第25話 スキル真実の声
夏休み前の模試、神谷の成績は爆上がりを見せていた。
偏差値七十二を叩きだしていた。チートである。チートなのだ。
しかし神谷は手を抜かない。
神谷は夏の終わりに志望校を決めようとしていた。与えられたスキルを活かす大学。神の威信を背負っている(神が見ている)と信じる明が行きたい大学は偏差値七十二でも危なかったのだ。
何としても、この夏にそのレベルに上げておきたかった。
帝大 文科一類 この国の司法最高の学び舎であった。
そして夏休みがやって来た。
夏のバカンス的なものは何もない。受験生にそんな物は無い。
予備校の夏期講習が始まって四日間、古い知り合いを見かけて顔見せは行ったが、基本的に授業受けて帰るだけだ。
7月25日(土曜日)昼
そんな夏休み、図書館近くのファミレスで賢介が言い出した。
賢介とは
賢介は講習が始まって四日で上位の国公立志望にすると言い出したのだ。
「この時期におまえ何言ってんの?」自分を差し置いて言う。
そういや賢介ってそんな感じ(度胸一発)だったよなぁ。
「この模試見てみ、希望は充分有るぜ?」
模試を広げてまんざらではない賢介。
「イヤイヤイヤ、上位の国公立ならコース違わなくね?」
難関大コースだし。追加代金三十万位?親になんて言うの。
「取り敢えず志望は国立でいいじゃん。志望なんだから」
「私大コースはそのままなのな?」それならな。
冬休み集中講座とか難関大コースって名前だけで高そうだ。
「冬がなぁ・・・」多分難関コースはレベルが違うぞ。
そもそも、なんで?と視てみた。 なんと!
難関大コースの
プッ!プリンスメロン級!すげぇじゃ・・・コホン。
賢介バカだろ。ネタか?アレか、山を目指すのか?難関の山を。
受験逃避で女に行ってる。え、逆に受験に突き進んでいるのか?
ちょっとツッコミ入れとくか。
(ピコン「スキル真実の声を獲得しました」)
「賢介お前なんかあったの?」
「あ!」と俺は小さな叫びを放った後、それは起こった。
健介が語りだしたのだ。
「実は夏期講習に申し込みに来た日に会った
「え!?」と、そこで賢介が我に返る。
みるみる真っ赤になっていく。
「何青春してんだよ!羨ましい!友人Aのくせに!」
肩バンバン!スキルの誤爆を誤魔化すための大声で長いツッコミ!
賢介の目が覚める感じだったな・・・そういう感じか。
メチャクチャ混乱してるな。マジ悪い!そんな気なかった。
ニヨニヨしながらそのまま話の流れをキープする。
「五月から気になってんの?気持ちはわかった。まぁ協力はしてやるからその
「おう、まだ挨拶もやっと出来たぐらいだ。その時は頼む!」
よし、お前は
今の状態で良く吹っ切った!よく言った!聞いたからな。
不自然じゃなかったよな?話は繋がってるしな。正直俺が無理やり言わせたんだからな。マジゴメン・・・
スキルがこんな所で授けられるとは思わないし、ましてや自白させるスキルなんて分からないしな。
それを聞いちゃったら夏期講習中に何とかしないとなぁ。
その後、賢介は難関大コースを受講している
「でも四日で挨拶出来るなら、帰り誘えばいいじゃん?」
「お互い受験だしなぁ、親が送り迎えだし。」
「うわ、そりゃ難しいわ!」
「だろ?クラスも違うしなぁ」
「昼は誘えない?ワックとか?ファミレスは?」
「友達と弁当食ってんだよ」バシ!と俺にツッコミ入れるな。
「なんだその難攻不落は!難攻不落の山過ぎて登れねぇ(笑)」あ!ぽろっと言っちゃった。
「だから苦労してんだよマジで」
気付いてない、気付いてない。セーフ!
「お前が上から滑り落ちてくるのが目に見えるわ(笑)」
「だろ?(笑)」
「うーん・・・男が近寄るだけで目立ちそうだな」
「・・・」
「それより明。お前はどうなの?俺ばっかり喋ってるじゃん」
思わぬ流れ弾が飛んできた。
ん?秘密を握り合おうと(笑)
無理矢理に喋らせたから焦ってるわ。マジごめんって。
「俺かー、俺は無いな?うん。そういう話はないな」
気になった娘を思い浮かべながら走馬灯のように過ぎ去っていく俺の恋バナ。いいなって思うと見たくもないこと見えちゃうんだから一瞬で冷めるわ!。
好きだった
「俺だけゲロった訳?責任取ってもらおうか(笑)」
俺のスキルで
「お前がノロケたんだろうが。このリア充野郎!(笑)」
賢介とホームで別れ、色々と考える。
てかさ、この時期に色恋ってどうよ? お互いの親も含めて全部敵だぜ?受験生が追い込み時期に告白。成功して恋も勉学も高めあう二人。同じ大学に一緒に進学。大学近くにアパート借りて最高のスタート。
敵に囲まれる中の最高難度のミッションだよ?無理ゲーだろ。
受験まで半年。口にはできないけど詰んでるでしょ?
不幸な未来しか見えない。マジお前は漢だよ!
