第3話 神側のスキル
任意に視る事で分かったことがある。
これは人や物や事象すら映像で視る能力であること。同時に関連する情報も瞬時に理解すること。
誰かの視線の映像も、密室状況の映像もフラッシュバックするのだから。
・視界の中の情報を視ることが出来る。
・物の情報を視ることが出来る。
・起こった過去(事象)をも視ることが出来る。
ラノベで言う鑑定+イメージ映像と言って良いと思う。人、物、事象の三種、その中の事象。これはスキルの中でもチートである。
事象は経緯や過去まで掘り下げる情報と映像を視る事。ちょっと特異で説明しにくい。イメージを言語化するのは難しいのだが、以下の感じに分類した。
・追視:(記憶の場所を視る+知る事件を視る)海の家の盗難がこれ。スキル発動まで思考時間が中時間で視える。
・看視:(視界で視る+知る事件を視る)短時間でスキル発動。視る行為の大部分がこれになる。
・検索:(視界で視る+知らぬ事件を視る)中時間で発動。
・探査(記憶の場所を視る+知らぬ事件を視る)思考長時間で発動率小。ほとんど無理ゲー。
知らない場所はダメ。直接の視界か場所の記憶が無いとこのスキルは発動しない。
難易度的には「看視」>「検索」>「追視」>>>「探査」と急に難しくなる。いくらチートでも、記憶の視界じゃムズイ。
今までのフラッシュはこんな理由だろう。
・物の残留思念を読んでいた。
・人のストレスが視えちゃった。
・込められた想いが視えちゃった。
・・・・
瞬時に理解するとはこんな感じだ。
この人ってどんな人?と視ると、日常生活全般、特に本人の情報、意思や想いが表面だけサラッと視える。
サラっと見えた中に、興味を引く情報が出てくる。これにチートがドンと乗る。興味を引く情報に対する看視、検索、追視、探査が全て乗る。
その情報の全てが頭に叩き込まれるのだ。
引っ掛かった情報は、過去に向かって視るが加速し、関連する情報が検索され掘り起こされていく。関連するすべての情報が過去から現在に至るまで明らかにされる・・・その人が見た映像と共に。
スキルの中でも特に事象がチートなのはそういう訳だ。
今現在、自分で納得できる考察はここまでだ。晩秋の夜長に俺はブツブツと呟き机でスキルノートを付けている。
そろそろ0時。部屋のカギを掛けて、現れても逃がさない。
夏から続く
粛々と装備を整える。安全靴に
ルーチンが終わる。
静かに打席に入ってその瞬間を待つ・・・来い!
時が止まる。
「ふぅ・・・」
今日もモンスターは来なかった。まだタイムリミットは来ていない。それでも10分ほどは安全確認。家をターゲットに未知の事象を検索。次いでネットの書き込みを検索。今日も異常なし。
0時10分に装備を解除、就寝。
俺に時間を与えたのが不味かったなタイムリミット!
あーっはっはっはっは!
寝た。
夏から秋に渡るルーチンで、タイムリミットが敵となっていた。
まんま中二病であった。
・・・・
この三カ月。
人間の内包する可笑しさや悲しさや大罪(笑)を罰ゲームの様に四六時中視せられ俺の内面もだいぶ変わってきた。
他人の
困った人が分かる。悩みに関係する情報が分かる。分かるというのは不適当かもしれない。その人や物に関連付けされた情報が視える、間接的な理解が正解かもしれない。
このスキルは人物を視る意味において最適の身辺調査なのかもしれない。ラノベの真偽官も真っ青のスキルである。
スキルを手にした超人である主人公の
このようなスキルを獲得した意味。選ばれた事に意義があれば大問題だ。俺だって神様が怖い、俺が正しいと思っても相手にしたら悪なのだから行使するスキルの意味を良く考えて動こうとは思う。ラノベの勇者が勘違いしてやらかす「俺様正義でざまぁ展開」だけはマジ勘弁だ。
これはラノベの物語ではなく現実問題だ。スキルを与えた神の怒りなんて絶対に買いたくない。
色々と思うところもあり、熟考の末に結論は出した。
俺が視たくない、という理由があれば、出来る範囲で介入しようと思う。
教室でソワソワしている生徒に「あ!実験教室のポーチみたいな筆箱おまえの?」と介入した。
嫌がらせを画策している犯行現場に、たまたま居るように先回りした。
教室に入ると相合傘が黒板に書かれていた。「何
自販機の前でたたずむ女生徒。お釣り口に960円あったらしい。直前に買った生徒の情報を視て女生徒に教えた。
購買に行くと並ぶケースが少ないので視た。搬入庫にポツンと忘れられたおにぎりケースを並べてもらった。
俺が視たくない。それが俺の正義だ!
ちっちゃい正義とか笑わないでね、学校でそんな大事件起こらないんだよ(笑)
そう思っていたのも束の間、視てしまったのだ。
悪意の塊を。
次回 4話 嗤って喰らう奴ら
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