第11話 祠の神隠し

『祠の神隠し』


 夢をみていた気がする。俺はいまどこにいるんだ?あたりは真っ暗でなにも見えなかった。

 あなたは知っていますか?

 昔は瀬菜市の左隣で、白麻市の下にある、待雪市まゆきしに椿神社があり、そこには祠がありました。

 しかし、都市開発の為、神社は壊されビルが周りにたち始め、祠だけが残され、近所の人でさえ気づかなりました。

 ついに祠がある場所に公園が作られることに。

 

 工事途中に近所の古い人が言いました。

「その祠は本当に神様がいる。神社が壊されたことでお怒りになっていると、祠を管理している家系に言われたよ。だから、祠は絶対に壊しちゃいけないよ。手を出したりしたら、取り憑かれて、祠に閉じ込められてしまうよ。」


 公園ができた時、祠は見当たりませんでした。今は花が植えてある植物園の目立たないところに祠は保管されているのです。

 後々おばあさんに詳しくその祠の話を聞こうとしたが、そんなおばあさんは近所にはいないと近所の人は話します。

 公園に行った時、植物園にある祠に近づかないでください。祠近くで遊ばないでください。 そんな怪異の話。


 一応学校の書類には写真部の部員ではないが、写真部の部員として、俺は遠出をして大きな公園の植物園で花を写真に収めていた。

 入口から少し離れた部屋に入った瞬間。甘くふんわりとした匂いがする。匂いがする方向に行くと、ユリがあった。この匂いの正体はこれだったのか。と看板を見る。


『ユリ 英名 Lily(リリイ)ユリ目ユリ科ユリ属の多年草の総称である。このユリはテッポウユリであり…』と細かく説明されていて分かりやすかった。次何かのレポートを書く時はまたここに来ようかな。


 今の時期はお茶フェスタを奥の部屋でやっているようで、色々な植物があり、1番最初に目がついたのはジャスミンだった。

『ジャスミン - モクセイ科ソケイ属。

 別名 茉莉まつりインドのベンガル語では「Mali(マリ)」と呼ぶ。ジャスミン茶に使われていて…』

 ジャスミンって茉莉まつりって読むんだなぁ…ジャスミンの隣にはスイセンが植えてある。スイセンのお茶なんてあったかな?と看板をよく見ると、中国のお茶に使われているらしい。『スイセン(水仙)水仙茶という烏龍茶の1種に使われている。茎には毒があるため、取り扱いに注意しなければならない。よくニラに間違えられるため、食中毒などの事件が起きやすい。』

 毒あるの!??と結構驚いた。

 ここの植物園は説明が細かく書いてあることに気づいたので、細かいところまで探索しよう!と少年は巻き返した。

 すると、真ん中あたりのところで、端の目立たないところに小さな小屋があった。


 あれ?なんで室内に小屋が?と小屋があることに俺は気づいた。

 小屋に入ると、外に繋がっているようで、別のルートだと入れないように作られていた。

 外に繋がるであろう道を通ると、思っていたどおり、外に出た。入口には鳥居があり、少し進むと祠がある。奥はちょうど壁になっていて、上を見上げると公園があり、柵が囲んであった。ここは公園の下にあるスペースで、多分目立たないように作ってあるようだ。

 

 外から見た時、こんなところはなかったはずだ。入る時鳥居に礼をしていないことに気づき、一旦鳥居に戻り、慌てて礼をする。

 

 なんの神様なんだろう。目立たなくする必要はあるのだろうか。

 とりあえず、願い事をしてみた。すると何故か急に吐き気がきた。やばい。間違えた願い事でもして神様の機嫌を損ねてしまったのだろうか。そう思いつつ、俺はなぜか祠を開けていた。開けたくもないのに開けていた。

 なにもないじゃないか。俺の体が勝手に動く。自分自身ではなにもすることができず、祠に手を入れていた。なぜか壁がない。

 見た感じは壁があったはずなのに。

 

 そして、俺はいつの間にか意識を失った。

 目を覚ますと、そこは真っ暗な空間?道?だった。光がある方に進むと、扉越しにさっきまで自分がいた景色が見える。扉を開けようとしても見えない壁があって、扉を触ることすら出来なかった。「助けて!!助けて!!」と叫ぶ。まず、ここには誰もこない。植物園に、公園にも声は届いていないだろう。僕は必死にここにくる誰かを待っている。


 あなたは知っていますか?待雪市の椿神社にある祠を。あの祠、今はとある公園の植物園のどこかにあります。祠には近づいては行けません。鳥居をくぐる前にきた道を引き返してください。助けてという少年の声を祠から聞こえても。あなたも少年と同じようにならないように。



 読み終わったときふと思った。そういえば今日読んだ2話秋桜市の怪異の話じゃなかったな…タイトルが変わってたり…

 まぁ、しないよね。

そう思っていた私がバカだった。この本1回タイトルが変わっていることを。


次の日。起きて本を見ると。タイトルが変わっていた。



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