第41話 家族への告白
デビュータント後、数日置いて行く予定を、父様が領地に行く準備を急ぎ、出発を早めた。母様も慌ただしく、私的には疲れを残したままの馬車旅という出発になった。
一番残念なことがいつもは、ツァーリ領で一泊していた所をもう一つ先の領地で泊まる強行旅だった。何故急いでいるか答えて貰えず、ストンズ領に着くと身体中痛かった。しかし結婚式以来のノーラ姉様に会えて嬉しかった。家族みんなノーラ姉様に会いたくて急いだのかしら。
久しぶりの家族全員での夕飯は豪華で楽しかった。ノーラ姉様のお腹に赤ちゃんの報告など幸せな一日になった。
ラドルフ執務室
父、母、レオノーラ、セオドリアが揃う。執事や侍女も下げ、密室だ。
「シャルのデビュタントでツァーリ次期公爵、ローレンス殿下が近づいて来た。今頃、婚約申し込みがきている可能性がある」
「家格がずいぶん上のお二人にシャルは好かれたのですね」
「暢気なことを言わないでノーラ。淑女教育も何とかこの辺り、これ以上は無理よ、あの子に公爵家とか怖いわ。庭園でやってる早足もやめさせないと」
父様と母様は、心配しているのは、わかるが、
「去年からあの二人は、シャルに近づいていました。好意をぶつけたりしていなかったので報告しませんでした。まして殿下はツァーリ嬢と婚約中でしたし。」
「もう贈り物も頂いていて、デビュタントは身に付けて参加したわ」
「贈り物?」
「えぇ、他国に外務中のお土産としてダイヤを散りばめた髪留めよ。サマーパーティーで渡されたと本人から聞いたわ」
「いつの間に仲良くなった?だから様子がおかしかったのか。ローレンス殿下とは二度サマーパーティーの庭園で二人になっていて、エイデル様とは研究グループが一緒で話が合うようでした」
とセオドリアは報告する。レオノーラも
「シャルはどちらが好きなの?」
と聞くとラドルフは
「そんなことならここで、話し合ってない。シャルは、入学式の日から少し変わった。みんなに調べて貰っていたように。幽閉している子爵令嬢、隣国の宰相が言う、前世やゲームという言葉も気狂い扱いでわからないままだ。奴等は異国人の知識があるという。シャルにも当てはまるところがある。わからない言葉、ウォーキングだとか言っていた。何か問題があったらと様子を見ていたら高位貴族と関わっていた。共通点がある以上婚約を受けていいものか」
「父様、でも申し込まれて断れるの?」
「強くこられたら無理だ」
「シャルが何か起こして気狂いで捕まったら、一生幽閉だ」
「父様、私、以前から思ってたんですが、シャルに聞いてみるのは?」
「確かにまだ国を騒がす問題は起きてませんし、私達が知らない何かがわかるのでは?」
執事にシャルロッテを呼んでもらう。
「父様お呼びですか?母様、ノーラ姉様、セオ兄様まで」
「大事なことだシャル、正直に話して欲しい。前世やゲームって言葉知っているかい?」
家族の顔がじっと私を見つめる、何度も瞬きをする。
「知っています」
みんな一斉に立ち上がる。父様も母様も絶望感が顔に出た。いつかこのようになると思っていた。
「入学式の時、私の隣に遅れて座った令嬢がいました。その令嬢がゲーム、転生者、王子などの言葉を呟いていました。その令嬢が立ち去ると気分が悪くなり、医務室に運ばれました」
「その令嬢が言っていたのを聞いたのだね」
「はい、その令嬢はまた第二王子に絡みにいき、翌日から学院には来なくなりました」
「気狂いで修道院に入ったと聞く」
「私は、入学式後、その令嬢の言葉の意味がわかるようになりました。絵が見えたんです。それが何なのかが分かりません。先読み出来るわけもなく知識がないのです」
「それは、隣の子が乗り移ったってことかい?」
「いいえ、引っ張られたという感じです」
「ゲームとは何だい?」
「私が見たのは小さな四角い薄い箱に絵が入っていて、選択する文章で次々に絵が変わる物語」
「捕まった奴等と同じことを言っている。前世とは過去生きていた記憶があるということだな」
「はい、ただ私には記憶がないのです」
「ウォーキングとは?」
「隣の子の記憶か分かりませんが早く歩くこと。言葉もその時聞いて絵が浮かびました」
「シャルは、ゲームの内容や奴等がいう選択肢などは分からずその言葉の絵が浮かんだと、今も?」
「いいえ、その令嬢に会った時以外珍しい言葉の絵は見ません」
「分かった、この話はしないように」
「シャル今までどうして言わなかったの?」
と母様は私に言った。
「始め、あの令嬢は魔女かと。私は影響されるのか、どうなるかわからない。それは今もです」
と大袈裟に言った。前世の知識がほぼない以上、聞かれても答えられないので隣の令嬢のせいにした。そして宰相の言葉、二人の王子、サマーパーティー、ゲーム、これを聞いた時、私の存在の意味は分からなかったが新たな転生者が出るのでは、と考えていた。巻き込まれた事を想定した時、何を言っても怪しい事に気づいた。疑われるなら、隣の子が原因だったし、既に退場しているしあの子を前面に出す事を決めていた。
執務室での話は、父様が、私はその令嬢に乗り移られた説を残したが、今は問題無しかなと結論が出て終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます