缶コーヒー

〈ユア視点〉





朝は8時15分から勤務開始だけど

混み合うロッカーを避ける理由から

7時40分には着替えを終えて

ロックの解除と掃除を始めるのは

もう当たりまえの日課だった





着替えといってもこの病院の受付は白いロングの

白衣を羽織るだけだから1分もかからない…





一人で入り口をホウキで掃除していると

足音が聞こえて来て外来の看護師が早めに

出勤したのかと振り返ると三好先生が

入り口にある自動販売機にお金を入れていた




( ッ!?…三好先生… )




「おはようございます」




と小さく声をかけてそのまま室内掃除に

逃げようと通りすぎて行こうとすると…





ミヨシ「おい」





「・・はい?」





ミヨシ「コーヒーどれがいい」





「・・え?」





ミヨシ「カルテの文字だけじゃなく

  日本語も理解できねーのか?」





「缶コーヒーは苦手…なんです」






私はコーヒーは好きだけど

缶コーヒーは苦手であまり好んで飲まなかった

こうゆう場合は嘘でも「ありがとうございます」

と言ってご馳走になるのが正解なんだろうけど…



正直、三好先生に恩を受けたくないし

「日本語も理解できない」の台詞も

癇に障っていて素直に頂きますとは言えなかった…





ミヨシ「仕事は半人前だが味覚は一丁前かよ」





と言ってブラックコーヒーを1本買って

診察室へと歩いて行った





(半人前・・・)





まだ仕事のミスもしてないのに

朝から嫌味を言われ気分も下がり

ヤッパリ買ってもらわないで

正解だったと思い掃除を続けた





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