第18話  魔改造二つ目の条件



G.W 白い世界の夢を見て二日後。



結論が出ていた。


(Lv0でズラリとひかえる真実スキル)

(法と掟の神、テミス様の像が裁判所にある)

(テミス様は法の神。真理の神と言える)


(スキルを使うには検事と俺自身が考えている)

(違う世界のことわりつかさどる神)

(姿になれず声のみ。その名は理解不能)

(声しか届かない。どうやってスキルを授けた?)


(この世界はステータスボードが使えないと言う)

(そんな世界でスキルが使用限度無しで使える)


白い世界の状況を詳細にスキルノートに書き留め、何度も言われた事を検証して、反証もしている。しかし何度もノートを見るにつけ見えて来る理由が俺を愕然がくぜんとさせる。


間違いなくそのような存在が俺を見てる。

遠いところからでも見ている。


迷わずにそのまま頑張れと言った。それを言いに来た。

力をだいぶ使ってまで言いに来た。


あれはそんな小さなものじゃない。人のためにいない。人を助けるとか、どうのとかのレベルの存在じゃない。何故なぜ俺を見ていると言った、見ていたと言った。


姿を取れないと言ったが、人はあれを神と言っていいのか。多分あれが本来の姿。俺たちに解りやすい形になるだけ。


テミス様が少しずつ近付くにつれ取り乱した。未知の感覚と途轍とてつもない力を感じて心がおののいいた。


白い世界は精神世界なのかもしれない。

魂を磨けと言った。真理に至る道と言った。


考え出すと止まらなくなる。



しかし事実があった。


「スキルに悩む必要はないと神様が言いに来た。」


そんなノートを見て考えに沈んでしまう。


何度もスキルノートをチラ見して勉強が止まる。



そんな中



富田から電話があった。


お!引っ付いたのか?付き合っちゃった?

待ち望んだ電話に気持ちが切り替わった。


そして期待に胸を膨らませて電話に出た。


「おぅ、富田!」

「神谷さん、今いいです?」

「増田と上手くいったか?」

「・・・」


「増田と上手く行ったんだよな?」

「・・・」


「おい?富田!」

「富田?」

「お前停学明けたの?」

「明けました」


「おー!おめでとう、ご苦労様でした」

「はい、ありがとうございます」

「それで増田に電話したよな?」

「・・・」


「てめー!なにやってんだよ!このスカタン!」

「殺すぞ!いい加減「しました」・・・」


「!?」

「したの?したならいいよ、そんで増田とは「母が」・・・」


「ふぇ?」何それ?

「お前が電話してないの?」

「母がしたんです・・・電話」


「おまっ!俺にそんな報告の電話入れてんのか?」

ブルブルと怒りが込み上げる。


「神谷さんのせいで、母が電話したんじゃないですか」

「俺のせいだとぅ。よく言った。うん、良く言った!」


「・・・」

「根性無し野郎!ふざけんな!」

「神谷さんが母に「くそったれ 死ね!」」

ブツ切りした。


また富田から掛かってきた。五回もコールしてるから取ったよ。


「・・・」

「話があるんですけど」

「俺と話してどうすんだ、話すなら増田だろ」

「・・・」

「お前は俺に電話する前に、する所があるだろう」

「・・・」


切った。



違う電話番号から掛かって来た。そう来るか、そう来ちゃう?

おぉ!分った。挑戦か、挑戦だな?根性無しが舐めやがって!


「富田ぁぁぁ~~「関谷です」~ぁ?」

「あ!え?へっ?・・・」


「関谷さん?」

「神谷先輩、今よろしいですか?」

「あ?あぁ、いいよ、時間あるよ」

「これから、会えませんか?」


「今から?富田と関谷さんと会うの?」

「私と神谷先輩だけですけど」

「富田は?どうなったの?」

「富田君です?知りませんが・・・」


「俺が関谷さんと会えばいいのね?」

「はい、お願いします」

「なんか問題とかあったの?」


「そんな訳じゃないですが、電話では話しにくいので」


何があったのよ富田一派。もう勘弁してよ、受験生なんだよ。


電話を置いて探査で視る。

モノまで知らないじゃだめだなぁ。失敗するなぁ。

直接なら視えるだろ、会って聞きながらだな。



チャリに乗って約束の(異様に安い)ファミレスについた。

コロンカランとベルを鳴らしてドアを開ける。


言われたとおりに禁煙席の方を見ると関谷さんがいた。

寄ってくるウェイトレスに席を指差し進む。


「ドリンクバーお願いします」

関谷さんにも同じ柄のコップが置いてある。


ドリンクをもらいに行き関谷さんを視まくる。


内田の話ってのは分かるけど、何で関谷さん?田口じゃないのか?


え!関谷さんって内田担当大臣って大臣かよ!

え?No1の増田って姫さまなの?

No2の富田は団長だ!近衛団長さんだよ!