そうは言ってもなぁ。お互い気晴らしが出来るぐらいはなぁ。クリア条件は「二人きりで笑って話が出来る事」だな。
賢介の苦い思い出作りの方向性が見えた。
そして今日生えたスキル考察に移る。
「スキル:真実の声」
白い世界で見た通り、次の真実シリーズのスキルだ。
「声」とはなぁ、思わなかった。
賢介の自白って、そういうことだよな?ラノベで言う審問官みたいな?嘘か本当か見抜く的な感じの自白版?コレマジ危なくネ?
有効は有効だよな、眼で証拠。声で自白。それ系の最強じゃん。
検事確定でいいじゃん。証拠揃えて自白取って、裁判で
裁判官の前で・・・
「俺はやってねぇ!検察が出まかせの調書を書いたんだ!」
法廷がざわめく。
「あなた聴取の時にやったって言いましたよね? 間違いなくあなたがやったんですよね?」
スキル検事が質問に起つ!
「おぉ!俺が間違いなくやってやったぜ!」ドヤ顔。
弁護士が椅子ごとひっくり返っている。
ウケる(笑)
スキル検事純情派は今日も行く・・・ぽわーん(妄想中)
「相手に喋らすのかよー」声に出しちゃった。
妄想が加速する。
あ!これって「俺に気があるんじゃね?」とか冗談で(心では本気で)言えばわかっちゃうよな?相手喋っちゃうもんな。なんかいいかも?
てか、イヤイヤイヤ、ダメダメダメ!「あなたに対してまったくそんな気はありません」とかオブラートに包まない真実の言葉を言われたら死ぬ。死んでしまう!
心の声が素直に出るのか?
「有名なモブが妄想?安心してね、クズを選ぶ女子はいないわよ。おめでとう!」
うぎゃー!ダメダメダメ!石の裏で生きて行きそうになる。危険が危ないわ!
くっそー、トラウマが
能力者なんだから、せめて眼とか左手が
カウンターアタックが怖すぎで、ちびってしまう。
「
その日は勉強のノルマどころではなく真実の声の考察をスキルノートに書き込み、使う場面と効果的な使用法を遅くまで考えた。
また仮定を軸に妄想が膨らむ・・・
夜、いろんな悩みが出過ぎて
「え?それって?」という俺が結構使う言葉。
今までは、誰かの話を聞きながらイメージを視て理解していたんだけど・・・その時、イメージを視た後に「え?それって?こういう感じ?」みたいにイメージに沿う受け答えをするのが俺の癖になっている。
「え?それって?」これ訊いてるよね?(笑)
返す言葉の「マジで?」「マジかよ!」はどちらも訊いている。
これは、俺に限らずみんなが使う。俺も結構言っちゃうのだ。
「神谷って面白いよなぁ」
「え?それって?・・・」スキル発動!
効果時間中は、そいつの思う俺の面白さを語られてしまう。俺の面白さについて相づちを打ちながら聞く俺。
なんて恐ろしいスキルだ!
「あいつらって実は付き合ってんじゃね?」
「え?それって?・・・ないわー」スキル発動!(否定だぞ!)
効果時間中、ゴシップの冗談について延々と語られる。アホな話を真顔で聞かなければならない俺。
なんて恐ろしいスキルだ!
「あいつらがしてるところ見ちゃったんだよ」
「マジか!」スキル発動!
効果時間中、してるところの実況が始まる・・・ダッシュで逃げる俺。
なんて恐ろしいスキルだ!
賢介みたく途中で「えっ!」と気が付いたら絶対俺だとバレる。
誰と話したってそんな会話の流れは生まれないよ。変過ぎ(笑)
結果。考えすぎでした。
無意識に「何々だったり?」冗談系とかの問いには発動しない。
答えが知りたいわけじゃ無いときの疑問形には相手も明らかに冗談で返してくる。
スキルを乗せる感じで自由に視るのと一緒。(半年掛かったが)
問いにスキルを乗せたら発動するのは一緒と感覚が言っている。
「知りたいことをその人に問う」事で発動するが、慣れたら自由になると思う。
問う事を頭で念じてもダメ。直接問う事で発動する。
「記憶にございません。」とか「書類は紛失しました。」ではなく「誰々に幾らもらったので便宜を図りました。」とか「書類は紛失したことにしろと大臣に言われていただけで、実は隠してあります。」と本人が大威張りで喋る。
なんかそんな感じの権限が有ればいいのにな。
日本国特命審問官!みたいなさぁ。
国会でもどこでも行くのに。
はぐれ審問官純情派(旅情編)みたいに。
権限有ったらすぐに刑務所とか行って有罪無罪を全部本人に喋らせてやるのになぁ。マジ勿体ないよな、無罪の人だけでも助けたいよなぁ。
そういや、もう報道系には就職できないよな。
「総理、この事件に対してどう思われますか」
「あのクソ国家のバカどもピーー!」になる。
テレビ通話だろうと直接疑問を投げたら感覚で発動するのがわかる。
マジこんな能力知られたら殺されるわ!
スキルの能力でどんどん身が危険になって行く。証拠と自白が揃ったら悪人には悪夢だよな(笑)
知られたら、麻薬マフィアとかに死ぬまで追われるぞ。それ以前に
能力はスキルが生えた二日後に
次回 第26話 夏のお嬢様
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