第3話 学校の旧校舎

 私は時計を見る。

 最終下校は6時なのでまだ時間はあるし、結局帰りの時に茉莉には聞けばいいか〜

 そう思い私はまたページをめくった。


『学校の旧校舎』

 私の学校には旧校舎がある。

 1年の5月後半。手続きが遅れてしまったのと制服が出来るのが遅く、ほぼ転校生扱いだった。私は職員室で全先生の前で自己紹介をしメンタルがガタ落ちしていた。

 母が校長先生とお話してくるから校庭か昇降口で待ってなさい。と言ったので私は校舎を周りながら校庭に出て待とうと思った。


 案外校舎は入り組んでいて、増設を繰り返しているように見えた。私は方向音痴なのでこれからの学校生活が心配だ。

 そのまま校長室と職員室がある2階から1階を周り昇降口から校庭へ向かった。

 そこには1人の同じ制服を着た少女がいたように感じた。

 今日は諸活動停止だったらしく、校舎にはこの時間誰もいないため忘れ物を取りに来たのかもしれない。

 追いかけるとメガネをかけた肩につくかつかないくらいの髪の長さの女の子が校舎内に入っていった。どうやら違うクラスだけど同学年のようで教室で本を持って物を探していた。

 名字のかかれた名札は見えなかったがいつかまた会うだろう。そう思って私はまた校庭へ戻った。


 そうして私は五分くらい経った時、

 私と同い年くらいのさっきとは違う女の子が私に声をかけてきた。

「こんな時間にどうしたん?」

 と私は聞いたが曖昧に少しなまった口調でその子は答えた。

「うちはね……ええっど……吹奏楽なんやけど、家だと練習でぎないがら先生に許可もらって学校で練習することになったんよ。

 よく見たらここじゃ見ない顔だべな。

 君こそどうしたん?」

「私は色々あってほぼ転校扱いになって先生達に挨拶に来たんだよ。お母さんに校庭か昇降口で待っててって言われたからここで待ってたんだよ。」

「じゃあ暇ってことだよね?うちが校舎に案内してあげるよ。と奥にある少し古びた感じの校舎を指さした。

 そのときは増設前の校舎なんだろうなと感じたがこのときに私は気づいておけば良かったとあとあと思った。


 その少女は『りん』と言った。

 りんは校舎の2階の郷土資料室へと案内してくれるそうだ。

 なんで郷土資料室なの?と私が聞くと、

 りんは「いつもここで授業をサボってるがら〜あとここの眺めは良ぐて校庭ほぼ全体見えるから////にも見せたいんよ。」

 と言った。

 廊下を歩いている途中りんに近づいたらビックリさせちゃったみたいですぐ距離を取られた。ちょっと近くにいられるのがこわいのかな?と思った。

 郷土資料室につくとすこし壁が焦げていることに気づいた。りんになんで焦げているの?と聞くと、すこし沈黙が続いてから答えた。

「ぢょっと私にも分からないべな。ごめんな。なんかそのことについて聞いたことはあるんだけど忘れちやった。」

 そうなんだね。ほら景色きれいでしょ?と言われて私も目の視点を景色に移す。

 確かに!と思ったが同時に違和感を感じた。

 あの鏡何?と聞いたがまたわからないと言われちゃった。なんか嫌な予感がしたので、ごめんそろそろ時間だわ〜と言ってこの校舎から離れようとした。最後に握手をしようとしたらまた拒否られた。


 それ以降私はりんには会っていないし、

 最初に同級生と話していた時にさりげなく

 聞いたらその校舎は存在しなかった。

 それにあの校舎で火事が起きたことがあるのでそのとき解体されたと同時に今の校舎の1部が出来たそうだ。あの郷土資料室の焦げあとは火事の焼け跡だったのか。

 この体験はあのときの私の見間違いだったのか、それとも現実とはかけ離れた別の世界に引き込まれたのか。そのまま校舎にりんと居たらどうなっていたのでしょうか。


 まためっちゃ微妙な終わり方だなと思いながら2話を読み終わったところで時計は5じ40分であと五分で下校前のチャイムがなる時間になっていた。私は眩しい夕日に照らされながら廊下を走った。

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