第36話  ジャンプ写真


8月6日木曜日


朝の電車でドアの窓から手を小さく振る三保さん。

・・・なんか言いたそう?ん?


視たら橋本さんと箕輪さんが俺と賢介の力こぶを固い固いと触って喜んでいる。ブフォ!っと吹きながら合流。何を聞いたんだよ。


「おはよう」

と言いながら三保さんの後ろに回り込んでその位置キープ。


「おはよう、二人から聞いたわよ」


「え?」と言いながら壁ドン態勢を作る。


「橋本さんと箕輪さんに野球見せたでしょ?」

「あ!あぁ、キャッチボールしてたら来たんだよ」


「二人だけ呼んだでしょ?私も見たいのに」プク

「それ?賢介をランチに誘った二人が付いて来た」


「自慢されたんだからね」胸を指でツンツン。

「え?自慢?」

「そうよ」

「何自慢すんの?」


「神谷君の野球見たって」


(ボール投げる真剣なまなざし)なんじゃそれ!美化されてるぞ!当社比30%アップ。


「守田君も・・・」


(飛び散る汗が夏の太陽にキラキラ)うわ!どうやったら賢介をこんなエロイ感じに美化出来るんだ(笑)


マジ笑える!

自慢話を聞いてたら俺と賢介がそうなっちゃったのね。あ!汗が爽やか過ぎなのは少女漫画チックなんだ(笑)


「見たいの?」


「そうよ!そう!」胸を指でビシッ!

カッコ付けても視えてんだからな(笑)


「存分に聞かされたから、私も見たいの!」

そんなキラキラ成分出ないから!(笑)


「今日話が出んじゃないの?」波多野を見たいとか。


「私も見たいの!」胸を指でツンツン。 

俺から約束?あ!オマケじゃなくてね。


「わかったわかった明日な」


皆で決まる前に約束したいのね。


「うん」


やっと眉が普通になった。女子は色々難しい。眉が怒ってようが普通になってようが・・・思い出すと吹き出しそうになるから大変だ(笑)



授業終わりに十分ほど講師に質問。遅れてワックに到着。

みなそろっているなと確認した。


「遅くなってごめーん」


誰々担当とかあんま分からない様に座っているのね。

会話に入ることが出来るように上手く固まっている。


今日は七百八十円でバーガーが二つ付いたセットだ。

番号札持って席に行く。



三保「神谷君来た。これチケット代ね」

神谷「男子の分まだ貰ってない、皆ある?」


直ぐにチケット代は集まった。


三保「今、野球見せてもらう話をしてたよ」

神谷「屋上だろ?みんな暑いぞ。いいのか?」

秋本「一回ぐらい皆で見ようかって」

瀬尾「見たいな。部活の野球」


橋本「波多野君もグローブ持って来るって」

神谷「波多野は高校球児だからな」

波多野「ハードル上げんな、変わんねーよ (笑)」

箕輪「守田君もやってくれるんだよ」

神谷「受けるだけなら大丈夫だ」

守田「おぅ」


神谷「瀬尾と秋山もグラブ貸すから教えるぞ」

秋山「たしなみ位しか出来ないよ」

瀬尾「受験生に教えるなよ(笑)」

神谷「瀬尾は一夏合宿しても大丈夫だ!(笑)」


神谷「みんなに普段見られないもの見せるよ」

服部「何が見られるの?」

神谷「秋山と瀬尾の汗が見られる(笑)」

箕輪宮崎「「えー(笑)」」


神谷「マジ貴重よ

思い出してまた吹き出しそうになる。


神谷「写メしてオークションで売れる(笑)」

三保「(笑) 売れそうで怖ーい!」

橋本「それよ!明日写そう(笑)」

服部「撮りまくっちゃう(笑)」

宮崎「確かにレアかもね(笑)」



神谷「撮影会は講習終わってから屋上な」


宮崎三保「はーい」

秋山「写真撮ろう!みんなでジャンプする奴」

神谷守田「いいねいいね」

ALL「賛成!」


神谷「それスマホの固定ホルダーみたいのいる?」

秋本「スマホスタンドだな」

神谷「ある?」

秋本「あるある!」

神谷「さす秋!決定」


守田「野球より楽しみになって来た」

瀬尾「神谷が撮影会にしたからな(笑)」

宮崎「ホント楽しみ」

服部「予備校が超楽しくなった」

三保「息抜き大事だよね」

服部「大事大事!」


神谷「あ!誰か俺も撮ってくんない?野球のプレー中の写真なんて持ってないからさ」


波多野「そういや試合の時一人で自転車だったな」

神谷「親が居ないからな、写真自体あんま持ってない」


ALL「・・・」


神谷「違うって、生きてるよ!」


ALL「・・・」


神谷「休めない仕事で共働きなだけだ!(笑)」

三保「深刻な家庭かと」


服部「会話が止まって凍り付いたよね」

橋本「どうなるのかと思った」

宮崎「ねぇ。そう思っちゃうよね?」


神谷「外国航路の船員と看護師長だからな」

瀬尾「そういうことか、了解だ!」


守田「試合の時は聞けなかった」

神谷「聞けよ!そんなに不幸じゃねーよ(笑)」


守田「お前の打ち込み方が凄かったから戦ってるかと」

神谷「俺は何と戦ってたんだ(笑)」


守田「そりゃ不幸とか人生と?(笑)」

神谷「重いなぁ。違う!話が違う!写真が欲しい!」


瀬尾「わかったわかった、撮ってやる」

三保「みんな撮ってあげようね」

ALL「おー!」

神谷「そんなに可哀そうじゃないから!普通だ!」


ワックの片隅がやけに賑やかだった。


帰りにコンビニで入園チケットを買う。

外で待つ皆に見せて聞くと幹事が預かるらしい。責任重大だ。



午後の講義が終わって帰りの電車。LOINのALLグループに秋山のメッセージ。ジャンプ写真の撮り方のコツとそのリンクが張られている。なるほど!結構コツがいるんだな。女子は髪とか顔に被るのがNGとか気が付かないわ。髪留めして来るだろうし、こういうの必要だなぁ。


皆が知ればそろうし、いい写真取れそうだ。ホント秋山マメだなぁ、ここまでやるのか。このモリオのポーズで飛ぶのいいなぁ。



夜の休憩にスマホを見るとLOINが盛り上がっていた。発言に間が空くのは休憩時間に参加ってことか。ジャンプポーズで盛り上がり過ぎ!ウケ狙いのポーズばっかり。戦隊の決めポーズやなんちゃら団の決めポーズまで貼られている。


すでにジャンプ写真じゃ無い・・・笑う!乗り遅れないように「すでにジャンプじゃねーし!」とコメント。


ジョニーズのアイドル五人がワイヤーアクションで龍と空中戦闘している舞台を貼って参加。


0時のルーチンの前に見たら、まだ続いていた(笑)


明もさすがにアホではない。タイムリミットが来て怪物が突然現れるとはもう思っていない。これを半年続けた頃、一回止めてみたのだ。


そうして寝たらなんかシックリこなくて眠れなかった。


もう一回起きて素振りをすると寝られた。一日の始まりに顔を洗ってランニングするのと同じ「寝るときには素振り」になっていたのだ。



折角素振りをするならと勿体ないので武装しているだけだ。




次回 第37話 動けないの

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