第85話 僕とお姉ちゃん
昼休憩が終わると隊商は出発した。あと1日半だ。
時間があったので有効に使おうと・・・あ!その前にアレだ!
「多重視点Lv1」が戦闘中に付いた。瞬時に、瞬時にと視点を切り替えて各盗賊視点を一気に視てたら付いた。
盗賊の7人全員の視点を一緒に見て一緒に頭で処理してた。切り替えない視点。真理の眼の効果と一緒だ。全部一緒に分かるし、位置関係や盗賊のイメージまで全部拾った。
最初4つに分けてた眼の効果。追視、看視、検索、探査が全部乗ってた。それを同時処理してた。
イメージまで見ながら視点を全部共有・・・
似たような事はやってた、模擬戦の師匠を団員一人一人の違う視点で自分に重ねて師匠の姿勢に矯正していく・・・でも今回のは同時多重映像だ。重ね合わせていく作業が無い。
コレって同時に認識するって、並列思考じゃないのか?名前違うけど検索したら、ちゃんと俺のステータスボードに「並列思考」が出る。やっぱ並列思考と多重視点は違うみたいだ。
あんなの初めてだから、投擲と一緒で実戦だから付いたのか?と考える。あんな多人数で眼を使うの初めてだ。本来の方向があれなのか?真理の眼のスケールダウンだから十分あり得るよな。実戦というか攻撃動作とかで付いたのかな?
確かに戦争とか強いモンスターと戦った後に恩寵は上がり易いと聞いたけれど、実は実戦が関係あるんじゃ無いのか?
俺に剣術付かないのは実戦やって無いからか?
でもそんなの怖くて出来ねぇなぁ。
ちょっと実戦は早いぞ。さすがに早い、焦っちゃダメだ。
・・・
ん?多重視点!そうだよそのままだ。多重に見えてるだけだ。多重に見えてる物と真実の眼は別なんだ。多重に視えるから真実の眼が乗ってるだけだ。コレ真実の眼の専用スキルかも。そもそも人の視点を変えるなんて普通の人出来ない。
まぁ、そうだろうな。
思考が止まってしまった・・・
対盗賊戦の反省を込めて傾向と対策を練った。
・複数射撃で魔法障壁(物理)の多重展開の忙しさ。
・風の魔法も良いが流れ矢が危ない。
・矢を引き付けると、さっきの様に不思議がられる。
・多重展開よりも1枚大きいのを弓の目前に展開する。
練習次第で行けそうだ。少なくても防御方法は増える。
剣を持って突っ走って来る敵を時間差で食い止めるには物理障壁も良いけどON-OFFが忙しい。沼地にするような魔法。ダメだ!魔法ってバレる。
バレないなら麻痺か障壁かだよな。
寝かすか?ダメだ。
転んで起きるなら障壁の方が良い。混乱もダメだな、刃物持って暴れまくる。なら暗闇か?だからバレるって(笑) 多対1のバレにくい近接魔法戦闘って難しいな。課題だな。
目を
「前の馬車に乗りたいとか言うからそうなるのよ」
そっからかよ!・・・このぐらいの子なら言うな。
「乗りたかったんだもん」
この答え。これが正解だ。
「なによ、盗賊怖かったの?」
どう言えばいいんだ、怖くなかったと強がるのか?イヤここは素直に怖かった顔して怖くないと言う表現を取れば・・・
「・・・」怖かった顔をして首を振る。
「怖かった顔してるじゃない(笑)」
よし!笑った、正解だ!このまま流すぞ(笑)
「・・・怖くない」同じ顔して首を振る。
「怖がってるじゃ無いの!」来なさい。
いきなり横に座って抱かれてしまった(笑)
正答を探して怖い振りしたら、母性本能を刺激ってオイ。13歳にソレはあるのか!
「よしよし」背中を擦られる。
暖かくて気持ちいい。すごく落ち着く。貴族の様な服で山は平野だ。13歳て中学生だっけ?と考えた後、俺って何年生とか考えてたら気持ちよくて寝てしまった。
本人寝てるので断言する。
歳は小学校4年生だが身長は小学校1年生以下しかない。そんな体に己を磨いてきた20歳が入っている。何をやっても何を言っても子供扱いで可愛がられる。この旅で子供冒険者に見られてから特にいい加減キテるのだ。溜まってるのだ。
10歳平均139cm 7歳平均122cm アル120cm。
10歳、10歳とアピールするのは深層心理の表れか?
