男爵領(笑)
※部屋付きじゃ無い、主人に付いて歩くメイド。宿の中は断らない限り食事から風呂まで全部お付きが世話をしてくれる(アニーと一緒)貴族の部屋は執事、メイドが一緒に泊れるように3部屋~4部屋ある。部屋付きのメイドはその部屋のリビングにいる、用事があると部屋に呼ぶと来るし、お客が来るとその部屋に案内してお茶の接待などしてくれる。メイド連れの貴族には付かない。付こうが付くまいが同じ値段。
俺だって貴族の端くれだ、その様に食べてやろうじゃねーか。パンがマジ柔らかい。イヤこの幸せは固いパンを知らねば理解出来なかったと隊商に感謝まではせず頂いた。
導師の部屋に集まって首尾を聞いた。
隠れ家の一軒は盗賊宿で盗賊を休憩させたり、盗賊泊めて酒を飲ます宿だったそうだ。宿のオヤジは普通に猟師で元盗賊だったそうだ。泥を吐かせて家を家探ししたが怪しい物は無かったそう。守備隊に突き出して2軒目へ。
2軒目は誰も居なかったが、奴隷を入れる地下室があったそうだ昔から使われてる感じはするが、地下室のはしごが朽ちてるので最近使って無いとの事。今の所心配は無いそう。
2軒とも帰りに盗賊が寄って無いか見るのでそのままにしてきたとのこと。あっちのGホイホイを思い出した。
盗賊宿のおっちゃんのスキルが欲しかったがしょうがない。縁が無かったと諦める。
俺の方は、盗賊の襲撃を一から細かく聞かせて対応の感想を聞いて見た。8枚の魔法障壁を連続で掛けたのを導師は褒めてくれた。導師でもなかなか魔法と悟られずに多数対1は難しいそうだ。
(そんな話をしながらも3人がそ知らぬ振りで身体強化を循環させてるのがとてもシュールだ。最近誰がツッコミを入れるのか我慢比べの様になっている)
闇魔法の衝撃(精神攻撃)があるらしいのだが心が折れて向かってこなくなるので、元気一杯がいきなり折れてバレるそうだ。放心状態で生きる屍のように言う事を聞き便利と言う。次はそれを教えてもらおう。
「アルよ、
「お!よかったか?アル」
「何があるか分かってましたよね?」
「いいもの見られただろ?」
どんなけ興味津々やねん!目がやーらしい!
「襲われて、拭かれましたよ!」
「よかったのう(笑)」
「いいなー(笑)」
忘れかけてたのに!クソッタレ共が!
寝る前に盗賊から奪った恩寵を分解してSPに変えた。
全部でSP4515となった。903人分の職能Lv1になる。
次回 87話 やんごとなき劇団
----------------
この物語を読みに来てくれてありがとうございます。
読者様にお願い致します。
応援ポチ。☆も頂けたら嬉しいです。
ポチをしてくれる事。それはとても励みになるのです。
一期一会に感謝をこめて。よろしくお願い致します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます