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〈ユア視点〉
泣き止んだ後に帰ろうと立ち上がった時に
三好先生が置いていった物に目を止めた
「・・・コレ…」
置かれていたのは薬の名前が書かれた沢山の表で
所々に青いマーカーが引かれていた…
(・・・・・)
手に取って持って帰り
私はその日の夜に辞表を書いた
そして、三好先生が置いていった表を
見ながら小さなメモ帳に書き写していった
次の日も空き時間は当番医の時に
少しでも先輩の足を引っ張らないようにと
休日用採点を書き出して机に張り付けていき
17時になると私は直ぐに鍵を閉め
女子トイレに行き時間を潰した…
また事務室にいると三好先生が来る気がして…
昨日の事があり顔を合わせたくなかった…
今日の三好先生のカルテは前回と同様の表記ばかり
だったから聞きに行く必要はなく…
三好先生の診察室に行って怒られる事もなかった
「何の仕事しよう…」
昨日の今日で辞表を出せば先輩に少し嫌味を
言われた位でとでも噂されそうだったから
数日経ってから事務長に渡そうと思い
バックの中に入れたままだった
どうせ1ヶ月は働かなきゃいけないし
ゆっくり探せばいいかと思い
スマホで当番医の注意点などを書いていた
一般人のブログを読んでいた…
・
・
当番医当日になり気持ちは重くても
やり切らなきゃいけないし
いつもより更に早く出勤して
掃除や開院準備を終わらせた
「・・・よし!」
事務室のコーヒーも作り終えると
ミワ「はぁー・・おはよう…」
「おはよう御座います…
今日は宜しくお願いします」
と三輪先輩に頭を下げた
ミワ「文句言ったってしょうがないしね…
・・・コーヒーもいれたの?」
「あっハイ…木村先輩はお休みなので」
いつもは、私よりも2歳年上の木村先輩が煎れて
くれていたが今日は三輪先輩と二人だけだし
変わりに私がコーヒーメーカーの準備をした
ミワ「・・・・・」
開院時間になったが誰も入ってくる事はなく
ドキドキと緊張する心臓の音が響く中
三輪先輩は自分の席で雑誌をめくりながら
私に話かけてきた…
ミワ「時任さんさぁー
入ってきたばっかりの時コーヒーが好きって
言ってたけど自販機で買うのお茶だけだよね?」
「えっ・・・あぁ…缶コーヒーは何だか
甘過ぎるみたいで…
あんまり好きじゃないんです…」
ミワ「ブラックはダメなの?」
「ブラックは・・・少し苦くて…」
ミワ「フッ・・何だそーゆう事・・」
「え?」
ミワ「いや…事務室のコーヒー飲んだらいいのに
砂糖とミルクも戸棚の奥にあるから」
「あっ…ありがとうございます」
立ち上がってコーヒーメーカーの前で自分の
マグカップを出しているとガチャっと事務室の
扉が開く音が聞こえて来て
ミワ「三好先生、おはようございます」
ミヨシ「あぁ」
三好先生が入って来たんだと分かり固まっていると
足音は私のいるキッチン方面に近づいて来た
ミヨシ「おい、コーヒー俺にもくれ」
と言われ「はい」と目を合わせずにパッと
戸棚の中を見て三好先生のマグカップを探すが…
(・・・どれだっけ・・)
ミヨシ「・・・・どけ」
「すみません…」
戸棚から自分のマグカップを取り出し
そのマグカップにコーヒーを注いでいく
三好先生に気まずさを感じ…
目線を下げたまま先生が向こうに行くのを
待っていると手元にある私のマグカップを取り
コーヒーを注ぎ出した…
「あっありがとうございます…」
何も言わないまま三好先生は
自分のマグカップを手に握って事務室を出て行った
ミワ「珍しい…事務室のコーヒーなんて
普段あんまり飲まないのに…」
確かに…事務室のコーヒーは事務長や
内科の石井先生位しか飲みに来ない…
自分の席に座り三好先生が注いでくれた
コーヒーを一口飲んでみた…
(・・苦いけど・・・なんとなく甘い・・)
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