〈ユア視点〉








カルテには使われた薬品名と

縫合やその他の処置も記載されていたけど…



 


(・・・コレって確か…)





点数の表を取り出し確認をしていき





「三輪先輩!多分コレです!」





ミワ「え??」




 

「私、授業の時に外科系のレセプト入力

  中々理解できなくて時間かかってたから

  何問も例題をやらされてたんですよ」




ミワ「え?」





「コレであとは…薬品を使った分だけ

  計算すれば大丈夫だと思います」

 




ミワ「・・・・」





「私…あんまり薬品計算得意じゃなくて…」





ミワ「・・大丈夫!!それはやり慣れてるから!」






そう言って薬価本を広げて電卓を素早く弾く

先輩がカッコ良く見えた…





ミワ「これで……うん、大丈夫!」






三輪先輩は振り返って「ありがとう」と笑顔で

言うと患者さんの会計に走っていき

私はまた外来看護師から石井先生の触診に

入ってと頼まれてバタバタと時間は過ぎていった





夕方前に事務長が顔を出して

ケーキを差し入れに持って来てくれた





事「結愛ちゃん、初めての当番医はどうだった?」


 



「もう頭が真っ白でした」





ミワ「でも凄くキビキビ動いてて

  外来も助かったって言ってたよ!」




事「おっ!あの口うるさい外来ナースから

  褒めの言葉がもらえたなら大したもんだろ?笑」




「いえ、先輩がいたから安心して動けたんです」





ミワ「ふふ…お昼休憩半分しか取れなかったし

  早めに帰らせていいですか?」




事「そうなのか?帰っていいよ、結愛ちゃん」





「えっ、でも…」





ハン「もう患者さんいないし、誰か来ても事務長も

  いるから大丈夫よ!たまには早く帰りなさい」






三輪先輩の「たまには」の意味がなんとなく

分かり「ありがとうございます」とお言葉に甘えて

先に帰らせてもらった

 




ロッカーで着替えを終わらせて

駐車場まで歩きながら今日の仕事を思い返し

口の端がニッと上がる感じがした…





初めてかもしれない、仕事が終わって

「疲れたー」と笑顔で家に帰るのは…






次の日は振替でお休みをもらって火曜日に

いつも通りに出勤し掃除を終わらせて

自分の机に座ると責任者である

河辺先輩から呼ばれて立ち上がった





カワベ「当番医お疲れ様、よく頑張ったみたいね

 三輪さんも、外来看護師も皆んな褒めてたわよ」





「いえ、三輪先輩に頼ってばっかりでしたし

  外来は石井先生の触診時に

  患者さんの洋服を持ち上げてただけですし…」





カワベ「整形の患者さんのカルテ・・

   あなたがいなかったら

  出来てなかったって言ってたわよ?笑

  あと、三輪さんの手が回らない時に

  一人でもちゃんと患者さん対応して

  点数計算も会計も出来てたって!!」





「・・・三輪先輩…」





看「そうそうコッチも助かったわ!

  いつも細かく在庫補充とかしててくれたから

  スムーズに作業できたしね、ありがとう」





外来看護師さんも奥から出てきて褒めてくれた…

何だか嬉しいのと照れくさいので涙ぐんでいると





ミヨシ「お疲れ」





と後ろから三好先生の声が聞こえて

振り返ると私の席にカップコーヒーを

一個置いてそのまま歩いて行った





看「ん??何??」





近づいて先生のくれた物を手に取ると

コンビニに売ってあるス○バのカフェラテだった




(・・あっ!・・)




三好先生にこの前の夕方

ここで泣きながら言った事を思い出した





【お店閉まるのは早いし…

  遊ぶところもないし…ス○バだってないし…】




( 三好先生わざわざ買って来てくれたのかな…)







看「なんで三好先生が?」




キムラ「いやいや、あの三好先生が差し入れ?」




カワベ「よく怒鳴ってるからお詫びとか?」





(・・・なんでだろ?・・)





三好先生の後を追い診察室の空いてる扉の前から

「ありがとうございます」と声をかけると




ミヨシ「それは飲めんのか?」




と背を向けたまま聞いてきたから

「ハイ!大好きなのです」

と答えると椅子をクルッと回し

コッチに体を向けてきた




ミヨシ「早く仕事も一人前になれ」




そう言って早く戻れと追い払うように

シッシッと手を振る三好先生に

今日はなんだか、あまり嫌な気はしなかった…





仕事の途中で飲んだそのカフェラテは

学生時代に飲んでいた物よりも

なんとなく美味しく感じた…









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