第28話 難関ちゃん包囲網
予備校の階段を上りながら賢介に言った。
「夏だし女の子誘ってどっか行くか?」
7月30日(木曜日)夜
言っては、みたものの・・・
夏だし、最初は遊園地とか花火とかプールだよな。
休憩のコーヒーを飲みながら
難関ちゃんの防衛網をどうやって
難攻不落の山。
賢介と一緒にツルツルと滑り落ちるのが思い浮かぶ。
誘う隙が無いもんなぁ。
クラスどころか学校違う、一か月チョイの夏期講習。知り合って仲良くなろうにも声を掛ける隙が無い。
考えてるだけだから不安になるんだ。
誘うのが難しいだけだ。難関の山、ただそれだけだ
親の送り迎え。昼のランチは友達と弁当。休み時間にクラスへ押しかけた途端にナンパと思われ拒否される。予備校内でそれをやったら自殺行為。受験生の
突破口はどこだ?
絶対防御を加味すると賢介と二人で話は論外だ。
俺と三保さんが入っても三人が友達なら箕輪さん1人で不安だ。
そんな
だから前提条件は箕輪さん一人だけじゃない。
箕輪さんの友達も巻き込んで乗せないとまずい。
箕輪さんとランチと言う何人か?の友達。ランチの友達に内緒でイベント行くのはありえない。
てか最少催行人員・・・参加何人になるんだよ!コレ! 賢介と会わせるだけでとんでもないミッションだぞ!
俺、予備校で何やってんだ!(笑)
冒険は六人パーティーが普通だろ。
これ十人以上のパーティーになるぞ。
イヤ!違う、そうじゃなくって・・・
人数が多ければ多いほどナンパ
成功率は多人数に比例する。
少数で行くなんて考えはダメだ。友達の輪作戦。コレしかない!
そして無理に二人にしてはいけない。
タゲ回しにペアをシャッフルしたら
勝利条件を整える。そのつもりで行けば添乗員もアリだ!そうだ!誘えるなら何でもOKなんだ。少し気が楽になった。でも最小単位でどう見ても十人以上って事か・・・(笑)
難関ちゃん攻略 第一作戦 提案
明日、愛しの
明日の昼に視に行くか?ダメだ。金曜は賢介来るなぁ。週またぐとまた遅くなるしな。取りあえず箕輪さん視ないとダメ。この作戦は進まない。
難関ちゃん攻略 第二作戦 三保さんに連絡。
「また、教えて下さいね」って言ったからな、教えるだけだ。そこから話を広げて行くしかない。
「三保さん夜分ごめんね。ちょっと相談があってさ」
「え?神谷君が相談?わざわざ夜に?」
「まぁ、二十時は夜だけど。えーと・・・」
「難関コースの
「うん? 知らないけど・・・」
「賢介が好きな、違う意味の難関ちゃん」
「えー!そうなの!
まさか恋バナとは思わないよな。
「ホントホント。でもさぁ、受験生はタブーじゃん」
「恋愛禁止とかとかそういうの?」
「そうそう、だから話だけでもさせてあげたいんだよね」
「あー!そういう感じの相談ね」
「出来たら花火、遊園地、プールとか受験生の息抜きの感じで」
「いいんじゃない?プール行くなら私も行きたい」プール来た!
「行きたいよね。まずは箕輪さん誘えなきゃダメだからさ」
「んー、そっか。箕輪さん知ってる子いないか聞いてみるね」
「明日の講習同じ時間でしょ?朝には解るかも?」
「そんなに早く
「難関コースに西高生もいるし、誰とどんなグループに居るぐらいはすぐ分かるよ(笑)」
「友達の輪作戦なら団体で十人越えてくるかもって思ってる」
「それぐらいなら共通の友達がいるかもしれないよ」
「あ!話出るかもだから言っておく、宮崎は好きな男子いると思うから」
「えー!ホント?」
「同じクラスの時、そんな
「仲良さげだったとか?」
「うん、そんな感じ」机と。
「だからそのつもりで。話して乗り気なら連れてくる感じで」
「はーい」
「一応決まったら、そのイケメン入れておくから」
「・・・それ、なんか・・・」
「わかんないよ?宮崎が釣れるのか。無反応かもしれないし」
「釣れるって!(笑)」
「三保さんに釣れって言ってる訳じゃないからね(笑)」
「言ってるよ!それ言ってる(笑)」
「宮崎とお昼食べてるでしょ?他の講習メンバーでプール行く話するのは言う方も聞く方もキツくね?あいつも息抜き位したいと思うんだよ」
恋バナのドサクサに
「そうだよねぇ・・・ま、決まってからの話だよね」
「決まってからの話だなぁ」
「プールでダメなら別の手を考える。三保さんも友達にも
「うん」
「逆にプールで上手く行ったら受験生でも夏の3大イベント行けそう」
「わかったー、勉強から逃げる理由をくれてありがとう」
「なんだよそれ。逃げちゃダメだから(笑)」
「そんじゃ、連絡取ってみるから、また明日ねー」
「うん、お願い。また明日ねー」
箕輪さん包囲網が構築されようとしていた。
が!
7月31日(金曜日)朝
朝、三保さん包囲網が始まっていた。俺一人の包囲網だ。
だってドアの場所が一緒なんだよ。満員で後ろに行けなかったって言われたらしょうがないよね?
俺の後ろにいる一日一善がうざいんだよ!やる気満々で陣取ってやがる。というか昨日のメンバー集まってるじゃねーか(笑) 今日もお世話になります。じゃねーよ!
どうしたらいいんだ。人の良心と男の本能のせめぎ合い。みんなこんなせめぎあいをして大人になるのかなぁ。満員電車で悟りが開けそうだ。
まぁ、三保さんがわざわざ待ち構えてるからいいや(笑)
朝の一瞬だけどイチャイチャっぽくてマジ嬉しい。ウキウキして乗ってるんだけど、ドアの外から見たら一人包囲網で襲っている。照れ隠しに、昨日の案件を綺麗なつむじ越しに色々話している。どうも上手く行きそうな感じらしい。
箕輪さんの友達Aは同じ学校同じ難関クラスでランチが一緒。友達Aと友達Bは違う学校で塾が一緒で系列塾から一緒に本校に夏期講習を申し込んだ。友達Bと三保さんは同じ学校で四か月前まで二年の同じクラス。
作戦は、三保さんと友達Bがイケメン達とプールに行きたい。女子が足りないので箕輪さんと友人Aのランチ中に、二人で一緒に拝み倒して息抜きを理由にプールへ誘う作戦らしい。
(その時にいる箕輪さんの友達の数でイケメンの数は決まる、情報によると今日は友人Aはランチ一緒の様だ。その時々で箕輪さんとランチを一緒するのは一人から三人らしい)
イケメンは何処にいる?
三保さんの「上手くいく」が怪しすぎる。
「それ大丈夫?イケメン詐欺とか訴えられない?」
「大丈夫と思うよ、神谷君と賢介君はイケてるって」
賢介はイケメンだけど、心配は主に俺なんだよ・・・。俺を見てガッカリされたらどうしよう。困ったなぁ。
「話が決まり次第に人数のイケメンはゲットするからね」
「今日ね、服部さん(友人B)と私の二人で誘ってくるからお昼は別ね」
「わかった今日は賢介とワック行ってる」
「自習室で集まってランチだからね。今日は何人いるか分かんないけど、箕輪さんと橋本さん(友人A)は任せて!プールに誘えるかどうか分かんないけど、そのまま一緒にランチして仲良くなってくるからね」
「さすが!諸葛亮様!」花火と遊園地につながる布石か。
それだけで、希望が繋がるよ。
「頑張るからね」と胸の中、上目使いで小さく両手でガッツポーズ。可愛すぎる。
「お願いします、協力してくれてありがとう」
「大丈夫だって。女の子だって恋愛とかはアレだけど。遊びたいなとは思っているから」
「そうだといいなぁ」
「プールが決まるとね、みんなで水着選びとかのショッピングも付いてくるから」
「あー!女子ってそういうのも全部イベントになるのか」
「そうだよ。ファッション誌見て、バッグや小物や水着のタイプ考えるのとか行く用意も楽しいのよ(笑)」
「マジで息抜きが楽しそうだ」
「だからね、そういう友達からのお誘いを待ってる子は待ってるからね」
「うん、わかった。ありがとう」
三保さんの言葉でちょっと気持ちが軽くなった。
俺が全く役に立たない状態で、三保さんに頼りきりだ。
難関ちゃんだけあって道筋が蜘蛛の糸だよ。
ダメだった時、三保さんに俺のガッカリする顔だけは見せられない。そこまでしてくれた三保さんと服部さんに感謝するしかない。そしてダメだった場合の方策をすぐ出さないとな。
三保さんのせいに出来ない。三保さんのしょんぼりする姿を受け入れるなよ。全部俺が悪い、責任取れよ。三保さんと服部さんだけでも絶対プールは連れて行く。軽い気持ちでいられないぞ。蜘蛛の糸だ、身勝手じゃ切れる。唯一見つけた共通の友達だ。大事に大事に
うまく行きますように。
7月31日(金曜日)昼
金曜日の賢介の講習は隣のクラス。先に講習終わった方が相手のクラスの前で待つ。だから金曜日のランチは土日の休みに図書館行く情報とかお互いに交わして図書館で会ったりする。
そんな話はさておいて。
三保さんと協力者服部さんの首尾はいかに?
箕輪さんと友人達を
賢介と俺はワックでランチ。
賢介に言えないから、当たり障りのない会話ですごす。
俺の内心の心配を他所に賢介は
賢介はそんでいいんだよ(笑)
次回 29話 女子四人とプール、来る?
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