第40話 デビュータント
夏季休暇が始まり、デビュータント当日を迎えた。
朝から磨き上げられ、つるすべの肌になっていた
「アンナそんな縛りあげないでお昼も食べれないし、会場でも食べれなくなるわ」
「お嬢様、食べなくていいんです。今、ここで数枚クッキーを召し上がって下さい。レオノーラ様は、そうしていました」
そう言われてしまえば勝ち目はない。受け入れるしかない。デビュタントは白のドレスを見につける、背の高い私はAラインの体型が際立つものを着ている。
「アンナ、この髪留めを今日使って欲しいんだけど」
とそっとアンナに渡す。
「全て準備しておりますよ、こちらは、どういうお品ですか?」
とアンナが問う。本当のことを言うべきか迷って、言う決心をした。
「第一王子ローレンス殿下から他国のお土産として、サマーパーティーで頂いたの」
「えっお嬢様どんな関係なんですか?伯爵様や奥様はご存知なのですか?」
「まだ話してない」
「すぐにお伝えしなければ」
と言ってアンナは消えた。
母様に何故すぐに言わないのと叱られ、いつからも何もないと伝える。さすがに殿下に頂いたなら付けた方がいいとなり、
「良かったですね、お嬢様」
その言葉に照れてしまう。両サイドの編み込みを後ろの中央で止める。小さなダイヤが光り、赤茶の髪に映える。
父様にエスコートされ、王宮に入る。
初王宮にキョロキョロしてしまう。とにかく広い。国王陛下に謁見するため、待合室に行くと、学院の同級生がいてほっとした。緊張していたようで父様にも心配された。
「ストンズ伯爵の娘シャルロッテでございます」
「面をあげなさい。成人おめでとう」
国王陛下は、若く見え、気構えが強く、ローレンス殿下は王妃似だと思う。そんな一瞬の謁見の後、王宮主催の会場でデビューだ。サマーパーティーの会場が慣れる為の練習と言われるように、こちらは規模が違う。天井の高さも広さ、煌びやかな装飾、圧倒される。
「キラキラしすぎて酔いそうですお父様」
と言うと苦笑された。ローラを探して、この場は落ち着かないなと、またあたりを見回す。出会える気配が全くしない中、エイデル様と出会えた。ローラを探していることを伝え、エイデル様は次期公爵として挨拶も絶えず、忙しそうに別れた。
壮大な音が鳴り響く中、王族の皆様が入場された。第二王子とシャーリスも入り、美しく凛々しい。同じ白いドレスだが輝いて見えた。
「ローラと一緒に見たかったな」
と呟く。
デビュータントの一曲目はエスコートをしてくれた父様と踊り、父様がダンスが上手なことに驚いた。
「武術は嗜まないが、ダンスは得意なのさ」
と笑いながら言う。このまま、壁際に移動するつもりだったが、エイデル様に声をかけて頂いた。
「エイデル様のおかげでダンスが出来ます、お声をかけて頂きありがとうございます」
と言うと
「貴女は、全く分かってないな」
と笑った。何がおかしいのか分からなかったが、今年も領地に戻る途中ツァーリ領でアイスを食べる楽しみを語り和やかに、楽しいダンスをして父様の元にエスコートされると学院の同級生が一緒に踊ろうと誘ってくれて、賑やかな楽しい時間を過ごすことが出来た。
「ローラ」
「やっと会えた」
と言うとシャーリスもいて3人揃うことが出来、久しぶりに会話を楽しめた。
「シャーリス、お待たせしましたね」
とアルファード殿下が迎えに来た。王子様達は、何人か上位貴族と踊る役目がある為、忙しい。
「ストンズ嬢一曲どうですか?」
と後ろから声がかかった。振り返るとローレンス殿下がいた。上位貴族でもない私がと、マゴマゴしていると
「いってらっしゃい」
と、二人の友達は背中を押した。
「髪留めつけてくれたんだね、嬉しいよ」
と満面の笑みで言うから、どんどん体温が上がっていく。ローレンス殿下を見るとずっと笑っている。
「もう、笑わないでください」
とむくれて言うと、繋いでいない手で顔の半分を覆った。
「可愛いすぎ、貴女は…。全く、困ったなぁ」
と言うローレンス殿下の握る手がギュッとされ熱を感じる。ドキドキが止まらず、視線を外せなかった。何の会話をしたかもふわふわしてしまい、あっという間にダンスが終わった。
帰りの馬車は父様にいろいろ聞かれたが、あまり覚えていない以上何を答えてもふわふわしたものになり、父様も困っていた。
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