第33話  獲物決まりました



8月3日(月曜日) 初顔合わせの晩。



夕ご飯時に言われた。


「お父さんから倉庫の食料の連絡あったわよ」


「え?あ!」


・・・


明「もしかして、もうそろそろ?」

令子「倉庫の賞味期限見てくれって」

明・雫「「ぎゃー!」」


明「もう3年も経ったの?(笑)」

雫「私は、毎日一品しか食べないからね!」

令子「一週間ぐらい良いじゃない」

明「いや・・・10日以上ある(笑)」


うちの家、親父が船乗りだから?非常時に備えてる家なのよ。裏庭に親父が作った非常災害用ハウスがある(笑)


ハウスはコンテナ船に積んでるようなコンテナの大きい奴を置こうとしたらしいんだけど母ちゃんが却下したらしい。代わりにちゃんとした建築物なら許された感じだ。


それで最初はログハウスのビルダーになろうとしてまた却下。結局自分で溶接して作った(笑) 災害用ハウスは8畳程の立方体に4畳程の立方体の倉庫が付いている。


箱みたいなディーゼル発電機(高さ1m幅80cm長さ1.5m程)が入っていてそれで溶接まで出来る。非常ハウスはこの発電機で作った。親父がH鋼を溶接&ボルト締めして作ったのだ。


転がっても元に戻せるとか言ってた(笑)

天井のH鋼には電動ウインチまで付いている。エンジン掛けてブレーカー入れると家じゅうの電気が賄える。


同じように、食料や水も4人が1週間分貯め込んである。

最近はアルファ米みたいなので3年保存~5年保存になってきたけど、前はもっと短かったのでよく期限切れ前に食べさせられた。


明「でも、昔よりは釜めしみたいの美味くなったぞ」

雫「ぜんざい系あったら私に頂戴ね」

明「あの羊羹みたいなのもぜんざいもあった筈だ」

明「とりあえず期限来そうなの出しておくよ」


こんな具合である。


俺が親父に聞いたこと。海外だと災害が起こると暴動もあって普通に物の奪い合いが有るとの事。日本はそんな事ないけど、うちはライフラインを自給出来るようにしている。


何かあった時には避難所に行かずにうちの裏庭の非常ハウスに避難する。ご近所も誘って冷蔵庫の中の物をみんなで出し合って共有しろと言われている。


理由。発電機があるため水が汲めるから水洗トイレが使える。

発電機用の燃料は軽油の100リットルぐらい?のドラム缶も2缶ほど倉庫に入っている。給湯用灯油ボイラーの燃料を加工すれば流用できるともマニュアルに書いてある。家のソーラーが生きていたらそのまま冷蔵庫が生きている。


ソーラーがダメなら発電機で給電して冷蔵庫と冷凍庫を生かす。

ライフラインは灯油給湯、LPガスのレンジ、電気、ソーラーパネル、発電機と5種ある。雨水用のタンク3缶660リットルが庭に埋めてある。雨水が流れると自然循環でタンクの水が入れ替わる。それでポンプを使うと水洗トイレが使える。



小屋には図解入り非常事態説明ファイルまで置いてある。あ!一度「生き残るには」という冊子が有ったので見たら方法だった(笑)「あきらめてはいけない」と書いてあった。



5年保存できる飲料水のケースは15年経っても倉庫に詰んである。トイレや洗濯に使えるそうである(笑)米自体農家から1年分買って1か月分ずつ精米する念の入れ様だ。


次から次へ親父の宗彦さんは、裏庭に理由を付けては秘密基地を作っている。こないだの休暇はめっちゃ深い地下をミニユンボで掘っていて湧いてくる地下水と戦っていた(笑)


宗彦さんは休暇でずっと暇だから家では野放しだ。


人命とか安全とか言い出すとエンジンが掛かるタイプだ。俺は非常事態ヲタクと思っている。


そんな訳だ。



倉庫に入るか・・・



じゃねーよ!



俺も押し入れにカップ麺とか色々あった!やばい!


