クロエ

「あれ? ここは?」


 目が覚めると、初めてみる景色だった。


「おお、目覚めたのか。長谷川絵里ちゃんで良いかの?」


「え? は、はい」


 お爺さんが一人、私の前に立っていた。


 あれ? 私も立っている?


「ほっほっ、君は前世で亡くなってしまっての。今は魂の存在だから立っていられるのじゃ」


「えっ!? 私…………亡くなってしまったんですね…………お母さんいっぱい泣いてるんだろうな……」


「…………そうだな。両親は沢山泣いておったよ」


「…………私……悪い子ですね……」


「……そうでもないのじゃ。実は君のおかげで、これから多くの命が救われる事となるのじゃ、なんせ、あの病気は君の治療から漸く糸口が見つかり、急激に解析が進み、これからの治療に大いに貢献しているのじゃよ」


「そっか、私、役に立てたんですね。それなら嬉しいな」


「ほっほっ、それはそうと。そんな大きな偉業を成した君に、我々神から願いを聞いてあげようと思っての。何でもいいから言ってみて欲しいのじゃ。まぁ……生き返るとかは無理なのじゃが」


 願い……か。


 あまり考えた事はなかったけど、お父さんとお母さんが幸せになればいいな……。


「えっと、お父さんとお母さんが幸せになって欲しいです」


「ほっほっ、それはもう心配しなくても大丈夫。二人は君の事も勿論、新しい子供の事もあって懸命に生きていくのじゃ。君の功績も全世界に代々報じられ幸せになるのじゃから」


「え! 私の弟か妹って事ですか!?」


「そうじゃ、数年後に弟が生まれるのじゃよ」


「そっか~それなら安心です。お父さんとお母さん。これからも私の分まで幸せになって欲しいです」


 神様は優しく微笑んでくださった。


 それにしても願い…………か。


 ある事はあるんだけど……こんな願いでいいのだろうか……。


「えっと…………中学校ん時、毎日私の為に頑張ってくれた男の子がいて……えっと…………その子と会ってみたいんです……」


「ほっほっほっ、伊丹いたみくんだったかな?」


「は、はい」


 少し顔が熱いのを感じる。


「よかろう、ただし……条件があるのじゃ」


「条件?」


「そうじゃ、決して自分の正体を告げない事。彼にはこれから先の人生がある。それを応援してあげる事じゃ」


「分かりました」


「ほっほっ、彼は今、学校にはいかず、ネットゲームというのに夢中になっておる。そして、数年後、色んな事件に巻き込まれ、傷付き倒れる寸前となるのじゃ」


「えっ!? れいとくんが…………」


「君はその状態の彼と会う事になるじゃろう。身体もない、ゲームの中のキャラクターとして。彼と出会って楽しく過ごすとよいじゃろう」


「……はい! 私、彼の事、もっと知りたいんです。だから……頑張りますね!」


「ほっほっ、ではまた会えるかは分からないが、これからの人生・・楽しむようにな!」


「はいっ! 神様! ありがとうございます!」



 それから私が次に目を覚ました時には、不思議な世界が映っているモニターの前だった。


 ただ、身体はなく、周りも何もないただの黒い世界で、ただモニターだけ映っていた。


 待っててね、れいとくん。


 今、会いに行くね。




 ◇




 次、目が覚めた時、私はものすごく驚いた。


 だって…………ここは現実世界のようで、周りがキラキラしていて、風も気持ちよくて、暖かくて…………。


「こ……ここは?」


 周りも見てみると、そこにはあの頃、写真でしか見た事がなかった顔の人がいた。


 君は…………。


「は……はじめ……まして?」


 彼がものすごくオドオドしている。


 どうしたんだろう?


 そう言えば……直接会うのは初めてだものね?


「お、お、お、お、おれは……た、た、た、た」


 ふふっ、オドオドし過ぎな姿に笑顔がこぼれてしまった。


「はい、まず深呼吸してみよー!」


 と声を掛けてみる。


 目が大きくなった彼は私の仕草に沿って、同じ行動をする。



 えへへ……いつも画面の向こうだったけどね。


 これからはすぐ隣で一緒にいられるね。


 しかも、私って、彼の彼女になっているし!


 すっごく……嬉しいなぁ。




 ねえ、れいとくん。


 これからも毎日宜しくね?


 たまには、名前を間違えて呼んでくれてもいいよ?


 ――「はっしー」ってね。





――――作品を書き終えて――――


 異世界転移で神様から欲しいギフトと言われ、彼女と答えたら本物じゃなくてスキル『彼女』ってそうじゃないだろう! を最後まで読んで頂きありがとうございます!


 中々攻めたタイトルで入りづらかったと思いますが、その中、最後まで読んで頂けた事がとても嬉しいです!


 この作品は御峰の四作品目の作品であり、初のラブコメジャンルでした。ラブコメではありますが、異世界転移なので、異世界モノに近いですね。


 ただ、作者としては二人の恋愛を重きを置いて作った作品なので、作者の中でしっかりラブコメを書けたのかなと思います。



 この作品を書いた時、最後まで読んでから再度最初から読むと違う視点で楽しめるを意識しているので、ぜひもう一度最初から読んでみると、また違った事が沢山見えると思いますので、ぜひお試しあれ~!


 ここまで面白かったと思えた方はぜひ、レビューコメントを★3つと共に残してくださると、御峰が喜びの謎の踊りをし出します!


 それでは短い間でしたが、この作品は終わりになります。これからも御峰は沢山の作品を書いて行きますので、面白かったと思った方は作者フォローと、別な作品にも遊びに来てくださると、とても嬉しいです!



 では、改めて、最後まで読んでくださりありがとうございました!!

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異世界転移で神様から欲しいギフトと言われ、彼女と答えたら本物じゃなくてスキル『彼女』ってそうじゃないだろう! 御峰。 @brainadvice

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