第60話  遺書



お父さん、お母さん、妹へ


この手紙を読まれているのは、そういう事なのでしょう。


先立ってしまい申し訳ありません。蒸発したようになっているかもしれませんね。


事後ではございますが、この場でお話ししておきます。僕が居るうちに書いておかないとなりません。


この先、僕は何時いつ旅立つか分からない様になりました。


明日かも知れない、1年後かもしれない、2年後かもしれない。それはいつ起こるか分からない時限爆弾だと思って下さい。


高校2年生の夏のバイトで神様から能力を貰いました。スキル真実の眼という能力です。


家族にだけは告白しておきます。

その能力については、この遺書と一緒にあるスキルノートに詳細が書いてあります。


問題は、この能力によってこれから先、僕の身に何が起こるか分からない所です。


僕は声だけですが、神様に会っています。声とは言っても、ただ燦然と光り輝く大玉が神様でした。


この世界で言う審判の神であるテミス様と同じ様な神さまでした。真理を司る神様です。僕が検事を目指したのはテミス様の加護が有ったからです。神様の能力を授かっていたからです。


大体の小説では異能力を神から授かる者はろくなことになりません。その場で死んだり消えたりします。普通は死んでから異能力を授かって何処かへ旅立ちます。異能力を神様から授かって、なぜ僕が生きてるかは分かりませんが、何かあった時の為に書いておきます。


いきなり僕が死んでも悲しまないでください。異能力を持った以上、別の世界に転移や転生して生きて行くのが普通だと思って下さい。この世界では死んでるのですが、それは違います。異能力を持って他の場所に行っているのです。


お父さんが船に乗って家に帰って来ない。そんな旅だと思って欲しいのです。この世界に帰って来られるのは多分無いでしょう。魂の器である神谷明はこの世界では死んでいるのですから。


その辺もスキル(異能力)ノートに書いてあります。

この遺書も異能力が増えるたびに書きなおしています。もう3回目。スキル真実の魂が発現してから書いています。


魂を見る事が出来る様になり考察がはかどりました。多分、人として生まれてきた意味の本質が書いてあると思います。信じるも信じないも自由です。


家族が異能者だったとか、うちの家族は恥に思う人はいませんが何分にも本当に突飛な話です。外には出さないでください。


瀬尾健司、守田賢介、波多野隆史、秋本修、三保恵、箕輪好恵、橋本萌、服部奈美、宮崎知佳(机の上のプールの集合写真の皆)に会う事が出来たならばこの世の理として、魂の意味の分だけスキルの事を伏せてお伝え下さい。ノートのその部分を見せて頂いても結構です。


僕の思考の仕方、思考の展開の仕方、触りの部分は話しました。その9人なら僕の考察した魂の話が分かると思います。


特に秋本に魂の輝きを書いた部分を見せてやって欲しいのです。見せると秋本が向き合った真実、それを皆に話すと思います。その9人に己を磨く事が如何に素晴らしいか見せたいのです。


お父さんとお母さんに貰った人生ですが悲しませるために死ぬのではありません。神に呼ばれて召されるとお思い下さい。突然消える、突然死ぬ、突然事故に巻き込まれる。それ以外の死に方かも知れないです。


突然旅立っても大丈夫です。他の場所で元気に生きてます。それはこの世界では感知できない世界なのです。


人は一回生まれたら一回必ず死にます。そういうモノです。


ここまで育てて頂いてありがとうございました。親孝行もせず、先に死ぬなどとは本当に親不孝な息子です。


僕が突然消えてから、突然死んでからではあると思いますが、まだこのような手紙を残せる事をとても幸せに思っています。


息子や娘が突然亡くなって悲しむ遺族が多いです。

僕の場合は神が定めた余命幾らみたいな感じだと思います。この様な手紙を残せるだけでとても恵まれているのです。


僕は覚悟しています。旅立つ覚悟が出来てるのです。


それが早いか遅いかの違いに思って下さい。


あなた方の子供に生まれてとても幸せでした。

雫の兄ちゃんだった事も嬉しく思ってるからな。

皆さまお体に気を付けてお過ごしください。


ありがとうございました。



神谷明 9月30日






次回 61話 ラブレター

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                 思預しよ


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