期限切れてるかな?忘れてた。

最悪、貴重な夜食として予備校で配る。


一番切れてる4つが賞味期限を3か月切れてた。

調べてみたら3か月切れまでが消費期限切れらしいが・・・今日から4つ夜食だな。家の分合わせるとキツイ。



休憩時間にコーヒーを煎れて部屋に帰ると三保さんから個人LOINで連絡が入っていた。


「男子メンバーの担当が決まったよ。」

見てビックリ、え?担当って。すぐに返信した。


「担当?」

「担当無いと男女とも遠慮しちゃうと思って」

「6:4の時にペア注意して組んであげてね」

「まだそんなに親しくないからみんな話しかけ辛いでしょ?」

「女子で男子の担当を決めたら仲良くなり易いと思って」


いきなりの話についていけない。

三保さんがどんどん先へ突っ走る


「   」


よくよく会話を読み返して分った。

初対面のペアリング!こんな手が!


「そういうことですね!」やっとわかった。

相手が決まっていたら誰だってやりやすい。


「そういうことで、女子で協定を作りました」

「なる、心配かけてごめんね」

「みんなが楽しくないとね」


みんな初対面だから担当決まってたら話しやすいよ、助かる」


「それでね、神谷君と私」


「えっ?」

「・・・」


「俺の担当を三保さんがしてくれるの?」

「うん、そうなの。神谷君の担当になったの」

「嬉しいけど、俺の担当で良かった?」


「一緒に通学してるから、ってみんなが」

「みんなが、気を使ってそうなっちゃったの?」

「今日も幹事を二人でしてたとか」


「あぁ、なる!そういう流れでね」

それで俺の担当が三保さんに決まったのか。


「うん、改めてよろしくね」

「こちらこそ、三保さんで良かった」


他の女子にガッカリされるよりよっぽどマシだ!ありがたい。


「そして賢介君と箕輪さん」

「え!マジ?やったじゃん!ありがとう!」

「でしょでしょ!頑張ったんだからね」

「どうやったら・・・マジすげぇ!」

「三保さん夏の間中、賢介にワック奢らせなきゃ(笑)」

「ね、やったでしょ?」

「うん。すごいよ!」


「それとね、うふふ」

「え?」


「瀬尾君と知佳ちゃん」

「うわぁ、すげえ!そっちもか!」


ドヤ顔のくまスタンプが動く


「どうやったらそんなことが出来るの?」

「内緒!」

「三保さんが女神さまに思えてきた」

「あとね、波多野君と橋本さん」

「秋本君と服部さんね」

「よくみんな納得したなぁ?」視た好みが違うぞ。


「あの男子集めてくれただけでみんな納得するわよ」

「本当に?」

「大喜びだったわよ」マジかよ。スキル役に立たないなぁ。

「でもよかったー!集めた甲斐があった」

「神谷君もお疲れさまでした」


「でね、木曜日のお昼ワックに行くね」

「女子みんなって事?」

「そうそう、男子も集まれるかなぁ?」

「瀬尾のコマだけ聞いてみる」


「集まれなくても女子は行くね」

「もし瀬尾来てなくても昼に招集するよ」

「え!いいの?」

「瀬尾はいいだろ。の絶対王者だぞ」

「あ!知佳ちゃんに聞いてる」


「あいつはマジ大丈夫だから」


「木曜集まって何かするの?」

「みんなでもっと仲良くなるの」

「なる!プールが楽しくなるようにね」


「そうだよ」

「やるなぁ!さすが孔明様!」

ドヤ顔のくまスタンプが動く。


「それなら別に金曜も来たい人で集まればいいよ」


「木曜日にそう言おう」

「そんじゃ木曜日に」

「はーい、おやすみなさーい」

「おやすみー」


スマホを机に置き考える。


男子の担当女子

神谷-三保。守田-箕輪。瀬尾-宮崎。波多野-橋本。

秋本-服部。


メモに担当ペアを書いて顔と名前を思い出す。今日が初対面だから下の名前で呼ぶこと無いけどな。


これでグループ分けが楽になった。

このペアで放り込めばいいんだからな。さすが三保さん!


俺、箕輪さん以外フリーって言っちゃったんだよな。


どうしようか?


ん?担当って、もしかして横でマークされるってこと?


