月初め

〈ユア視点〉









「はい、病院です」




クサカ「お疲れ様です、日下です」



(げっ、日下先生・・・)




「お疲れ様です…」




クサカ「確認していただきたいんですけど」




今日は薬剤師の先生直々に電話があり

(なに?)と身構えたけどジェネリック薬品に

関するお願い事で少しホッとして電話をきり

三好先生の診察室へと向かい壁をノックした




ミヨシ「入れ」




「失礼します、日下先生がお薬をコッチの

  メーカー側を使っていただけないかと

  お電話いただきました…」




ミヨシ「・・・・この薬はなんの薬だ?」





「えっ…精神安定剤…です…」





ミヨシ「・・・薬そっちにかえていいって伝えろ」





「あっ、ハイ!失礼しました」





出ていきながら入り口で足を止め…





「・・・先生……当たりましたか?」





と背中に問いかけると





ミヨシ「3日前に教えた……

  答えられなかったら怒鳴り上げるつもりだった」





と言われ間違えてなかったんだと

安心して薬局に電話をいれた








定時になりいつもなら皆んな帰る所だが

今日から月初で数日レセプト残業が始まる




病棟も紙のカルテを使っているから

入院患者の計算だけで3~4日間は

夜の10時まで毎日残業となる





ミワ「はぁーまた地獄のレセプトね…」




キムラ「結愛ちゃん、コーヒー頼んでもいい?」





「はい」と返事をしてコーヒーメーカーを起動して

全員分のマグカップを準備しだす





イシイ「お疲れ様!!今日から残業だったね」





と石井先生の優しい声が事務所に響き

私の元に来て「コーヒー僕にも持ってきて」と

言って先輩達と冗談を言い合ったら

声が聞こえなくなり出て行ったようだ



全員分のコーヒーを机に配っていき

「石井先生のコーヒーを部屋に届けてきます」

と先輩達に言って事務所を出て行こうとすると

三好先生が入ってきて

私の手にあるマグカップをジッと見て





ミヨシ「俺にもいれろ

  石井先生に話があるから俺が持っていく」





と言われ、「はい」とキッチンに戻り

三好先生の分のコーヒーも煎れトレーに乗せて

渡すと「いらない」とトレーはつき返されて

マグカップ2個を持って出て行った





(・・ありがとう位言ってくれてもいいのに…)





と小さくため息を吐いて

自分の席に座ってカルテ計算を始めた





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