〈ユア視点〉





車に借りた本を乗せると「コッチだ」と

歩いて駐車場から出て行く三好先生を

「え?」と言いながら追いかけて

図書館の少し奥にある路地を歩いて行くと

民家の間に小さくあるお店に入って行った




ミヨシ「もうやってますか?」




とノレンを片手でめくり中のスタッフに

聞いてから私に顔を向け「入れ」と

ノレンを上げたままの三好先生




「お邪魔します」と言いながら

お店の中に足を進めて行くと

店内は近所のおじさん達が通いそうな

少し黄ばんだ壁紙に子民家みたいな

茶色がベースの内装でお世辞にも

【可愛い】や【オシャレ】

なんて雰囲気ではなかった




大きな紙でメニューらしき名前が書いてある

紙が店のアチコチに貼られている…




「海鮮…もんじゃ」




ミヨシ「お前もんじゃ派か?」




女「席、好きな所どうぞ」




とオシボリとお水を持って出てきた

店員さんは私達が座るのを待っているんだと

分かり三好先生の方に顔を向けると

「好きな所に座れ」と言われ…




「私…あんまり座敷で食べた事ないから…

  奥の座敷でもいいですか?」




何故がフッと笑いながら「あぁ」と

私に言うと「奥で」とさっきの店員さんに

伝えて私の前を歩いて座敷の方へ進んでいく




靴を脱いで「失礼します」と

座敷に上がりびっくりした





ミヨシ「座敷じゃなくて、掘りごたつだったな?笑」




「だからさっき笑ってたんですね…」




女「こんな若いカップルが来るような

  いい店じゃないんだけどゆっくりして行ってね」





と冷えたオシボリを渡してくれた店員さんは

「どうぞ」とメニューをテーブルに乗せて

奥のキッチンに引っ込んで行った




(・・・・・・)




カップルと言われた事に少し恥ずかしさを感じ

三好先生の顔が見れないでいると

「何がいい」と私とは対照的に

さして気に留めてる風もない先生に

なんとなく寂しい気がした…




あまりお好み焼きを食べた事がなかったから

三好先生に「お任せで」とお願いした後に

店内のさっき見た張り紙を思い出した




「もんじゃとお好み焼きは違うんですか?」




と聞くと、違いを説明する三好先生を見て

何度かここに来ているんだと分かった




「・・やっぱり海鮮もんじゃにします!」




ミヨシ「全然お任せじゃねーじゃねーか」





と笑う三好先生は…

やっぱり病院の雰囲気とは違った…



(笑った顔は…可愛い…)



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