第12話 音楽室で歌うピアニスト
学校から帰って勉強に手をつける。
勉強を2時間したところで集中が切れた私は久しぶりにピアノを開けて前の学校を転校する時に弾いた曲を懐かしみながら弾く。
転校する前は凜和市の中学校に通っていて、実は茉莉と同じ学校だった。茉莉は中学1年の中盤に引っ越していて、桜宮市であったときはビックリした。それに引っ越す前は家も近くて幼なじみだったから、結構茉莉が引っ越すときはすごい泣いたっけ。
急に水雫さんが私に話しかける。
「ねぇ、私も近所だったんだよ?覚えてないの?」「えぇ!?私と小さい頃会ってたの?」
「えぇ…忘れてたの?一応おばあちゃんが凜和市で音香ちゃんの家の近所だったから何回も遊んでいるはずだよ?」
そんな会話を楽しくしながら今弾いているのは、私が小さい頃から好きな高校生のピアノ奏者が作詞作曲した曲で、そのピアノ奏者は顔しか覚えていなくて、名前が思い出せない。12年前まではコンサートをよくやっていたが、最近は情報すら見かけない。お母さんに名前を覚えているかと聞いてもお母さんも覚えていないという。YouTubeでその作詞作曲した曲を検索しても出てこないため、もう1回生で聞きたくても聞けない状況なのだ。
懐かしみながら弾いていたら、最近の疲れが一気にきて眠くなってきたので、その日は早く寝た。寝る前に本を見たらなんかタイトルが変わっていた気がするが気のせいだろう。
水雫さんのペンダントの話(澪のペンダントとデザインが似ている話)をききながら眠りについた。
朝。雨の激しい音で起きる嫌な朝の迎え方だった。今日は6月16日。6月9日の梅雨入りから結構経ったからなのもあるかもしれないが、最近強い雨が多い。空気の入れ替えが出来ずジメジメしていて、嫌な気分だ。
昨日のは気のせいだろと本の表紙を見ると…
タイトルが『
お母さんに「起きなさぁぁあい!!音香!!」と下から声がする。本を確認している暇もないようだ。
本の中身を確認するために速く準備を終え、本を見る。そろそろ終わりそうだなと思っていた残りのページが分厚くなっていて、本自体のページ数がこの数分で増えたようだ。
辞めてくれよ。それについてため息をついていたわたしを見て、水雫さんが言う。
「ごめん。私本、さっき触ってちゃって…中身を見ようとしたら、|・ω・`)あの・・・
なんか変わっちゃったっ」と可愛くベロを出しているが、正直許せない。
まだ時間もあるし1話読もうと本のページに手をかける。
『音楽室で歌うピアニスト』
百合ヶ丘高校の合唱部にはピアノも出来て、作詞作曲も出来て歌も上手な部長がいました。その子の名前は
休みの日でも音楽室から風にのって羽が飛んでいくような綺麗な歌声がピアノと共に聞こえてきたため、七不思議として、音楽室に心残りある幽霊が歌いながら弾いているという勘違いをされていた。
湊さんと勘違いされていたことが発覚してから、ピアニストにならないかと勧誘が多かった。
わたしは雪ノ
音楽科担当で合唱部の顧問の
わたしは結構歌がみんなより下手で音もこもっている。けれど、湊さんがよく大丈夫だよ。と言ってくれる。そんな湊さんを私は尊敬している。
中川先生は湊さんを知り合いのピアニストに紹介した。その結果。そのピアニストが要因で高校生ピアニストとして活躍することになる。
ある日。湊さんはピアノのコンサートで自分で作詞作曲を手がけた曲を弾くことになった。湊さんの歌声とピアノの音色は会場を魅了し、話題になった。黒いドレスに1つの水色のトランプのダイヤ型のペンダントが光る。ピアノが終わった舞台裏で湊さんに話しかける4歳の女の子がいた。
「湊さん凄かったです!!」と4歳なのに敬語で話しているしっかりとした女の子だった。「そのペンダント綺麗ですね。作詞作曲の曲良かったです。また親に連れてきて貰います。頑張ってください。」
その言葉を聞いてから湊はすごい頑張っていた。
しかし、その才能は急に雪の結晶のように消えていった。高校三年生で若く亡くなってしまった。湊さんは人見知りだったが、生徒会でリーダーシップもあったことから、、亡くなったと聞くと悲しむ人が増えると思った湊さんの親御さんが先生にお願いして、湊さんは海外の学校に行った。ということで話が生徒に伝わった。
もう湊さんはこの世にいないのに、放課後誰もいないときピアノの音と歌声が聞こえるそうです。
何年も経った現在、私は数学の教師になりました。
なぜか中川先生は同じ学校で合唱部の顧問を一緒にしています。1回5年間違う学校に移動したと言っていましたが、またこの学校に戻ってきたようです。たまに湊さんの話をします。今は中川先生と仲良しです。
あれ?そういえば私そのピアノ奏者と話をしたことがある。まさかその女の子って私で…
湊さんってゆう名前だったんだ。澪が知っているかもしれない。雪ノ下先生がもし同級生なら、雪ノ下先生にも聞いてみよう。
気になりながら私は学校へ向かった。
✂――――――キリトリ――――――✂
物についてのデザイン集を近況ノートに載せましたので、是非見てください。
物語が想像しやすくなると思います。
近況ノートhttps://kakuyomu.jp/users/AO0607/news/16817330651046347166
随時このデザインのページは更新して行きます。
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