辞めたい

〈ユア視点〉





あの後も、もう一度三好先生の所へ

聞きに行き散々なじられた…





ミヨシ「学習能力ねーのか?

  どーなってんだその頭は?」





三好先生の言葉を思い出し

ため息しか出てこない…


 


(帰ってくるんじゃなかった…)





私は地元から離れた都会の大学に行き

4年間楽しくキャンパスライフを遊んで楽しみ

今年の春に卒業した





採用通知をもらっていた会社が

経営困難の赤字で採用取り消しとなり

どうしようかと悩んでいる時に

兄の紹介で地元の病院で医療事務として

働く事になったけれど…





学校で医療事務の資格は取っていて

病院側もそれを知って採用してくれたんだけど

私が習ったのは電子カルテのみで…

まさか、今時紙のカルテで点数計算を

自分達でするとは思ってもいなかった…



カルテはドクターの手書きだから三好先生みたいに

癖の強い字はもう何が何だか分からない…

ましてや薬の名前なんて…





(薬剤師じゃないだから・・・)




 


最初の頃は先輩に聞いてたりもしていて




先輩「あぁー皆んな癖字凄いからねー

  でも直ぐに慣れて読めてくるようになるわよ」




と優しく教えてくれていたが…

ある一言がキッカケだった…





「コッチじゃ皆さん

  何処でランチとかお茶するんですか?

  ファミレスしかないから

  何処で食べたらいいか分からなくて…」






と何気なく相談したら、ソレが癇に障ったらしく

質問をしても指導をしてもらえなくなった…

同じ休憩室で一緒にお昼をとるのも窮屈で

休憩時間はいつも一人で車の中で過ごしていた





「はぁー・・辞めたい」





一日に何度口にするのか分からない私の口癖…

ここは、兄の友達関係の紹介らしく

最低でも一年は続けなくてはいけないだろうと考え

なんであの時帰って来たんだろう

と後悔ばかりしていた…




時計に目をやり後15分で終わってしまう

休憩にまた、ため息がこぼれる…




(だいたい、あの字が悪いのよ…)




精神科医の三好 蛍先生が…

あんなに目つきが悪くて短気な人が

人の悩みをどんな顔して聞いてんのよ…




最初の頃は先輩が教えてくれていたけど…

ソレが出来なくなってからは

仕方がなく三好先生に

直接聞きにいくようになった…




初めて怒られた日は涙が出てしまったけれど

毎日になれば段々と慣れていき

傷つくだけで涙までは溢れなくなっていた…





(・・・だいっきらい・・)




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