第6話  ノリツッコミはお約束




キッチリ三日後、後輩代表(富田)からご招待が来た。


「全員揃ってんだろうな?」

「はい、放課後に全員揃います」


富田に聞くと深刻そうにうなずく。視ないと待ち伏せが怖い。


「そんじゃ時間に九人分ピクニャック買って現地集合な。俺はヨーグルト味を頼む」


千円渡してパシらせる。購買の自販機で売っているピクニャックはちなみに70円だ。

 

そして放課後に現地集合。


前回のひな壇が気に入ったようで、主犯格の3が並んでいる。(主犯:増田 従犯:山居 従犯:野元)


みんなピクニャックは持っているな?とお釣りとヨーグルト味を受け取りながら確認する。


ジュースおごったからって勘違いしちゃダメ。

全員が観念していた。招待に来た富田を視ると中には若干イキル奴も視えたのだが、みんながどれぐらいの誠意で謝れば許してもらえるのか?と真剣に考えていた。


敵対心とか刺客が無いから俺も安心して友好的なのよ。


「そんじゃ飲みながら話そうか?」


律儀な奴らだ、ピクニャックを持つ手でゴチッス!な感じで拝んでストローを刺す。


一応、パイセンって見てくれているのね。


しばしチューチュータイム。


・・・・


ストローの濁音が聞こえだす頃、人畜無害パイセンの無双が始まろうとしていた。


皆が大人しいので悪鬼は召喚されていない。


「さて、いい加減みんなの考えた誠意を聞こうか?」


主犯じゃ無いのに富田が代表で立って、内ポケットから封筒を出す。


「今回はすみませんでした。お納めください」


富田「お前らも!」

ALL「すみませんでしたー!」


イヤ、分かっているけどさ。分っているけどテンプレ過ぎてお約束の対応しか出来ぬわ。


「うんうん、そういうことになったのね。封筒が厚くて重そうねぇ・・・ってオイ!お前らバカすぎだろがー!」


バシ!代表男子富田の頭にノリツッコミ。


#「封筒持って来てどうすんだよバカ!」

「え!でも!」

「デモもクソもねぇよ!」バシ!と肩ツッコミ。

 

誇らしく先頭に立って金を集めたとか、そんなフラッシュ要らんわ。お前は集金だ!(富田)


富田の手の封筒を視ながら言った。


「それはそうと三日で15万もよく集まったな(笑)」


「え!」


目を見開きお互いを見る後輩たち。イヤイヤ、誰もチクってないよ。差し出される封筒を受け取らず、何気に(八人だろ?15万は半端だな?)と思い、誰の誠意が多いのか視てしまった。



余りに驚いて指を差してしまった。


#「お前!主犯が7000円て5%以下!マジ引くわ」


八割の主犯女(増田)にジト目で対応。


「な!何で知って・・・」


キッ!富田に視線を移す主犯。


金額を当てられ、集金をにらみ倒す八割の主犯(増田)

集金が慌てて首を振ると、今度は内情を知る三人官女でにらみ合いが始まる。


・・・こいつら脳筋過ぎてダメだわ・・・


極道の誠意しか知らない。上納金で解決かよ。


ムカついたのでマジで脅す。


#「オイ!お前らぁ、金で済むと思ってんのかぁ!」


レポートの束で富田の封筒を叩き落す。


ALL「・・・」


マジでイキって見たら、ガチで真っ青になる後輩たち。



こいつは効いたな?すごい迫力だったしな。ウヒ!


セリフを反芻はんすうしてみたら、セリフが極道っぽくて自分で笑えた。思わずウケる!


「プッ!ブハッ!あははっ」


「?」

「!?」


笑いの意味が分からない後輩たち。㋖に見るな!


「まぁ、お前らは誠意だと思ったんだよな?(笑)」

15万ってオレ達にはマジ大金だしな。痛いよな?


三人が頷いた。 俺は誠意が欲しい悪代官か(笑)


「取り合えずお前らの誠意はせてもらった」


「・・・」


「分かった、三つの条件付きで許す!」


後輩たちは訳が分からなくとも、の言葉でホッ!とした表情になった。というか・・・わーい!みたいになった。


「ただし!被害者に真摯しんしな謝罪の罰ゲームだ!」


「一つ目は明日の朝。クラスメートがそろい次第に、被害者へして許しをえ」


「クラスのやつらはイジメを見て見ぬふりしやがったが加害者じゃない。加害者のおまえらが謝罪することで、クラスのイジメが終わったことをクラスメート全員に見せつけろ」


「・・・」


視ると


無理無理無理・・・

出来る訳ねぇじゃん。

なんだよソレ!

何で私達がそんなこと!

バカじゃねぇの、出来るかよ!



お前らの気持ちは良ぉぉくせてもらった。



そんな気配を無視して悠然ゆうぜんと続ける。



「二度と致しません、すみませんでした。ぐらいの事を八人で大きな声10回は言えよ?」


全員一人一人を目力で屈服させていく。


「誠意を見せて、大きい声で謝らないとなぁ?」


粘りつく視線で威圧していく。


「元町白龍軒の「らっしゃいませー!」に負けるなよ」


ギャグを入れておく気配りも忘れない。



目をそらすチキン野郎が、チラチラ人ばっか見やがって。おまえら基本、他人任ひとまかせかよ。そんなに怒ってるならお前がキレろよ。ビビリ野郎!怒りが噴きあがってくれねぇと叩き落せないだろ?


集金君、君の姿勢は立派だ。何を言われても耐えようと、謝る姿勢にいつわりはないね。



ちょっとガスを抜くか。一斉につとさすがに収集つかないからな。


「八人みんなで言えよ、一人一人で80回も言われたら被害者が罰ゲームになるからな」


その滑稽さのイメージを湧かせて空気を軽くする。



みんなでやるんだ。一人で玩具おもちゃにされる事に比べたら、五分の土下座も楽勝だよな?」


ここで被害者を思い出させて、土下座のイメージを軽くしておく。


「先生が入ってきて、まぁビックリするだろうが、先生が来るまでだぞ。それまで土下座しろ」


怒りで灼熱しゃくねつしたバカどもの頭が冷える。マジかよー!勘弁してくれよー!そんなの無理無理無理!とか苦悶くもんの悲鳴が上がっている。泣き事ばかりほざきやがって。


もっとなげき悲しめ、といてやるから。


「仲間が八人も居るんだ、先生が来るまでの五分ぐらいなら耐えられるさ。」


励ます感じを込めて、ここでリフレインが入ります。うんうん、土下座の嫌悪感が薄れているぞ。



「何か月もイジメたんだ、何か月の土下座でも良いよな?そこを五分の土下座だぞ?」


なんか軽い罰に思えてきた。


「先生も薄々知っているから、追及されねぇよ」


先生も終わったのが分かってホッとする。おまえら、色々聞かれてるもんな?悪魔のみでにらみ倒す。


「今更頭下げられるか。とか考えるなよ。謝罪が出来たら許すんだからな。」



「いいか?一人も逃げんなよ、おまえらの根性見せろよ」


ちょっとあおってレポートの束をバサバサと見せておく。誠意を見せるんだけどバカには根性と言っておく。





次回7話 そんなパーティーしない

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