まだ幼さの残る小学校1年生の男の子が剣を持って走って来る大人見たら怖すぎるのを解ってやって欲しい。アルは中身が20歳の体育会系でもホント怖くて無理と思っている。そんな野獣の様に殺しに迫って来るアルから見て見上げる様な大人はあっちの世界にはいない。
アルは子供の身体。中身が成人で口が悪いだけだ。
世話になった瀬尾に脱税で捕まったら言う奴だ。こちらの傭兵並みに口が悪いだけ。そうだ。イケメンに集金。美女にハチ。教祖に大司教。師匠や導師にターミネーターとかガンダルフ言う奴だ。どちらも子供を守るから間違って無い(イヤ、上手い事言ってる気がする)
馬車が揺れようが体がグニャグニャしようが盗賊の件で精神的に疲れたのか起きる気にならない。が、明らかに道を外れたので起きたらシヨンも一緒に寝てたみたい。休憩だった。馬車から降りて、皆がそそくさと花を摘みに行く。俺も行こうとシヨンに捕まる前に林の奥へ用を足しに行った。
ホールで穴を開けて用をしていると5m程前にペンダントが視えた。用を足してクリーンを掛けて、ペンダントの所へ。ペンダントはコイン型、黒く変色してるが銀だ。色々銀のお手入れとかの情報が視えるが持ち主が視えるのが始末に悪い。爺ちゃんの又いとこの奥さんのだ(笑)めんどくさいので商隊長に渡してみよう。
シヨンのお爺ちゃんの商会の隊商担当だけど、この時代の商会って旅しないと商品集まらないから基本は旅商人という。そんな事あっちの世界の時考えもしなかった。商会に居るのは誰だって?引退した商会長とか店員?かな。でも旅してる商人って大雑把だけど何でもやるからステータスはすごく充実してる。
隊商になるのは良く知る商人達が集まり人数が多くなって助け合いが出来るからだ。馬車の車輪のトラブルだけで何もできなくなるのを防いでる。隊商の長はやっぱ信用で選ばれてるみたいだな。(この隊商はシヨンの商家から頼まれてお母さんとシヨンを商売の行き帰りに運んでいる)
商隊長を視てから決めた。うちの領の紋章はそこらじゅうで見てるけど男爵の紋章(街の紋章)までは覚えて無い。ライオンやら鷲やら鷹やら蛇やら剣やら盾やら杖だもんな。紋章は紋章官とか言うしな。誰も覚えんわな、重要なのは貴族かどうかだもんな(笑) ヨシ!
「用を足していたら、こんなものが落ちてました」
「なんだね?ほう、銀のペンダントだな」
「ここが切れてます。それでここを見てください」
ペンダントの裏に意匠(紋章)がある。
「お貴族の紋章ですな」
「この意匠で分かりません?守備隊とか聞けませんか」
「僕は全然知らないのでお願いします」
「私が預かっても?」
「はい、ミリスでお別れなのでお願いします」
「わかった、預かりましょう」
守備隊が知らん訳ねえよ、ミリス男爵家の紋章だ(笑)
病気で死にそうなのが色々免除で旅してたらまずい。
(不登校を親戚の爺ぃに怒られる場面を想像してます)
休憩終わりまでシヨンから隠れてポコポコかまどを作った。
馬車に乗る前に盗賊視たらもう摑まって3時間。諦めていた。
忘れてた!ターミネーターとガンダルフはどうなった。終わったら、理由を付けて追いついて来ると思って気にして無かった。ミリスまで頼んだ以上そんなこと出来ないか。
馬車に入るとシヨンはもう乗ってて僕の服、じゃなくって俺の服をパタパタ叩いてくれた。また小箱から飴をくれた。パーッと笑顔で喜んでおく(振りだ!)っていうか完全に弟扱いだぞ。また横に座って手を繋いで来る。わかったよ!降参だ、弟に徹する。
そろそろリアクションも尽きてきてるのに。
芝居しなくても居るだけで7歳なのを解って無い。歳をアピールしてないので皆それぐらいに思っていた。
ちょっと早いが野営となった。
昨日のパンは柔らかかったが、今日は釘が打てそうに硬い。
これって保存料と言うか、布で包んだだけだから水分抜けてんだよな?こういうの何とかしてやりたいよな。付与でインベントリ付けたら戦争に使われる。うーん。
パン持って考えてたらシヨンお姉ちゃんが食べ方を・・・ラノベで知ってるから!俺の知ってる少ない事を取らないで。
なんかトマト風味のしないミネストローネというか粘度の高い赤いポトフにパンを浸すとドロリと纏わり付いて食べられちゃう。美味しかったので思わず「お姉ちゃん美味しいねぇ」とご機嫌で言ってしまった。シヨンがマジで喜んでくれてる。
明日までコレでいこう。夢を見させるのも大人の務めだ。
まだ暗くなるのに1時間程有るので、森の奥で型でもやろうと分け入った。視るのは師匠の枝!クソが!何とかしてやる!と目を
最後の攻めの深さが分かる。簡単に防げない様に捻ってある。変な避け方すると崩されて終わりのパターンに。かと言って受けに回ると押されて終わるパターンに入る様考えられている。熟練すると詰将棋みたいな戦闘だよ。
有利に捌くってこんな公式みたいな戦闘になるんだ。
誰か来たから止めて、見つけておいた野草を持つ。
我ながら卑屈なほどの警戒だ(笑)
定番なんだよ、見られて因縁。貴族に目を付けられる。陰謀に巻き込まれる。頂点のSランクと敵対する。武術大会に出るハメに。そんな定番に巻き込まれてたまるか。フラグは叩き折る!
フラグ立っても全部ターミかガンダに
野営地へ帰っていくと冒険者が武器を手入れしてるので近くで見せて貰う。お前もやるか?と油の付いた布をくれたので模擬剣を拭く。しまったと思ったらみんながニコニコ見ていた。本物の剣の時のために手入れの練習してるのに!
弓持ったお姉ちゃんがミカンくれた。代わりに朝食のスープ用に野草をあげた。ミカンは秋冬の定番と覚えた。
あと座った時気が付いたが靴に細工がしてあった。視たから分かったのだ。靴に100円ライター状のナイフ?薄さ5mmで8cm程のナイフが靴に仕込んであった。多分、捕まった時に使う用だ。羨ましい、俺も欲しい。
シヨンが、アル何やってるの?と呼びに来てくれた。暗くなったから探しに来てくれたのだ。バイバイして手を繋がれて帰る。シヨンのお母さんまでマジに心配させていた。俺はどうしたらいいんだ!
厚手のマントの中でシヨンの抱き枕になっていた。
シヨンのお母さんがマントを首まで引いてくれたんだもん。
子供は体温高いからな、気持ちいいだろうさ。
もう諦めた。諦めて良い子で寝た。
次回 86話 暴れて!この子は。
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