あははははっ! マークされたら誰にも行けないじゃん(笑) マーク捨てて他の女子に行けない!担当を振り切って行ったりして。ウケる(笑) 自分の担当女子引き連れて、他の担当女子の所は行けない!美女連環の計!孔明、やりおるわ。


まぁ、あのイケメン軍団はそんじょそこらのイケメンじゃ無い。

多分、平気で担当女子を楽しませてくれる。秋本の担当の服部さんの喜ぶ顔が浮かぶ。俺も見たいな、最初秋本と一緒に回ろう。

服部さんと三保さんも頑張ってくれたからな。楽しんでもらって恩返しだ。


でも俺の担当が三保さんで良かった。

初対面女子とか、全く気を遣わなくていいよ。マジ助かった。


よし!そっち方面の心配は無くなった。


でもみんな初対面は本当だからな、その辺は気を遣わないとな。


女の子から担当に来てくれたら良いよなぁ。少なくても男からしたら嬉しいよな。俺はこの子?みたいに無理に話しかけるよりよっぽどいいよ。男子はみんな分かってるだろうしな。


水着の女子から笑って話しかけてくれたら楽しいよなぁ。


想像上で白いビキニの三保さんが笑って話しかけてくれる。


「いいじゃん!」声に出た。


三保さんことごとく俺の考えの先を行くなぁ。

まぁ俺の先なら楽に行けるだろうけど(笑)


どうやって担当決めたんだろう?

アミダとかじゃ無いだろうし。くじも変だしなぁ。そんなのみんな納得しないよな?


賢介と箕輪さんだけなら分かるけど、宮崎まで瀬尾担当にするのは凄い確率だぞ。


イカサマじゃあるまいし・・・それじゃ無理だよなぁ。

みんなが喜んで担当決まるって、どうやるんだ???

そんなのあったらマジ知りたいよ。


(女子だけが持つ特殊能力だった)



さて、寝る前にもうひと頑張り!


問題を解き終わって1ページめくる。あと3ページか。


問題集あんま無いなぁ。買いに行かないとな。

そうだ!瀬尾が使ってる問題集聞こう。それがいいな。


受験はテクニック。明は点を稼ぐテクニックを求めている。


今は解き方の分からない問題を探して問題集を買っていた。

予備校通いは受験テクニックを知るとともに問題の解き方を聞くためであった。視たときに解くことが出来る経験をひたすら積んでいた。


スキル真実の声を手に入れた明は、検事と医者(精神科医)の二択を捨てた。どちらも行けるように勉強は理系、文系全方位に及んでいたのを止めた。


痴漢騒動の一件以来、文系を目指した。

真実の眼と真実の声はそのためにあると確信したのだ。


検事一本。帝大法学部を目指すのだ。偏差値では日本トップ。

帝大 文科一類 偏差値73


目指すはテミス様の像。それが明確に見えていた。


テミス様を目指して進めば何かが分かる。


迷いは無かった。




次回 34話 神様のご褒美

--------------


やっとこの物語も佳境に入って参りました。


登場人物も出そろいました。

これから少しずつ真実が明かされて行きます。


そこで読者の皆様に桃色の大瘴壁だいしょうへきを用意させて頂きました。


読者の皆様が砂を吐くような苦難を書いてあります。自分の吐いた砂に埋もれて倒れても知りません。


ここまで読んだなら是非行きましょうガンダーラへ!


※倒れようとも砂にまみれた手を引きずって連れて行きます。



~~~ピンポンパンポーン⤴~~~


お読みの物語はカクヨム発ガンダーラ行となっております。


当物語はまもなくイチャイチャハリケーン痴態に入ります。シートベルトをしっかりと締め、心の衝撃防止姿勢をお取りください。途中乱気流が発生しておりますので砂をこうが、むせび泣こうが知りません。開いたページは読み切るまで帰れません。逃げたら負けです。逃げずに立ち向かえと書いてきました。ガンダーラ到着時間はこれより25話程となります。機長がご機嫌な場合、話数が大幅に増える場合がございますのでご注意ください」


~~~ピンポンパンポーン⤵~~~




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