横井と三屋も騎士じゃねーか。やっとスキルに見合う言葉が・・・


田口だけオシャレ番長だった(笑)

思わずツッコミそうになった。

大臣に引っ張られた。余計なモノ視てどうすんねん。



席について早速切り出す。

「今日は何だった?困った事あるの?」


「いえ、そうでは無いのですが」

うん内田の事ね、分かっていますよ。


「何でも言ってみ、相談に乗るから」

言っちゃいな、お前たちの勘違いを教えてやるから。


「神谷先輩」

「ハイハイ」

「こないだ図書館に居ましたよね?」

「うん、居たよ」

「田口さんと三屋君が図書館の帰りに神谷さんを見て・・・」



「そこに内田さん、佳代ちゃんも居たんです」

うん。片思いとか思われて逃げたけど・・・ゴメ。


「うん」

「佳代ちゃん先輩に助けられたって知っています」


「え?」と驚くふり。


「まぁ、直ぐに解るよなぁ。別に知ってもいいよ」


「え?」今度は関谷さんが驚く

「どうしたの?」

「佳代ちゃん知っていますよ?」


「知ったからって責めないし、口止めしてないからなぁ」


「そうじゃないです、どうしてそうなんです?」


「知っても内田に会わなきゃいいじゃん?」

関谷さんがポカーン。混乱でフラッシュが酷いことに。


「酷い!」涙目で言うな。


「大丈夫!会わないようけてるし、三か月会ってないよ」


けるって、佳代ちゃんの写真欲しがったのに!」ゴゴゴッ!


「先輩、佳代ちゃん助けるの頑張ったのに!」ゴゴゴゴゴゴッ!


「ちょちょちょ!」俺を昇天させる気か!

闘気のオーラが凄すぎて手に負えない。


「酷いです!」何怒ってるの。俺が浮気したとか考えんな。


「先輩が喜ぶ姿が見たくて佳代ちゃんの写真を、うぇーん」


泣いた!泣いた!えぇーー!


「ちょ!うぇーんて!」


何が起こった?何が起こってる?


「ちょ! 分った分った、関谷も協力してくれたんだな?」


あれか?俺が片思いとかそっち系か。どうなんだ?


元は証拠写真だろうがよ!お前ら盛大に勘違いしすぎだ。


分かっているよ、放置した俺も悪いよな。でも土下座見て丸く収まったら関係ねぇだろ。


と思っていたら大惨事。一派の末端まで視て無かった。



関谷で(内田を)検索して新事実発覚。俺も大混乱だよ。



「内田が知った」どころでは無い驚愕の新事実。



知っちゃった内田が神谷先輩を探しに行った事。靴捨てられたのを拾ってくれた人が同じ神谷先輩だった事。とても驚いて感謝した事。助けがいる?と訊かれたのに断ってしまったこと。断ったのに内緒で助けてくれたこと。



それを買い物して写真を撮って以来仲の良い関谷に打ち明けた。その物語に関谷がもらい泣きして、それを見た内田も泣いて二人で抱き合って泣いたこと。



内田がお礼を言いたいこと。可愛い内田の写真を欲しがっていること。あの恐ろしいイジメ状態のグループをあそこまでして先輩が助けたにも関わらず内田に接触しない事。内田がこれほど感謝していても名乗り出ず、行動を起こさない神谷に関谷がれていること。



可愛い内田の写真を欲しがっていること。


マテ!


違う!可愛い服を着た内田の写真だ!あ!そこ違う!俺も違う。可愛い服を着た内田の写真を証拠に欲しがったんだ。内田も地獄から救ってくれて自分の写真欲しがったらそう思うさ。



実際可愛い写真貰っているし。内田が俺に気付いて好きになったのは俺の責任だ。そして関谷も見てられないから動いている。何で俺は可愛い内田の写真を欲しがったんだ?



勘違いするに決まってるよな・・・ひどいな俺。


マジひどいわ、内田をまどわして俺は自分が分からない。


・・・・


神谷が三か月前に言ったのは「靴とか弁償しろ。体操服と制服も切ったよな?一緒に行って可愛い靴と、よく似合う可愛い服を買ってやれ」「高価じゃなくて、普通の女の子が着る服で良いからな」「証拠に買った服着せて、被害者の写真を提出」である。



要約すると「被害者に普通の女の子が着る可愛い靴と服を弁償して、証拠にその服を着せて提出」である。



神谷は悪くない。神谷は欲しがっていない、欲しがってないのだ。三か月も経った。悲しいかな人の記憶は容易に望む姿(弁償・被害者・証拠・提出が改ざん)に変えられていく。



「可愛い服を着た内田の写真を証拠に欲しがった」と神谷自体がそう思い込まされ認めているので、勘違いした内田の気持ちも受け取らないとまずい。とすでに負けている。だから今それを知り腰が引けている。突然の展開に逃げている。



今知った神谷。



富田一派では「神谷先輩がレポートで自分を犠牲にしてまで助けた、片思いしている可愛い内田の写真を季節ごとにいっぱい欲しがっている」とまで魔改造されている。


略して「可愛い内田の写真を欲しがっている」



略した認識。それはスキルの弱点を突く攻撃なのだ。


神谷の片思いがもう一派では事実になっている。


内田がOKならカップルが誕生する所まで来ていた。


関谷は内田を会わせようと頑張っているのだ。



三か月の間でなぜそうなった?二つ目の条件。




次回 19話 能力者VS大司教  

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